雨の日曜日

お芝居の感想などを

伝統芸能の今2015(横浜能楽堂)

2015年08月30日 | その他舞台
 今年も行って参りました、伝統芸能の今。今回は浅草ではなかったのですけど、能楽堂に入ってみたかったので逆にラッキーでしたよ~。

 入場すると、中には長い列が出来てました。案の定、出演者さん達によるプログラム販売でしたので、取り敢えず並んでみる私。近づくと、猿之助さんは机に張ってあった紙を剥がしたところで、でも勢い余って破いちゃったらしくて慌てているご様子でした。面白い。と、お金を渡しつつ観察してから振り返ると、そこにはプログラム渡し係の藤原道山さんが。び、びっくりした…。いやもう、あんなキラキライケメンさんを不意打ちで見たら動揺しちゃいますって。どきどき。
 
 まずは、出演者によるトークがあって、その後が募金タイム。去年の身曾岐神社のように、村治さんと猿之助さんが客席をまわってました。

 休憩後、「組曲百花」。それぞれの演奏だったのですけど、まず広忠さんが登場された時、ああここは彼のテリトリーなんだなあと感じましたよ。奏者と場の一体感が凄かったの。上妻さんの紙の舞がまた聴けたの嬉しかったし、道山さんの尺八に癒されたし。村治さんも結構能楽堂の舞台に馴染んてたような。クラシックギターって本当に音色が豊かですね~。

 その後猿之助さんの「葵上」。すみません、私全然内容を理解してないのですけど、こういう昏い美しさって猿之助さんに似合いますね。

 「鉄輪」は以前珠響で上演されたときに好評で、是非とも見てみたいと思っていたので、今回拝見出来て本当に嬉しかったです。とにかく猿之助さんの朗読が素晴らしくて。女とその夫、貴船神社の社人、そして阿部晴明の四役、だったかな? 女のひたひたとした情念がリアルで、晴明の飄々としたキャラが魅力的で、すっかり引き込まれてしまいましたよ。それを彩る音楽も贅沢ですよね~。晴明モノの上演って、こういう形が一番あってるのかもしれないと思いました。どこかでまた再演して欲しいな。



 

第一回研の會(国立劇場小劇場)

2015年08月23日 | 歌舞伎
 尾上右近君の自主公演、第1回研の會に行って参りました!

 久しぶりの小劇場。イープラスでチケットを取ったら最前列のかなり上手で、附けうちさんが目の前だったから迫力ありました~。

 「吉野山」
 清元のみ、というのは珍しいのだそうです。私の席からは、右近君のお父様もお兄様も見られなくて残念。
 右近君の忠信は、私が見た中では最年少狐かな? すっごく若くて少年みたいな印象でした。表情もストレートで可愛らしい。
 猿之助さんの静御前を見るのは初めてなような。登場した時からオーラがありましたね~。「吉野山」でこんな濃厚な静を見たのは初めてですよ。
 後見の菊三呂さんが、ちょっとジェンヌさんみたいなお顔立ち…と思ったら、女方さんなんですね。手際の良いお仕事っぷりが素敵でした。

 「春興鏡獅子」
 右近君が歌舞伎役者になるきっかけだったという鏡獅子。亀会も第一回目は鏡獅子でしたよね。やっぱり特別な舞踊なのでしょうか。
 小姓弥生はとっても綺麗でした~。右近君はお化粧も上手いですよね。瑞々しくて、でもどこか艶っぽさもある弥生ちゃん。後シテは凛々しい獅子の精で登場。格好良い…!って思わず呟いちゃいましたよー。途中肩が少し上下するのを見て、日光の子獅子を思い出したり。全体的に、若々しいんですけど、若さに任せてと言う感じではなく、すごく丁寧な印象でした。右近君の鏡獅子、また見たいなあ。次はどこで見られるかな?

 終演後ロビーに出ると物販に行列が、と思ったら猿之助さんがグッズ売りをされてました。想定内ではあったんですけど、さすがでございます。私も応援の気持ちを込めて、Tシャツ買わせていただきました。例によってお顔なんて全然見られませんでしたが! 同じく物販に立たれていた右近君のお兄様が格好良かったでーす。うふふ。

 

もとの黙阿弥(新橋演舞場)

2015年08月14日 | その他舞台
 夏休みに、行って参りました演舞場。折角なので、お弁当は「愛之助ごのみ弁当」にしてみました。美味しかったですよー。

 舞台はですね、「めぐり会いは再び」みたいな設定なのでてっきりハッピーエンドかと思っていたら、何とも苦い幕切れでした。そうか、これ井上ひさし作品でしたね…。

 井上ひさし+栗山民也の舞台を見るのは3作目、かな? 「雨」や「藪原検校」は主人公中心に話が進んで行きましたが、今回は二組の男女(飛鶴&飛太郎も入れたら三組)のエピソードが同時進行なので、ちょっと散漫な印象を受けました。もっと全体的にスピード感があってもいいのにな。

 役者さん達はよかったです。現代劇の舞台で愛之助さんを見るのは初めてですが、改めて上手い方だなあと。劇中劇でてこてこ歩くのが可愛かった。っていうか、全体的に愛之助さん可愛かったですわー。

 真飛さんは、退団以来かな? 劇中劇ではさすがにスターオーラ出てましたねえ。歌も在団中より上手くなってたような。「マイ・フェア・レディ」行っちゃおうかしら。

 太一君は新感線のクールビューティーっぷりとは違う、普通の好青年だったのが新鮮でした。貫地谷さんも可愛かったー。顔ちっちゃい。でも彼女には役不足だったんじゃ? あと亀会では気づかなかったのですけど、渡辺哲さんてチャーミングで素敵ですねえ。

 


片岡愛之助 貫地谷しほり 浜中文一(関西ジャニーズJr.) 大沢 健
波乃久里子 床嶋佳子 渡辺 哲 真飛 聖 早乙女太一

マクベス(PARCO劇場)

2015年08月01日 | その他舞台
 行って参りました、パルコプロデュース公演「マクベス」。

 精神病棟の患者である蔵之介さんがほぼ一人で「マクベス」を演じる、という設定が好みで楽しみにしてたのですけど、期待に違わずとっても良かったです~! だって台詞はシェイクスピアの脚本通り(はしょったりはあるけど)なんだよ。それであんな世界を見せてくれるなんて、なんて格好良いの!

 蔵さんはね、猿之助さんが言ってたように、器用な役者ではないと思いました。そんな彼が全身全霊でハードな作品に取り組んでいるのがドラマチックだなあと。あと蔵さんて身体に色気があるよね。いや脱いでるからって訳じゃなく。

 本水の入浴シーンにびっくりして、一人ベッドシーンにもおお!ってなりましたけど、でも一番好きなのは亡霊に怯えて階段の下に隠れる蔵さんだったり。どうやら私は患者度が高い場面が好きみたいです。あの人「マクベス」を演じつつ、「マクベス」とは関係無い「水」とか「子供」とかに固執するんだよ。入院前何があったんだろう。気になる。

 こういう形式の公演でも、所謂名台詞が来ると興奮しちゃうのがシェイクスピア作品ってことなんだろうねえ。あと一人芝居って水分補給をどうするのか気になってたのですけど、今回はあちこちに飲み物が置いてありました。



作 W.シェイクスピア
翻訳 松岡和子訳「マクベス」より
演出 アンドリュー・ゴールドバーグ

患者 佐々木蔵之介
女医 大西多摩恵
看護師 由利昌也