世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●消費増税凍結、4月解散? 経済失政隠ぺいと野党共闘潰し

2016年02月29日 | 日記
安倍政権とジャーナリズムの覚悟 (岩波ブックレット)
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●消費増税凍結、4月解散? 経済失政隠ぺいと野党共闘潰し

上海G20は、教科書的総論で合意に達したが、日中欧の為替政策に関しては、当面、各国の良識的判断に任せると云う、各論で合意に至らずと云うのが事実のようだ。日銀政府による、為替介入的な経済金融政策の発動は、世界的には噴飯もので、世界金融に携わっている人間で、知らない者は、モグリである。官製株価操作と官製為替操作を実行しているにも関わらず、円高、株安、原油安に日々怯えているのが、東京証券取引所関係者の生の声だ。中国自体は元安を期待していないが、日本は過度に期待する方向性は、露骨に過ぎる。いずれ、どこかの時点で、暴発的に円買いが激化し、110円を切る展開になりそうだ。

 ≪ G20、為替巡りさや当て 資本流出対策では合意  
【上海=石川潤】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の共同声明で通貨安競争の回避を確認する一方、為替政策をめぐって各国のさや当てが繰 り広げられた。ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長は27日、「日本について討議があった。競争的な切り下げにつながるのではないかと多少懸念があった」と複数のメディアに発言。日銀が今月に始めたマイナス金利政策を暗に批判した。
 一方、日銀の黒田東彦総裁は同日の記者会見で「(マイナス金利政策について)異論や意見は全くなかった」といい、両者の主張は食い違う。
 共同声明は「為替相場の過度な変動は経済・金融の安定に悪影響になりうる」と明記。日本は投機的な円買いを抑える効果が期待できるため「大きな進展」(財務省関係者)と歓迎した。
 中国の楼継偉財政相は同日の記者会見で「通貨の切り下げ競争の回避を確認できたのは重要」と強調した。資本流出に苦しむ中国はむしろ人民元安の抑制に躍起になっており、切り下げは国益にはなりにくい。
  一方、今回のG20では新興国からの資本流出を抑えるための指針づくりに合意した。米国の利上げなどで急速な資本流出が起きた場合の通貨防衛策になる。だ が国際通貨基金(IMF)や米国は必要最低限の資本規制にとどめるよう求めるとみられる。規制の線引きをめぐっては曲折がありそうだ。 ≫(日経新聞)


自民党は、ここにきて、「一強他弱」な国会の勢力図に関わらず、杞憂に日夜悩まされ、強迫観念を抱え、国会の一強他弱の専守防衛に奔走している。とても、一強というメディアの横綱相撲を取る積りはないようで、必死こいている観察するのが妥当だろう。政治的に筋の悪い「おおさか維新」を与党連立に加えようとする動きを隠そうともしていない。公明党への揺さぶりも含まれているだろうが、「おおさか維新」がなんぼのものか、国政選挙をすれば、自ずと答えは出るだろう。鈴木宗男を一本釣り、その娘を寝返らせる所業も、強迫観念の表れの一つだ。

≪ 民共合作、レッテル貼り…野党連携巡り与野党幹部が応酬
今夏の参院選で、民主党や共産党など野党が候補者の一本化など選挙協力を進めていることについて、与野党幹部が28日、さや当てを繰り広げた。
 自民党の茂木敏充選挙対策委員長は、岐阜市での講演で「野党統一候補と言うが、実質的には民主党と共産党が組んでやるということ。『民共合作』の革新勢力にこの国をゆだねるのか」と述べ、野党連携を批判した。
 さらに茂木氏は、1968年に旧ソ連の同盟国だった旧チェコスロバキアで起きた民主化運動「プラハの春」を引き合いに、旧ソ連が民主化を武力で弾圧したことに触れ、「我々がこの夏に戦うのは、ひ弱な野党ではない。その裏で着々と勢力を伸ばしている共産党と戦う」と踏み込んだ。
 これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は28日、京都府綾部市で記者団に対し、「冗談じゃない。5党の党首間の合意を読んでみろと言いたい」と反論。選挙協力などの野党連携は、共産のほか、維新の党や社民党、生活の党と山本太郎となかまたちも含むものだと指摘。その上で「事実と異なるレッテル貼りをしようとしていること自体、自民党を焦らせる状況まで持ってくることができたのはよかった」と皮肉を飛ばした。 ≫(朝日新聞デジタル)


まあ、茂木が言うように、「民維の新党」など、自民党は怖くはないだろう。怖いのは、日本共産党の躍進である。志位の度量の見せ方は、小沢一郎伝授なのも、確実な情報として政界に流れている。いまだ、小沢神話は、永田町では有効だと云うことだ。日本共産党の動きは、なんてったって自民党の面々にとって、怖ろしい勢力だ。共産党と云う「冠」は捨てないが、政策は国民主義に徹する。つまり、小沢一郎の「生活の党」そのものなのだ。今夏の参議院選で勝つ負けるじゃないのだ。10年後に、共産党の天下が来ることへの強迫観念なのだ。公明党も、その点で、同じ強迫観念を持つ。

以下は日経新聞の世論調査だが、よく読んでみると判ることだが、出来もしない賃上げのスローガンを書いた労働組合の幟のような政策しか、安倍政権は持ち合わせていないのだから、もう錨を失い、エンジンが停止した見せかけの中国空母のようなもので、太平洋の海原を漂う以外、その先を読むことは出来ない。つまい、現在の「哀しき民主党」以上の悲惨な「無惨すぎる自民党」になる可能性が見えてきているのだ。自己責任の失政に、国際金融世界の混乱が加わるので、現時点でも、経済政策は自己制御不能状態に至っているのだから、国家的に辛い暗い時代が来るだろう。

その事実関係は、多くの識者が、口には出せないが、予見していることだが、識者は、立場主義で、それを公言できていない。それが、現状の事実関係だと認識できる。或る意味で、安倍政権の経済政策のすべてが、負のスパイラルに入っている。「しかし、今さらやめられない」、そう第二次世界大戦に参戦し、アメリカと戦争に突入した前夜に近い。ただ、そのカテゴリーがナショナリズムにおける戦争ではなく、国民の財産を丁半博打に掛けてみる戦争と云うだけのことだ。おそらく、勝者なき経済戦争だが、敗者はまだら模様で、最も色濃く敗戦するのが、我が国である。そう安倍と黒田に生活の安定を奪われると云うことだ。

日経や読売が、アベノミクスは失敗なのでは?と云う論調を打ち出した部分を吟味しておく必要がある。アベノミクスは失敗のようだが、今さら、方向転換は不可だ。国際的非難が噴出しても、世界はマネーの噴出口を求めている。ユーロ圏の金融緩和は限界点にあるので、日銀に円をバラ撒かせるしか、正解金融勢力も打つ手がない。つまり、為替誘導も、財政放漫も見逃すから、兎に角市場を殺さない事が肝要と云うのがIMF、世銀の論調だろう。つまりは、失敗はしているが、途中下車は許さない。それが、国際金融の世界だ。

ということは、安倍や黒田の為替操作や株価操作は見逃すし、財政再建なんて、もともと嘘話なのだから、それも見逃そう。このような、世界金融、特にアメリカの身勝手な言いぐさが、もっけの幸いになる。ただ、今夏までは、景気上向きの嘘はつけない。春闘の結果や、来期の企業業績悪化が表面化してしまう。衆参W選は公明党も嫌がっているし、参議院選後では、悪化の一途で目も当てられない。だったら、夏以前に解散総選挙に打って出るは正論だ。来期、来々期、経済事情は悪化の一途だろうから、解散権を行使できずに総辞職まで見えてくる。

それであれば、と安倍も今井総理秘書官も考える。経済が完璧に崩壊する前に、一勝負。ロシア非公式訪問前に、“北方領土も話題に”くらいの情報を流し、経済の安倍、安保の安倍から外交の安倍を印象づけよう。共産党と小沢の動きが時期を得ている危険がある。早いと、数年で共産支持が増大する危険がある。何とか、おおさか維新の化けの皮が完全に剥がれる前に勝負を決めたい。今井秘書官にしてみれば、通産一家の名誉のためにも、財務省に第二の“ノーパンしゃぶしゃぶ”を味合わせ、霞が関の主導権を握りたい。当然だが、財政出動と消費増税凍結を旗印に、4月5月の解散が見えてくる。


≪ アベノミクス「評価せず」50% 本社世論調査  
日本経済新聞社とテレビ東京による26~28日の世論調査で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を「評価しない」は50%で「評価する」の31%を上 回った。昨年2月以降の同様の質問で「評価しない」が5割に届くのは初めてで「評価する」も最低だった。内閣支持率は47%で1月の前回調査から横ばい。 不支持率は5ポイント上昇し39%だった。
 円高・株安などの影響で、安倍政権の高い支持率の要因といわれた経済運営にも懐疑的な見方が広がっている。
 内閣支持層ではアベノミクスを「評価する」が55%で「評価しない」が23%だった。不支持層では「評価する」が8%にとどまり「評価しない」が85%に達した。
 予算の追加を伴う経済対策が「必要」は47%で「必要ない」の35%を上回った。2017年4月の消費増税に「賛成」は33%で「反対」が58%。日銀のマイナス金利を「評価する」は23%で「評価しない」が53%。
 内閣を支持する理由を複数回答で尋ねると「安定感がある」が35%で最多。支持しない理由は「自民党中心の内閣だから」が45%、「政策が悪い」が40%で続いた。
 自民党の支持率は2ポイント低下の37%。民主党は8%で横ばい。無党派層は39%で1ポイント低下した。
 調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式で電話で実施。有権者のいる1398世帯から1016件の回答を得た。回答率は72.7%。

≪ 経済運営 一層難しく 本社世論調査、「消費増税反対」58%
日本経済新聞社の世論調査で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の評価がこれまでで最も低くなった。急激な円高・株安の進行などが背景にあるとみられ、 追加の財政出動を伴う景気対策や2017年4月の消費増税の中止を求める声が多い。世界経済の不透明感が増すなか、安倍政権は経済成長と財政再建を両にらみしながら難しい経済運営を迫られている。 現在の安倍政権は発足以来「大胆な金融緩和」「機動的な財政出動」「規制緩和などの成長戦略」で脱デフレを目指してきたが、実現に至っていない。
  金融緩和による円安で、大企業を中心に企業業績は過去最高の水準にあるが、地方の中小・零細企業には恩恵が行き届いていない。会社員らが受け取る賃金も物価変動の影響を除いた実質で15年まで4年連続のマイナス。景気回復の実感を感じられない人の中には不満もたまっている。
 年明けから続く株価の乱高下や中国経済の失速、原油安による世界経済への懸念もアベノミクスへの評価に影を落とす。16日に日銀の「マイナス金利政策」が始まったが、円高・株安が続いていたさなかで効果がまだ見えていない。 世論調査では、マイナス金利を「評価しない」が53%にのぼり「評価する」は23%にとどまった。アベノミクスを評価する層でも、マイナス金利を評価するのは42%で、評価しないの39%と拮抗している。
 「新たな予算を追加して経済対策を行う必要がある」は47%に達し「必要でない」の35%を上回った。内閣支持層では58%、不支持層でも40%が「必要だ」と答えた。
 17年4月に消費税率を8%から10%に引き上げることに「賛成だ」が33%と、昨年12月の調査から9ポイント低下。「反対だ」は58%と11ポイント上昇した。
 政府・与党内にも夏の参院選前に新たな経済対策をまとめるべきだという声や、消費増税の先送りが必要との指摘もある。ただ国は1000兆円を超える借金を抱えて財政事情が厳しい。消費増税を先送りすれば社会保障にしわ寄せが及ぶ。
 本来は労働や農業、医療などの規制緩和による成長の基盤整備が欠かせないが、一朝一夕には進まない。国内総生産(GDP)600兆円、出生率1.8、介護離職ゼロを掲げる一億総活躍社会への取り組みも進める中、政権が打ち出す施策に注目が集まる。 ≫(以上2記事は日経新聞)

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●日本メディアは政府とベッドイン 高市の電波停止とキャスター追放

2016年02月28日 | 日記
脱グローバル論 日本の未来のつくりかた
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●日本メディアは政府とベッドイン 高市の電波停止とキャスター追放

出来の悪い女形役者のような高市総務大臣が、媚でも売るような視線を向け、記者の質問に答える様には、身の毛がよだつ。まあ、それは、個人的肌感覚なので、さて置くとして、この問題は、本来、民主主義国家の、いろはに属する問題なのだから、朝日、毎日、東京、しんぶん赤旗、日刊ゲンダイなどは、連載特集を組んでも良いようなテーマである。官邸のドギツイ圧力に屈して、古賀茂明、古館一郎、岸井成格、膳場貴子、国谷裕子と、時の権力の問題点に焦点を当てる番組のキャスター、コメンテータが追放の憂き目に遭っているのだ。これが、日本流の民主主義なのだろうか。

英経済誌エコノミストは「日本のメディアは常に政府と仲良くやってきて、今ではベッドを共にしている」エコノミストクラスに、このような屈辱的評価を受けているのが、日本のメディアだと云うことを、我々日本人は、肝に銘じておくべきだ。「日本のニュースキャスター“トリプル追放”」“クロ現の国谷さんは、菅官房長官に対するインタビューが原因」とまで書かれている。ガーディアン紙も「Japanese TV anchors lose their jobs amid claims of political pressure 」と大見出しで報道している。インディペンデント紙も報じていた。イギリスでは、俺たちの国の方がマシみたいだねと云うツイートが拡散している。

盛田隆二さんのツイッターは、≪この英国「エコノミスト」の “Anchors away” という見出しが秀逸。ニュース・アンカー(錨の意味)に引っかけて、「日本の錨が流される」として、国谷氏・古館氏・岸井氏が安倍政権の報道介入により番組降板となった経緯を伝えている≫そうか、情報の閉鎖空間に強く追い込まれ、錨を失い、太平洋を漂うと云う、象徴的表現だ。海外から見た日本と云う国は、中国・北朝鮮と同一レベルにあると思われているのだろう。権力に歯向かう意味では、韓国のマスメディアの方が感情的だが、社会の木鐸度はある。

昨日のコラムで言及したように、多くの日本人には、政治に文句は言うが、端から、多くを期待しても挫折するだけと云う生活者としても知恵が醸成されているのかもしれない。ゆえに、いざと云う時の蓄えに、自助努力する傾向があるのだろう。先ずは、自らを助ける努力は怠らないことだ。政府が、助けるか助けないか、それは時の運。そんなものを当てにして、生活なんかしていられない。そう云うことだろう。投票率が落ちたままと云う現象も、そういう側面を暗示している。つまり、歴史の中で、国民が、望んだような方向に動いてくれた時代が少なかったとも言える。

おそらく、その通りだと思うが、そのような無関心やニヒルな態度が許されるのも、政治家や政党に、戦前の反省と云う共通認識があったればこそである。しかし、今目の前にある安倍政権は、その共通認識を、自虐的歴史観だと否定する人々が群れて出来上がっている政権なので、政府を信用していないからレベルだと、彼らは、国民が「自助」の為に貯めている金まで奪おうと試みる。NISA,ジュニアNISAなどは、典型的。孫への教育資金を贈与1,500万円まで非課税なども、その一環だと言える。

現安倍政権の奴らや、それに利益損得で唯々諾々と、国有不動産の払い下げなどで、不動産業を営み、再販制度を適用して貰い、軽減税率を適用して貰い、安い電波を使わせて貰い、記者クラブ制度で、オフィスの提供と情報の提供を受けて成り立っているメディアなのだから、御用メディアになる体質が、そもそもある。その上、脅されたとなると。こんなものだろう。しかし、この現象こそが、戦争への一里塚になる可能性も大いにある。


≪ (池上彰の新聞ななめ読み)高市氏の電波停止発言 権力は油断も隙もない  「総務省から停波命令が出ないように気をつけないとね」
 テレビの現場では、こんな自虐的な言い方をする人が出てきました。
 「なんだか上から無言のプレッシャーがかかってくるんですよね」
 こういう言い方をする放送局の人もいます。
 高市早苗総務相の発言は、見事に効力を発揮しているようです。国が放送局に電波停止を命じることができる。まるで中国政府がやるようなことを平然と言ってのける大臣がいる。驚くべきことです。欧米の民主主義国なら、政権がひっくり返ってしまいかねない発言です。
 高市発言が最初に出たのは2月8日の衆議院予算委員会。これをいち早く大きく報じたのは朝日新聞でした。9日付朝刊の1面左肩に3段と、目立つ扱いです。この日の他の新聞朝刊は取り上げなかったり、それほど大きな扱いではなかったりで、朝日の好判断でしょう。この後、各紙も次第に高市発言に注目するようになります。
 朝日は1面で発言を報じた上で、4面の「焦点採録」で、具体的な答弁の内容を記載しています。読んでみましょう。
 〈政治的な問題を扱う放送番組の編集にあたっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく番組全体としてバランスのとれたものであることと解釈してきた。その適合性は、一つの番組ではなく放送事業者の番組全体をみて判断する〉   
   *
 「特定の政治的見解に偏ることなく」「バランスのとれたもの」ということを判断するのは、誰か。総務相が判断するのです。総務相は政治家ですから、特定の政治的見解や信念を持っています。その人から見て「偏っている」と判断されたものは、本当に偏ったものなのか。疑義が出ます。
 しかも、電波停止の根拠になるのは放送法第4条。ここには、放送事業者に対して、「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」など4項目を守ることを求めています。
 ところが、その直前の第3条には、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と規定されています。つまり放送法は、権力からの干渉を排し、放送局の自由な活動を保障したものであり、第4条は、その際の努力目標を示したものに過ぎないというのが学界の定説です。
 番組編集の基本方針を定めた第4条を、権力が放送局に対して命令する根拠として使う。まことに権力とは油断も隙もないものです。だからこそ、放送法が作られたのに。   
   *
 安倍内閣としては、歴代の総務相も発言してきたことだと説明していますが、その点に関して朝日は10日付朝刊で、2007年の福田政権(自民党政権です)での増田寛也総務相の国会答弁を紹介しています。この中で増田総務相は電波停止命令について、「適用が可能だとは思う。ただ、行政処分は大変重たいので、国民生活に必要な情報の提供が行われなくなったり、表現の自由を制約したりする側面もあることから、極めて大きな社会的影響をもたらす。したがって、そうした点も慎重に判断してしかるべきだと考えている」と述べています。
 権力の行使は抑制的でなければならない。現行法制の下での妥当な判断でしょう。
 しかし、政権が変わると、こういう方針が守られなくなってしまうということを、今回の高市発言は示しています。
 想像してみてください。今後、政権交代が行われ、反自民の政権が登場し、公正な報道をしようとしている放送局に対し、電波停止をちらつかせることになったら、どうするのか。自民党にとって、極めて憂慮すべき事態だとは思いませんか。そういうことが起きないようにするためにも、権力の行使には歯止めが必要なのです。
 こうした事態は、放送局の監督権限を総務省が持っているから。この際、アメリカの連邦通信委員会(FCC)のような独立した委員会が、国民の代表として監督するような仕組みが必要かも知れません。 ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 安倍政権に屈したテレビ局 ~ジャーナリズムはこのまま死に絶えるのか?
一線を越えた高市発言
高市早苗総務大臣の電波停止発言が話題になっている。 放送番組の政治的公平性などを定めた放送法4条は、単なる倫理規範、すなわち、各社が自らを律するための努力目標に過ぎない。これに対し、自民党 は、この条項がテレビ局に対して法的な義務を課す規範だとして、最終的にはこれを根拠に政府が電波を止めることもできるという解釈をしてきた。
 ただし、あまり露骨に言うと反発を受けるので、静かに裏で脅しに使うというのがこれまでのやり方だった。高市発言は、電波停止という「死刑」宣告もあるぞと声高に宣言したという意味でこれまでのラインを踏み越えるものだ。
 そもそも、政治家である総務相が「政治的公平性」を判断するということ自体が、完全な論理矛盾だ。先進国では、テレビ局の管理は、政府から独立した 委員会などが行うのが常識。政府が直接番組内容に介入すると言ったら、すぐに憲法違反と言われるだろう。もちろん、テレビ局は、こうした動きには、命懸けで反対して行く。
 しかし、日本のテレビ局は、個別のニュースでこの問題を取り上げても、せいぜい、コメンテーターが異を唱え、メインキャスターが相槌を打つ程度。社としてどう考えるかについてはまったく発信しない。抗議するどころか、質問さえされたくないというのが本音だろう。
 何しろ、日本のテレビ局の会長たちは、喜んで安倍晋三総理と会食し、携帯の番号を交換して、電話がかかってくるのを見せびらかして喜ぶような連中で ある。しかも、日本では、会社の経営陣が、平気で報道の現場に介入する。報道局長が、会長の意向に従って、政権批判をするコメンテーターをクビにしたり、 スポンサー批判のニュースを抑えたりというのが日常茶飯事なのだ。
 そんな会社では、政権を怒らせるような報道をしようとすると、それを潰されるだけでなく、自分が飛ばされて、記事を書くことさえままならなくなる。だから、現場の記者たちは、政権批判に及び腰になる。
 そもそもテレビ局に入った記者たちの多くは、権力を監視しようという意識さえ持っていない。先輩記者に対して、どうして政権批判をするのか、と批判する人さえいるそうだ。
 つまり、上から下まで、ジャーナリストとしての最低限の職業倫理を持ち合わせていないのである。そうした土壌を利用して、安倍政権は、ほぼ完全にテレビ局を制圧した。
 2月12日に政府が発表した統一見解では、放送法4条が定める番組の政治的公平性の判断の際に、一つの番組だけで判断するのではなく、番組全体で判断するということを強調した。
 しかし、そんなことは本質的な問題ではない。むしろ、この見解は、同条を根拠にして政府が番組内容を統制できるという政府自民党の伝統的考え方をあらためて確認しただけのものだ。
 テレビ局は、もちろん正式に抗議したりしないだろう。それ自体が、いかに日本のテレビ局が政府に従属しているかを示している。野党民主党も政権時代にこの問題を放置し、自らもテレビ局に圧力をかけていた。
 日本に真の民主主義が根付くのは無理なのだろうか。
 ≫(現代ビジネス:古賀茂明「日本再生に挑む」・『週刊現代』より)

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●トランプと安倍瓜二つ 日本のサンダースは出てくるのだろうか?

