世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●F35の墜落 官邸は最新戦闘機で何がしたいのか?

2019年04月24日 | 報道

●F35の墜落 官邸は最新戦闘機で何がしたいのか?

安倍官邸は、アメリカが推し進めるForeign Military Sales(FMS)の制度に沿って、見境もなく、自衛隊が欲しいと言っているわけでもない米国製の最新鋭?とセールストークされる戦闘機やイージス艦やミサイル防衛システムを買い込んでいる。

その金額は、米国に支払う購入費のほかに、その戦闘機等の維持管理費も含めると、5兆から10兆円の出費が確定している。当然ながら、これらの費用は防衛費なので、本来自衛隊が必要とする日常的防衛装備品の予算を圧迫し、トイレットペーパーもまともに支給されないと冗談はなしまで出ている。

そもそも、憲法第9条の専守防衛の枠をあきらかに逸脱した武器の購入に、何の意味があるのかが判らない。

防衛に役立つからと言う屁理屈を並べれば、核兵器だって、当然だが防衛に役立つだろう。

いや、官邸などに棲んでいる人間の中には、防衛上致し方ない行動だったと位置づけながら、どこかの国と戦争になることを望んでいるフシさえ見られる。

無論、現状の仮想敵国としてイメージしているのは「対中」らしいが、核を一発見舞われて、へなへなとなるのは火をみるよりもあきらか、流石の安倍官邸にも、中国と戦火を交えるバカはいないだろう。

それに、アメリカ自体が世界の権力図を変えようとは思っていないのだから、対中戦争などに共同歩調を取ることはない。我が国は、孤立無援だ。

となると、北朝鮮か?いや、これも、制御不能な核を撃ち込まれた場合、「対中」以上に怖い結果が生まれそうである。

核大国ロシアも同様で、手も足も出ない。

近隣の国で、核を保有していない国は、どうみても一国しかない。

同盟国であるアメリカは、三国同盟のつもりでコントロールしているわけだから、戦火を交える筈はないと考えている。

しかし、交戦状態になれば、米軍は日本から撤退するだろう。しかし、北朝鮮がある以上、隣国から撤退するとは限らない。

戦火を交えると、米軍基地にも被害が及ぶ可能性があり、腰の引けた戦いになる。 :まかり間違って、米軍基地に撃ち込むようなことが発生したら、一発アウトだ。

つまり、最終的には、米国製の戦闘機等は、宝かどうか別にして、宝の持ち腐れなのである。

それでも、どこかと戦火を交えたい心根の人々がいるようだ。

おそらく、その勢力の狙いは、日本経済を「戦争経済」の坩堝に投げ込みたい意図がある場合だけだ。

常識的にはあり得ないのだが、現実の世界では、不合理で、非常識なことが起きるものである。

どこか日本の権力中枢には、常に、この戦争を好むDNAが潜んでいるように思われる。

それを封じ込めるのが憲法なのだが、解釈改憲で、法はどのようにでも扱えると味を占めた連中が手ぐすねを引いているのは事実だろう。


≪ F35A事故が照射する 防衛政策 根源的疑義=高村薫
 季節外れの寒波で関東甲信越が雪景色になった10日、早朝からメディアはどこも「平成最後の雪」と騒ぎ続け、前日夜に青森県沖で消息を絶った航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aについての続報は、見る影もなかった。

 4月の大雪と、鳴り物入りで導入された一機140億円の次期主力戦闘機の、世界初となる墜落事故と。比べること自体がむちゃなのは承知の上で、いったい事故の扱いを極力小さくするよう国から圧力でもかかったのかと、思わず勘繰ってみたことである。

 というのも、AIで高度に自動制御された最新鋭の戦闘機で、搭乗員が緊急脱出もできないような事故とはいったいどんな事故なのか。この2月に山口県沖でF2戦闘機が墜落したときには搭乗員は脱出しているが、今回はなぜできなかったのか。最新鋭の機体でそんなことがあるのか。一国民の頭は単純な疑問でいっぱいである。

 搭乗員が飛行時間3200時間のベテランで、しかも機器はほぼコンピューター制御となれば、事故が操縦ミスである可能性は低いだろう。ならば、過去にも2度あったという機体の不具合か。何らかの設計ミスか、ソフトのバグか。自衛隊はもちろん、米軍も艦艇や哨戒機を出して水深1500メートルの海底に沈んだ機体を捜索しているが、仮にフライトレコーダーや機体の回収ができても、そもそも機体の全部が米軍の軍事機密であるし、点検整備さえ自前で行えない自衛隊は、原因究明の作業も当然蚊帳の外だろう。いったい、自ら事故の検証もできない兵器を戦力と呼べるのだろうか。

 報道によれば、2012年から順次導入が進むF35A、42機の取得費が約6000億円。30年間の維持整備費1兆2877億円。さらに昨年末の中期防衛力整備計画で追加購入が決まったA型63機、垂直着陸機のB型42機の取得費が合わせて1兆2000億円。そしてその維持整備費が30年で約3兆円。

 この莫大(ばくだい)な買い物はすべてアメリカ政府のForeign Military Sales(FMS)の制度を利用して行われている。同制度を日本政府はなぜか対外有償軍事援助と呼んでいるが、読んで字のごとく原意はずばり「セールス」である。

 同制度は、自国で開発できない最新兵器を入手できる半面、価格や納期などの契約条件をメーカー側が一方的に握っており、非常に割高な買い物になることが前々から指摘されている。しかも維持整備もメーカーが行うので、日本は大金を払って、まったくのブラックボックスを買うことになる。

 かくしてF35のほか、輸送機オスプレイ、早期警戒機E2D、無人偵察機グローバルホーク、迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」と、現政権はアメリカの言いなりに続々と高額な兵器を購入し続けているのだが、FMS調達の増大は当然、防衛予算を圧迫する。現に昨年末には、防衛省がついに国内企業62社に装備品代金の支払い延期を要請するに至り、私たち国民を唖然(あぜん)とさせた。

 さらにF35Aの導入以降、スクランブル用のF15をはじめ、訓練機や哨戒ヘリコプターの維持整備に十分な費用や要員を回せず、自衛隊本来の任務や備品の補充に支障をきたしているとも言われる。しかも、現場よりも官邸主導で購入されたこれら最新鋭兵器の一部は、現場が必ずしも必要としておらず、十分に使いこなすことのできない代物だという話も聞く。

 憲法9条の是非以前に、まともな戦略も知識もない非常識な官邸主導によって、自衛隊の装備と人員の双方で深刻な疲弊が進んでいる。墜落したF35Aは、去年6月まで機関砲や短距離空対空ミサイルさえ持たずに配備されていた。国会では2月、その機関砲の精度が米軍の仕様基準を満たしていないことが問題になった一方、専守防衛を逸脱する長距離巡航ミサイルを搭載する話が進んでいる。

 いったいこの国はF35Aに何をさせたいのだ? 戦争ごっこなら、せめて無人機でやれ。 (高村薫)

*たかむら・かおる  1953(昭和28)年、大阪市生まれ。93年『マークスの山』で直木賞。98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞。2016年の『土の記』で野間文芸賞、大佛次郎賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞する。
 ≫(毎日新聞)

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