雨の日曜日

お芝居の感想などを

一谷嫩軍記(国立劇場 大劇場)

2012年03月25日 | 歌舞伎
 久々の大歌舞伎でーす。演舞場にも心惹かれましたし、一度は浅草の平成中村座にも行ってみたいなーとか思ったのですが、やはり財政的になかなか厳しくってですね。なので、2,500円の3階席でも見やすい国立劇場に行って参りました~。

 シネマ歌舞伎で「熊谷陣屋」は見ましたが、それ以外は全くの初見。その「熊谷陣屋」も大分印象違ったな~。吉右衛門さんのはリアルなドラマでしたが、今回は歌舞伎らしい形式美が勝っていたように思います。多分映像と生の舞台の違い、それから演じる役者さんの違い、両方だと思うのですけれども。

 序幕ラストで團十郎さんと三津五郎さんが綺麗に決まるのが好きです。團十郎さんって還暦をとっくに過ぎている筈なのに、若くてお美しいですよね~。三津五郎さんは渋格好良い上安定感ありますし。拵えは赤姫ですがしっかりしていて仕事が出来そうな門之助さんも良かったです。

 それにしても義経って、敵方には優しいのに部下には容赦無いですなー。
 


国立劇場開場45周年記念

並木宗輔=作
国立劇場文芸課=補綴
「一谷嫩軍記」(いちのたにふたばぐんき)  三幕
      -流しの枝・熊谷陣屋-
             国立劇場美術係=美術

       序 幕 堀川御所の場
       二幕目 兎原里林住家の場
       三幕目 生田森熊谷陣屋の場


(出演)
 市 川 團 十 郎
 坂 東 三津五郎
 坂 東 彌 十 郎
 市 川 門 之 助
 坂 東 巳 之 助
 片 岡 市  蔵
 坂 東 秀  調
 市 村 家  橘
 中 村 東  蔵
 中 村 魁  春  ほか


天使のはしご(日本青年館 大ホール)

2012年03月11日 | 宝塚
 星組東京特別公演に行ってまいりました~。青年館は久しぶり。

 脚本・演出の鈴木圭先生は、花組に続き2回目です。この「天使のはしご」は奇をてらわない素直な作りで、少しアレンジすれば大劇場でも上演出来そうですねー。ただね、花組の時も思いましたが、ちょっと脚本が粗いような。主人公にヒロインを「知的」と評させるなら、ちゃんと知的に描いておかなきゃ駄目じゃんかー。そもそも「天使の梯子」っていい大人が連呼する単語としてどうなんだって気もするぞ。という感じで、大分役者さん達に助けられてる作品でした。

 主演は涼紫央さん。結構下級生のころから拝見しておりますが、こんなに気になりだしたのはつい最近です。でも本当に素敵になられましたね~。舞台姿に品があるので、今回のお貴族様ファッションがどれもお似合いでありました。眼福! タイプ的には紫苑さんや稔さんのような貴公子系なので、お二人のように絶対振られ役が似合うと思うのですよ。是非とも柚希さんと夢咲さんをとりあっていただきたいものです。っていうか、今回シメさんが演技指導はいられたんですか!? うわわー!

 ヒロインのリジー役は音波みのりさん。一生懸命さが可愛かったですが、感情表現がストレート過ぎる気がするなあ。やはり娘役さんは怒っても怒鳴っても可愛くあって欲しいのですよ。このあとバウに行くころには、もう少し柔らかくなってるかな?

 ウィカム役の夢乃聖夏さんは、悪役がお似合いで格好良かったですー。独特の色気がありますよね。スタイルも良いですし。これから注目してみよっと!と思ったら組替ですか…。ちょっとダメージ受けてしまいましたよ~。よろり。

 もうお一人、英真なおきさんももう組子じゃなくなっちゃったんですねー。わかっちゃいましたが、やはり寂しいです。でも専科ということは、一樹さんや夏美さんとの共演もまたきっとあるってことですし!と前向きに考えてみます。

 カーテンコールで涼さんも触れてらっしゃいましたが、今日は大震災からちょうど1年であります。私もあの日は歩いて帰宅しましたが、でもって寒いしひもじいし道は分からないしで最後は結構嫌になってたんですけれども、それでも正直、こんな大事とは全然思ってなかったんですよ。私なんかが考えもつかないことが、世の中簡単に起こるんだなーということを知った一年でした。
 未だ大変な思いをされている方々が、早く落ち着いて生活出来るようになりますように。

