世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「平成」 “クズ”が反省もせず、グズグズと生きた時代

2019年03月31日 | 日記
街場の平成論 (犀の教室)
内田樹
晶文社

 

平成経済 衰退の本質 (岩波新書 新赤版)
金子 勝
岩波書店

 

平成の通信簿 106のデータでみる30年 (文春新書)
吉野 太喜
文藝春秋



●「平成」 “クズ”が反省もせず、グズグズと生きた時代

日刊ゲンダイは「平成」と云う時代を“転落の時代”と捉え、次の時代を“奈落の時代”と予測しているが、あながち間違いと笑い飛ばせないのが、現実なのが怖ろしい。

まぁ、以下の記事は、共同通信の世論調査の結果を受けての評論記事なのだが、他社や他者の言葉を通して悲観論を記事にしている点が悲しいが、総じて、悲観論的立ち位置のメディアとしては、上手くまとまった記事になっている。先ずは、読んでいただこう。


≪「平成よかった」が7割超 安倍偽装政治に騙される人々

 平成も残り1カ月余り。共同通信が平成の時代に関する郵送世論調査(3000人対象)を実施した結果、「どちらかといえば」を含め、73%が「良い時代」と評価したという。つくづくオメデタイ国民性だ。
 NHKインタビューで経済評論家の森永卓郎氏が語った通り、平成は「転落と格差」の時代だ。日本の世界に対するGDPシェアは、1995年に18%を占めたが、直近では6%まで減り、20年余りで3分の1に転落。バブル崩壊後は不良債権処理を口実に潰す必要のない企業をバンバン潰し、片っ端から二束三文で外資に売り飛ばした。
 日本企業が日本人のモノでなくなったせいで、企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す労働分配率はつるべ落とし。平成以前は世界最高水準を誇ったが、直近の2017年度は66.2%と石油ショックに苦しんだ74年以来、43年ぶりの低さ。今や世界最低水準に陥っている。
 小泉構造改革以降は労働規制緩和の猛烈な嵐が吹き荒れ、今では労働者人口の38%が非正規雇用だ。実質賃金もダダ下がりの中、追い打ちをかけたのが99年に始まったゼロ金利政策だ。預金にほぼ利子がつかない異常事態が20年も続き、今ではメガバンクの普通預金の年利は0.001%。100万円を預けても、利子はたったの10円だ。
 当然、庶民は増えない貯蓄を削る生活を強いられる。「1億総中流」と呼ばれた72年には金融資産がある世帯の比率は96.8%に達したが、17年には金融資産なしと答えた世帯が31.2%に上昇。本来得られた利子を奪われ、貯蓄ゼロの貧しい世帯が急増したのが、平成という時代なのだ。

■政治が人を大切にしなくなった時代
 さらに黒田日銀がマイナス金利政策に踏み込んだため、メガバンクすら利ざやを稼げず、計3.2万人分の業務を削る大規模リストラを断行。店舗も次々と廃止し、三菱UFJは21年度までに国内516支店の1~2割を統廃合。みずほも24年度までに2割減らす。
 国内銀行の本支店数は17年3月末で約1万2000店と、ただでさえ、メガバンク誕生前の01年3月末から13%も減っている。世界各国の人口10万人当たりの銀行支店数はフランス57、イタリア48、ドイツ44、アメリカ26、カナダ24、イギリス17に対し、日本は16とG7諸国で最も少なくなったのに、さらに減らそうとしているのだ。
 元銀行員で経済評論家の斎藤満氏はこう言った。
「銀行業の根本は支店を通じた利用者サービス。それを守るのは銀行の責務なのに、維持できなくなったのも平成以降の歴代政権の責任です。『貯蓄から投資』と音頭を取り続け、株価維持のため、銀行に投資信託の販売増を押しつけた。かつての護送船団方式を崩壊させ、小泉・竹中コンビによる銀行イジメ以降は当局と銀行の信頼関係もガタガタ。20年ものゼロ金利政策で体力を奪われた上、トドメを刺したのが、アベクロコンビのマイナス金利です。
 経営が追い込まれても、もはや政府には頼れず、メガバンクでさえ自衛のために大リストラに走らざるを得ません。支店閉鎖で不便を被るのは利用者で、特にお年寄りは周りに支店がなくて途方に暮れています。それでも安倍政権はキャッシュレス化推進で、ますます銀行離れを加速させ、ついていけない人々を置き去りにする。残酷です」
 政治が人を大切にしなくなったのも、平成時代に特記すべきことだ。