2016年02月27日 | 日記
下中彌三郎: アジア主義から世界連邦運動へ
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●トランプと安倍瓜二つ 日本のサンダースは出てくるのだろうか?

時折、面白いことを発言する天木直人氏だが、以下の一口コラム“なぜ日本にサンダース現象が起こらないのか”について。天木氏は、日米の経済的な国家の基盤の違いを見逃しているので、少しお時間をいただこう。

≪ なぜ日本にサンダース現象が起こらないのか  天木直人 70歳半ばの老政治家が、「これは革命だ」と叫んで大統領選挙に挑む。
 その光景を見るたびに、私は興奮と感動を禁じ得ない。
 なぜ日本にサンダースは現れないのか。
 こう問いかけるものは多いに違いない。
 しかし、その理由を喝破する者にお目にかかった事はない。
 なぜ現れないのか。
 それは日本にそのような人物が見当たらないからだ。
 しかし本当の理由はそこにはない。
 日米の若者の政治行動が違うからだ。
 サンダース現象は、もちろんサンダースという政治家があってこそだ。
 しかしそのサンダースをサンダース現象に高めたのは、そのサンダースを大統領にしようする米国の若者たちの熱い政治行動があってからこそなのだ。
 ひるがえって日本の若者がどうか。
 デモで叫ぶ。
 野党共闘を呼び掛ける。
 しかし、みずから政治を動かそうとする気迫と行動は伝わらない。
 もし本気で彼らが今の安倍政権を倒したいのなら、みずから政党をつくり、あるいはサンダースのような人物を担ぎ出し、今度の参院選に独自に参加しなくてはいけない。
 既存の政党や政治家に働きかけて共闘を呼び掛けたり、統一候補を立ててみたところで、国民の心を揺さぶるサンダース現象は決して起こらない。
 新党憲法9条構想はまさしくそのような場を彼らに提供するものなのだ。
 そのメッセージを送っているのに、知ってか知らずか、まるで反応はない。
 彼らの協力がなくても、私はサンダース現象を起こすつもりだ。
 米国のサンダースとそれを支持する若者の姿を見て、私は思いは高まるばかりである(了)
 ≫(天木直人の公式ブログより)


“なぜ日本にサンダース現象が起こらないのか”、それは、簡単に言えば、国が違うからだ。一つには、歴史的長さが異なる。移民国家と、準単一民族国家の違いがある。建国の成り立ちのあるアメリカと、建国の起源さえ曖昧なのが日本。両国とも、貧富の差は1%対99%に向かっている。無論、この対比は、センセーショナルな表現であって、アメリカでも富裕層:中間層:貧困層の比率は、20:40:40程度である。日本は、まだ10:50:40くらいが現状だろう。

勿論、アメリカも日本も、中間層の比率は、年々減少傾向にあり、1:99がアメリカで現実になる可能性は大いにある。日本でも、此のままなら、アメリカ並みとは言わないが、50%が貧困層になる可能性は見えている。問題は、家族全体が持っている資産や収入が、子供や孫世代に、どのように配分されるかと云う社会の仕組みの問題も含まれる。アメリカの場合、親子における金銭的感覚は、日本に比べて、個人主義を尊重する傾向がある。つまり、良くも悪くも、個人の尊厳と独立だ。だらからだろう、多くのアメリカの大学生や大学を出たサラリーマンが、奨学金で頭を抱えているわけだ。

日本にも、そう云うケースはあるだろうが、アメリカほどの学費(年間700万)ではないので、奨学金負担は軽い。時には、その奨学金支払いを、親が代行するケースも多々ある。また、家族単位の意識が強い日本では、3代に亘って、資産の継承が起きるので、祖父母世代、親世代、孫世代の順で、資産形成の苦労度が軽減されてゆく。つまり、一人前になるには、結婚する、子供を持つ、家を持つと云う、戦後一貫してあった、大人への登竜門の垣根が、跨ぐ程度の低さに変った。家を買わなくて済む人生設計は、頑張るのも程々になるのは当然なのだ。

ゆえに、アメリカのおける若者層の貧困は切実だが、日本における若者層の貧困には、まだ、切実さが足りないということだ。筆者は、何も、若者にもっと試練を、等とユダヤ人のような事は言わない(笑)。ただ、個人主義のアメリカ人の財布と、家族主義的日本人の財布には、自ずと性質の違うお札が入っていると云うことだ。現に入っていなくても、いずれ受け取れる見積もれる資産が見えている。この違いは大きい。ゆえに、リアリティーがなくても、理念でデモが行える。アメリカの若者は、リアリティーの中にいるので、バーニー・サンダース現象が現れる。

また、年々、移民を受け入れることで、アメリカは経済成長の原動力をゲットしているが、その移民たちは、概ね無産者階級からの船出だ。移民を受け入れていない日本は、突然無産者階級が何十万人も増えないのだから、原動力もない代わりに、平均値を落とす員数が増えることもない。また、アメリカの最近の調査では、預金のある層は概ね50%で、その平均的貯金のモデルケースは家や資産を別にして、20万円程度だ。ただし、これとは別に、クレジットの支払いが待っている。日本人の場合は、貯蓄に対して、無目的な傾向があるが、一人当り、500万円はあるようだ。

俺のところは、そんなに無いと叫んでも、調査結果だから仕方がない。ピンキリをカットした上で、モデル家庭を調査した結果、夫婦で1100万円程度の貯蓄がある。おそらく、この貯蓄は、いずれは目減りしても子のものになり、いずれは孫のものになる。家にも同じことが言える。買い替えるにしても、頭金程度の足しにはなる。この日本人の周到さは、貯金に執着のない韓国人なんかも吃驚している。アメリカ人も韓国人も、宵越しの金は持たないか、そもそも持っていないかのどちらかだ。

それに比べると、日本人が如何に国家を信用していないかが良く判る。自助共助と強制される前から、自助だったのだ。転ばぬ先の杖、蟻とキリギリス。日本民族はいつなんどき時と云う危機意識は、無いようである。長い歴史の中で、身につけた民族の生きる知恵だろう。ナケナシノ収入からでも、貯蓄したくなるのが日本人。どうも、本質的に、日本人は国を信用していない。だから政治への関心も低くなる。安倍が首相でも、志位が首相でも、自分の生活への影響は軽微と考えている狡猾さも備えている可能性がある。ただ、気分的(空気)に、自民をやっつけろ!野党なんて野合だ!と口パクしているのが平和な国日本なのだと考える。日本にもサンダース現象は起こり得るが、10年以上先になりそうだ。

悪という希望――「生そのもの」のための政治社会学
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●安倍、いつまで“生き恥”晒すのか 麻生の腹積もりは?

2016年02月26日 | 日記
日本断層論―社会の矛盾を生きるために (NHK出版新書 347)
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NHK出版


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●安倍、いつまで“生き恥”晒すのか 麻生の腹積もりは?

安倍政権応援メディア・読売新聞の世論調査でさえ、アベノミクスの評価が低いことを認めたようだ。もっとも、安倍首相本人は、昨日も海外投資家の会合で、「アベノミクス失敗批判は根拠なし。今こそ投資を」と力強く、時代遅れの自説を展開していた。以下は、読売の世論調査のさわり記事だ。

≪ アベノミクス「評価せず」57%…読売世論調査
読売新聞社は、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。 この3年余りの経済政策を「評価しない」は57%で、「評価する」の42%を上回った。評価しない理由(複数回答)のトップは「収入が増えない」の60%で、評価する理由(同)は「大企業を中心に業績が改善した」の44%がトップだった。
 今後、景気回復を「期待できる」と答えた人は34%、「期待できない」は65%だった。景気回復を「実感していない」は84%に達した。
 アベノミクスへの厳しい評価が多数となったのは、企業の業績改善の効果が家計に及んでいないことや、年明けからの株価の乱高下で日本経済の先行きに懸念が広がったことが影響したとみられる。
 ≫(読売新聞)


この調査で、判ったことは、アベノミクスを評価する層44%の、評価理由は「大企業を中心に業績が改善した」だったそうである。まさに、木を見て森が見えない、“NHK愛”な情報弱者なのは明白だ。21世紀のシーラカンスとでも言える人々なのだろう。おそらく、20世紀の護送船団型の経済成長の幻影の影響を受けたまま、思考停止した人々なのだろう。しかし、批判ばかりもしてはいられない。いまだも「津々浦々言説」を今か今かと待っている姿は、哀愁さえ漂う。しかし、彼らの方が、投票率は高いだろうから、無知蒙昧であるが強敵である。

麻生副総理兼財務大臣が、安倍の富ヶ谷の私邸で、1時間余り密談したようだ。「G20」出席に際しての打ち合わせが主だろうが、現状の我が国の経済情勢も話題には上っただろう。しかし、財務省が見ている経済の現状を、麻生は、正確には伝えなかったのだと思う。経産省出身の今井首相政策秘書官が安倍首相に伝えているアベノミクスの行方と同じ見解を、延べ伝えたに違いない。

未だに、一強の積りでいる安倍晋三に不快な思いをさせる必要はない。安倍が経済政策でコケル可能性は高い。安倍からの禅譲で、自分が首相になる目も残っている。中継ぎでも良いから、安倍同様に再登板の野心がある以上、禅譲の道も残しておきたい。禅譲が適わずとも、アベノミクスの更なる失敗は、総裁選で有利に働く。泥船が溶けるまでオトモダチデいるのが賢明だ。安倍官邸の失敗は、今井首相政策秘書官大罪にすればいい。今井首相政策秘書官は以下のような人物。


 ≪ 首相政策秘書官 今井尚哉 -安倍政権を裏で支える「官界の超サラブレッド」
首相政策秘書官 今井尚哉(いまい・たかや) 1982年、通産省(現経済産業省)入省。今井敬元経団連会長と今井善衛元通産事務次官の2人を叔父にもつ。

もともと経済産業省の一役人が今では、安倍首相の側近中の側近。官僚ブレーンとして政治を動かす。政局対応、官邸広報、国会運営、あらゆる分野の戦略を総理の耳元で囁く。決断するのは総理だが、その影響力は計り知れない。

まず、安倍前政権で事務秘書官として官邸に派遣された。元経団連会長と元通産事務次官を叔父にもつ血筋の良さが、世襲政治家である安倍氏を引きつけたのか、すっかり意気投合するが、政権は1年で崩壊。理由の一つは稚拙なメディア戦略。安倍氏は「お友達記者」だけに情報を流す。これを快く思わない多く のメディアが反安倍となって支持率を急落させた。

深く反省した今井氏だが、「再起のチャンスはある」と見た。失脚後も足繁く情報を運び、食事をし、ともに登山して体調の回復を見守った。 政権復帰後、今井氏は政務秘書官に抜擢された。影の大番頭だ。

かつて反安倍だった古手の記者を無視する陰険さも見せるが、今の担当記者たちには、満遍なく小ネタを与える。マスコミの幹部には総理との食事をセッ ティングし、プライドをくすぐる。効果あってか、反安倍だった社もすっかりおとなしい。一方、首相は休息も十分取り、ゴルフもする。広島土砂災害では一時 帰京し、危機管理をアピールする。これらはほとんど今井氏の筋書き通り。

今井主導を安倍主導に見せる腕前は天下一品だ。失敗から学ぶ知恵も素晴らしい。特に民主党議員たちよ、お手本とするがよい。 ≫(President Online)


経産省と云う役所の人間たちは、「経済成長命」で仕事をしているようだ。まあ、昔で言うところの通産省なのだから、時代が変わっても、体質は、ちょっとやそっとでは、変えようがないのだろう。役所の先人たちが築き上げた護送船団方式の大企業輸出製造業優遇の権益は、通産省が産みの親だ。そのお陰で、天下りを中心にした既得権組織を自分たちの代で崩壊させることは出来ない。まして、今井敬元経団連会長の甥となれば、個人的にも経団連優遇政権でなければならないわけで、どれ程、頓珍漢な政策をしているかどうか、問題ではないのだろう。

下々の国民が、塗炭の苦しみ遭うことで、良心が痛むわけもない。野田のバカを操った勝栄二郎にしても、8%の消費増税で、日本経済の内需が徹底的に痛んだことなど忘れている。今では、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の社長となり、官公庁や大企業のIT環境事業でうまい汁を吸っている。今井にしても、勝にしても、役所の論理には沿っているのだろうが、グローバル経済にドップリ浸かった日本の国益とは異なる方向で汗を掻き、合法的な私利私欲に耽っているのは事実だろう。勝栄二郎に関して、懐かしい糾弾コラムが目に入ったので、以下に参考掲載する。“口車に乗るバカ、乗せる馬鹿”乗った野田は過去の阿呆、乗せた勝はスルリと身をかわす。

GPIFが年金積立金を10兆円パーにした穴埋めは、支給年金へしわ寄せと云う流れなのだろう。同一労働同一賃金は幟だけ用意され、実現する筈もない。それでいて、非正規パート従業員から年金を徴収しようと流れになってきた。なるほど、一億総活躍社会の実現と云うのは、こういうことだったのだ。モノは言いようと云うけれど、棄民政策も程々にしたらいいと思うのだが、安倍政権、いつまで生き恥晒すのか、官僚も政治家も自己権益の亡者なんだね。生かさず殺さずならまだ良いが、この調子だと日本から難民が排出するのではないだろうか(笑)。少なくとも、下流老人を醸成しているのだけはたしかだ。

 ≪ 年金抑制強化、18年度から 政府、今国会に法案提出
政府が今国会に提出する年金制度改革関連法案の全容が25日、分かった。将来世代が受け取る年金水準を確保するため、高齢者への給付を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みを2018年度から強化。パート従業員らの厚生年金加入を拡大し、16年10月から、労使の合意があれば従業員500人以下の企業でも可能にする。  年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)への合議制導入など、組織改革は17年秋に実施。自民、公明両党の党内手続きを経て、3月上旬にも閣議決定する。  高齢者への年金給付は物価や賃金の変動に合わせて毎年度改定される。 ≫(東京新聞・共同)

「文系学部廃止」の衝撃 (集英社新書)
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●日本の情報孤児化の加速 既得圏溶解とマスメディア閉鎖空間

2016年02月25日 | 日記
法服の王国――小説裁判官(上) (岩波現代文庫)
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●日本の情報孤児化の加速 既得圏溶解とマスメディア閉鎖空間

今夜は、以下のピケティ氏のコラムを読みながら、20世紀の世界のシステムが軋みを高らかに鳴らしている現実に、我が国も呑み込まれているのに、そのことを充分に知らせない日本の言論空間を眺めてみた。チョイの間に書く筆者のコラムなので、多くを望まれても、応えようはない。瞬間コラムだと、自認しているので、どんなにアンチなご意見でも、コメントなどは、異常なものを除いて、公開を旨とする。ただし、出来得れば、論理的反論は、反論に値する当該コラムなど提示して貰えると、より参考になるのだが、そう云う御仁は稀で、匿名的だ。

政局がらみの話も、無能で無教養な閣僚らの醜聞や揚げ足取りに明け暮れている人々も多いようだが、筆者は、極端に、そう云う方向に向かわないように自制している。ひたすら、第三者的に、自分の直感を頼りに、一時間の時間制限で、書きなぐる(笑)。誤字脱字は当たり前、時には論理矛盾も平気の平左だ。単に、その日の、その瞬間の、自分の感性を頼りに書いているだけだ。それでも、日本やアメリカのメディよりも、依怙贔屓はしていないと自負している。まあ、相当に斜に構えたコラムが多いのも確かだが、こういう書き手がいても良いだろうと考えている。360度を一気に見渡すのも悪いことではない。

日本に居て、世界の情報に触れようとすれば、厭でも、記者クラブがアメリカメディアや外務など官庁から発信された情報を垂れ流すか、アメリカンデモクラシー、アメリカ金融世界に寄り添う情報の羅列になるのは間違いがない。そして、日本人の多くも、幾ばくかのマネーによって、洗脳された戦後から抜け出せていない。チョッと努力すれば出来ることなのだが……。しかし、世界は、ダイナミックに変りつつある。目の前に、事実が提示されても、見たくないものは見ない。これでは、自ら「言論の自由」とか、「報道の自由」とか、「思想信条の自由」を主張する前に、自ら自縛状態に追い込んでいるように思えてならない。いま、自由に考えている事が、既に自縛状態だと気づく人は少ない。ピケティのコラムを読みながら、少し考えみよう。

 ≪(ピケティコラム@ルモンド)米大統領選 サンダース氏は新時代を開くか
米国大統領選の候補者指名争いで、「社会主義者」バーニー・サンダース氏が信じられないほどの成功を収めている。私たちはどう解釈するべきなのだろうか。

 バーモント州選出の上院議員サンダース氏は、いまや50歳以下の民主党支持層ではヒラリー・クリントン氏をリードしている。それでも、彼女が全体で優勢を保てるのは、ひとえに50歳以上の支持層のおかげだ。「クリントン・マシン」と呼ばれる支持者や保守的な主要メディアに、サンダース氏の勝利は阻まれてしまうかもしれない。だが近い将来、彼のような、でももっと若く、白人でもない候補者が大統領選で勝ち、国の「顔」をすっかり変えてしまう可能性があることが証明された。