 



フィッツウィリアム・ダーシー 涼 紫央
リジー(エリザベス) 音波 みのり
*~*~*
ベネット夫人 英真 なおき
キャサリン・デ・バーグ 万里 柚美
ベネット 美稀 千種
フィッツウィリアム大佐 美城 れん
ハースト 花愛 瑞穂
シャーロット 音花 ゆり
ジョージ・ウィカム 夢乃 聖夏
ジェラルド 碧海 りま
ビングリー 美弥 るりか
ガードナー夫人 白妙 なつ
士官 汐月 しゅう
コリンズ 天寿 光希
ジョージアナ 優香 りこ
ウィリアム・ルーカス卿 大輝 真琴
士官 真月 咲
士官 千寿 はる
メアリ 妃白 ゆあ
デ・バーグ嬢 紫月 音寧
キャロライン 若夏 あやめ
士官 十碧 れいや
使用人 空乃 みゆ
ジェーン 華雅 りりか
士官 漣 レイラ
デニー 麻央 侑希
ガードナー 翔馬 樹音
キティー 妃海 風
リディア 綺咲 愛里
天使 白鳥 ゆりや


6月&7月

2012年03月10日 | 日常
 襲名公演の演目出ましたねー。

 亀治郎さん(公演始まったら猿之助さんなのですが)は、6月は四の切&ヤマトタケル、7月はヤマトタケル&黒塚なのですね。素人目にも猿之助襲名にふさわしい演目のように思います♪ 実はヤマトタケルは1度拝見して苦手なタイプのお芝居だなーという印象を持ったのですが、亀治郎さんならきっと現代の観客を楽しませてくれるって信じておりますので! 

 中車さんの「小栗栖の長兵衛」と「将軍江戸を去る」はどちらも見たこと無いのですが、こちらも楽しみです。7月は猿翁さんも「楼門五三桐」で舞台に立たれるそうですよ~。五右衛門ではなく真柴久吉って意外なような。

 そして、6月は藤十郎さん、7月は團十郎さんが出演して下さるのも嬉しいです! これを機会に、新猿之助さんのベテラン役者さんとの共演が増えれば良いなあ。

幻色江戸ごよみ(PARCO劇場)

2012年03月06日 | その他舞台
 醍醐寺諦めた分渋谷には通っちゃうぜー!な勢いで、三回行って参りました。チケ取った時点ではゲストも演目も分かってなかったんですけど、上手いこと日替わり演目三作全部聞くことが出来ましたよん。ラッキー♪

 3月2日 ゲスト:仲村トオルさん 日替わり:器量のぞみ  座席:前方最上手
 3月4日 ゲスト:手塚とおるさん 日替わり:首吊りご本尊 座席:前方割と上手
 3月6日 ゲスト:中尾明慶さん  日替わり:だるま猫   座席:前方かなり下手

 ↑こんな感じ。あ、朗読されるのは毎回三作品で、最初の演目がゲストさんによって変わります。そして座席は、下手からゲスト・隆・蔵・亀の順で座るので、亀ファン的には上手側が良いかと思いきや、ほっとくと勝手に視線が亀氏のところへ行ってしまうので、かえって逆サイドの方が舞台全体が見えて良い、ということがと6日に分かったのでした。

 開演前には、「楽屋から生放送!」なトークがありまして、その日のゲストについて3人がお話されてました。手塚とおるさんは頼りになる先輩で、何があってもフォローしてくれる、とか。(だから「狭き門~」で葉刈さんとコンビだったのかーと納得してしまったのは内緒) 3人の仲良さげな雰囲気が伝わってきて、嬉しいサプライズでした。

「器量のぞみ」
 これ、原作2回目に読んだとき、唯一ちゃんと内容覚えてたお話なんですよねー。やはり容姿の良し悪しってのは、女子にとって大問題ですもんね。だから、男性ばっかりでこの話を演じるのは、違和感があるような気が。どうせあんたらみたいな男前にはおのぶの気持ちなんて分からないでしょー!みたいなやさぐれた気分になっちゃうんだもん。
 まあでも、良い役者さんが揃っているので、作品自体は面白く出来てましたよー。トオルさんと蔵之介さんの夫婦とか、蔵之介さんと亀治郎さんの姉妹とか、朗読劇ならではの配役が楽しかったですし。貧相な筈のおくめが、亀治郎さんが演じると妙に色っぽくなってしまうのも、ファン的には喜ばしいことでした。ふふふ。

