世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

“原発安全神話復古” 懲りない面々と怖いものを見ないようにする人々

2013年07月08日 | 日記
原発ゼロをあきらめない 反原発という生き方
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● “原発安全神話復古” 懲りない面々と怖いものを見ないようにする人々

 参院選は“ねじれ解消”と“景気回復と雇用”が合言葉で、安倍自民の独走状態になっている。世の中と云うもの、出来た流れを押し戻すには、押された力の倍は必要なのだが、野党のどこを見ても、その勢いはない。そのような姿を観察している有権者の間にも戦意の喪失がはっきり表れている。多くの経済指標が経済の上向きを示していると日経などはプロパガンダ報道に徹するが、国民の側に、その実感は届いていない。しかし、いつか届くに違いない、と云う幻想に、嘘と知りつつも騙されたい心理があるのだろう。

 内閣府の6月の景気ウオッチャー調査は3カ月連続で悪化している。アホノミクスへの疑念が徐々に表れているのだろうが、未だ景況感が50%を超えているので、好況感がある状況なのだろう。国民の関心事が、景気と雇用集約されるのは資本主義の下では致し方ない現象なので、それを責めることは出来ない。しかし、資本主義や民主主義が正常に機能する為に必要な国家統治に関わる広義のインフラが、時代と逆行していたり、未来を見据えていなかったり、世界の潮流から逸脱したりしていると、結果として得られる“景気と雇用”など、望むべくもない事実については理解できていないのが、現実の日本国民の民度なのだろう。

 それにしても、経済優先と云う目的に邁進する政府と電力会社の、原発再稼働への執念には驚かされる。目先の経済的有利性が、実は政府(将来国民の税金)の財政支援によって成り立っている事実に目を瞑ること自体、愚かだ。まして、原発の安全性等と云うもの、神様でさえ保証出来ないというのに、安全だと云う神話の再構築に向かっている。この一つの現象を見るだけでも判ることだが、日本と云う国の思考経路は狂っている。おそらく、国家も国民も狂っているのだろう。以下は東京新聞とロイターの原発再稼働に関する記事だ。原発に関する解説は、東京新聞や海外新聞社に頼らないと、トンデモナイ詐欺話に引っ掛かってしまう。

≪ 4社10基、再稼働申請 原発新基準満たさず
  原発の新しい規制基準が施行された八日午前、電力四社は五原発十基の再稼働を原子力規制委員会に申請した。現時点では、どの原発も新基準で求められる施設や調査に不十分な点があるが、電力各社は原発停止の長期化による経営悪化を理由に早期の再稼働を目指している。新基準の施行日に、先を争うように申請した。 
 申請したのは北海道電力の泊1~3(北海道)を皮切りに、関西電力の大飯3、4(福井県)、高浜3、4(同)、四国電力の伊方 3(愛媛県)、九州電力の川内(せんだい)1、2(鹿児島県)の各号機。
 いずれも、重大事故を起こした東京電力福島第一原発の沸騰水型原発(BWR)と異なり、加圧水型(PWR)というのが特徴。
 九電は十二日に玄海原発3、4号機(佐賀県)を申請する予定。東電も柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の申請を目指しているが、新潟県などから「事前了解が必要だ」と反対され、初日の申請を断念した。
 電力各社は、 新基準への対応は済んだと強調している。だが、新基準で求められる設備の設置や、地震・津波の新たな想定はまだ完了していない。
 東京電力福島第一原発事故で、作業員の最前線基地となった事故時の作業拠点は、この日申請された中で完成済みなのは伊方原発のみ。他は「代用の施設を検討中」(北海道電)とするなど、対策未了のまま申請した。
 規制委が、唯一稼働中の大飯原発3、4号機をめぐり、作業拠点などは当面、代用施設でもしのげることが確認できれば、現時点で新基準に不適合であっても、九月までの運転継続を認めたことが影響を及ぼしている。
 規制委は三チーム計約八十人で申請内容を審査する。
 審査には最低でも半年はかかるとしており、九月に大飯原発が定期検査入りすると、再び原発の稼働数はゼ ロとなる。

<原発の新規制基準>
 東京電力福島第一原発事故を教訓に、原子力規制委員会が従来の指針などを見直して策定。炉心溶融や放射性物質の大量放出といった過酷事故への対策や、地震、津波対策を強化した。原発再稼働は新基準に適合していることが条件となり、電力会社は審査を規制委に申請する。加圧水型原発はフィルター付きベント設備の設置に5年の猶予期間が認められている。新基準は既存の全50基のほか、新たに建設される原発にも適用される。 ≫(東京新聞)


≪ 焦点:原発再稼働へ蘇る「安全神話」、突貫作業で新規制基準
  [東京 8日 ロイター] - 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レ ポート)福島第1原発事故発生の温床となった「安全神話」が息を吹き返している、との指摘が専門家の一部から出ている。実質的に半年あまりの突貫作業で仕上げて8日に施行された新規制基準について、「穴だらけ」との声も挙がっている。 しかし、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「世界一厳しい」と反論している。規制委の背後には安倍政権からの強い圧力があるとの見方も聞かれる中、田中氏が唱える「安全文化」が定着するのか、注目を集める新しい原子力政策が始まった。