 1980年の大統領選でのロナルド・レーガン氏(元大統領)の勝利で始まった政治イデオロギーが、様々な局面で終わりを迎えている。私たちはその終焉(しゅうえん)に立ち会っているのだ。  

    *

 時間をさかのぼろう。30~70年代、米国は不平等の是正のため、野心的な政策を進めた。当時、旧大陸(欧州)は「超」のつく不平等がはびこり、米国の民主的精神とは相反するものとみなされていた。米国は二の舞いにならないため、両世界大戦間に高い累進性を兼ね備えた所得税と相続税とを生みだし、欧州では適用されたことがない水準の税率を課した。

 実際、30~80年までの半世紀に、米国で年収100万ドルを超える層に課された最高税率は平均82%だった。40~60年代、ルーズベルトからケネディ大統領までの時代は91%に達し、レーガン氏の大統領選があった80年時点でも70%を維持していた。

 米国で、この政策が戦後の経済成長の勢いをそぐことは一切なかった。相続税にも高い累進税率が課され、その税率は何十年もの間、巨額の財産に対しては約70~80%だった。

 一方、ドイツやフランスで最高税率が30~40%を超えたことはほとんどない。米国は欧州と異なり、戦争や破壊を経ずに相続税で財産の集中を軽減したのだ。

 また米国は、欧州各国よりずっと早く、30年代にはすでに最低賃金を 定めている。2016年現在のドルに換算すると、その額は60年代末に時給10ドルを超え、当時、群を抜いた水準だった。しかも、高い生産性と教育体制のおかげで、失業はほとんど生まれなかった。民主的とは言い難かった南部でまだ合法的に続いていた人種差別に終止符を打ち、新しい社会政策を打ち出したのもこの時期だ。

 一方で、この一連の政策は大きな反発を生んだ。白人有権者のうち少数の反動的な人たちと、金融エリートの間では特にそうだった。ベトナム戦争で面目を失った70年代の米国にとって、ドイツと日本を筆頭に敗戦国が急速に追いついてきたことも懸念材料となった。石油危機とインフレーションにも悩まされた。レーガン氏はこうしたあらゆる不満の波に乗り、当時すでに神話と化していた原初の資本主義を復活させる綱領をかかげて当選した。

 クライマックスは86年の税制改革だ。高い累進税率を課してきた半世紀に幕を下ろし、最高税率を28%まで引き下げた。その後、クリントン時代やオバマ時代でも、民主党政権は本当の意味でこの決定を見直さず、最高税率は40%あたりにとどめた。ちなみにこの数字は、30~80年の平均税率の半分だ。当然、格差は爆発的に拡大し、超高額給与が生まれることになった。しかも経済成長は低調で、大多数の人たちの所得は停滞した。

 レーガン氏はまた、最低賃金の水準を上げないことも決めた。80年代以降、最低賃金はゆっくりと、しかし確実に、インフレによって目減りした。69年は時給11ドル近かったが、2016年は7ドル程度だ。この点においても、民主党への政権交代は、レーガン氏が導入した新しい政治イデオロギーを根本的に変えることはなかった。   

   *

 現在のサンダース氏の成功から分かるのは、米国のかなりの数の人たちが、不平等の増大と見せかけの政権交代とにうんざりし、革新的な政策で平等を目指す米国の伝統と和解しようとしているということだ。クリントン氏は、08年の大統領選の候補者争いでは、特に健康保険制度についてオバマ大統領よりも左翼的な政策を掲げて戦ったが、今日ではレーガン=クリントン=オバマの政治体制を継承する、現状維持派に見えるのだ。

 サンダース氏は、高い累進性を持つ税と時給15ドルという高い最低賃金を復活させると提案している。さらに、国民皆保険と公立大学の無償化も唱えている。現在、教育を受ける権利には極端な不平等が生じているからだ。この現実と、「能力主義」という現体制の勝ち組が使う論法との間には、明らかに大きな亀裂が走っている。

 一方の共和党は、極端なナショナリズム、反移民、反イスラム教の論調に傾斜し、際限なく白人富裕層を賛美している。  レーガン氏とブッシュ氏に任命された判事たちが、政治献金の影響力を制限する法的規制をすべて取り払ってしまったため、特にサンダース氏のような候補が大統領選で戦うのは難しい。だが、新しい動員のスタイルと参加型の資金調達によって勝利することで、政治を新しい時代へと向かわせるかもしれない。  私たちはいま、歴史の終わりにまつわる陰鬱(いんうつ)な予言とは、かけ離れたところにいるのだ。
(〈C〉Le Monde,2016)  
(仏ルモンド紙、2016年2月14日付、抄訳)   
   ◇  
Thomas Piketty 1971年生まれ。パリ経済学校教授。「21世紀の資本」が世界的ベストセラーに  ≫(朝日新聞デジタル)


このコラムで言及しているように、アメリカの最高裁判事と云うのは、歴史や論理的由来は判らないが、終身職なのである。最高裁判事に任命されたら最後、アルツハイマーの疑いが出てきても辞めさせられない制度のようである。詳しいことは寡聞にして知らないが、本人が死去または自ら引退するまでその地位を保証され、弾劾裁判以外の理由では解任されることはない。しかし、現在までに弾劾によって解任された判事はいないらしいので、健康的な人物が多かったのかもしれない(笑)。合衆国最高裁の判事は9名で構成され、概ね、5:4で共和党的判決が出ることが多かった。なにせ、レーガン時代に任命されたコテコテの共和党支持判事、アントニン・スカリア氏が君臨していた為(30年間)、二進も三進もいかない、法廷の空白を生んでいた。そのスカリ氏が死去した。朝日は以下のように報じている。

 ≪ 米最高裁判事スカリア氏死去 大統領選控え後任が論点に  
米連邦最高裁判事のアントニン・スカリア氏が13日、滞在先のテキサス州で死去しているのが見つかった。79歳だった。AP通信などが伝えた。 スカリア氏はレーガン元大統領に指名されて1986年に就任して以来、最高裁判事を務めてきた。保守派を代表する論客で、個人が自己防衛のために銃を所持する権利を認めた訴訟や、企業の政治献金の上限撤廃につながった訴訟などで、多数意見に加わった。一方、オバマ大統領による医療保険改革の合法性を認めた訴訟や、全米で同性婚の権利が認められた訴訟では反対意見を述べた。
 9人の判事から構成される最高裁は現在、保守派とリベラル派に分かれており、重要訴訟が5対4で決着することが多い。オバマ大統領がスカリア氏の後任を指名した場合、最高裁の今後の方向性にも大きく影響する。一方、指名には共和党が多数を占める上院の承認が必要で、議論が起きるのは必至。秋の大統領選に向けても、後任選びが大きな論点となりそうだ。 ≫(朝日新聞デジタル)

レーガン政権以来、最高裁の判事に君臨したスカリア氏のウォール街シンパ判事が決断した企業献金の青天井を容認したスーパーPACが記憶に新しい。金権政治を、自ら、「自由」と云う錦の御旗で、ウォール街の応援団のような裁判所になった。Wikipediaでは、
 ≪アメリカにおいて企業、団体、組合などが政党や政治家に 直接献金を行うことは禁止されている。そのために通常は政治活動委員会(PAC)という政治資金団体を設立して個人(企業の役員や大口個人株主)から資金 を集めそれを献金するという経路をとっていた。全国規模の政治団体への個人献金は年間1人5000ドルに制限されているために献金額の合計も抑えられることになる。ところが2010年の市民連合対連邦選挙委員会裁判における最高裁判決やSpeechnow.org対連邦選挙委員会裁判の連邦巡回区控訴裁判所判決で、言論の自由を認める権利章典第一条の観点から、支持する候補者や政党と直接協力関係にない政治活動であれば献金額に限度を設けてはならないとの命令がくだされた。 このような候補者から独立した政治団体は、企業献金や個人献金を 大量に集め影響力が大きくなるにつれ、特別政治活動委員会(スーパーPAC)と呼ばれるようになった。スーパーPACは無制限に資金を集めることが許され ており、テレビのCMなどを利用して様々なキャンペーンを行なっている。特徴的なのは、支持候補に対する支援ではなく対立候補へのネガティブ・キャンペーンが多いことである。スーパーPACへの献金者は公表が義務付けられているが、多くの団体は法的な技術を用いて選挙後まで公表を引き延ばしている。≫
と解説されている。


アメリカと云う国の、これもWスタンダードなのだろうが、安倍晋三以上に、強弁な国だ。詭弁も勿論上手だ。まあ、ピケティ氏は、そう云うことには言及せず、「歴史のパラダイム・シフト」を示唆し、バーニー・サンダース現象が生まれたこと自体だけでも、歴史的勝利と云う言葉を使っている。しかし、一方で、トランプ氏がレーガン以上の狂気の3連勝で、共和党大統領候補に有力になってきているだけに、ことは複雑だ。水野和夫氏的表現は使えば「世界に起きた、3回の歴史の危機」の流れでいくと、現在米国や世界でで起きつつある、極端な右寄りと左寄りの二分化が、歴史に何をもたらそうとしているのか、実に興味深い。唯一、トランプ氏を評価するなら、反自由貿易論、反金融資本主義。反ウォール街な点だ。

オバマ大統領は、最高裁の右派御用達判事の死去を受けて、「銃規制法」を米大統領最後の仕事にしようと試みているようだが、最高裁判事の任命は、大統領権限だが、議会(上院)の承認が必要になるので、思ったほど自由に指名できる状況ではないようだ。ピケティ氏のコラムに戻るが、金融市場主義者、市場原理主義者の妄言に従って、いまだに、アベノミクスの敗北を認めない、安倍首相と日銀黒田は、日本人の棄民を目的に誕生した政権であり日銀のようだ。まあ、それもこれも、守銭奴主義的生活感を国民を醸成して来た、明治維新後の、戦後の中央集権官僚制と、護送船団経済政策、護送船団的言論空間の醸成と云うところに、行き着くようだ。

そのような流れはもう駄目です、と世界中な軋んでいる時に、日本のマスメディアは、その棄民政治の総本山に揉み手をしながら、寿司を食べさせて貰っているのだから、反吐を吐きたくなる。しかし、世の中捨てたものではない情報も幾つか読むことが出来る。少なくとも、既得権益集団に軋みはわずかだが聞こえてきている。アメリカ正義に疑問符をつけるような事実関係、日本のメディアが伝える世界情勢とは異なる情報など、満載だ。以下に、気がついた見出しだけ、ずらりと羅列しておこう。事実関係は、URLを貼っておくので、興味のある範囲で、皆様にお任せします。

PS:明日の東京株式市場は円110台で風雲急を告げるのかな?(笑)。


・トランプ氏3連勝、米共和候補指名争いで大きくリード
http://jp.reuters.com/article/trump-elec-idJPKCN0VX0E5

・米国の人種問題はなぜ解決困難なのか
http://j.people.com.cn/n3/2016/0224/c94474-9020578.html

・北朝鮮、韓国大統領官邸への攻撃を約束 http://jp.sputniknews.com/asia/20160224/1669670.html

・サウジアラビア 原油の減産を拒否

http://jp.sputniknews.com/politics/20160224/1669432.html

・ウォールストリートジャーナル:米国防総省とCIAがオバマ大統領に「ロシアを妨害しよう」と呼びかけた
http://jp.sputniknews.com/politics/20160224/1670222.html

・鴻海傘下入り、25日に判断=シャープが臨時取締役会
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2016022400830

・金庫 タンス預金、それとも 個人向けが「爆売れ」 http://mainichi.jp/articles/20160225/k00/00m/040/062000c

・「憲法改正、今やる必然性は何もない」 自民・二階氏 http://www.asahi.com/articles/ASJ2S6DP6J2SULFA02J.html?iref=comtop_6_03

・炉心溶融の判定基準発見 東電、3日後に公表可能だった http://www.asahi.com/articles/ASJ2S5QNYJ2SULBJ00S.html?iref=comtop_6_01

・高裁が職権で最重要証人を尋問へ~美濃加茂市長の事件で異例の展開 http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20160224-00054734/

・非正規・独身…孤立し困窮する女性たち、切実な実態調査 http://www.asahi.com/articles/ASJ2Q7J7RJ2QPTIL03S.html?iref=comtop_6_03

以上、バタバタと……。

法服の王国――小説裁判官(下) (岩波現代文庫)
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●官僚達の犯罪! 鳩山に引導渡した外務・防衛の捏造極秘文書

2016年02月24日 | 日記
アメリカの鏡・日本 完全版 (角川ソフィア文庫)
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KADOKAWA/角川学芸出版


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●官僚達の犯罪! 鳩山に引導渡した外務・防衛の捏造極秘文書 

民主、維新の合併騒ぎは、民主が党名を変えて、維新を吸収する形で成立するようだ。民主党は「立憲民主党」を中心に議論を進めているが、略称が「民主」になることで、維新は愉快ではないようだ。この新たな政党が、自公政権打倒を目標にするのであれば、共産党の過大な協力は欠かせないのだから、もう少し大人な対応に気を配るべきである。共産志位が提唱した「国民連合政府」に花を持たせ、「国民立憲党」等も考慮したら如何なものだろうか。略称は「民憲」漢字の意味合いも悪くない。「憲」の漢字が難しいなら「民立」でも良い。まあ、何れにしても、この2党では、最終的に何も出来ないのだから、共産の選挙活動へのモチベーションアップも、戦略的に党名決定時に、同党に神経を使うべきである。

衆議院選制度改革を巡る問題。衆議院議長の諮問機関による答申は、『10年ごとの大規模国勢調査結果に基づき、都道府県の人口比に応じて定数配分を見直す「アダムズ方式」の導入』を提言しているのだから、自民党の「アダムズ方式」不採用は、党利党略的主張で基本的に無理筋。総体的に見て、自民党の孤立感が目立つが、この無理やりの態度は “噛ませ犬” と認定できる。つまり、最終的に、安倍晋三の決断で、「野党諸君の主張に合わせようじゃないか」のひと言で決まる感じだ。話し合いに応じる、器のデカイ総理演出と云うところだろう。個人的には、議員定数削減が、本末転倒の流れに思える。本来向かうべきは、議員報酬の大幅削減で、議員数は増やしても構わないと考えている。議員報酬の高額が、職業政治屋誕生の温床と考える。

本日の本題に入るが、先ずは、朝日新聞の記事を読んでもらおう。

 ≪「65カイリ基準」米軍否定 普天間県外移設断念の根拠  
2010年に鳩山由紀夫首相(当時)が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設を断念する判断材料となった政府の内部文書を朝日新聞が入手した。米軍の「基準」としてヘリコプター部隊と訓練場との距離を「65カイリ(約120キロ)」以内と明示しているが、在日米軍司令部は朝日新聞の取材に「そのような基準はない」とした。

 文書は「普天間移設問題に関する米側からの説明」。10年4月19日付で「極秘」と押印されている。「65海里(約120キロ)の問題」として 「回転翼航空部隊の拠点と同部隊が(陸上部隊と)恒常的に訓練を行うための拠点との間の距離に関する基準であり、米軍のマニュアルに明記されている」と説明している。

 普天間飛行場の県外移設を模索した鳩山氏は、この時期、鹿児島県・徳之島への移設を検討。だが、沖縄海兵隊のヘリ部隊の訓練が行われる沖縄本島中北部と徳之島とは約104カイリ(約192キロ)離れ、「65カイリ基準」を満たさない。

 鳩山氏は、朝日新聞の取材に「外務省などから説明を受けたと記憶している。訓練場から65カイリ以内でなければ移転は無理だという話があり、徳之島をあきらめる最大の要因だった」と話した。

 ところが、朝日新聞がこの文書を元に「65カイリ」の基準やマニュアルの存在を在日米軍司令部に尋ねたところ、同司令部は今月、「米海兵隊の基準や規則に、そのような公式な基準はない」と文書で回答した。徳之島への移設は根拠不明瞭な「基準」に基づいて断念されたことになる。

 一方、防衛省は「海兵隊は、陸上部隊とヘリなどの航空部隊が一体性を保つために相互に近傍に所在していることが必要だ」と説明。外務省は「文書の存在は確認できない」と取材に回答した。
 ≫(朝日新聞デジタル:二階堂勇)


この主張は、鳩山由紀夫側から、何度か流された情報なのだが、鳩山本人は、今さら、四の五の言っても始まらないし、東京地検特捜部と関わりを持ちたくないだろうから、≪「外務省などから説明を受けたと記憶している。訓練場から65カイリ以内でなければ移転は無理だという話があり、徳之島をあきらめる最大の要因だった」≫と曖昧に答えている。しかし、これは単純に見る限り“公文書偽造的”な行為に相違ない。外務と防衛の官僚が、時の総理大臣を、ニセの公文書で騙したのだから、本来であれば、大スキャンダルだ。TVニュースは、きっと何処も報じていないのだろう。

当時の写真のコピーを読む限り、須川内閣官房専門調査?、船越外務省日米安保条約課長、芹沢防衛省日米防衛協力課長の名前が確認できる。この、「普天間移設問題に関する米側からの説明」という書類は極秘扱いであるが、極秘期間は平成7年4月18日までとなっているようなので、公表流出も問題なしと云うことでマスメディアに提供されたと云う流れだ。“死んだ子の歳を数える”という譬えから考えれば、まさに今さらだが、徳之島移転案が潰れたことで、鳩山由紀夫の早期退陣が決定し、小沢一郎の幹事長の退陣に繋がり、民主党は奈落の底に落ちたと理解すると、忌々しき公文書のねつ造である。

まあ、この問題以外にも、鳩山が退陣する重大な理由が隠れている疑いも残る。しかし、表向き、この公文書に基づいた説明を受け、辺野古移設に鳩山が傾いたのが事実であるとすると、官僚たちによる、クーデターの一種と言えるだろう。法律上、この捏造文書が公文書であるかどうか、明白ではないが、実存の官僚たちの名前が記されている以上、偽物だと見破ることは、時の総理でも困難だ。無論、鳩山が、外務や防衛に頼らない独自情報網を持っていなかった脇の甘さを突かれたわけだから、自己責任的要素も残されている。

このような捏造文書のような類の話は、案外、霞が関においては日常茶飯事で起きているのかもしれない。日々、このような捏造文書を作って、官僚が、担当大臣や官邸を騙しているのかもしれない。そうなると、正直、手の打ちようがない。官僚たちは、高学歴で入省、日々専門的に、その問題に関与しているわけだから、本来であれば、国の知恵袋、活用しない手はない。しかし、財務、総務、経産、厚労省等々が、こういう捏造文書を作っているのかと思うと、国の真の姿は、永遠に見えてこない。見えてこないから、政治が、国の問題点を、治政するチャンスさえ見出せない実態だと言えるのだろう。無力感が漂う話だ。このコピーに名前の出ている人物らへの証人喚問や、沖縄県側の証人として出廷など、考える余地はありそうだ。

沖縄は「不正義」を問う
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●勝利の方程式が見えてきた、共産志位の深慮遠謀 名よりも実を

2016年02月23日 | 日記
西田幾多郎 無私の思想と日本人 (新潮新書)
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●勝利の方程式が見えてきた、共産志位の深慮遠謀 名よりも実を

以下は共産党が野党5党首会談の内容を受け、参議院1人区での野党協力態勢を明確にするために、民主などの候補が「安保法廃止」や「選挙協力する」意思を示せば、候補者を取り下げる。同等の構想「国民連合政府」への賛同は協力条件としないとまで言い切った日本共産党志位委員長の方針に関する、朝日新聞のレクチャー付き記事だが、政局に重大な影響ある決断、と受けとめていない趣のある解説になっている。しかし、筆者は、重大な局面打開の一手だと考えている。先ずは、朝日の記事を読んでいただこう。