「首吊りご本尊」
 これもう一回聞きたいなー。蔵之介さんのご本尊様が明るくって人間離れしてて(人間じゃないし)素敵! このご本尊様は亀治郎さんもお気に入りらしく、蔵之介さんが「ここはもういっぱいだよ!」って言うたびニコニコ楽しそうで可愛かったです。手塚さんのご隠居もいい味出していて、スラッと背の高い手塚さんなのに、もうちんまりしたお爺さんにしか見えない! 隆太さんの丁稚もらしくって良かったなー。
 最近原作読み返したばかりなのに、ご隠居が最後蔵で見る「モノ」がなんだったか忘れてまして。で、地の文を読む亀治郎さんがめちゃくちゃ巧いもんだから、そりゃあ怖かったですよ! ひいい。

「だるま猫」
 中尾君は一番若いゲストさん。ってことで、彼の一所懸命さが、主人公の必死さと重なって良かったです。そして中尾君が入ると、隆太さんがえらく格好良く見えるんですよね~。いつもは一番年下で弟ポジションなんですけど、あーお兄さんだったのね!みたいな。火消しのお頭、男前でしたわ~。そしてもうお一方、一膳飯屋の主人役蔵之介さんが、低い声でボソボソと話すのがむちゃくちゃ格好良くてときめきました。どうやら私、蔵之介さんのあのトーンに弱いらしい。
 それにしても亀治郎さんてどうしてあんなに江戸弁お上手なんでしょうか。身近にネイティブスピーカーがいらしたのかなあ? それとも歌舞伎役者ならみんな出来るものなの?

「神無月」
 これは構成が良いですねー。蔵之介さん演じる畳職人partと、亀治郎さん&隆太さんの居酒屋partと、きっちり分かれているのが物語の切なさを際立たせているように思うのですよ。
 基本的にはゲスト抜きの演目なんですけど、仲村トオルさんは居酒屋のおやじ役で参加されてました。でもね、確かにトオルさんと隆太さんの会話は良かったんですけれど、亀治郎さん担当の地の文とのバランスが今ひとつだったような気がする。っていうか、亀ファン的にはこれは二役の切り替えを楽しむ作品なんですものー。っていうことで、三人での通常バージョンが好きです。
 因みに、隆太さんは岡っ引きにしては若過ぎる気がするなあ。亀治郎さんで一度聞いてみたいかも。

「紙吹雪」
 映画と原作小説が違うように、朗読劇と原作も別物なんだなあ、ということを一番感じた作品。原作はもっと淡々としてたような気がするのですけれど、役者さんが実際読まれるとドラマチックになりますね~。
 蔵之介さんが地の文担当だったのですが、優しく優しく読んでらしたのが印象的でした。隆太さんの「目撃者の証言」は、実は私結構お気に入りでして、特に八百屋さんが好きですねー。
 主人公のおぎんは、原作読んだ時は、体はこちらにあるけれども心は先に彼岸に行っちゃってる子、というイメージでしたが、亀治郎さんが演じると、生きている生身の女の子って感じがしました。そのせいかなあ、朗読劇では「真面目に働く母子を追い詰める社会の理不尽さ」というのがすごく怖かったの。金貸し夫婦も、やな奴かもしれないけれど別に諸悪の根源てわけじゃないし、実は彼らも被害者なのかもね。

 それにしても、朗読って結構役者さん毎のスタイルがあるんですねー。亀治郎さんは、読むと言うより演じてるって感じ。身振り手振りも結構あるし、おじさん役と女の子役では姿勢も違う。で、読んでないときは、舞台から退場しちゃったみたいに気配を消してる。隆太さんは、長い文章だと多少一本調子にはなりますが、素直な語り口とソフトなお声が良いですよね~。で、私がイメージしてた朗読劇に一番近かったのが蔵之介さん。
 それぞれお忙しいお三方なのでなかなか難しいとは思いますが、またこのメンバーで何かやって下さったら嬉しいですね。