■日本人の美徳を破壊した弱肉強食の格差社会
 平成の会社員が失ったのが終身雇用と年功序列だ。会社が社員を守らなくなり、賃金も低下。非正規労働者は単なる使い捨てのコマだ。会社に忠誠を誓った企業戦士は今や昔。日本を代表する大企業でもモラルが低下し、信じ難い不正が相次いだのも平成の時代だ。
「93年開始の年次改革要望書を通じた米国の外圧により、自民党政権は新自由主義へとカジを切り、そのアクセルを吹かせたのが小泉政権です。1%に富を集中させる新自由主義の徹底は弱肉強食の格差社会を生み、教育格差に発展し、今では塾に通わせられない貧困層の子は進学すらままならず、格差固定化の『階級社会』に陥っています。新自由主義を推進した結果、日本の富は米国に収奪され、中間層は完全に潰れ、社会は分断。アンダークラスの不満のはけ口は日本の戦争責任を問う中韓両国叩きとなり、排外主義もはびこるようになった。平成の時代には、日本人の美徳とされた寛容と助け合いの精神が徹底的に破壊されてしまったのです」(経済アナリスト・菊池英博氏)
 日本社会をぶっ壊した新自由主義をさらに加速させたのが、この6年のアベ政治だ。アベノミクスで株価が上がって利益を得たのは外資と海外の富裕層、そして一握りの日本人のみ。働き方改革と称した労働規制の破壊で、働く人々に長時間労働を強制し、水道法改正と種子法廃止で、命の源である水と食まで外資に売り渡す。
 こうした都合の悪いことを国会で追及されても、安倍首相は攻撃的な物言いで逆に相手を非難するか、ゴマカし、はぐらかすだけ。不誠実な体質は霞が関にも伝染し、国会に呼ばれた役人までゴマカし、はぐらかし、攻撃的発言を野党議員に浴びせかける。
 いや、企業や大学、スポーツ界で増え続ける不祥事でも、責任者は都合の悪いことを隠し、ゴマカし、はぐらかしに終始。政権のイカれた体質が日本社会全体に蔓延しつつある。
 後世に「平成最後の6年間が日本を変えてしまった」と疎まれるほど、今の日本は忌まわしい歴史の渦中にあるのだ。

■メディアの良識が消え不正もなかったことに
 安倍政権の悪事もメディアが伝えなければ、なかったことになる。おかげで、「GDP600兆円」という政治目標に端を発する統計不正の追及も今や沙汰やみ。“ダマシノミクス”のペテン政治もまんまと成功だ。
 安倍政権はNHKの経営委員に“お友だち”を送り込んだのを皮切りに、放送局の許認可権をチラつかせ、民放テレビを完全に黙らせた。テレビが政治の腐敗に沈黙すれば国民に腐敗の実態は伝わらず、政治を話題にしなくなる。
 政治を避ける視聴者に応え、テレビから政治の話題がさらに消える悪循環だ。
 選挙の投票率も下がり、政権与党の組織力が上回る。安倍政権の国政選挙5連勝には、「この国はおかしくなっている」と気付いている人ほど無力さを痛感し、政治を諦めてしまう。この政権の唯一、卓越したところはメディアをコントロールし、国民を騙し、一部の気付いた国民を諦めさせたことだ。
 政治評論家の森田実氏が言う。
「盗聴法や特定秘密保護法、共謀罪などで監視社会を強化し、モノ言う国民にプレッシャーをかける仕組みを仕上げ、さらに安倍政権が官邸に権力を集中させ、小選挙区制の導入も相まって役人も与党も政権の言いなり。ネットの発達が歪んだ共感社会への強要と、ヘイトの氾濫を生み落とし、その中で安倍政権は戦後最悪の対中・対韓関係の悪化を招いた。日米安保も強化し、ついには集団的自衛権の容認で憲法9条を死文化させたのです。
 いずれも平成の出来事で、平成には権力支配が強まった暗黒時代の側面もある。それでも7割超の国民が『良かった』と答えるのは、メディアが平成の明るい部分だけを誇張している影響でしょう。多くの国民が大本営発表を信じ、時代が誤った方向に進んでいるのに気付かなかった戦前・戦中の光景を彷彿させます。この国に全体主義の足音が近づいているような懸念を禁じ得ません」
 平成を良かったという7割超の庶民は次の時代も安倍と同じような政治家を選ぶのだろう。希代の詐欺首相による恐ろしい国民総洗脳は、いつになったら覚めるのか。
 ≫(日刊ゲンダイ)


平成と云う時代解釈は色々で良いのだろうが、平凡な時代だっと言えるのではないのだろうか。

昭和という時代が、あまりにもアップダウンの激しい時代だっただけに、どこか刺激に欠けていた時代なのだと思う。

平成は、構造的にズルズルと右肩下がりな経済につられるように、世の中全体に活力がなくなり、男子の草食化やコスパ男が大量に増産される時代になった。

このような社会現象は、権力者や既得権益層にとって、目先は非常に都合のいい時代なのだ。

しかし、被支配者の牙を抜くことで、一時支配層は絶対的な勝者になるのだが、この勝利には継続性と云うDNAが欠けているので、結果的には、敗者だらけになるか、外国に勝者の地位を譲ることになる。

つまり、日本と云う国を、市場原理主義の坩堝に投げ入れてしまった結果、最終的には、独立性に欠けた属国度が鮮明な日本と云う国が出来上がる。

米軍や、グローバル金融や企業群の配下となり、その下に、日本人がぶら下がる社会と云う構造が、目に見えて判るような時代が来るのだろう。 :仮に、米国や、グローバル資本が健全なまま推移するのであれば、好き嫌いは別にして、それでもいいのだろう。

