雨の日曜日

お芝居の感想などを

仮名手本忠臣蔵(国立劇場大劇場)

2016年10月23日 | 歌舞伎
 国立劇場開場50周年記念の忠臣蔵、行って参りました。

 開演10分前に口上人形が登場するのですけど、そんなに遅れたつもりはないのにぎりぎりになってしまって焦りましたよ~。

 忠臣蔵の大序は特別感があって好きです。以前見た花形公演では、幕開き皆もっと伏せってたような気がするのですけど、記憶違い?

 真っ直ぐで正義感の強い錦之助さんの若狭之助、コミカルで愛嬌があるけれどふてぶてしく敵役らしい左團次さんの師直、殿さまらしくおっとりしてるけど意外と沸点低い梅玉さんの塩冶判官が印象に残りました。

 扇雀さんの勘平も格好良かったなー。ただ高麗蔵さんのおかるは仕事中に彼氏といちゃいちゃしそうではないかも。隼人君と米吉君のカップルが可愛い。

 幸四郎さんの由良之助もさすがの存在感でした。以前花形で見た時は城明け渡しの場面が何だかよく分からなかったのですけど、今回はちゃんとドラマを感じられましたもん。

 久々に大歌舞伎を見ると、やっぱり花形には無い説得力があるなーって思うのです。そして、20年後にはどんな配役で忠臣蔵が上演されるんでしょうね。



平成28年度(第71回)文化庁芸術祭主催
竹田出雲・三好松洛・並木千柳=作
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)【第一部】 四幕九場
        国立劇場美術係=美術

大  序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
二段目 桃井館力弥使者の場
      同   松切りの場
三段目 足利館門前の場
      同   松の間刃傷の場
      同   裏門の場
四段目 扇ヶ谷塩冶館花献上の場
      同   判官切腹の場
      同   表門城明渡しの場

(主な配役)
【大 序】
塩冶判官    中 村 梅  玉
顔世御前    片 岡 秀太郎
足利直義    中 村 松  江
桃井若狭之助 中 村 錦之助
高師直     市 川 左團次

【二段目】
桃井若狭之助 中 村 錦之助
本蔵妻戸無瀬 市 村 萬次郎
大星力弥    中 村 隼  人
本蔵娘小浪   中 村 米  吉 
加古川本蔵   市 川 團  蔵

【三段目】
塩冶判官    中 村 梅  玉
早野勘平    中 村 扇  雀
桃井若狭之助 中 村 錦之助
鷺坂伴内    市 村 橘太郎
腰元おかる   市 川 高麗蔵
加古川本蔵   市 川 團  蔵
高師直     市 川 左團次

【四段目】
大星由良之助    松 本 幸 四 郎
石堂右馬之丞    市 川 左 團 次
薬師寺次郎左衛門 坂 東 彦 三 郎
大鷲文吾      坂 東 秀  調
赤垣源蔵      大 谷 桂  三
織部安兵衛     澤 村 宗 之 助
千崎弥五郎     市 村 竹  松
大星力弥      中 村 隼  人
佐藤与茂七     市 川 男  寅
矢間重太郎     嵐    橘 三 郎
斧九太夫      松 本 錦   吾
竹森喜多八     澤 村 由 次 郎
原郷右衛門     大 谷 友右衛門
顔世御前      片 岡 秀 太 郎
塩冶判官      中 村 梅   玉
          ほか

十月花形歌舞伎GOEMON(新橋演舞場)

2016年10月16日 | 歌舞伎
 新橋演舞場は見づらい席が多いし、早く建て替えればいいのにーと思ってますが、でも久々に行くと「帰ってきた」という感じがするのですよね~。

 という訳で、初GOEMONです。今まで何度か上演されてますけど、東京でかかるのはこれが初めて、の筈。歌舞伎なのにフラメンコ踊ったりジャニーズや女優さんが出演している、程度の予備知識で見て参りました。

 割と歌舞伎パートとその他がはっきり分かれてたように感じたかな。だから結構違和感はあったのですけど、それが狙いなのかなあと。終盤壱君がフラメンコを踊ることで、それらが統合されるっていうか。

 歌舞伎パートに関しては、古典の良いとこ取りとか派手な立ち回りや宙乗りのようなケレンとか、猿之助歌舞伎と共通する要素は色々あるのですけど、印象は全然違いましたねー。多分テンポが違うのだと思うのですけど。猿之助歌舞伎はぐいぐい話が進んで行くけれど、GOEMONは古典のようにゆったりしてるの。だから余計、歌舞伎役者の中にカルデロン神父がいると不思議な感じがするのですよ。

 役者さんでは、吉弥さんが前半は女方、後半は立役で大活躍でした。両方とも良いお役で、もしこの作品を猿之助さんがやるなら石田局と五右衛門の二役かなーなんて思いながら見てましたもん。吉弥さんの立ち回りって多分レアですよね~。