<泉田知事、古巣から標的>
  「なぜ急ぐのか」─。新潟県の泉田裕彦知事は今月5日、柏崎刈羽原発の再稼働方針の説明で訪れた東電の広瀬直己社長を問い詰めた。3日前に東電は柏崎刈羽原発の再稼働方針を取締役会で決議。8日の新規制基準施行後、「速やかに申請したい」(広瀬氏)と記者会見で表明した。
 だが、厳しい会談になることは予想された通りだった。泉田氏の射貫くような視線を受けて、広瀬氏は「反省すべき点があった」などと懸命に弁明する一方で、「再稼働申請の前に県の事前了解をとるのか」と迫る知事に確約はしなかった。
 6月の段階で泉田知事は、県の了解なく再稼働申請を行った場合、「信頼関係を壊す」との警告を発していた。だが、3年連続経常赤字回避に努力する姿勢を銀行団に示す必要がある東電は、社外取締役を中心に再稼働に向けて強行突破を図った。
  元経済産業官僚の古賀茂明氏は、古巣の後輩である泉田知事に対する包囲網が形成されていると述べる。「泉田裕彦は経産省で出来が悪くて知事に転出した。省内で出世できなかったことを根に持って抵抗している、というストーリーを経産省がこの1年間、ずっと流している」と古賀氏は指摘する。

<泉田知事が批判する新基準の中身>
  泉田知事が広瀬氏との会談で繰り返した「なぜ急ぐのか」という疑問は、規制委員会にも向けられている。
 昨年9月19日に規制委が発足して以来、今年1月末には基準の骨子案が示され、4月上旬には新基準の条文案が公表された。 こうした動きに対して、泉田知事は「福島第1原発事故の検証・総括が不十分」とし、規制委がまとめた災害対策指針についても「地元の声を反映していない」などと批判を続けている。
  一方、田中委員長は「(泉田氏の発言は)かなり個性的」と応戦、包囲網に加わった格好だ。

<米国の規制ガイドに似ているとの指摘>
  規制基準作りで中心的役割を果たした規制委の更田豊志委員は、作業について「普通に考えれば5年はかかる」とみていたが、改正原子炉等規制法に新基準策定は規制委の発足から10カ月以内と定められ、突貫作業を余儀なくされた。 原発メーカー、米ゼネラル・エレクトリック(GE.N: 株価, 企業情報, レポート) でエンジニアとして長年勤務した経験を持つ原子力コンサルタントの佐藤暁氏は、新基準について「骨子案に評価ガイドや審査ガイドが加わった。ただ、中身をみると米国の規制ガイドの真似で、しかも中身が貧弱だ」と指摘する。
 福島事故以前に政府が原発輸出を強化していたころ、日本の規制インフラが完備していないことが政府内で問題になり、同氏は「日本のものでは世界に通用しないから、米国の真似をするしかない」と提案したという。
 米国の規制体系は、1)原子力に関する連邦規則集、2)一般設計指針、3)規制ガイド、4)標準審査指針─で構成されている。
 日本の新規制基準は全体で約3000頁の分量だが、「米国は、規制ガイド、スタンダード・レビュー・プラン(標準審査指針)でそれぞれ1万頁くらいある」(佐藤氏)と、日米格差は歴然としている。 新基準の問題点とは何か。佐藤氏は「挙げればきりがないが、例えば地震の扱いだ。欧州や米国では1万年、10万年に1回起こるような大地震を基準にして設計するとある。日本では、2005年以降4回、5つの原発で基準地震動を超える揺れがあったにもかかわらず、新基準は実質的に以前から 何も変わっていない」と批判する。

<政治の圧力で交錯する観測>
 田中委員長は、発足以来、新基準作りを含む規制委の運営について、「科学的判断に立脚する。政治や経済の要請はしん酌しない」との姿勢を繰り返し強調してきた。ただ、古賀氏によると実情は異なる。
  「規制委員会の関係者からも情報は入っているが、圧力だらけ。(厳しい規制は)どんどん後退している。委員の一部も認めている。(政治家が)委員には直接言わないが、基準作りが遅れたら遅れるだけ非難されると、事務方から委員に上げていく」(古賀氏)という。
  円安政策をとる安倍政権にとって、液化天然ガス(LNG)などの燃料費負担が増大する原発停止の長期化は大きな懸念材料に違いない。「日本経済の命運を決めるのはあなた方、という圧力のかけ方だ」と古賀氏は語る。

<原発政策の過去を知る関係者の証言>
 黎明期から原子力開発の現場を知る笠井篤氏がロイターの取材に応じた。同氏は1959年(昭和34年)、日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)に研究員として入所。「時の政府からの圧力は過去からずっと有形無形であった」と語る。同氏の同僚が、福島第1原発や関西電力 (9503.T: 株価, ニュース, レ ポート)美浜原発の問題を指摘した論文を学会発表した際に、「(政治から)猛烈な圧力があった」という。
  放射線防護が専門だという笠井氏。「事故が起きた時にどうすべきかという研究をしてきた。原研が唯一、安全性の研究をしていた。原発は事故が起きないはずなのに、なぜ事故が起きる研究をするのかと大蔵省(当時)から言われ、予算は削られ、人も付けてくれなかった。国の政策に反対するような研究所はつぶしてしまえと、自民党の人たちにはっきりいわれた」と、当時の状況を語る。
 若い研究者を守ったのが、原子物理学の第一人者で、笠井氏が入所当時の原研理事長だった菊池正士博士だ。「菊池さんは国の圧力はけしからんと体を張って研究者を守ってくれた。国会に何度も召喚されて、結局更迭されてしまった」という。
  笠井氏は福島事故後から現在に至る状況について、「東電と泉田知事の会合をみると、安全神話の復活どころではなく、それ以前のレベルだ。地元の意見を聞くべきなのに、政権をバックにゴリ押ししている。事故以前の体質と変わっていない」と話した。
 原子力コンサルタントの佐藤氏もまた、安全神話の復活に懸念を示す。「5年、10年、何事もなく過ぎていく可能性は十分にある。本当に怖いのは、そんなものかと考える10年後、20年後の人たちのことだ」と述べている。≫(ロイター:浜田健太郎 取材協力 前田りさ 編集;田巻一彦)

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