世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●米大統領二期目に向けて 強硬策は経済政策に留まるのか?

2019年05月15日 | 報道

 

日本人の知らないトランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く
渡瀬 裕哉
産学社


●米大統領二期目に向けて 強硬策は経済政策に留まるのか?


NY市場が600ドル下げても、東京市場が124円しか下げなかったのは、おそらくドルが売られなかった現象があったからだろう。

為替の安心感が株式市場の精神安定剤となった模様だが、“トランプライザー”と云う世界恐慌のひきがねは、常に腰だめ状態なので、安心と云う期待は、常に裏切られている。

トランプを大統領選の泡沫候補と認定した時点から、過去の知恵や知識の多くが使い物にならないと云う証明がなされている。

英フィナンシャル紙がコラムニストの名を借りて、今後のトランプによる、米中経済摩擦について語っているが、彼らが使った写真では、米中ロのロシアの国旗に焦点があっているのが気になった。

気になったと云うか、今回のトランプ関税戦争は、そのまま、現実の物理的戦争にまで繋がるリスクがあることを頭の片隅に置いておくのが、21世紀の大人の常識かもしれない。

トランプさんにしてみれば、世の中人々があり得ないと思うことを、ちゃぶ台返しする快感に酔いしれているわけだから、絶対に再選を成功させようとしている。

その第一弾が、世界中を巻き込む“大関税戦争”なのだが、この経済戦争だけでは不十分であれば、ホンマモンの戦争も再選戦略リストにと、含ませているのは確実だ。

これは、筆者だけの想像ではないだろう。正常に想像力が養われた人々なら、僅かな杞憂としてでもお腹の底の方に持っているに違いない。

米中や日米の通商問題で、トランプ大統領の再選に目途が立てばいいのだが、そう思うようにはいかないと考えておくべきだ。

そうなると、トランプ大統領に残された手は、歴然たる米軍の戦争状態の設定である。

おそらく、米国本土への、ICBMによる核攻撃の不安がない国が相手の戦争だ。 直接、米軍がメインの戦闘である必要はないが、米軍が出動している事実が必要だ。

 一番可能性があるのはベネズエラだが、大統領再選への影響が大きい戦闘とはいえない。

中露と米軍が戦うことは想像しがたいので、イラン、シリア、ゴラン高原辺りが、最も候補として有力だが、シリアやウクライナにも火種は残っている。

朝鮮戦争と自衛隊という構図も、無理すれば危機的戦場候補になる。

たかが、大統領の再選のための戦争相手に選ばれる、多くの国々も、いい面の皮だが、しばらくはつきあう以外選択肢がない。

まぁ、取りあえず、英フィナンシャルの常識的経済見通しを読んでおこう。


≪[FT]勢いづく米通商タカ派、最悪のシナリオは?
トランプ米大統領が10日、2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に追加関税の発動を決定し、中国も13日に報復措置を発表したことで、その影響を注視するのは米中両国だけではなくなっている。 トランプ政権の発足以降2年4カ月にわたり、世界各国の経済外交当局者は米国との通商関係の管理に苦慮し、米国が中国との摩擦を強めるなかで次は自国が標的になるのではないかと不安を募らせてきた。


 


米政権内外のタカ派が通商政策に関して勢いづいていることは明らかだ。

トランプ政権が米国と最も近い関係にある同盟国や多国間貿易体制を犠牲にすることもいとわず、中国以外の国々にも攻撃的な姿勢を取る事態が危惧されている。

これまでは、脅しをかけて交渉で優位に立とうとするのがトランプ流だという楽観的な受け止め方があったが、現実にはごり押しの姿勢を強める一方だ。25%の対中関税はトランプ氏でもリスクが大きすぎるとみていた多くの人々も、ここにきて他国との貿易摩擦についても見方を改めるようになっている。