 ≪ 共産、野党候補一本化に協力へ 夏の参院選1人区
共産党は22日、夏の参院選の 1人区で安全保障関連法廃止を公約に掲げることなどを条件に、野党候補の一本化に協力し、独自候補を取り下げる方針を正式に決めた。これまでは全選挙区に 候補をたて、比例票の掘り起こしを狙うのが基本戦略だったが、市民団体の求める「野党共闘」に応じることで、デモに参加する若者ら新たな支持層の獲得を目指す。
 方針を決めた全国の都道府県委員長らとの会合後、記者会見した志位和夫委員長は「かなりの人は立候補を取り下げることになる」と明らかにした。全国で32ある1人区のうち、共産は29選挙区で公認候補を擁立。そのうち21選挙区で民主の公認・推薦候補と競合しており、民主などの候補が「安保法廃止」や「選挙協力する」意思を示せば、候補者を取り下げていく。
 「国会や国政選挙でできる限りの協力を行う」ことなどで合意した19日の野党5党首会談を受けた対応で、志位氏は「安保法制の廃止と(集団的自衛権行使容認の)閣議決定撤回の大義の実現のため、大局に立って判断をした」と強調した。 志位氏は会見で、選挙区での立候補をやめる候補者について「比例候補になってもらう」とも表明した。すでに活動を始めている都道府県を地盤にしても らうことで、全選挙区に候補をたててきた従来の戦略と同じ効果を期待。今回はそれに加えて、「安保廃止」を掲げて野党共闘を強く求める市民団体の意向に沿うことで、支持層の開拓を狙う。機関紙「しんぶん赤旗」の読者数が減少傾向の中、党幹部は「比例票と複数区での票の底上げが期待できる」と計算している。
 志位氏は会見で、衆院選での選挙協力にも言及。「直近の国政選挙の比例得票を基準としたギブ・アンド・テイクを原則として推進したい」と述べた。①295小選挙区のうち、共産の協力を求める選挙区を決める②直近の国政選挙で得た野党各党の比例票の割合に応じて、各党ごとの候補者数を決める③その候補が「野党統一候補」になる――という仕組みで、近く民主などに提案する方針だ。
 共産は民主が政権交代を実現した2009年の総選挙でも、小選挙区の候補者を絞ったが、当時は勢いづく民主の後方支援とともに、供託金没収の回避が目的だった。 
 ≫(朝日新聞デジタル:星野典久)


一強他弱の王様気分に浸っている王者自民党の幹事長が、金切り声を上げて、野党5党の選挙協力関係についての感想を述べている。共産党と組むなどと云う事は、民主党の自殺行為だとまで言及した。後に訂正はしたものの、不都合な出来事が差し迫っている事実を窺わせる態度だったことは明白だ。表見代理人という法律用語があるが、まさに、現在我々が目にしている“安倍自民党政権”が、表見代理人的要素を多く抱えた政権であるかが見え隠れしている。共産党志位委員長は、そのことに理解したのだろう。

ここは、長い目で見て、民主党に花を持たせるのが得策だ。「共産党」って、意外に良い党だね。全然怖くなんかないじゃん。委員長もとっちゃん坊や風で、或る意味で可愛い。正直者に見えるしね、実直にも見える。民主が、グタグタしていたら、次は共産党で良いかもね。そうだよ、民主党なんて、野田とか、前原とか、長島とか、菅直人がいるんだからね。あぁ、寒気がしてくる。そう、10年先の布石として、志位は、共産党員を説得するだけの論拠を示すことが出来たものと推量する。

仮設テントで強風に煽られている安倍自民党政権の表見性は、民主党の体たらくに嫌気をさした有権者が、選挙ボイコット的な振舞いに出たために起きた、アクシデントだったのである。自民党が14年12月の総選挙で得た得票は、巷で言われているように、自公与党が得た得票数は有権者の25%に達していない。自公以外の政党の得票数合計は28%近くあった。しかし、選挙制度のマジックで、自公与党議席が68%を超え、野党議席が30数%になっているに過ぎないのだ。

折りしも、リフレ派の金融政策が市場とマッチングしたことで、有権者は一時的に、トリクルダウン(津々浦々に利益が行きわたる)という、歴史上、一度も起こったことのない詐欺言説に縋りついた結果、表見代理政権が誕生した。その上、現在の安倍晋三内閣総理大臣という人物は、自民党党大会で、あの石破に敗れた総裁候補なのである。つまり、二重の表見代理で生まれた、まさに21世紀の悪魔的偶然の産物である。二重の表見性を持った、この安倍政権は、天は我に味方した、と思い込んだわけだ。二度とこのような僥倖が、安倍、岸、佐藤一族、長州勢力、日本会議には訪れないだろうから、暴走的と誹りを受けても、無知蒙昧の馬力で、歪曲国家を作ろうとしている。

しかし、安倍表見代理政権の欺瞞は、年ごとに剥がれ落ち、地金が剥き出しになり、その粗鉄には錆まで浮かんでいる状況を見せている。津々浦々の有権者も、「嘘だった!」と気づいている。そりゃそうだ、日夜、実質賃金は下がるばかりで、消費税は上がる、社会保険料は上がる、社会保障は削られる。非正規の仕事を見つけようと思えば、ブラック企業群。市場原理という主義主張で、徹底的賃金カットの見舞われ、生き辛さは限界点に達している。庶民から搾取するのがアベノミクスだったのだ。挙句に、国民の命綱である年金まで、博打場に差し出しているのだから、まさに棄民政権だ。そのことに気づいていないのは、多分、安倍晋三だけだろう。

日銀黒田だって、ヤバイと知っている、霞が関の役人どもも知っている。長谷川幸洋も知っている。ヤバイな、日本共産党が絡んだ野党は並大抵の野党じゃなくなるぞ。民主や維新なんてチョロイけどさ、共産党はヤバイ。アイツらの情報網は堅固だからな。俺たちの弱味だって幾つも知っている。何とかしなければならないが、何と言っても、安倍首相だけが、アベノミクス成功していると信じちゃってるからさ。参ったね。おそらく、知恵ある役人どもは知っている。リフレ派の馬鹿どもも、中国の所為、原油の所為で逃げ切るしかないと腹を括っている。多分、谷垣も知っているので、ついつい脅しのような捨て台詞を吐いたのだろう。


≪ 自民・谷垣幹事長 野党共闘は民主党の「自殺」→「存在否定」と訂正
 閣僚らの不適切発言よぎったか 自民党の谷垣禎一幹事長は22日の記者会見で、夏の参院選の改選1人区をめぐり、共産党が野党共闘に向けて多くの独自候補を条件つきで取り下げる方針を示した影響について「政権交代可能な態勢をつくるところで、民主党にとっては自殺行為だ」と述べた。
 32ある1人区のうち、多くで共産党は民主党などと競合。野党統一候補の誕生によって民主党の存在感が薄まることを「自殺行為」と表現したとみられる。
 閣僚や自民党議員の相次ぐ不適切発言を受け、党内の引き締めを図ってきた谷垣氏。自らの発言が呼び起こす波紋が頭をよぎったのか、会見の途中で「私、自殺行為と言ったのですかね。なぜ言ったのか」と困惑した表情をのぞかせ、「自殺行為」を撤回。「自らの存在意義を否定する行為」とわざわざ訂正した。
 一方で、共産党と民主党などの野党共闘については「共通点はいったい何だろうか。統一候補が当選した後、どのような活動を取るのか。おかしな結果が出てくることが予想できる」と皮肉たっぷりに述べた。  ≫(産経新聞)


最後になるが、日本共産党の志位委員長に、二重の表見代理内閣・安倍内閣は脆い。そのメカニズムは、斯く斯く然々とひざ詰めでレクチャーしたのが、誰あろう、死に体と噂されている生活の党の小沢一郎代表であることは、言うまでもない。自ら、表舞台で脚光を浴びる気はないが、黒子として、日本の為に、まだまだ引退するわけにはいかないと、自らに言い聞かせていた、そう、あの人である。小沢一郎の最後の仕事かどうか、それは別にして、明らかに、ちゃぶ台返しの政局を、永田町に齎したようである。

二重の表見代理安倍政権は脆い。誰が言ったか知らないが「安倍一強政治」。冗談ではない、実は最も薄氷の上に乗っかった、悪質なウイルスが蔓延した、感染者だらけの泥船に過ぎないと云うことだ。事実は小説より奇なりと言われるが、これ程強い政権があったかとマスメディアに言われているわけだが、実は虚弱政権なのである。おそらく、日を追うごとに、無茶苦茶な政策を連発するか、体調不良で虎ノ門か信濃町に潜り込むのかもしれない。その時の診断書に「不眠障害」なんて書かれていたら、笑ってしまう。

「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史
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●“瓢箪から駒”夏の参院選ほか 安倍・菅は首を洗う準備を!

2016年02月22日 | 日記
西欧近代を問い直す (PHP文庫)
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●“瓢箪から駒”夏の参院選ほか 安倍・菅は首を洗う準備を!

菅・高市の強権の監視下にある、新聞テレビの報道姿勢は、概ね効果なしの安倍政権による外交防衛、経済政策のキャッチコピー垂れ流し報道に徹している。しかし、事実は小説より奇なりではないが、金融市場の連日の数値は正直のバロメータ、キャッチコピーを逆さまな動きをしている事に、世間はジワジワと違和感を憶え始めている。

NHKその他のニュース番組や、大手新聞の大見出しの掴みだけ目を通している人々は、安倍は良くやっていると勘違いしやすい。耳に心地いいキャッチコピーを聞かされれば、上手くいっているように聞こえてくる。色々上手くいっていない面もあるようだが、野田や菅直人の民主党に比べれば、えらそうな顔して喋るので、まあ、60点くらいの政治はしているのだろう。そう云う勘違いだ。ただ、勘違いでも支持は支持だ。

安倍政権の支持の中には、この手の空気に流される支持者が多く存在する。コテコテの支持者(日本会議好き)は、精々国民の3%にも満たないと考えていい。この人たち、テレビ露出で優遇されているし、概ね大声の持ち主が多く、発言時間を多くとる。これも、官邸がストップウォッチ睨みながら、放送を監視しているからだろう。つまり、50%の支持率が出ても、8割は面倒なので、まあ支持というレベルだ。つまり、核となる安倍内閣の支持率は10%程度と見ることが出来る。

残り40%の支持表明者は何者だとなるが、兎に角、何がなんでも自民党というのが5%はいる。上記安倍シンパ10%と自民兎に角支持派5%で15%が、自民党の基礎票になる。残りの35%の上乗せ分は、日和見支持派、監視を怖れ支持派、経済好転勘違い支持派に分類される。35%の内訳は判り難いが、この35%の中には、嘗て民主党フィーバーに投票した人々も当然含まれる。少なくとも、経済好転勘違い支持派に人々は、時間経過に応じて、収入は全然増えない、或いは株価が下がる事実を見て、支持放棄に傾くことは容易に想像できる。

日和見支持派の動向は分析が難しい。筆者自身が、日和見主義で生きている人々の習慣が判らないので、NHKの世論調査に惑わされる人々と重なると想定しておこう。NHKの世論調査の支持率は、最低限の支持率上昇下降の理由づけを持っているので、株価の推移が最もハッキリとしたバロメーターと捉えておく。政府の反政府的意志を監視されていると考えている、面従腹背派の人々は、選挙が正当に実施されるのであれば、支持は、ソックリ不支持に回る。

数日前までは、自民党に替わるべき受け皿がないと云う悩みを、有権者が持っていたのが事実だが、“戦争法案阻止”を接着剤にした「国民連合政府」風味の5党連携は、一人区を中心に国民の目に、徐々に姿を表す流れになってきた。正直、米軍の従属軍になると云う争点は、リアリティーにおいて、今ひとつインパクトが欠けている気がする。自民党の憲法改正案を読めば、その軍国主義的国家を目指しているのは歴然とするが、多分、多くの人は読まない。つまり、「戦争なんてするわけないよ」を信じ切っている。平和が永遠だと思いこんでいる人々に、裁きの日は近づいていると言っても、馬耳東風だ。

筆者は、現在の日本人の心模様を考慮に入れた時、立憲主義の厳守、戦争法案廃止の旗印だけで、国民の心を掴み切れるものか、疑問に思っている。いまだに、政治に望むこと項目の1位、2位、3位は、残念だが、景気、雇用、社会保障だ。戦争の危機とか、警察国家の怖さとか、言論統制とか、国民の興味としては下位に低迷している。マスメディアの世論誘導の典型だが、、いまだに日本経済が、3~5%の経済成長が可能だと思いこんでいる人々が多くいる事実だ。こいつら馬鹿だと言っても始まらない。だからと言って、GDP600兆円だとは、教養が邪魔をして言える筈もない(笑)。

経済成長は、自然増くらいが妥当だ程度の表現は許されるだろうが、グローバル化が停止しない限り、実質賃金は恒常的に低下する。そうなると、インカムで同意可能なのは、社会保障の面だろう。そもそも、消費増税分は、すべて社会保障にあてると言っていたのだから、整合性は取れる。雇用に関しては、非正規雇用者を減らしていく。つまり、正規雇用にシフトは、現状のグローバル経済世界では困難なので、彼らへのセーフティーネット政策を打ち出すことも、整合性がある。先ずは、国民が興味を持つ経済問題でのゲインを共通化させる目玉政策が必要だ。戦争法阻止だけでは、リアリティーにおいて弱い。

その他にも、原発再稼働を含むエネルギー政策。安倍政権が経団連の思惑に乗っかったTPP問題。これらの問題に関して、是々非々を提示し、安倍自民党では打ち出せない、しかし幾分玉虫色でも構わないが、安倍悪政の手直しという政策の共通点が、有権者に提示できれば、尚、勝機が増えるだろう。現時点で、筆者が主張している「成熟国家の飄々とした生き様」を主張するのは暴挙である(笑)。いずれにせよ、反安倍勢力を「見える化」する為に、あらゆるツールを総動員すべきだ。多くの国民は、アベノミクスが自分たちの為になっていない事実に、漸く気づきはじめている。リフレ派の話は元気が出るが「気」しか生まれない。しかし、その論理を有権者に納得させるのは、不景気な感じになるので封印だ。彼らに、ゲインの部分だけ示し、反安倍勢力、ここにありの存在感を示せば、安倍や菅の泣き声が聞けるかもしれない(笑)。

現状では政党支持は、自民33%、民主10%、公明5%、共産5%、お維3%、維新1.5%、その他野党2.5%、支持政党なし40%というのが通り相場だ。しかし、国政選挙の場合、盛り上がるのは公示日の1か月程度前からである。つまり、参議院選、場合によれば衆議院選に関して、有権者が意識するとすれば、早くて5月連休明けになる。残り2か月半で、野党共闘の姿が何処まで具体的に提示できるか、そして、有権者に対する訴求力を持っているか次第だろう。

2か月半後の金融情勢は、安倍自民に有利に動く可能性は少ない。春闘も不発に終わるだろうから、実質賃金は益々低下する。国際情勢も、米国は、中東や南シナ海における鉾をどのように収めようか苦慮している段階で、アメリカの混乱が収まるよりも、目立つ事情が増えてくる。共和党大統領候補にトランプ氏が決定的になれば、アメリカの劣化を、マスメデァも伝えないわけには行かなくなる。そんなアメリカの軍隊に追随すると言っている安倍の安保法制の意味合いは、あのトランプ大統領の軍隊に追随するのか?という意味で、有権者に疑心暗鬼を抱かせるに相違ない。

筆者の勝手気ままな予測だが、東証株価が1万4千円割れしていれば、無党派層40%の35%は与党系ではなくなる。自民党支持33%も20%程度に落ち込む。野党連合に名称がつくか付かないかで情勢は大きく変化するが、仮に「国民連合政府会派」という統一会派を結成して、各政党が選挙に望めば、勝利も見えてくる。衆参同時選挙でも同じような結果になる。つまり、公示日付近になると、自民20%、民主20%、公明5%、共産10%、お維3%、維新2%、その他野党4%、支持政党なし36%くらいになるのではないだろうか。つまり、支持政党は、与党系28%:野党系36%、支持なし36%となる。無党派は付和雷同しやすいので、36%は16%と20%に別れる。最終結果は、与党系政党支持率は44%で、野党系政党支持率は56%となる。

単純な小選挙区制なら、断然野党系の勝利だが、投票率の問題と、1人区における選挙協力が何処までハンドリング出来るかにもかかってくる。投票率向上の決め手は、政治参加せずにはいられない社会事情が生まれる方が良い。例えば、不況が今以上に鮮明になる。中東情勢の緊迫で、自衛隊海外派兵要請が来るとか、原発で何らかの問題が大きくなるとか、“奇貨として”奇禍が起きてくれるかどうかは、お天道様しか知らない。まあ、最近のお天道様は、幾分お疲れのようなので当てにはならないが……。


≪ 内閣支持率7ポイント下落46% 政府与党に「緩み」77%
共同通信社が20、21両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は46・7%で、1月末の 前回調査から7・0ポイント下落した。不支持率は3・6ポイント増えて38・9%だった。一連の閣僚や自民党国会議員の不祥事や不適切発言を踏まえ、77・7%が政府、与党内に「緩みが出ていると思う」と答えた。
 有識者調査会が衆院議員定数10減を答申した衆院選挙制度改革について「次の衆院選から定数を削減するべきだ」との回答は50・6%だった。「次の衆院選からでなくてもよいが」を含めると「削減するべきだ」が86・1%に達した。 ≫(共同通信)


 ≪ 日銀のマイナス金利政策、景気「期待できず」61% 朝日新聞社世論調査
朝日新聞社は13、14両日、全国世論調査(電話)を実施した。日本銀行が16日から実施する「マイナス金利政策」による景気回復が期待できるか尋ねたところ、「期待できない」61%が「期待できる」13%を大きく上回った。
▼4面=質問と回答
 内閣支持層でも「期待できない」49%が「期待できる」24%を上回った。「期待できない」は自民支持層で51%、無党派層で63%と半数を超えた。
 安倍首相の経済政策による日本経済の成長については、「期待できない」49%が「期待できる」32%を上回り、第2次安倍内閣の発足以来、最も高かった。こうしたアベノミクスへの期待は、2013年4月調査の「期待できる」55%をピークに下降傾向となっている。「期待できない」が最も低かったのは同じ調査での26%だった。
 甘利明・前経済再生担当相の辞任については、「やめたのは当然」が62%だった。
 内閣支持率は40%(前回1月調査は42%)で、横ばい。不支持率は38%(同38%)だった。 ≫(朝日新聞)

≪ 参院選へ、野党5党の共闘加速 候補一本化の調整急ぐ
民主、共産、維新、社民、生活の野党5党は19日、安倍政権が昨年成立させた安全保障関連法を廃止する法案2本を衆院に共同提出したことを踏まえ、 夏の参院選に向け共闘を加速させる。民主党は共産党が改選1人区での候補者取り下げも視野に選挙協力を進める方針を示したことを歓迎。野党候補の一本化に 向け調整を急ぐ方針だ。
 民主党の岡田克也代表は記者会見で「勝つために共産党が思い切った決断をしたのであれば評価できる」と強調。国会運営での協力関係を強化する意向も明らかにした。 ≫(共同通信)

「リベラル保守」宣言 (新潮文庫)
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●盤石ではない“安倍一強” 津々浦々に拡げるのは安倍政権打倒 

2016年02月21日 | 日記
首都直下地震 (岩波新書)
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●盤石ではない“安倍一強” 津々浦々に拡げるのは安倍政権打倒 

以下は日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」の主張(社説)である。個人的には、日本共産党とのイデオロギー上の対立はあるが、イデオロギー以前の、人道的見地から、誤解だらけの似非保守を標榜する安倍自民党政権や、仏の教えを歪曲援用し、中央集権国家システムを組織的蝕む公明党、お伽噺のように生まれてきた橋下党。この3党の権力目的は、どうも人の道から外れることも是とする政治勢力になるリスクが増大し、且つ固定化される危険を孕んでいるようである。そう云う意味で、緊急避難的にならざるを得ないが、今回の日本共産党の「国民連合政府」構想は価値がある。