しかし、米国やグローバル経済の限界は、その兆候を既に表しているわけで、その健全性は保証されていない。 :いやむしろ、中国やインドが覇権を握る可能性の方が、高いと考える方が妥当性があるような時代の流れなのだろう。

いま未だ、米国の方が有利だから、これからもと云う図式を信じるのは既得権益層か愚か者であって、ニュートラルに考えれば、益々、米国の覇権は怪しくなると見るのが妥当だ。

ただ、日本人の多くは、平成と云う時代を通じて、本来から持っていた、利己主義をより鮮明にし、エゴセントリックな国民性が定着している。

平成を、良い時代だったと云う人々の多くは、昭和の高度経済成長期の遺産を食いつぶして息をしていた「平成」と云う時代感覚にまで、考えが至らない知的水準だからだろう。

まぁ、エゴセントリックに考えれば、まだ食いつぶす遺産が残っている間は、良い時代だと感じるのは当然かもしれない。

正直、論理的に、自国に経済や社会が、雪隠詰めになると判っていても、エゴセントリックで、見えるものだけで、ものごとを理解や判断する以上、近い将来であっても、リスク管理を叫ぶことの虚しさを知っているので、語る者は少ない。

“やばい”と云う危機意識はあっても、彼らは、それを口にはしない。

行くところまで、行くしかない。

まるで、太平洋戦争に突入した時と同じ構図なのだ。

おそらく、超貧乏を強いられることになりそうだが、4,50代を含め、なんとか逃げ切れるのではと、それこそエゴセントリックな考えに意識下にある。

最近では筆者も、こりゃ、行くところまで行くしかないな、と思うようになった。その行きつくところが、戦争でないことを祈る気分だ。以下のように、キナ臭さは増すばかりだが。


≪ 安保法3年 自衛変容 新任務次々に
 集団的自衛権の行使を可能にし、自衛隊の役割を拡大した安全保障関連法は29日、施行から3年を迎えた。自衛隊はこの間、安保関連法に基づく「米艦防護」などの新任務を次々と実施してきた。4月には安保関連法の「国際連携平和安全活動」を初めて適用し、イスラエル、エジプト両軍を停戦監視する多国籍軍・監視団(MFO)の司令部に自衛官2人を派遣する方針だ。ただ、役割の拡大は、専守防衛を逸脱する恐れもはらんでいる。【木下訓明】
■「専守」逸脱の恐れも
 「3年間で日米同盟はより強固になり、抑止力は向上した。日本の役割拡大は、米側もしっかりと評価している」。岩屋毅防衛相は29日の記者会見で、安保関連法の意義を強調した。
 政府は、同法に基づく「実績」を積み上げてきた。日本防衛のために監視活動を行う米軍艦艇や航空機を自衛隊が防護する「武器等防護」は、2018年に16件実施。16年のゼロ、17年の2件から急増した。日本に重要な影響を与える事態の際に、地理的制約なく、自衛隊が米軍を後方支援することも可能になり、そのための共同訓練も重ねている。
 自衛隊と米軍の「一体化」は、日本の役割拡大でもある。米国を狙った中距離弾道ミサイルの迎撃もその一つ。ミサイルが発射されれば、同法に基づいて集団的自衛権を行使し、日本政府が秋田市と山口県に配備を目指している陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」と日米共同開発の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」で迎撃することができる。
 有事の際、同法に基づき米軍の後方支援を迫られる可能性もある。ただ、米国の他国に対する武力行使への支援を強めることは、「武力行使の一体化」とみなされかねない。さらに、前線に物資を送る「兵站(へいたん)機能」は、国際的には戦闘行為と一体と見なされており、自衛隊が攻撃対象となる危険性もはらむ。
 一方、政府は昨年12月に閣議決定した中期防衛力整備計画(中期防)で、海自護衛艦「いずも」型の「空母化」改修を盛り込んだ。短距離離陸と垂直着陸が可能な最新鋭戦闘機F35Bの搭載が念頭にある。政府は常時搭載しないとし、政府見解で保有できないとしてきた「攻撃型空母」ではないと説明する。しかし、F35Bを艦上で運用すれば行動範囲は広がる。敵基地攻撃に転用する余地が残り、「専守防衛」の枠をはみ出す恐れがある。また、米軍機を搭載しての「後方支援」を迫られる可能性もある。
 岩屋氏は会見で「新たな任務で(自衛隊に)リスクが増える可能性はある。それを限りなくゼロにするため訓練をしっかりと行う」と強調した。だが、野党は「『いずも空母化』など日本の安全保障の根幹的な原則から逸脱しているような状況が見受けられる。安保関連法制を廃止する準備をしなければならない」(立憲民主党の福山哲郎幹事長)などと反発を強めている。
 ≫(毎日新聞)
 

 

平成はなぜ失敗したのか (「失われた30年」の分析)
野口 悠紀雄
幻冬舎


生活者の平成30年史 データでよむ価値観の変化
博報堂生活総合研究所
日本経済新聞出版社


オールカラー保存版 週刊現代別冊 週刊現代が見た「平成」 (講談社 MOOK)
週刊現代
講談社

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