最も注目される3分野それぞれに関して、排除できない可能性を盛り込んだ最悪のシナリオをまとめてみた。

(1)自動車関税の発動 トランプ大統領は16日、米商務省が提出した報告書に関する判断の期限を迎える。報告書は未公表だが、自動車の輸入は米国の安全保障上の脅威であるとしているとみられる。これが、トランプ氏には関税発動の法的根拠となる。 この可能性を受けて、自動車メーカーへの影響が最も大きい欧州連合(EU)や日本、韓国を中心に懸念が高まっている。

これまでは、そうした措置は経済的影響があまりにも大きく、(米国内にも自動車関税への政治的支持はほとんどないため)トランプ氏も実行には移さないものと思われていた。 トランプ氏は判断の期限を6カ月延ばし、この問題について各国と協議に入ることが可能だ。だが、もっと攻撃的な措置として、関税を発動した上で実施を一時的に凍結し、EUと日韓に剣を振りかざすというやり方がある。ただちに自動車関税を課すという「最後の手段」は現時点でも予想されていないものの、「ダモクレスの剣」のような一触即発の事態となる可能性も、排除できなくなっている。

(2)北米自由貿易協定(NAFTA)の破棄 2018年12月にアルゼンチンで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、トランプ氏は鳴り物入りでカナダのトルドー首相、メキシコのペニャニエト大統領(当時)と共に、NAFTAを改訂した「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」に署名した。

だが、米議会民主党と一部の共和党議員の抵抗で、協定の批准は難航している。通常であれば、トランプ氏が議会に譲歩し、メキシコとカナダ両国の鉄鋼・アルミニウム製品に対する関税撤廃などの要求に応じることが見込めるかもしれない。だが、中国との摩擦がさらに激化したことから、トランプ氏がごり押しの姿勢を一気に強め、言い分が通らなければ、米国に重い代償を伴う現行NAFTAからの離脱を言い出すのではないかとの懸念が高まっている。

(3)世界貿易機関(WTO)との決別 米国はWTOから離脱すべきだというトランプ氏の主張は、しばらく鳴りを潜めていた。だが、中国との協議の失速で再び現実味を帯びるかもしれない。関税が高まり、中国を抑制するものが少なくなった現在の世界において、WTOは2大経済国を対話に引き戻し、ルールに従って行動させるための理想的な場になりうる。 だが、米国がそう考える可能性は低い。トランプ氏は、WTOを中国との商業的戦争を邪魔する存在とみなし、米国はWTOの改革を求めるのではなく、WTOに対する支持を完全に取り下げることになるかもしれない。

このような状況下、同じく貿易大国のEUと日本は身を潜め、米中の交戦に巻き込まれないようにしてきた。 先週来の米中間での報復関税の応酬合戦の後でも、EU当局者は依然として、トランプ氏が今週に判断期限を迎える欧州車への関税発動を延期し、昨夏に開始が合意され間もなく正式に始まるEUとの通商協議の結果を見極めようしているとの見方を崩していない。 それでも、協議で取り上げる内容について(農業問題を含めたい米国と、除外したいEUの)双方の意見には大きな隔たりがある。

トランプ氏がけんか腰になるようだと、大西洋をはさんだ米EU間の停戦協定は、EUが見込んでいるよりも早期に破棄される可能性もあるのだ。

By James Politi & Alan Beattie (2019年5月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/) (c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.  ≫(日経新聞)

参考世界の動き
■激動必至 令和日本、世界どう動く 安全保障で迫られる乏しい3択のリセットが日本の起点に
■米国が仕掛ける「通商椅子取りゲーム」の五里霧中
■不気味な上昇を続ける株式市場…これは「不景気の株高」か?(「令和」後は流石に下がっているが・・・。)
■「同時崩壊」もありえぬ事ではない韓国・北朝鮮の苦しい現状
■米朝決裂が中東に飛び火し「第3次世界大戦」を招く可能性
■米中露で拡大する「軍隊の民営化」その語られざる実態
etc

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