政党として、大義を横に置くことは、自民や民主なら幾らでも出来そうだが、日本共産党が大義を横に置くと云う決断は並大抵のことではない。それほど、今回の「国民連合政府」構想には意義がある。つまり、自公与党及びその補完勢力という政治勢力は、外道の道まっしぐらなのが見え過ぎているのだから、外道政治勢力は弱体化させる必要がある。人間が織りなし作り上げる世の中だから、外道政治勢力が存在するのも容認しても良い。しかし、気がついた時に、「外道の道が正義の道になっている」と云う悲劇もあるわけだから、この辺で、是々非々の意志表示を国民の側が行う必要がある。

一強多弱と良く言われるが、有権者の2割以下の得票で6割以上の議席を得ているだけで、選挙制度の誤解に基づく一強であり、実はたいして強いわけではない。相撲ではないが、張り手やけたぐり、猫騙し用いて腰砕けなどと云う勝ち方もある。王道の寄り切りを決め手にするには、官僚機構、マスメディア、経団連、宗教団体と多くの既得権益集団に囲まれているので難しい。現在の政治情勢は、やはり、奇手が必要な状況になっている。王道でがっぷり四つ相撲は、先の大戦の日本軍になってしまう。相手が、高を括っている隙に張り手やけたぐり、小股掬いなど、あらゆる奇手の繰り出しは必要だ。

広告宣伝販促用語を駆使して、実効性のないポピュリズムなキャッチフレーを捲し立てているだけの「正義が外道になり、外道が正義面する世界」となってしまうような、安倍政権の政治の道は、あまりにも人の道に戻ることが出来なくなる外れようである。安倍晋三の口から出てくる言葉は、あれは販促用語であり、政策用語ではない。「仏作って魂入れず」という言葉があるが、仏の姿にもなっていない。無論、魂など入っていない。コピーライターが作った、耳に優しい言葉の羅列が政策であり、中身は棄民政策のオンパレードなのだが、外道になったママのマスメディアの中では、そのキャッチコピーが、さも実現したかのように報じられる。

たしかに、日本における民主主義には、根なし草のようなひ弱さがある。そもそも論で議論する場合には、日本人と民主主義という相性の議論が必要だが、現状で理想論を議論しても始まらない。現実論の立場で考える必要があるわけだから、安倍自民党勢力の勢いを止める行動は必須だ。この勢いで、安倍に政治をやらせておくことは、経済的にも、国際的にも、安全や防衛のためにも、日本人の役に立つどころか、国を売り払うような結果になりかねない。国破れても山河や国民くらいは残っていないと、やり直しがきかない。歴史までもが消滅してしまう。これからの半年は、緊急オペという時間帯に日本は置かれている。

日本共産党の決意はホンマモンだと思う。民主の岡田の濡れ手で粟のような、図々しい要求にも応じて、候補者の一本化に協力している。世間と云うものは、非常に面白いもので、ゴリ押しで、瞬間的利益を得た方は評価されず、長い目で見た時、大人の対応で道を譲った骨太政党に、徐々に信頼を寄せていく。損して得とれの典型のように見えてくる。おそらく、日本共産党は、名前の如何に関わらず、日本の政党政治の中で、グローバル経済で格差拡大に応じて、政党の勢力を増していくことになりそうだ。


 ≪ 野党5党首の合意 戦争法廃止への画期的な確認
日本共産党、民主党、維新の党、社民党、生活の党の野党5党の党首会談が開かれ、戦争法廃止法案の国会提出とともに、戦争法廃止や安倍晋三政権打倒に向け、国会や国政選挙で協力を行うことなどを確認しました。憲法に真っ向から反する戦争法を安倍政権が強行成立させてから5カ月―。安倍政権への国民の 批判と怒りが広がるなか、野党5党の間でしっかりした合意を実現したことは、安倍政権の暴走を止めたいと願う国民世論を受け止めたものです。立憲主義を取り戻す国民のたたかいの前進のための画期的な合意です。

 国民の声が前に進めた
 空前の規模で広がった昨年来の戦争法反対のたたかいは、成立後も継続し、各地で広がりを見せています。圧倒的多数の国民は成立後も戦争法を支持していません。この声を受け止めることが政治に課せられた重い責任です。

 戦争法の廃止、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回、安倍政権の打倒、国政選挙で与党とその補完勢力を少数に追い込む―日本共産党の志位和夫委員長、民主党の岡田克也代表、維新の党の松野頼久代表、社民党の吉田忠智党首、生活の党の小沢一郎代表が合意した内容は、国民の切実な思いに正面からこたえたものです。

 戦争法は、安倍政権が集団的自衛権は行使しないという歴代政権の憲法解釈を百八十度転換し、憲法を踏みにじって、自衛隊が海外でのアメリカの戦争 に参加する危険な道を開いたものです。憲法に違反し、立憲主義を破壊し、民主主義さえ踏みにじる法律です。違憲の戦争法ばかりは、強行されたからといって絶対に放置しておくことはできません。

 5野党党首会談はまず、戦争法廃止法案の国会提出を確認し、廃止法案は会談直後、共同で衆院に提出されました。提出した廃止法案を今国会で真剣にしっかり審議することこそ急ぐべきです。

 さらに5党首会談では、安倍政権の打倒を目指し、国政選挙で現与党とその補完勢力を少数に追い込むため、国会での対応や国政選挙などあらゆる場面 でできる限りの協力を行うことを確認しました。戦争法を廃止し、安倍政権の暴走を阻止するためには、自民党・公明党の与党をはじめ安倍政権の補完勢力をなんとしても少数に追い込まなくてはなりません。そのためには国政選挙での野党間の協力が必要です。5党首の合意が野党の協力を切望してきた国民世論に歓迎されるのは間違いありません。

 5野党が国会や国政選挙での協力について、誠実で真剣な協議に入ることを確認したことは、情勢を大きく切り開くものです。会談で志位委員長は、参院1人区での「思い切った対応」も表明しました。国民的大義を実現するために、立場の違いを超え、政党・団体・個人が力を合わせることがいよいよ重要になっています。

 全国津々浦々で運動広げ
 安倍政権は3月末にも戦争法施行を狙っています。戦争法施行によってアフリカや中東で自衛隊が戦後初めて「殺し殺される」現実の危険が迫っていることが国会論戦でも浮き彫りになっています。  5野党の合意も生かし、戦争法廃止の「2000万署名」など運動を強め、戦争法廃止と立憲主義を取り戻すたたかいをいっそう強めようではありませんか。  ≫(しんぶん赤旗:主張より)


≪ 参院選へ、野党5党の共闘加速 候補一本化の調整急ぐ
民主、共産、維新、社民、生活の野党5党は19日、安倍政権が昨年成立させた安全保障関連法を廃止する法案2本を衆院に共同提出したことを踏まえ、 夏の参院選に向け共闘を加速させる。民主党は共産党が改選1人区での候補者取り下げも視野に選挙協力を進める方針を示したことを歓迎。野党候補の一本化に 向け調整を急ぐ方針だ。
 民主党の岡田克也代表は記者会見で「勝つために共産党が思い切った決断をしたのであれば評価できる」と強調。国会運営での協力関係を強化する意向も明らかにした。 ≫(共同通信)

 

日本の火山 国内30の火山活動を検証する
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●欲張り爺な安倍の国 飄々たる国家のパイオニアになれる国

2016年02月20日 | 日記
介護ビジネスの罠 (講談社現代新書)
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講談社


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●欲張り爺な安倍の国 飄々たる国家のパイオニアになれる国

今夜は、見出しほど自信のある考えがあるわけではない。ただ、成長の時代を終えた日欧米の経済先進国においては、意図的に、日本の土地バブルや米国のリーマンショックのようなバブル経済を、意図的に作り上げない限り、虚飾の経済成長を成し遂げることは、明らかに無理な段階に入っている。日本では、安倍政権との相性の良い、政治的性向の強い黒田氏が総裁に就き、異次元金融緩和やマイナス金利政策を導入、意図的にバブルを生みだそうと試みている。しかし、笛や太鼓を持ちだし、企業の設備投資や研究開発関連の躍動を期待したが、まったく踊る気配すら見せない。

最も大きなGDPを稼ぎ出す、個人消費においては、日銀のバルブ醸成政策が打ち出されたにも関わらず、株や為替市場で一時の騒ぎを起こさせたが、ベースとなる一般生活者の消費を促すことはなかった。消費増税の目的であった、社会保障の見直しは、削減志向だけが突出しているのだから、「自助」という印象を国民に強く印象づけてしまった。つまり、老後の拠りどころは、「銭だけだ」と、国民に受けとめられたと云うことになる。まして、中高年の勤労者も、ワーキングプワー化する非正規雇用の勤労者も、押しなべて、実質賃金を下げ続けているのだから、この状況で消費に精を出す人種は、一種クレージーだと云うことになる。

国民が、国の為政を信用しなくなれば、当然だが、個人消費は伸びるどころか縮小方向に向かう。今の日本人の心は、「自助と共助」だけを拠りどころに、生活設計している傾向が強く、「公助」は人生のラッキーとして捉える傾向さえある。つまり、アベノミクスも日本政府も国会も、国民は信用に値しないと見限っているような状況だと言える。マスコミは、霞が関文学に彩られた、怪しい東大話法を紙面やテレビニュースで展開するが、その多くを眉唾的に見聞きしていると云うことだろう。政治や霞が関が動くたびに、利権構造が増殖するだけで、国民に利益回ってくる頃には、予算はあらかた、食い尽されている実態を理解し始めているのが現状認識と考えている。

特に、高齢者の場合、日本の土地バブルを実体験している人が多いので、国家を信用した人々が滅びていった現実を目の当たりにしている。ゆえに、金を持っている年齢層の人々が、“私は貝になりたい”ではないが、一切、国の政策に踊ることはしないと、決心しているようだ。「持家での老後でも、年金以外に3千万円必要」等と喧伝されれば、余程のバカでもない限り、消費に回す人はいない。高齢者の皆様の老後は国家が、これこれ然々の政策を導入することで、墓場まで面倒みますよ!多くの高齢者が、これなら、不必要なまでに「銭」に執着しなくてもイイかも?と思える政策を出す。それがとば口になるに過ぎない。そのくらい、国民は官僚や政治家を信用していない。

ゆえに、金融政策で、国民の個人消費を喚起すると云う発想は、如何に馬鹿げたものか、素人でも判ることだ。このような、単純明快な事実が判らないのが、専門馬鹿と云うもので、金融や電通のような広告宣伝手法で、国民を煽ればなんとかなるは通用しないのだ。政治の煽りに乗っかれば、外道な道に進むことになると、現在の裕福な高齢者たちは思っているし、中間層の人々も、年金でカツカツの生活の人々も、政府や経済諮問会議に居並ぶ有識者よりも、ゼネラリストとして、賢者だと言える。

上述の筆者の言い分を、以下のふたつのコラムに関連づけるのは、無理難題のようだが、そうでもない。文明国にとって、少子高齢化傾向は、避けて通れないテーゼであり、社会学上も、動物学的にも論理的に正しい選択なのだから、「一億総活躍社会」などと云うマヤカシ造語で、踊らさせようと考えるのは、大量生産大量消費時代の魔物に魅入られた経済学者や企業人だけと云うことだ。ただ、以下のふたつのコラムが指摘しているような課題をクリアしていくことで、地産地消のような、共同体自治を構築することは可能だし、日本人の知恵があれば可能だ。しかし、箱モノづくりよりも、ソフトが決め手だと、気づくかどうかが分岐点だ。

成長するとしても、自然増程度の経済国家だが、国民の資産はある。国家の換金可能な資産も相当ある。こういう日本のような国が、世界に先駆けて「成熟国家観」というイデオロギーを世界に発信できる、絶好のチャンスなのだ。駄目な点も認め、良い面を最大限に生かす政治を考えれば、「財政再建する前に、やるべきことがある」、「増税の前にやるべきことがある!」「中央集権から地方主権に」。今、政治がしなければならないことは、経済成長神話に縋ることではない。今、我々が手にしているものを、最大限有効に使い、世界に冠たる「成熟国家観」を示すチャンスなのだ。

飄々と生きる、「成熟国家観」。これを実現するに最もふさわしい国家は何処だと聞かれたら、日本以外の国の有識者は「日本だ!」と口を揃えるに違いない。国が破れていないのだから山河は当然ある。最大公約的だが、ルールも守る。勤勉を美徳としている。浪費が悪だと知っている。最大公約だが、知的水準も世界的に見れば悪い方ではない。暴力的ではない。その上に、歴史的に「天皇」という国家元首のようなシンボルも堅固に維持してきた。挙句に、他国の民族が侵入しにくい島国である。ここから先は、以下のふたつのコラムを足掛かりに、色々と思考して貰いたい。ひとこと言っておくと、老人問題の解決も、経済成長とかの最終的解決策にはならない。ただし、一時の好景気くらいは演出できる。その点は押さえておきたい。


≪ 高齢者ビジネスの成長性が危ぶまれる残念な理由
株価が下がってくると「アベノミクスは失敗だ」「日本経済はやっぱり成長できていない」という声がすぐに強くなってくる。  円安で輸出産業が息を吹き返して、工場など国内への投資が増えたのは間違いないが、それだけでは若者減少で市場が縮小する我が国全体の経済成長への貢献度は十分とはいえない。だからちょっと円高が始まっただけですぐに将来の不安が高まってくる。

 そんな日本経済の先行きだが、世界の識者はどう見ているのだろう。興味深いレポートがある。アメリカの国家情報会議(NIC)が4年に1度、新し いアメリカ大統領に提出しその後世界に向けて公開されるグローバルトレンドというレポートの主筆だったマシュー・バロウズが書いた『シフト 2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来』(ダイヤモンド社刊)という本である。

■米国人が予測する日本の未来 希望は「高齢者向け住宅産業」?
この本は来年、新しいアメリカ大統領が誕生したときに作成されるグローバルトレンドを先取りした内容で、アメリカ、EU、中国、ロシア、イスラム各 国など世界の勢力を横軸に、技術革新、資源開発、民主化、経済成長などこれから起きる変化を縦軸にして世界の未来を予言している。

 その中に“日本は「過去」の国になる”という項目がある。

 バロウズ氏によれば“日本は中国との差が拡大しているが、「中の上」程度のパワーを維持するだろう”という。ただしそれは日本がかなり頑張って構 造改革をなし得たらという条件つきの話だ。その条件はいろいろな面で克服は難しいだろう。そうなると日本は本当に過去の国になってしまう可能性の方が高く 見える。

 しかしそのような悲観的な予測の文章を詳しく読みとくと、ひとつだけ希望にあふれた一文を見つけることができる。そこには日本の未来について、“高齢者が増えて、医療業界と住宅業界は成長に拍車がかかるだろう”と書かれている。 これを読んで私はアメリカ人の物の見方は面白いと思った。アベノミクスの成長戦略では医療業界の革新が日本成長の原動力になるとは書かれているが、 住宅業界が成長のカギだとは書かれていない。しかしこの着眼点はおもしろい。住宅産業は産業のすそ野が広くてGDPを押し上げる原動力としては一番効いて くるアイテムだからだ。

 わかりやすくいえば団塊の世代がすべて後期高齢者になって、彼らが一斉にバリアフリー住宅にリフォームしたとすれば、その需要だけでもGDPは目に見える規模で押し上がるはずだ。

 しかしそこにはものすごく難しい壁がある。

 ■業者から“食い物”にされる高齢者たち
 以前、高齢者ビジネスについてのコンサルティングを行っていた際に、その業界で誠意をもって事業を行っているある役員の人がこんなホンネを語ってくれたことがある。 「この業界の一番難しいところは、社員がもっと儲けたいと思う欲をどう押さえ込めるかにあるんですよ」

 真剣に高齢者を相手にしたビジネスの拡大に取り組んでいる経営者がホンネで悩んでいるのがどういうことかというと、それは介護事業でも福祉関連の 製品販売でもなんでもいいのだが、会社経営が苦しいときにふと魔がさすらしい。「その気になれば弱者からたくさんのお金をむしりとることができる」と。

 だから営業目標のようなものを普通の会社と同じに設定してしまうと、組織の末端で何が行われるか、わかったものではなくなるのだ。 このことをわかりやすく説明するために、私自身の体験を紹介しよう。遠くで暮らす両親が60代後半のころ、老後を見据えてバリアフリー住宅に建て替えたことがある。誰が聞いても一流の住宅メーカーが建ててくれた強固な注文住宅だ。

 それから10年たって母から相談の電話がかかってきた。かなりの出費だけど170万円かけて家をまるごと診断してもらうというのだ。

 話を詳しく聞いてみるとこういうことだった。その住宅メーカーの子会社の営業マンがいわゆる10年点検で母のところに訊ねてきた。その営業マンが 言うには、通常はうちの建てる住宅なら全然問題がないのだが、住宅というものはその建てられた環境次第で希に中の柱が腐ったりすることがある。見た目は しっかりしていてもそういう住宅は将来、地震のときにぽーんと潰れてしまうこともあると母に言うのである。

 母は以前、震災の時に倒壊した住宅の下で多くの人が焼け死んだことを「とても酷い死に方で、ああはなりたくないんだ」と言っていた。10年前の建て替えはその震災の影響があってのことで、ローンを組んでまでボロ屋を新築の住宅に建て替えたのだった。

 新築のときは「この工法なら50年はぜんぜん大丈夫」と言っていた会社が、10年たったら子会社の別の営業マンが「倒れちゃうこともあるんですよ。気をつけたほうがいいですよ」というのである。

 それで中の柱が腐っていないかをチェックするための診断費用を見積もってもらったところ、家の周囲に足場を立てて専門家に検査をしてもらうための費用合計が電話口で母が私に相談してきた170万円ということだったのだ。

 結局その話は、私が母を説得して断ることにした。それから間もなく母を東京に呼び寄せて一緒に暮らすようになるので、その意味ではその時点での170万円の出費は母にとっても老後の蓄えの中の無駄な出費になっていたはずだ。

 私が防衛策として決めたのは、それ以降、母が必要とする商品やサービスの営業マンの矢面に母を出さないことだった。尊敬される一流メーカーの営業 マンの中にも、組織の末端には営業成績をあげるためにそんなことをする人がいるのだ。ましてや聞いたこともない健康食品メーカーや、リフォーム業者に母を 紹介する勇気は私にはまったくない。

 社会全体の問題点がここにある。高齢化する日本社会では、フェアなビジネス慣行が確立されていれば“住宅業界は成長に拍車がかかるだろう”という予言通りのことが起きるのだが、現実の日本では高齢者は業者に食い物にされてしまうのだ。

■このままではリフォームしたくても 怖くてできない高齢者が増えるだけ
 一度リフォームを注文したらどうなるか?その顧客リストを生活のために横流しする営業マンがいるかもしれない。流通する違法な顧客リストを見てど んどん営業マンが来るかもしれない。実際にいつの間にか床下がシロアリ防止装置だらけになっていた老人宅がある。それも氷山の一角だ。

 そういうことがないように法律を整備したらどうだろう。認知症の老人がそのような業者に騙されないように後見人をしっかり立てたら?実際そうやって弁護士が後見人になったおかげで、弁護士にすっかり財産を奪われてしまった老人が出てくる。

 そして名簿の流出にしても後見人のトラブルにしても、刑事事件になるのはごく一部というのが日本のお寒い現状だ。

 全体が性善説でまわる経済であれば日本経済は成長するだろう。しかし高齢者マーケットは性悪説に立ったうえで、それでもまわる経済を設計しなけれ ば成長できない。それができなければ我が家のようにリフォームしたくても怖くてリフォーム会社を探せない高齢者世帯がどんどん増えていくだけだ。

