たんぽぽの心の旅のアルバム

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2009年『ルーヴル美術館展』より-「天国の栄光」(ピエール・ミニヤールの原作に基づく)

2022年06月19日 00時23分35秒 | 美術館めぐり
ミシェル・コルネイユ(子)
(1642-1708)
《天国の栄光》(ピエール・ミニヤールの原作に基づく)
油彩、紙(カンヴァスに貼付)
直径130cm

(公式カタログより)

「褐色と灰色の油彩淡彩で描かれた本作品は、ピエール・ミニヤールの最も有名で、今日残る唯一のモニュメンタルな作品を写したものである。すなわち、1663年から1666年にかけて、パリのサン=ジャック通りにあるヴァル=ド=グラース教会のために制作した《天国の栄光》がそれである。ベルニーニが称賛し、モリエールがその長い詩において讃えたミニヤールのこの円蓋は、パリで廃れていたフレスコ技法で描かれ、それぞれパルマ、ローマ、ナポリにあるコレッジョ、ランフランコ、ピエトロ・ダ・コルトーナの著名な作例と競っている。

 パリのシモン・ヴーエのアトリエに通った後、ピエール・ミニヤールは1636年から1656年までローマに滞在し、特にフレスコ技法を実践した。1658年にパリに戻った彼は、長いあいだシャルル・ル・ブラン(1619-1690)の競争相手であり、彼の後継者として絵画と彫刻アカデミーの会長および国王付きの第一の画家となった。1663年から、皇太后アンヌ・ドートリッシュは、彼女が好んだ教会の装飾をミニヤールに任せた。それは1645年にフランソワ・マンサールによって建築が開始されたもので、1655年にピエール・ル・ミュエが工事を再開していた。

 このような種類の作品として、かつてフランスで実現された作品の中で最大のものであるこの構図いは200人以上もの人物が描かれ、楽園を成す雲に同心円状に重なっている。その中心には雲の玉座に乗る父なる神がおり、地球儀を持ち、祝福を与えている。また、イエス=キリストの姿も見られ、その上には精霊の鳩が舞っている。この3つは三位一体を構成し、聖なる絵画表現の伝統に従って、輝く光の輪で取り巻かれている。その下には天使たちが受難具を持ち、聖母マリアが人類のためにとりなしている(人類とは現実の教会身廊に集まる信徒たちでもある)。洗礼者ヨハネ、マグダラのマリア、ヴェロニカはこれに付き従い、聖ミカエルは炎の剣を振り回している。自分の守護聖人である聖アンヌと息子ルイ14世の守護聖人である聖ルイに伴われ、アンヌ・ドートリッシュは自らが建立したヴァル=ド=グラース教会の小型模型を手にし、4人の教会教父は祭壇を囲み、そこには神秘の子羊(キリストの象徴)がいる。子羊は天使が礼拝し、その上には黙示録の天使が舞っている。預言者、使途、聖人、証聖者、聖女、殉教者、修道会創始者たちはこの聖なる奏楽に参加している。ミニヤールはこの豊饒な表現を堂々たる明晰さをもって構成している。

ピエール・ミニヤールに最も近い協力者であるミシェル・コルネイユ(子)の手になるこのグリザイユは、半球形構図を円形の平面構図に改変した。現在も見えている6片の切断線からわかるように、本構図はジェラール・オードランが1691年から1693年にかけて同じサイズで銅版画を作成するための手本となった。1691年、ミニヤールはこの絵画をアカデミーに寄贈したが、それはアカデミー会員に求められる技芸を示すための「入会のための作品」としてではなく、その名声を確実にした傑作を思い起こさせるためのものであった。彼が自画像(ルーヴル美術館蔵)の背景に描いているのはこの作品である。」


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