世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●長生きのリスク コンビニの成長と便利の限界点

2019年04月08日 | 日記

 

コンビニオーナーになってはいけない 便利さの裏側に隠された不都合な真実
コンビニ加盟店ユニオン,北 健一
旬報社

 

外国人労働者をどう受け入れるか―「安い労働力」から「戦力」へ (NHK出版新書 525)
NHK取材班
NHK出版

 

コンビニ外国人 (新潮新書)
芹澤 健介
新潮社


●長生きのリスク コンビニの成長と便利の限界点


我が国のコンビニエンスストアの機能は、単に商品販売に限定されず、銀行ATMの複数機能、ファックス複写機能、公共料金の代行収納や住民票発行などのサービスなど、日常生活において欠かせない存在になっている。

24時間365日運営を大手のセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどは、サービスにしのぎを削っている。

東京の23区においては、自転車で30分も走れば、5~6軒のコンビニを見つけることが可能なくらい飽和状態だ。

それでも、全国的に見れば、出店の余地があるらしく、コンビニ業界の鼻息は荒い。

最近のコンビニの人手不足は、ピークに達しており、その結果、業界とパイプの強い政治案件として、入管法改正が行われたと訝る意見も多々聞こえる。

しかし、24時間開店し続ける営業体制は、ここまで人手不足が過熱化すると、ブラック店や、コンビニオーナーの人権問題にまで波及する可能性を秘めるに至っている。

24時間365日戦略に固執する経営陣と、“見直しやむなし派”の人事抗争にまで発展しているようだが、24時間営業による防犯上の効力や、物流を機動的に運営する肝でもある24時間営業を見直す動きが、本格化するか、いまのところ未定だ。


≪ 5万5979店 コンビニ店舗数 人手不足、「24時間」岐路
 大手コンビニエンスストア7社の2月末時点の国内店舗数は前年同月比1・1%増の5万5979店。3月末時点の店舗数は1988年から昨年(5万7956店)まで30年連続で増えた。「飽和状態」と言われながらも拡大路線を続けるコンビニだが、人口減少に伴う人手不足から、看板の「24時間営業」は岐路に立っている。


 


 日本のコンビニ1号店は、大手スーパーのイトーヨーカ堂が1974年5月、東京都江東区に開業したセブン-イレブン。翌年にローソンが発足、81年に西友ストアー(現西友)からファミリーマートが独立した。この3社で全国の店舗数の9割を占める。
 3社とも70年代後半に24時間営業を始めてから消費者の支持が高まり、出店スピードも上がった。工場で作った弁当を深夜にトラックで運んで店に並べ、朝のピーク時に売るなど、工場や物流、店舗まで「24時間を基本にしたビジネスモデル」(ローソンの竹増貞信社長)を確立。最近は外食産業などで時短営業の動きがあるが、コンビニは原則、24時間営業を貫いている。
 コンビニは食品や日用品の販売だけでなく、公共料金の代行収納や住民票発行などのサービスも提供。深夜の防犯や災害時の物資供給拠点といった社会インフラとしてのニーズもある。不動産関係者は「常時明かりがついて人がいるコンビニには安心・安全のイメージが定着し、街づくりで出店を要請されることが多い」という。

■FC店の負担、重くなる一方
 店舗増がコンビニ本部の収入増に直結するため、本部が積極的に出店を推進してきた構図もある。9割がフランチャイズチェーン(FC)店で、本部から販売ノウハウなどを提供してもらう代わりに加盟店料を支払っている。
 加盟店料は店舗売上高から商品原価を差し引いた粗利益を基に算出する。FC店のもうけは、粗利益から加盟店料を支払った後、さらに人件費や光熱費を引いた額だ。人手不足による人件費高騰でFC店の負担は重くなる一方だが、本部の収入には影響しない。実際、大型投資などをした年を除き、大手3社の業績は店舗数の増加に比例しておおむね右肩上がりだ。

■省力化が課題、無人営業実験
 本部は認知度や配送効率を上げるため、一定地域へ集中出店する戦略を展開している。人手不足が深刻化する中、「客だけでなく店員も奪い合っている」(コンビニオーナーらで作るコンビニ加盟店ユニオン)のが現状で、FC店の苦境に追い打ちをかけている。
 2月には、東大阪市のセブンFC店が深夜のアルバイト不足を理由に24時間営業をやめ、本部と対立。オーナーの過重労働が社会問題化し、セブン-イレブン・ジャパンの社長交代に発展した。次期社長に就く永松文彦副社長は4日の記者会見で、営業時間について「個店に合わせて柔軟に判断したい」と述べ、火消しに躍起だ。
 店員やオーナーの負担軽減は急務で、各社は店舗の省力化に力を入れる。セブンは昨年、顔認証技術を使った無人レジ実験を始め、作業がしやすい設備も導入した。ファミマも顔認証決済や電子値札などを導入した実験店舗を2日に開設、無人経営の実現性を探る。既に約40店で時短営業を認めるローソンは、7月に深夜帯の無人営業実験に踏み切り、10月までに客が会計するセルフレジを全店に導入する。
 今後も大量出店は続くのか。大手3社は「まだ飽和状態ではない」(セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長)との立場で、引き続き新規出店の余地を探る。しかし、駅前など好立地の空きは少なく、24時間営業も転換を迫られている。店舗を増やすことで業績を拡大してきたビジネスモデルが変わるのか注目される。【藤渕志保】
 ≫(毎日新聞)


この毎日のコンビニ24時間営業問題の記事は、人手不足さえ解消するなら、24時間営業する店舗を今まで同様に出店させていこうするコンビニ業界の飽くなき戦場は続くようだ。

しかし、筆者などは、午前1時半くらいから午前4時くらいに、コンビニを利用するのだが、多くの場合レジに人影がない場合が多い。

従業員や経営者が、搬送業務や、パントリーの整理業務に従事しているらしく、「スミマセ~ン!」と声をかければ、奥の方から「は~い!」と声が返ってくる。

まぁ、ここで商品を電子レジに通すとか、顔認証で購入するのも悪くはないだろうが、なにか後ろ髪引かれて店を後にする自分の姿は、どこか侘しい。

しかし、これからの時代は、この程度の人の温かみ、そのようなサービスは贅沢品に分類されるのだろう。

AIと無人操作されたロボットの力を借りないと成り立たない世界が、もう目の前に迫っているようだ。

無人のタクシーを呼んで、ウーバーみたいなロボット白タクが目の前に停まり、“アナタはどこまで行きたいですか?”等と聞かれ、明確な発音に気をつけて、“歌舞伎町まで”などと言うのかと思うと、気が萎える。

そんなことなら、いっそ、山奥に引き籠ろうか。しかし、色々あちこちの持病持ち、病院が遠いのは、それはそれで困る。

結局、そこそこの現代社会、そこそこの技術革新、そこそこの人間関係。そんな時代に戻った方が、人間は幸せかもしれない。

ips細胞で、多くの病が治癒する時代が来ると言われても、その治癒で生き残る世界が、ロボット白タクみたいな時代で生き残るのなら、そこそこで、あの世に行く方が幸福度は高のではないだろうか。

セブン‐イレブンの正体
古川 琢也,金曜日取材班
金曜日

 

コンビニ店長の残酷日記 (小学館新書)
三宮 貞雄
小学館

 

コンビニ人間 (文春文庫)
村田 沙耶香
文藝春秋

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