 このように一番成長ポテンシャルが大きい業界は、一番大きな社会問題を抱えているのである。
 ≫(ダイアモンドONLINE:経済時事―今週も斜めに考えた・鈴木貴博)


≪ 90歳の入居者が激白!介護ホームの“悲惨なる日常”
川崎市幸区の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所者の男女3人が相次いで転落死した事件で、殺人容疑で逮捕された同施設の元職員の男は、 「(介護に)手がかかる人だった」 「ベランダまで誘導し、男性を抱きかかえて投げ落とした」 といった供述をしているそうだ。 介護のいかなる状況にあっても、暴力や虐待は許されることでない。 だが、 「他人事ではない」ーーー。

介護現場で働く人たちは、口をそろえる。 「……誰にでも、実はそういう事件を起こしてしまう立場にあるんだなぁって…」 いや、働く人たちだけではない。 ホームに入所している“高齢者”の方も、だ。

現在、90歳。ご主人が要介護となり、ご夫婦で入所されている方から寄せられたメッセージを紹介します。

介護現場のリアルを「我がごと」として一緒に考えてみてください。 「Sアミューユ川崎幸町で起こったことは、他人事ではないような気がしています。殺害なんて絶対に許されることではないし、虐待も暴力もいかなる場合も許し難いことです。
 でも、入所者の中には大声で喚き散らす人、たえずヘルパーを呼びつける人、自分が判らなくなってしまった人、思うようにならないとヘルパーの手をかみつく人など、さまざまです。 そんな人達の家族に限って 面会に来ることがなく、ホームに預けっぱなしなのです。
 私は夫とともに、毎日、食堂で食事をしているのですが、食事は終わったのに、食べた感覚がなく「食事を早くください!」「死んでしまいます」と大声でわめいている女性がいて、若いヘルパーが優しく対応している姿に頭の下がる思いがしています。
 ヘルパーさんたちがあまりに大変そうなので、食器を運ぶくらいお手伝いしようと申し出ました。 でも、絶対にやらせてもらえません。ナニかあったときに、施設の責任になるからです。 先週、またヘルパーが二人辞めてしまいました。理由は『給料が少なくて結婚できないから』ということでした。
 離職者があとを絶たず、その補充もなかなか見つからないので、残ったヘルパー達が、過重労働を強いられているのが現状です。 ホームには各部屋にインターホーンが設置してありますが、認知症の進んだ入所者がひっきりなしに夜間押すこともしばしばです。
 夜勤ヘルパーは、その度に対応しなくてはならない。就寝前に投薬が必要な人もいるので、夜勤の仕事はかなり重労働です。 ヘルパーの中には夜勤はしない、という条件で勤務している人がかなりいるので、限られたヘルパー達が順番でやっているのです。
 すぐに順番がやってくるので、真面目なヘルパーは体重は減るわ、顏はやつれるわで見ていて可哀想になります。私はいつもそんな彼等に感謝と激励の言葉を送っていますが、そんな感謝の言葉だけでは、彼女・彼らが報われません。
 みなさん、献身的にやってくださります。でも、……人間には限界ってものがありますよね。 政府は施設を作る、と言っていますが、その前にヘルパーの待遇を改善すべきだと思います。
 ヘルパー不足は入所者へ深刻な影響をもたらしているのです。オムツ交換が4回だったのが3回になり、夜間見回りもなくなり、適性があろうとなかろうと採用するしかない。悪循環です。
 高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき、だと思います。
 ここはまさしく姥捨山です。入居者たちはみんなそういっています。 入所者は家族が介護の限界にきたために本人の意志でなく入れられた人が多いので、私のように発言できる入所者は滅多にいないと思います。 私のコメントがお役に立つようでしたら、こんな嬉しいことはありません。どうか薫さんのお力で、たくさんの方に現状を知ってもらってください」

……これが介護現場のリアルです。 介護職の方たちの多くは、「おじいちゃんやおばあちゃんに、少しでも笑顔になってほしい」と献身的に働く人たちが多い。だが、そもそもそういう方たちでさえ、常に心の葛藤に襲われるのが介護の世界だ。

だって、関わるのは全員「人生の大先輩」。それぞれの人生、価値観で長年過ごしてきた高齢者の方に、注意するのはとても気を使う。自分の親でさえそうなのだから、他人であればなおさらだろう。

「本当にこれでいいのだろうか?」 「他にもっといいやり方があったんじゃないのか?」 そんな不安に苛まれる。 相手が“人”である以上、10人いれば10通りの問題が起こる。一つひとつは小さなトラブルで、ちょっとした対応で処理できるかもしれない。

だが、「ホントにコレで良かったのかな?」と不安になる。特に高齢者の“変化”は突然起きるので、対処が実に難しい。 本来であれば、そういった不安を現場のスタッフたちで分かち合えればいいのだが、全員が自分の仕事でいっぱい いっぱいで時間的にも、精神的にも、余裕がない。他の職員を気にかける余裕など微塵もない。

おまけに夜勤、早番、遅番とシフト勤務なので、顔を合わせることも少なくなる。 介護の現場というのは、実に「孤独」なのだ。

さらに、平均月収は21万円程度で、他の職種より10万程低い。ただ、これには施設長や看護職員など、比較的高い賃金の職種の方たちも含めた数字なので実際には10万程度という人もいる。

この低賃金を一般平均である30万程度にするには、年間1兆4000億円ほど必要となり(NPO法人社会保障経済研究所算出)、労働人口で単純計算すると「ひとりあたり年間3万円弱の負担」が必要になる。

ご存じの通り、昨年、4月から介護報酬が2.27%引き下げられたが、これは2006年の2.4%の引き下げから2回目のこと。介護施設の人権費率は約6割、訪問系介護は7割と大きいため、報酬引き下げはダイレクトに労働力不足に影響を及ぼす。

前回の引き下げで労働力不足に拍車がかかったにもかかわらず、再び引き下げを決めたのは狂気の沙汰としか言いようがないのである。

「月額1万2000円引き上げるっていってたでしょ?」

そのとおりだ。だが、それが本当に労働者にちゃんと支払われているかどうかは確かではないのが実情なのだ。

また、前述の女性のメッセージからも人手不足なのは痛いほどわかるのだが、2020年代には、さらに約25万人もの人材が不足するとされている(厚労省算出)。 重労働、低賃金、超高齢化社会ーーー。

この先どうなってしまうのだろう……。 「高齢者へ3万円支給する余裕があるなら、介護関係に回すべき」という、“高齢者”からの意見を、どう政府は受け止めるのか。 もし、質の高いサービスを望むなら、もっともっと介護保険料を国民が負担すべきで、それができないのであれば、サービスの質を下げるしかないと思う。

食事、排泄、入浴のニーズに対応するためだけのサービスと割り切り、現状の劣悪な環境を変え、当然、残業はゼロ。1人でも離職者を減らし、1人でも多くの人たちが介護士さんを目指し、1人でも多くの高齢者がケアを受けられ、1人でも多くの家族が自分の仕事と両立 できるようにする。

「でも、それじゃあ……」 うん。それでは……だ。

だが介護現場は、頑張りすぎた。頑張らないことから、議論し直す。崩壊するよりその方がまし。

だって、このまま質を求め続ければ、介護業界は破綻する。

これ以上の甘えは、暴力と同じ。崩壊も、虐待も、破綻もイヤ。誰もが老いる。親も老いる。自分も老いる。その人生最後の終の住処が、こんなにも悲惨な状況じゃ誰1人、幸せにならないのではないか。

そして、私も、もっとこの闇の解決策を現場に耳を傾け探して行きたいと思っています。

河合薫 健康社会学者(Ph.D.,保健学)。
千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。 2004年東京大学大学院医学系研究科修士課程修了、2007年博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調 査研究。フィールドワークとして行っている働く人々へのインタビュー数は600人に迫る。医療・健康に関する様々な学会に所属し、東京大学や早稲田大学で 教鞭を取る。2月下旬発売・新刊「考える力を鍛える『穴あけ勉強法』・難関資格・東大大学院も一発合格できた!」(草思社)  ≫(yahooニュース:個人―河合薫)

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シフト――2035年、米国最高情報機関が予測する驚愕の未来
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●自民党、議員も閣僚も粗製乱造 親分の感情劣化ウィルス感染か

2016年02月19日 | 日記
中東複合危機から第三次世界大戦へ (PHP新書)
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●自民党、議員も閣僚も粗製乱造 親分の感情劣化ウィルス感染か

今さらだが、数に驕る民主主義の弊害が、如実に表れたのが、現在の安倍自民党の姿だろう。雪崩現象を起こしてしまう小選挙区制度においては、このような議員の劣化は、民主党時代にもあったし、小泉チルドレンにおいても起きたことで、おそらく今後も起きる現象と捉えておいて良いだろう。そもそも論的な発想で考えれば、民主主義において、自分たちの主権の行使を代議員に任せると云う習慣を身につけていない国の有権者に、それをさせていること自体が問題になる。

上述のような表現は、武士の情的なのだが、口悪く言えば、ヒラメ議員が増えれば増えるほど、親のフリ見て子は行動するもので、親の日常的振舞いが、ブーメランのように、親を悩ますと云うことになる。つまりは、大親分の振舞いが、党内の議員全員の振舞いのサンプルになると云うことだ。親分や幹部連中が、屁理屈と強弁。それでも通用しない時は、恫喝、買収と手段を選ばずに、日常的に振る舞っている事を肌で感じての政治活動だけに、今後も、こういう事は、起こるべくして起きるだろう。

個別の話を取り上げる気にもならない。釈明の内容には、多分そう云う積りで言ったのかもな?と思える部分もある。ただ、言葉と云うものは、或る部分を切り取られて、独り歩きしてしまうものなのだから、有権者の負託を受けた国会議員には、それなりの代表としての矜持や教養も、重要な議員たる人々に課された責務でもあるだろう。しかし、矜持と云う点で言えば、“法的に、やれないことではないが、やらない”と云うのも、広い意味の政治家に求められる矜持である。

その政治家の矜持のサンプルにならなければならない、内閣総理大臣が、日本国憲法の法理念を、条文によっては、此のようにも解釈可能だと言い出し、憲法改正にまで言及するのだから、議員にしてみれば、サンプルが許されて、真似した子分が叩かれるのでは、些か納得いかないとも言える。逆に言えば、官邸に棲めるほどの権力を持てば、許される様々な行為や発言も、議会に議席を持つ程度では、許されないと云うことになる。再び、そもそも論になってしまうのだが、有権者の劣化が国会議員の劣化に繋がるとも言えるわけで、現状の我が国を凝縮した世界が、永田町でも起きていると思うことも出来る。

筆者は、個人的に、八百万の神を受入れる柔軟な日本人。悪く言えば、融通無碍にして、ご都合主義で生きてきた日本民族に、一定の方向性を持ったイデオロギーは不向きだ。固定的なシンボルを中心に回る世界が好みなのだ。そのシンボルはサンマの頭でも良いわけだが、それでは普遍性や正当性に疑問がある。そこで生まれたのが、室町以降の幕藩政治と政治判断能力を奪われた天皇であった。天皇は、おそらく、どの時代においても政治的ではなかった。(*後醍醐天皇は権力志向はあったが、最終的に権力を握るまでには至らなかった。)

このような支配体制で、長きに亘り、国を形づくっていたわけで、そう簡単に、今日からデモクラシーだよと言われても、正しい選択が可能かどうか、疑わしい。司馬遼太郎の『この国のかたち』で、司馬は、八百万の国、日本と理解し、“神仏習合”への流れを解説していた。しかし、彼は、突如“明治維新”において、欧米文化も同様な形で吸収し、見事な維新を成し遂げたとしている。しかし、それまでの“神仏習合”の知恵と、文明開化の知恵には本質的相違がある。その後、欧米文化が、八百万の国のイデオロギーを固定化させた。つまり、現在の“日本という国のかたち”は欧米文化なのだ。

欧米文化による、実生活や、それを支えるマネーがイデオロギーであり、八百万を神格化させる融通無碍が消えて、銭と地位がイデオロギー的になっており、安倍首相は年がら年中、欧米文化を「普遍的価値」と念仏のように繰り返している。「国際社会」という鵺のような言葉も多く聞かれる。この根源的矛盾を突き詰めていかないと、常に我が国は世界と共に流動化する。たしかに、世界全体を眺めても、日本はまだまだ、マシな国で恵まれている。しかし、恵まれ、余禄が残っている間に、欧米キリスト教的イデオロギーに殉じて良いのだろうか。筆者は、立ちどまる勇気を持つべき時代が来ているのだと痛感する。

ただ、追記風味で書き添えるなら、シリアにおける、“シリア政府軍・ロシア・イラン”と“サウジ・トルコ・米ネオコン”の対立は、線引きを間違えると、第三次世界大戦の導火線になりかねない情勢のなので、自民党議員の劣化云々など、些末と言っても過言ではない世界情勢かもしれない。オバマやケリーが外交のイニシアチブをハンドリング出来ない状態になっているのだから、オバマはキューバなど訪れている余裕はなくなるような気がしている。アイゼンハワーが口酸っぱく注意喚起した軍産複合企業群の抬頭と、サウジのマネーが結びつき、閉塞してしまった資本主義に再度命を吹き込む方法論として、「戦争経済」を希求することは、杞憂ではなく、リアリズムとして存在する。南沙諸島発の世界戦争よりは、対岸の火事になるだろうが、戦火がどこまで広がるのか、誰にも予想は出来ないような事態に、実はなっている。もう60年近く生きたから、もうやり残しも、言い残すことはないが(笑)。


 ≪ 丸山議員奴隷発言 止まらぬ失言…自民、緩みっぱなし
■丸山議員は委員辞任 選挙戦略への影響懸念の声も
 自民党の丸山和也参院議員は18日、オバマ米大統領を念頭に「黒人の血を引く。奴隷ですよ」などと発言した責任を取り、参院憲法審査会の委員を辞任した。谷垣禎一幹事長が引き締めたにもかかわらず、同党議員の失言は止まらない。安倍晋三首相が描く選挙戦略への影響を懸念する声も出始めた。
 谷垣氏は18日、丸山氏に「足をすくわれることがないよう発言には注意するように」とくぎを刺した。しかし、丸山氏は同 日、記者団に対し「真逆の批判をされているとしたら非常に不本意だ。人種差別の意図はまったくない」と正当性を強調。民主、社民、生活3党が議員辞職勧告 決議案を参院に共同提出したことにも「良心において恥じることはない。受けて立つつもり」と言い切った。
 自民党では、丸川珠代環境相が東京電力福島第1原発事故による除染の長期目標を「何の科学的根拠もない」と発言し、陳謝したばかり。島尻安伊子沖縄・北方担当相は記者会見で北方四島の「歯舞」を読めないという失態を演じた。
 さらに18日の衆院予算委員会では、民主党議員が丸山氏の発言を追及した際、自民党の長坂康正衆院議員が「言論統制するのか」とやじを飛ばしたため、野党が反発。長坂氏は小此木八郎国対委員長代理から口頭で注意された。
 自民党は17日に各派閥の事務総長を集め、発言に注意するよう促したばかりだった。ある派閥会長は18日、「大勢の議員の当選で『自民1強』になり、大勢の議員の中で目立ちたい人が出てきたのではないか」と指摘。岸田文雄外相も岸田派会合で「マスコミの目はますます厳しくなる。気持ちを引き締めて頑張らなければならない」と訴えた。
 公明党の漆原良夫中央幹事会長は18日の記者会見で「(発言を)撤回すれば済む問題ではない。こういうことが重なりボディーブローのように政権に響く」と不満を表明した。
 同党幹部は「支持者から『なぜ自民党を止められないのか』とわが党まで批判を受けかねない」。夏の参院選と衆院選の同日選が取りざたされる中、「こんな状況で解散などできない」と首相をけん制する声も出ている。【田中裕之、横田愛】
■丸山和也氏の17日の発言要旨
 例えば日本が米国の51番目の州になることについて憲法上、どのような問題があるのか。そうすると集団的自衛権、日米安保条約も問題にならない。拉致問題すら起こっていないだろう。米下院は人口比例で配分され、「日本州」は最大の選出数になる。日本人が米国の大統領になる可能性がある。例えば米国は黒人が大統領だ。黒人の血を引く。これは奴隷ですよ、はっきり言って。当初の時代に黒人、奴隷が大統領になるとは考えもしない。これだけダイナミックな変革をしていく国だ。
■丸山氏の18日の釈明
<米国の51番目の州>

 参院憲法審査会で参考人から「大統領制を導入すべきだ」と言われた。日本的にいえば首相公選制だ。2院制で大統領制を持つ国の代表として米国を引き合いに出した。
<米大統領関連>
 自己変革があり今の米国が生まれたことをたたえるつもりで話した。人種差別だという真逆の批判は非常に不本意だ。私はマーチン・ルーサー・キングを尊敬している。
<野党の議員辞職要求>
 良心において恥じることは何もない。良心対良心の問題なので受けて立つつもりだ。


 ≪ 自民党 失言・不祥事続き危機感 引き締めに躍起
自民党が所属議員の失言や不祥事が相次いだことに危機感を募らせている。4月の衆院補選や夏の参院選にも影響を及ぼしかねないとして、党執行部は党内の引き締めに躍起だ。【佐藤慶】
 安倍晋三首相「襟を正して国民の負託に応えていきたい」
 谷垣禎一幹事長「政府・与党議員に対する国民の視線は、常に厳しい。自覚して言動に十分注意していきたい」
 15日の党役員会では、所属議員に議員としての自覚を促す発言が相次いだ。
 これに先立つ衆院予算委員会では、「育休」を宣言していた宮崎謙介衆院議員が妻の妊娠中の不倫を認め議員辞職を表明したことに関し、首相は「我が党の議員がああした形で辞任にいたったのは党の総裁として申し訳ないという思いだ」と語った。
 宮崎氏や未公開株を巡る金銭トラブルで昨年、自民党を離党した武藤貴也衆院議員らはともに2012年に初当選した衆院2回生。問題が相次ぐ背景に、大量当選した2回生の特殊事情を挙げる声があり、党執行部は、若手議員への指導を強化していく考えだ。
 しかし最近の問題発言は北方領土の「歯舞」群島を読めなかった島尻安伊子沖縄・北方担当相、東京電力福島第1原発事故後に定めた除染などの長期目標を「何の科学的根拠もない」と発言した丸川珠代環境相らにも及び、衆院当選2回生に限られたものではない。
 金銭疑惑で甘利明前経済再生担当相が閣僚を辞任した後も、安倍内閣の支持率は堅調のまま推移している。「スキャンダルがあっても支持率に大きな影響が出ていなかったことが気の緩みの原因か」(中堅)と、高支持率が緊張感の欠如を招いた要因との声もある。
 党執行部は、失言などが今後も続きボディーブローのように政権基盤が徐々に弱体化していく事態を恐れている。谷垣幹事長は15日の記者会見で「こういうことが我が党の必ずしも強固といえない(支持の)基礎を掘り崩す恐れがある」と危機感をあらわにした。
 ≫(以上、2引用記事は毎日新聞サイトより)

新・地政学 - 「第三次世界大戦」を読み解く
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●民主解党! 小沢一郎の“縁の下の力持ち”功を奏するか?

2016年02月18日 | 日記
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●民主解党! 小沢一郎の“縁の下の力持ち”功を奏するか?