 今井翼さんも二役。ほぼダブル主演と言っても良いのではないかな。歌舞伎役者にまじって芝居するの苦労されたんじゃないかと思うのですけど、格好良かったです。才蔵では白塗りのお化粧なんですけど、なかなか似合って素敵でした。愛之助さん、壱太郎さん、吉弥さんというバリバリの歌舞伎役者と一緒にいて違和感無いのすごいと思うのですよ。

 壱太郎君は、さすがのヒロイン力。フラメンコ日舞はめっちゃ宝塚でした。うん、日本物ショーで絶対ある。まあその前の酒場の翼君も「宝塚でこんな場面見たな…」って思いましたけども。壱君も立ち回りがあって、右近君が明治座でやってた梯子で二階まで登る、というがありました。壱太郎君はほぼ真女形だと思うので、こちらもレアですよねー。

 そして愛之助さん。なかなか登場しなくて観客も焦れてましたよ~。主人公だけど特に何をするってことも無いので、キャラ勝負。骨太で愛嬌があって、荒事の主人公っぽいです。ラスト、イスパニアに向かって飛んで行くのですけど、お父さんと住む世界と言うかジャンルが違い過ぎて、二人が会ったらどうなるか、想像も出来ないです(笑
 
 

水口一夫 作・演出

GOEMON(ごえもん)

石川五右衛門
片岡愛之助宙乗りにてつづら抜け相勤め申し候

         石川五右衛門    片岡 愛之助
 神父カルデロン/霧隠才蔵   今井   翼
           出雲の阿国    中村 壱太郎
           加藤虎之助    中村 種之助
           小早川隆景    中村 寿治郎
    石田局/名古屋山三    上村 吉 弥
            豊臣秀吉    中村 鴈治郎


平成28年度松竹大歌舞伎(入間市市民会館・春秋座)

2016年10月09日 | 歌舞伎
 猿之助さんの巡業、今年はあの「獨道中五十三驛」で、さらに猿之助さんと巳之助君が役替りでダブル主演!ということで、入間と京都で見て参りました~。

 一昨年の演舞場公演が記憶に新しい作品で、とっても楽しかったけれど大道具等色々大変なので巡業ではどうなるのだろうと思ってたのですが、芝居部分は岡崎以外はほぼ別物でした。上演されるたびに脚本が変わる作品、とどなたかが仰ってましたけど、もしかして化け猫と十三役早変わりの舞踊さえ入っていればあとは何でもOKなのかも? 時間短縮の為台詞や筋が説明調になってしまったのは残念。だって演舞場で好きだった海中遊泳も猫抱いた美人も格好良い本水もカットなんだものー。でもこれなら主演役者の負担もそこまで大きくは無さそうですよね。みっくんは大汗かいてましたが(笑

 猿之助さんのおさん実は猫の怪は、コミカルで愛嬌があるんだけど怖い、というのが良いですよね~。写書東驛路も、するすると魔法のように早替りしていくのが素晴らしいです! やっぱりお関が好きだなー。芸者雪野も。

 巳之助君は女方の引き出しが少ない分不利だったとは思うのですけど、頑張っていました。調之助の「知らなんだ、知らなんだ」という台詞は、彼の方が無念さが伝わって来ましたもん。それで逆に、猿之助さんはそこ強調してなかったんだなって気づけたり、というのがダブルキャストの面白さですよね~。みっくんの道哲見て「そ、そうだよね!男の人の脚ってそうだよね猿之助さんが細過ぎなのよね!」とか。

 それにしても納涼で江戸から東海道の旅に出た猿之助さんが、巡業では逆に江戸に帰ってくるというのが面白いですよね。もしかして狙ったのかな?


 
四世鶴屋南北 作
奈河彰輔 脚本・演出
石川耕士 補綴・演出
市川猿翁 演出
三代猿之助四十八撰の内

獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)

京三條大橋より江戸日本橋まで
浄瑠璃 お半長吉「写書東驛路」(うつしがきあずまのうまやじ)
市川猿之助・坂東巳之助 宙乗りならびに十三役早替り相勤め申し候

    おさん実は猫の怪    市川 猿之助(Aプロ)坂東 巳之助(Bプロ)   
      由留木調之助

       丹波与八郎
         丁稚長吉
      信濃屋娘お半
         芸者雪野
      長吉許嫁お関
     弁天小僧菊之助
       土手の道哲    市川 猿之助(Bプロ)坂東 巳之助(Aプロ)        
    長右衛門女房お絹
         鳶頭三吉
            雷
         船頭浪七
         江戸兵衛
         女房お六

         重の井姫    市川 笑 也
     半次郎女房お袖    市川 笑三郎
丹波与惚兵衛/赤星十三郎    市川 寿 猿
      やらずのお萩    市川 春 猿
      赤堀水右衛門    市川 猿 弥
       石井半次郎    市川 門之助