今夜も多忙也。居酒屋談義でお茶を濁すが、暫しの時間をいただこう。先日拙コラムで、安倍官邸が本気で「憲法改正」を企てるのであれば、公明やお維などよりも、民主党の吸収合併を画策した方が確実ではないかと書いておいたが、どうも民主党は驚くほど結束力がない状況が続いている。小沢は、悪名高き松下政経塾出身のボス前原誠司にまで説得工作をしたようだが、案の定、色よい返事はなかったようだ。まあ、小沢も、無理を承知で仁義を切った面もあるだろう。

小沢一郎は返す刀で、維新の松野とも会っている。こちらは、昔のよしみか、鳩山由紀夫の陰の力も加わってか、友好的関係を一歩前進できたようである。政局に目聡い産経新聞が、論理矛盾じゃないかと以下のようにケチをつけている。

≪「改憲・維新」看板倒れ 共産党と「3分の2」阻止へ共闘も 民主党は相変わらずバラバラで…
憲法改正の議論が17日、国会で再開した。安倍晋三首相は夏の参院選で憲法改正の争点化に意欲的だが、合流を協議している民主、 維新両党は改憲反対の声を強めている。特に改憲政党を自任する維新の党は「安倍政権下で憲法改正の議論はしない」とする民主党に同調。忌避してきた共産党 とも改憲阻止で連携を深めつつあり、「看板に偽りあり」の状態になっている。
 「安倍政権で『憲法を争点に選挙』といわれると非常に乱暴な感じがする」  維新の石関貴史国対委員長は17日の記者会見でこう述べ、憲法改正に否定的な考えを示した。小野次郎政調会長も12日の記者会見で憲法改正に協力しない考えを表明した。
 もともと維新は基本政策に「憲法改正による統治機構改革」を掲げている。しかし、昨年の党分裂で、改憲に熱心な議員の多くがおおさか維新の会に流れ、改憲色は薄まっているのだ。 その結果、民主党との合流構想が暗礁に乗り上げつつある中、分裂前はタブーだった共産党との協力を探る動きまで出ている。松野頼久代表は、15日に護憲を旗印にする共産党の志位和夫委員長と会談し、参院選の協力などで意見交換した。
 会談に同席した維新の今井雅人幹事長は「改憲勢力に(発議に必要な)3分の2(の議席)をとられてしまうことは政治的な大敗北になる」と強調。共産党の穀田恵二国対委員長も維新を含む野党連携をめぐり「憲法改悪反対が大きなポイントだ」と述べ、足並みをそろえた。
  民主党の枝野幸男幹事長も17日の記者会見で「憲法を守っていない人が憲法を変えるということがちゃんちゃらおかしい」と首相を批判した。ただ、民主、維新両党は統一会派結成にあたり「必要な条文の改正を目指す」ことで合意。民主党の前原誠司元外相は先月、自身のブログで「憲法改正が必要だ」とし、前文の 一部と9条2項の変更に加え、緊急事態条項の必要性を訴えた。しかし、民主党の国会論戦は改憲反対で一色となっている。 ≫ (産経新聞:内藤慎二、酒井充)


たしかに、論理は矛盾しているが、脱法政権、法理念無視政権である、勘違い模様の安倍ファシスト政権と対峙するのだから、闇討ちだろうが何であろうが、勝てば官軍、そのくらいの根性丸出しで対峙しない限り、あの広域暴力団の若頭のような菅官房長官をギャフンと言わせることは出来ない。敵乍ら、想像以上に下品な策士である。如何にも、野党共闘が難航しているように見せることは、第一級の戦略であることは言うまでもない。外堀を埋めて、民主党内の右派を立ち往生させようと云う流れは出来つつある。

最終的には、民主党の最終回答、共産党との連携も辞さずに至った場合、「連合系議員」がどのように振る舞うかだ。おそらく、連合に泣きつくに違いない。連合自身も、エラそうなことを言っているが、実際問題、一つの政治勢力を作れるほどの力はない。となると、不承不承付和雷同するか、ヤケクソで「民社党」風な鵺の政党を作るかだが、おそらく前者である可能性が強い。無論、共産党には、閣外協力にして欲しいくらいの注文はつけるだろうが、呉越同舟であっても、緊急避難と云う合言葉で、安倍ファッショ政権に対峙するしか選択肢はない。

共産党の志位にしてみれば、実よりも、現状は名を取るべきと腹を括っているだろうから、その条件を飲むだろう。ただし、この安倍ファッショ政権の参議院2/3議席阻止の功績は、有権者の頭に残るので、将来、「共産党アレルギー」と云う、根拠不鮮明なトラウマを払拭する絶好の機会でもあるわけだ。米大統領選で、民主党の大統領候補争いで、民主社会主義者(殆ど社会主義)のバーニー・サンダース議員の存在がクローズアップされれば、「レッドパージ」のアメリカでさえ、と云う風潮は、日本社会にも浸透してゆく。

おそらく、これ以上、日本経済が好くなる可能性はないわけで、悪化の可能性の方が勢いがあるわけで、格差社会の実感は増すばかりだ。 *そう云う意味で、安倍と黒田のピント外れな経済政策は、日本社会に、日本独自の成熟国家社会主義を醸成させる土壌は出来つつある。あれだけ監視化されたメディアの中では、フラストレーションのマグマが相当に溜まっているわけで、特別、ヘタレの集団と断言は出来ない。思わず、トンデモナイ強権を振り回され、瞬間的にビビったと見るのが妥当だろう。誰でも、そうだろう。思いもよらない形で、ギャク切れされると、つい、その場を収めておこうと思うのは、人の世の常である。今夜は、チョイと妄想に耽ってみた(笑)。

個人的希望だが、枝野幸男の民主党内の反逆に期待する。枝野がなぜ、前原グループ内にいたのが、筆者には、世界の七不思議なのだが、いずれ、スッキリした回答を見せてくれるのではないかと、個人的に思っている。あの面構えを見て、小沢一郎が声をかけた気持ちは良く判る。先の国会における、安保法制阻止の長時間議会演説も聞くに堪える内容であった。あれだけのことを、原稿なしで話せる政治家は、滅多にいない。

ダレス兄弟: 国務長官とCIA長官の秘密の戦争
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●17日以降は甲羅に身を隠せ 処方箋のない経済危機の接近か?

2016年02月17日 | 日記
官賊と幕臣たち―列強の日本侵略を防いだ徳川テクノクラート
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●17日以降は甲羅に身を隠せ 処方箋のない経済危機の接近か? 

以下はヘッジファンドと云う悪魔的金儲けを、ジョージ・ソロス共同で考えだした、ジム・ロジャース氏の、現在の世界経済、日本経済に対する感想だ。近時、ファンドの成績不振から、アナリストとしての評価は下がり気味だが、様々な点で、的確な目を持っている事を窺わせている。筆者との考えの違いは、数年の混乱だと言うロジャース氏に対して、筆者は永遠だと考えている部分だ。少なくとも、ファンドを抱えている立場があるので、世界経済の阿鼻叫喚が永遠では“洒落にもならない”ので、立場上、数年と言わざるを得ないのだろう。

今夜は時間がないので、多くを語るのはやめておくが、為替介入をしたものの、目標値、対ドル115円には届かず、息切れ状態を示唆している。同氏は、110円と円高傾向だった時期に、売り抜けたのだろう。おそらく、115円が日本政府の好みの対ドル相場の境目のようだが、世界のエコノミストの境界線は、110円に設定されていることを窺わせるインタビュー記事だと感じた。110円では、どのくらいの日本の輸出企業が利益を出せるか判らないが、2割に満たないものと予想できる。つまり、輸出製造業の5~7割程度は、忌々しい来期予想を発表する感じになってきている。

安倍内閣は、暴力団と馬鹿とヘタレの群れのような醜態が続いているわけだが、それでも尚、40~50%の内閣支持率を得ているのだから、大したものだ。4月解散でも、7月W選でも、10月解散でも、自在のはずだ。しかし、その割には、おおらかな態度がどこにも見当たらいない。このような状況は、安倍首相の個人的資質の所為なのか、足を引っ張る閣僚たちの所為なのか、恫喝世論調査の結果をまったく信用していない所為なのか、どうにも不可解だ。朝日の調査結果ではないが、民主と維新の合併など、政局にとって何ら影響がないか、マイナスに響く可能性すら示唆している。

仮に、「恫喝世論調査の結果をまったく信用していない所為なのか」である場合、菅官房長官の次の一手は、自民・民主の合併なのではないかと、筆者は時々悪夢を見る(笑)。ここでも、小沢一郎流の政局作りがパクられている。あの時の民主は、まだ、小沢と鳩山のいるリベラル政党だっただけに、安倍政権などと云う、狂気の沙汰のような政権の誕生はなかった事を思うにつけ、菅直人、前原誠司なんてのは、政治家であってはいけない存在なのだと思う。考えるにつけ、松下政経塾は、日本と云う国を崩壊させるエスプリを効かせていなのではと疑いたくなる。松下幸之助の、最大の誤りは、この塾教育にあったのかもしれない。野田佳彦、前原誠司、玄葉光一郎、原口一博、高市早苗、逢沢一郎、松沢成文、中田宏、村井嘉浩宮城県知事‥等。国が滅びるわけだよ(笑)。


≪ ジム・ロジャーズ氏「中央銀行はパニック状態」
  リーマン・ショックよりもっとひどい時代がやってくる
2016年2月12日、1年4カ月ぶりに日経平均株価が1万5000円を割れ、為替相場では1ドル110円をつけるなど、急速に円高が進行している。世界 的に続く金融市場の混乱を受けて、米FRB(連邦準備理事会)が追加利上げのペースを遅らせることを示唆するなど、これまで堅調と見られていた米国経済の先行きに不透明感が高まり、混乱が一層加速した模様だ。

 【 中国経済の減速懸念とそれに伴う資源価格の下落は、これまでプラス成長を見込んでいた先進諸国の実体経済を「負の連鎖」に引き込もうとしている。不透明感が強まる世界の金融市場は、実体経済にどれだけ影響を及ぼすのか。投資家は今後どう動くべきなのか。日経ビジネスはシンガポール在住の米著名投資家、ジム・ロジャーズ氏に電話で緊急取材。ロジャーズ氏は大荒れの世界経済に対し「世界の中央銀行は市場をコントロールできなくなっている」と話す。(聞き手は 武田安恵)】

 ―――今年に入って日本では日本銀行(日銀)がマイナス金利の導入を発表するなど、一層の金融緩和に踏み切っています。

ジム・ロジャーズ氏(以下ロジャーズ):マイナス金利はこれまでECB(欧州中央銀行)で導入の実績があるけれど、その後ECBが金融市場をよい方向にコントロールできているとは思わないね。
 ミスター黒田は、日本以外での実績も見込んで導入に踏み切ったのだろうけれど、私はこれが日本経済、そして世界経済にとってもプラスになることは 何1つないと思っている。時間の無駄だよ。混乱を一時的に回避する手段にはなるかもしれないけれど、根本的な解決にはなっていない。
 マイナス金利の導入を決定して以降、日本の債券も株も、非常に値動きが荒くなっている。だがこれは日本に限ったことではない。世界中で起こっていることだ。私は世界中でこの混乱状態がもう2~3年は続くだろうと見ている。どの国の株式に対しても、私は楽観的ではない。

 ―――世界経済の混乱の発端は、中国経済の減速と見られていますが。

 ロジャーズ:中国のせい? 私はそうは思っていない。中国だって混乱で苦しんでいる国の1つだ。今回の騒動の諸悪の根源はすべてワシントンにある。米国はここ数年、大量の紙幣を刷り、金利を歴史的にこれまでなかった水準にまで引き下げた。

 ■「中国だって被害者だ」
 人々は貯金しても金利がつかないから、いろんな所に投資するようになった。将来に備えて蓄えようと人々がお金を預けた年金や保険の運用担当者も 皆、世界中の株や債券、不動産に投資した。これが何を意味するのか。確かに資産価格は上昇するだろうよ。でも、結果的に国の債務が増えるだけで、実体は何も残らなかったのだ。
 そして今、米国は資金を引き揚げようとしている。金利を上げることによってね。これまでやってきたことのツケが今、大きな混乱となって世界を襲っているのだ。中国だって被害者なのだよ。

 ―――しかし、中国政府の過去の景気対策が中国企業の過剰投資を生み、中国の債務を増やした側面もあります。本当に中国が原因ではないのでしょうか。

ロジャーズ:2008年のリーマ ンショックの際、確かに中国政府は大量の資金を使って企業の救済に動いた。景気対策の資金がバブルを生み、ツケを残したとの見方があるが、米国がこれまでに発行した国債の量と比べれば、低い水準だ。それに中国には蓄えがある。個人の貯蓄率は依然、高いレベルを保っている。米国の個人とは違う。
 確かに中国株は去年急落したけれども、長期的に見れば、経済成長に多少のアップダウンは付きものだ。一本調子で成長する国なんてないからね。中国経済の減速を世界経済の混乱の要因とする見方には、賛成できない。

 ■「調整局面はだらだらと2年は続く」
 中国だって世界中の国と貿易している。世界経済が減速しているのだから、中国だって影響を受けざるを得ないだろう。
 米国が金利を上げれば、大量の投資資金が引き揚げられる。中国経済にとってダメージにならないわけがない。

 ―――世界の中央銀行は今後どのようにして混乱を収めていくのでしょうか。

 ロジャーズ:大量に紙幣を刷り、金利を引き下げ、資産を買い入れ、マイナス金利も導入した。世界の中央銀行は今、パニックになってあらゆる策を講じている。でも効かない。
 躍起になればなるほどマーケットは荒れる。低金利だった時間が長ければ長いほど、そこから脱出するための時間も長くかかる。この調整局面はもうしばらく数年はだらだらと続くだろう。少なくとも2年はかかる、いやもっとかかるかもしれない。
 日本がいい例だ。低迷する日本経済を救済すべく、日銀は金利をゼロにした。銀行や会社を潰さないようにね。でも、それは現実から目を背けることにしかならなかった。金融政策によって作り出された人工的な市場は、結果的に問題を先送りしてきただけだ。

―――ずいぶんと悲観的なシナリオをお持ちですね。

 ロジャーズ:「悲観的」なんて言わないでくれよ。私はリアリストだ。現実を直視し、今起こっていることを話しているだけだ。もう一度言っておくが、これは始まりに過ぎない。
 日本はもう景気後退期に差しさしかかっている。すでに調整は始まっているのだ。2008年のリーマン・ショックの時より深刻な状況になるかもしれない。債務は当時より膨らんでいるのだから。

 ―――一方で、原油価格の下落が続いています。

ロジャーズ:原油価格は今年中に悪材料が出尽くして底をつけ、今後3~4年かけてまた上昇すると見ている。
  今、価格下落でどこの石油会社も石油の採掘をストップしている。供給が抑えられているから、いずれ原油は不足してくるはずだ。だから価格は上がる。

―――こうした局面で、投資家はどう動くべきなのでしょうか。

 ロジャーズ:私は今、何も動いていない。どの国の株式も債券も危険すぎる。短期トレーダーでない限り、手を出してはだめだ。

 ■「日本はもう売り時」
 通貨に関しては米ドル、日本円、人民元を保有しているが、日本円はもう売り時と考えていて、来週には売ってしまおうと思っている。だいぶ円高に動いたからね。
 ただ、前々からの持論だが、農業関連の資産に投資するのは有効だと思っている。安全資産と言われている金は、最近また価格が上がり始めているが、価格が1トロイオンス1000ドルを下回らなければ投資する価値はないと思っている。

*ジム・ロジャーズ氏
1942年米国メリーランド州生まれ。70年代に、米投資家ジョージ・ソロスと共に国際投資会社を設立し、 10年間の間に得たリターンは3000%以上だった。その後、わずか37歳でファンドマネジャーを引退し、世界一周の旅に出、「冒険投資家」の異名をも つ。コモディティー価格の上昇、中国の経済成長をいち早く予見した。2007年に米ニューヨークの自宅を売却し、家族でシンガポールに移住。2人の子供は 流暢な中国語を話す。(写真:的野 弘路、以下同) 
 ≫(日経ビジネス:総合・政治経済―ニュースを斬る)

蘇我氏の古代 (岩波新書)
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●為替介入で一息ついた安倍政権  市場は白目で黒田を眺める

2016年02月16日 | 日記
原発棄民 フクシマ5年後の真実
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●為替介入で一息ついた安倍政権 市場は白目で黒田を眺める

財務省の為替介入と売られ過ぎへの反動で、東証日経は、500円高程度のところ、1069円上げて終わった。官邸にしてみれば、このままの勢いで、18000円台まで高騰してくれないか祈る気持ちでいるのだろう。しかし、そう云う事は、現実的に起きにくい。なにせ、GDPがマイナスなのだから(笑)。日銀がバランスシート無視で買い込もうと、年金基金を手荒く扱おうと、焼け石に水だろう。将来的には、例の社会保険庁、放漫運営グリーンピアの何千倍の損害を出し、最後は年金受給者の支給額に悪影響を及ぼす。

真面目にコツコツを真っ当に生きてきた実直な日本の働き蟻に、安倍政権は、己らの経済政策の破たんを隠ぺいするために、煮え湯を飲ませる可能性が高くなってきている。無いものをあると信じて生きるのも、一つの人生ではあるが、個人的であれば許容の範囲だが、政権が、特に売名行為のような“アベノミクス”の経済的成功を演出するために、国民の懐に手を突っ込み、挙句に損金が出たから、支給額は減らすぞでは、倫理哲学上、悪になるのだろう。しかし、法的には、将来安倍晋三を裁く根拠はない。きっと、安倍は言うだろう、立場上、あの方法論しかなかった。経済諮問会議の趣旨に従ったと。

たしかに、世界を振り回している、溢れかえったマネーが、意志など持たないにも関わらず、如何にも意志のある生きもののように、世界中を悲劇の渦に巻き込んでいるのに、止めることが出来ない。誰かが、どこかの時点で「やめた!」と言えば、止まると云うものでもない。世界が金融資本の原理で動いている限り、一人だけ止めて、“いち抜けた”と云う宣言が出来ないのだから、その原理につき合っていかなければならないのも、実は道理なのだ。ただ、アメリカに替わって、世界のトップランナーとなり、経済成長論に国を挙げて参戦するのは間違いだ。それこそ、日本らしく、中段グループの前辺りを走るべきなのだ。

にもかかわらず、中央銀行である日本銀行の黒田総裁は、世界の金融関係者を意識して、スタンドプレイに興じている。まさに、ハスラーの世界に酔いしれていると言って良いだろう。官邸では、管理社会国家を目指す政治家が詭弁に詭弁を重ねて、「脱法」と云う命題を基本理念に為政を継続しているのだから、空恐ろしい。民主主義と資本主義が行き着くところに達していると云う認識は、世界的にはメジャーな感覚に違いない。経済成長をほぼ期待できない社会、それが21世紀経済の基本的スタンスだろう。経済学者や政治家が、経済成長神話を引っ張りだして話をするのは、答えに窮した時に、「中国が~~」と言っているのと同じで、「経済成長が~~」となる。

なぜ、「経済成長が~~」が有効かと云うと、そのフレーズを出すことによって、話題の提供が簡単だからである。地方分権、規制改革、規制緩和などの話題や、イノベーションと云う言葉を持ちだして、延々と御託宣を語ることが出来るので、その麻薬から抜け出せない。そうすることで、政治家は利益誘導と票を結び付けられる。官僚は、組織として何かをする度に、組織が周辺に増殖されるので大歓迎だ。経済界は、「経済成長が~~」と政府や官僚が言い続けている限り、経済成長に貢献するであろう政策、優遇措置が期待できる。

三方だか、多方面かは判別不可能だが、丸く収まる。企業の政策減税は、1兆2千億円に達し、内部留保の山を築いているが、「経済成長が~~」が幻想であることは、経済界の連中が一番知っている。しかし、“それを言っちゃあオシマイよ”と云う理由で、誰も公に語ることはない。そのような事を言ってしまえば、株主利益がすべての金融資本主義では、経営者として落第を自ら認めたことになるからだ。筆者か嘗て、上場企業において、増収増益に汲々とする体質を変えようと試みたことがある。減収増益に向かう方が、企業体力が強まると云う理屈なのだが、市場占有率論の勢いに負けた経験がある。

実際問題、市場占有率論の根拠は、市場のパイが成長過程においては、そのロジックは有効だが、市場が縮まる過程においては、論理は破綻する。破綻も視野にあるが、先頭を切って破綻したくないと云う保身の心が、すべてを台無しにする。ただ、現状で定常経済における経済政策、再分配法則の見直しを口にすると、政治家は選挙に落ちるし、官僚は冷や飯を食うことになるし、経営者は落伍者の烙印を押される。ゆえに、間違っていると信じていても、走り続けるしか選択がないのが現状だと言える。

このように書いてみると、「空気」に抗うことが出来ずに戦争に傾斜していった、嘗ての日本の姿に近似している事に気づく。「経済成長が~~」嘘だけど、有ることにする約束事、つまり「空気」が醸成されたまま「空気」となり、誰もが抗えない世界が出来上がっていると云うのは皮肉な歴史の巡り合わせだ。たしかに、筆者が、政治家だったり、経済界の人間であったなら、「定常経済と再分配の構築」などと云う議論は出来ないかもしれない。ここに気づいている人はかなりいるのだろうが、それを口に出せない。この安富歩氏いうところの「立場主義」が、真実を隠ぺいするのだろう。

まあ、さっさと崩壊の危機を迎えるのが、真の幸せと云うのも奇妙な言い回しだが、結論を急げば、そう云うことになる。政府の為替介入で、一息ついた株式市場だが、この無理筋のツケもいずれは国民生活を直撃するのだろう。海外で16日に入っても、まだ円安が続いているが、あまりにも過剰な介入、そろそろ、各国からクレームが入っくる時間帯になっている。この政府の介入は、次の手に負えないステージを誘発するわけで、次回の下げは、一段と厳しいものになる。15000割れは、ほぼ確実だ。安倍首相のGDP600兆円がどれ程の嘘か、以下のロイター記事読んで再確認しておこう。

≪ 焦点:15年個人消費、3年前から1.5兆円減 名目GDP増波及せず
[東京 15日 ロイター] - 2015年の個人消費が実質国内総生産(GDP) ベースで306.5兆円と、安倍晋三内閣が発足した12年の308.0兆円から1.5兆円縮小した。3年連続で政府が賃上げ増を働きかけかたが、消費活性化にはつながっていない。原油安効果などで名目GDPは増加したものの、企業の内部留保が積み上がるだけで、消費増に波及していない。足元の市場で動揺が 広がっており、先行きの不透明感が高まっている。

<消費の流行にも変化>
 15日発表の15年10─12月期GDPは、個人消費悪化を主因に2四半期ぶりのマイナス成長となった。個人消費は306.5兆円と、12年の308.0兆円から縮小。東日本大震災のあった2011年の301.2兆円以来の低水準だ。
 2013年当時、「プチぜいたく」と呼ばれた消費トレンドと、最近の状況は様相が違う。
 例えば、流行している口紅の色合いの変化は女性なら敏感にわかるはずだ。資生堂(4911.T)によれば、13年秋冬は「資生堂・ラッカールージュ413」のブライトレッドの口紅が人気だった。真紅に近い色味の流行は、バブル期以来と言われていた。価格はやや高めの3500円(税抜き)。
 今シーズンの注目色は「マキアージュ・デュアルカラールージュ10番」。色味も質感もすべて主張し過ぎないのが主流となっている。唇の自然な赤みを再現する発色が特色のこのシリーズ、価格は店舗によっても異なるが、ほぼ2700円(税込)。
 好まれるワインの銘柄も大きく変化している。2015年の年間ワイン輸入量は、初めてチリワインがフランスワインを抜き、トップに躍り出た。
 キリンホールディングス(2503.T) は、チリワインの人気について「コスト・パーフォマンスがいい。低価格戦略ということで300円台、400円台という品ぞろえに力を入れている。日本とチリ のEPA(経済連携協定)も低価格の要因の一つ」(広報)と、価格面の要因を挙げる。消費の現場では、再び節約志向が息を吹きかえしているように見える。

<3年連続の官制春闘の成果実らず>
政府の当初のシナリオでは、原油安の恩恵で企業収益が拡大して「官制春闘」を賃上げ増につなげ、増税や物価高で目減りした実質賃金を押し上げ、それをテコに消費が回復するシナリオを期待していた。
 また、原油価格低下による「交易損失」の減少幅は、15年に前年比7兆円のとなり、国内企業は14年以降、四半期ごとに過去最高益を更新するところが続出した。
 ところが、所得面では「実質総雇用者報酬」が消費増税前の水準に戻らず、家計は増税や円安転嫁の物価高を克服できていない。
 その要因の一つとして指摘されているのが、日本全体でみるとベースアップ拡大の動きが期待ほど広がらなかったことだ。
 日本総研・調査部長の山田久氏によると、ボーナスに比べてベースアップによる消費への影響度は数倍に上る。しかし、雇用維持を優先する日本では、労使とも企業負担の大きなベースアップには抑制的だ。
 ベア率は大企業でせいぜい0.7%程度。雇用の7割を占める中小企業でベースアップを実施したのは、2015年で全体の18%に過ぎない(経済産業省調べ)。
 さらに賃金水準の低い非正規雇用者の比率が4割まで拡大し、人手不足で雇用にタイト感は生まれても、安心感にはつながっていない現実もある。

<名目値は拡大しても、実質は1─3月期も低調に>
他方、目立つのが名目GDPの拡大だ。この3年間ほぼ右肩上がりで拡大、伸び率は5%と実質値の1.7%に比べると大幅だ。
 その理由は、輸入金額の減少により付加価値金額が大きくなったからだ。1─3月期も原油価格の一段の下落が、名目値にはプラス効果だ。
 しかし、日本企業の多くは、コスト減を生産増や設備投資、人件費増にはあまり回さず、キャッシュポジションを積み上げた。その結果、付加価値増には結び付かず、実質GDPが名目に比べ、伸び悩む結果となっている。
 ニッセイ基礎研究所・調査室長の斉藤太郎氏は「いくら名目金額が膨張しても、実体としての経済活動が活発化していないのでは、ほとんど評価できない」とも指摘する。
 みずほ総研・シニアマーケットエコノミストの末広徹氏も「1─3月期は、世界経済の減速も意識され、実質GDPは せいぜい1%成長程度とみている。10─12月期のマイナス1.4%を取り戻せるとは思わない」と予想。1─3月期は暖冬の反動やうるう年効果で個人消費 が反発するとみられるものの、輸出の悪化幅が大きくなれば、2四半期連続マイナス成長の可能性も否定はできないとみている。
 16年は世界経済減速が意識され「下振れリスクが出てきた」(政府筋)だけに、2四半期連続のマイナス成長を回避できるか、政府の経済政策は、正念場を迎えそうだ。
 ≫(ロイター:中川泉 編集:田巻一彦)


朝日新聞が、皮肉なタイミングで世論調査を行った。ボロボロの株価を睨んだ状態で調査だったので、安倍首相の経済政策は不評の極みになってようだ(笑)。詳細は、紙面で確認する方が良いようだが、デジタル版の記事を以下に引用しておく。注記:≪内閣支持率は40%(前回1月調査は42%)で、横ばい。不支持率は38%(同38%)だった。≫調査結果の詳細を見てみると、経済成長はないと云う感覚を有権者は共有していることが窺える。民主と共産の連携では、定常経済と再配分にまで、政策調整が整合性を持てば、安倍自民党を下野させる確率は上がるのだが、到底望める段階にはない。


 ≪ マイナス金利で景気「期待できず」6割 朝日世論調査
朝日新聞社は13、14両日、全国世論調査(電話)を実施した。日本銀行が16日から実施する「マイナス金利政策」による景気回復が期待できるか尋ねたところ、「期待できない」61%が「期待できる」13%を大きく上回った。  内閣支持層でも「期待できない」49%が「期待できる」24%を上回った。「期待できない」は自民支持層で51%、無党派層で63%と半数を超えた。
 安倍首相の経済政策による日本経済の成長については、「期待できない」49%が「期待できる」32%を上回り、第2次安倍内閣の発足以来、最も高かった。こうしたアベノミクスへの期待は、2013年4月調査の「期待できる」55%をピークに下降傾向となっている。「期待できない」が最も低かったのは同じ調査での26%だった。
 甘利明・前経済再生担当相の辞任については、「やめたのは当然だ」が62%だった。また、民主党と維新の党が解党し、新党をつくったほうがよいかどうかを尋ねたところ、「いまのままでよい」49%、「新しい政党をつくったほうがよい」22%となった。民主支持層の55%が「いまのままでよい」と答えた。
 今夏の参院選比例区で、仮にいま投票するとしたらどの政党またはどの政党の候補者に投票したいかを尋ねると、自民37%、民主16%、公明5%、共産7%、維新の党2%、おおさか維新の会6%などとなった。  内閣支持率は40%(前回1月調査は42%)で、横ばい。不支持率は38%(同38%)だった。
 ≫(朝日新聞デジタル)

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●表向き「野党5党の共闘、暗礁に」  水面下の成り行きは?

2016年02月15日 | 日記
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●表向き「野党5党の共闘、暗礁に」 水面下の成り行きは?

現在の野党5党(民主、共産、維新、社民、生活)の参議院選に向けての、統一候補擁立戦術(国民連合政府構想―共産党提示)の進捗は、表向き、はかばかしくないものになっている。問題は、民主党の議員の間に、保守対リベラルと云う反目があることだ。表向きだが、到底融和できない体質が、党内にあるので、理論上絶望的だと云うのが、各マスコミの通り相場な解釈になっている。話し合いの状況が、各メディアから漏れ聞こえるような情勢であれば、菅官房長官も、高枕で熟睡出来るに違いない。

しかし、情報筋の話によると、菅官房長官は、夏の参議院選が一強多弱の構図のまま雪崩れ込むとしても、不安を払拭出来ないでいるらしい。世論調査の結果を見ても、安倍一強は盤石に見える。どの角度から分析しても、負ける要素を探すのが大変なくらいだ。しかし、それでも、無残な敗北をきしてしまう不安にさいなまれているようだ。まあ、完璧に勝ち戦との前評判くらい、当事者たちに、圧力を加えるものはないのも事実だが、疑心暗鬼の元は、どうも違うところにあるのではないかと云う憶測情報だ。

その存在は痩せても枯れても、“カノ人”であることは言うまでもない。“生活の党代表小沢一郎”と表現すると、迫力がなくなるのだが、“小沢一郎”とだけ表現すると、実は永田町では未だ神通力が残されていると意識される政治家なのである。昨年末、日本共産党・志位委員長が、日本の政治史に残るような「国民連合政府構想」誕生の陰の功労者であった事は、周知の事実である。小沢一郎の選挙スタイルは、どぶ板スタイルの田中角栄流の継承者として知られているが、今回の動きは、その小沢流から脱皮した動きを見せている。選挙の王道とは異なる動きが目立ちはじめている。

この、今までと異なる小沢一郎の動き方が、菅官房長官には、目障りなようである。正攻法の戦術を、完全に封印している。本来であれば、小沢信者を相手に、昔ばなしに花を咲かせるところだが、そのような動きを一切見せていない。「変わらずに生き残るためには、 自ら変わらなければならない」と云う格言を、改めて、もう一度噛みしめたように、今までの想定内の動きとは違う動きをしている。想定外のことなので、動きが読めない。ウォッチングしている記者連中も少ない。小沢一郎は久しぶりで、自民党幹事長時代のフィクサー感覚に目覚めたのではと云う疑惑である。

日本共産党の志位を立て、民主党を最大野党と持ち上げ、どんな形でも構わないが「国民連合政府構想」により接近した、政治勢力の結集に、奔走してる。この動きが、官邸の神経を逆なでしている。現在の5野党の結集状況は、マスコミの情報を総合する限り、煮ても焼いても食えないような「国民連合政府構想」になっている。下手を打てば、安倍自民党は、衆参W選を選択、おおさか維新を抱き込み、憲法改正に踏み出す国会が誕生する勢いだ。事実、メディアの話題は、その方向になった場合の、警鐘などを鳴らすにとどまっている。

しかし、小沢一郎の動きは、「国民連合政府構想」の縁の下の力持ちになり切り、志位と岡田のつなぎ役に徹し、日夜、隠密活動を続けている。松野・維新の党との解党的合併などの話は、実際問題、カエルの面に小便のような話で、インパクトもなにもあったものではない。問題なのは、現時点で、民主党と共産党中心の「国民連合政府構想」の枠組みが成立したなどと云う情報が流れてしまえば、安倍は4月解散に打って出る可能性があるわけだ。4月に、衆議院解散など打たれたら、小沢一郎のステルス戦術も灰燼に帰す。その意味では、民主党岡田はグズな党首として行動するのがベストである。地を出して行動すれば良いのだから、演技と云う程でもない。民主党シンパの支持者から、「岡田をぶん殴りたい!」と言わしめておく必要がある。

政治日程の本命は、最近では7月の衆参W選挙が、最も可能性があると永田町スズメの説であった。しかし、ここに来ての、世界経済全体の流れの中で、アベノミクスの神通力は剥がれかけている。もうひと押しされたら、日銀黒田もギブアップ状態になるだろう。マイナス金利政策でひと泡吹かせてやるつもりが、市場から総スカンを食い、逆に一泡吹かされているのが現状だ。この円高株安の流れを変えるために、為替介入に出ているようだが、その効果は、精々数日で、再び「円高、株安」の流れは、執拗に安倍政権を揺さぶるだろう。

この世界的金融の流れを、一気に解決できる状況はゼロに近く、更に混沌を増す可能性の方が大である。期末決算を控えた輸出大企業は、安倍政権の大優遇政策にも関わらず、減収減益の来期見通しを出さざるを得ないくなるわけだから、4月解散はかなり打ちにくくなってきた。世界経済や欧米対中露の対立が鮮明になる中、経済の好転は、ほぼ絶望的状況になるので、7月のW選の可能性も低くなっている。経済を知らない“経済政策通首相”の化けの皮が剥がれるわけだ。安倍自民は、実質的に低空飛行を余儀なくされるはずである。

それまでに、安倍内閣の醜聞が固定化されていけば、参議院選だけを乗り切るだけでも、赤信号は充分想定できる。ただ問題な点は、レームダック状態になる安倍自民党政権に変る野党勢力が、国民に見えていないとなると、消去法で安倍自民が、現状維持程度の結果を残し、衆参過半数は維持すると云う、国民的には最悪な政治が続くわけである。本来であれば、「国民連合政府」の実体を提示すれば、世論も大きくスイング出来るのだが、早い時期に「国民連合政府」を見せてしまうと、4月の破れかぶれ解散もあり得る。

まだまだ、流れは流動性があるが、民主と共産中心の「国民連合政府」の真の姿を見せるのは、5月に入ってからと云う線だろう。なにせ、法律に反することを趣味にしているような政権だから、今までの常識が通用しない。無知にも、矜持にも無関心で、仲間内で、脱法行為研究に余念のない政権なのだから、ギリギリまで、「国民連合政府」の構想が現実化している事を悟られてはならない。ただ、不安もある。それは、、「国民連合政府」構想で行くと、安保法制廃案臨時政権になり、経済スタンスが置き去りになる。民主と共産では、経済政策で一致を見るのは相当困難な部分である。まあ、参議院選前までに、アベノミクスにより、円が100円、株価が12,000円割れにでもなっていれば、民主の経済政策の修正も可能になるのだが……。

現状の有権者の心理としては、民主党と元民主党みたいな連中(維新の党)程度に、政権を任せる気に、国民がなるとは思えない。そのくらいの事は、岡田も枝野も知っている。共産党とタッグを組むことで、リベラル政党に凄味が生まれる点で、有権者の目は変る。若者層は、日本のバーニー・サンダースを待っている可能性は充分ある。ただ、あまりにもブラックな政権なので、事前に情報が洩れて、09年同様に、東京地検特捜などに活躍されては堪らないわけで、5月までは、野党再編はお茶を濁すに違いない。筆者は、そのように読んでいる。でなければ、民主党は大大敗するのだから。出来得れば、有権者が納得できる、アベノミクスの破壊的失敗が衆目一致になるのが理想だ。


 ≪ 野党5党で安保法廃止法案 民・維は対案も
民主、共産、維新、社民、生活の野党5党は、安全保障関連法を廃止するための関連2法案を19日にも共同提出する方針を固めた。4日の5党幹事長・書記局長会談で確認した。これとは別に民主、維新両党は安保法制の対案を共同提出する方針で、共産党と連携に難色を示す党内の保守系に配慮する姿勢を示 す。  5党が共同提出するのは、集団的自衛権の行使を容認する平和安全法制整備法の廃止法案と、自衛隊の後方支援を定めた国際平和支援法の廃止法案。提出を予定する19日は、安保法廃止を求める市民団体「市民連合」が国会前で集会を予定しており、連携して廃止機運を盛り上げる。
 一方、民主、維新両党は党内保守系に根強い「廃止法案だけでは、安保法制に反対一辺倒だと批判される」との声に配慮し、廃止法案の提出に先立って安保法制の対案を出す構えだ。
 予定するのは後方支援の対象国を限定する周辺事態法改正案、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案、領域警備法案の3法案。領域警備法は有事でも平時でもないグレーゾーン事態に対処するため、自衛隊と海上保安庁の連携を強化する内容だ。 ≫(日経新聞電子版)


≪ 野党共闘 真剣な協議を BS番組 笠井政策副委員長が強調
日本共産党の笠井亮政策副委員長・衆院議員は13日、BS朝日「激論! クロスファイア」に出演し、参院選にむけた野党共闘の行方や、憲法改定を掲 げる安倍政権とどう対峙(たいじ)するかをテーマに、ジャーナリストの田原総一朗氏、情報誌編集長の歳川隆雄氏らと討論しました。
 田原氏は「野党のなかで最も注目されているのが共産党だ」と紹介。歳川氏も「(共産党の)存在意義は今の日本政治のなかで非常に高い」と語り、日 本共産党の政策や主張について質問しました。笠井氏は、党がめざす未来社会の姿、党名に込められた理念や理想、さらに今度の国会で党として初めて天皇出席の開会式に出席したことなどについて、丁寧に質問に答えました。
 日本共産党が提案している「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」構想が話題に上ると、田原氏は「アイデアがおもしろい」と述べ、参院選1人区での野党共闘の現状を尋ねました。
 笠井氏は「安倍政権に正面対決する日本共産党が比例でも、選挙区でも躍進することをめざして全力をつくす」と表明。そのうえで、戦争法廃止と立憲 主義回復を掲げ、当選後も無所属で活動する統一候補を擁立した熊本の例を挙げて、「こういう形を大いに広げたい」と強調しました。
 一方で、選挙協力を実現するために真剣な協議と、しっかりとした合意を呼びかけている党の立場を紹介し、「率直に言って、まだ民主党はその呼びか けに応じていない」と説明。5野党が戦争法廃止法案を共同提出することについては「廃止法案を一致して出せるというのは良いこと。だがそれがイコール選挙の共闘とはならない。選挙の共闘は真剣な協議としっかりした合意をつくる必要がある」と強調しました。
 安倍首相が憲法9条の明文改憲に突き進もうとしていることが話題になり、笠井氏は「憲法を敵視し、戦争する国づくりを進めるのは絶対に許されな い。国民の多くの声にこたえて、正面から反対していく」と表明。歳川氏は「共産党が議席を伸ばしてくれることを切に望んでいる」と語りました。  ≫(しんぶん赤旗 2月14日)

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