一見、筋が通ってそうに見えるもの、そう聞こえるものに、実は矛盾が潜んでいて、その問題や課題の解決策に大きな誤りがあった、ということはよくある話です。
次に紹介するブログは記事のランキングで10位以内に入っていたのを注目しました。
管理者・筆者が、ニース記者であるのか、弁護士であるのかはよく分かりませんが、数年前からある死刑廃止論者によくあるステレオタイプ的な言い回しです。
このような主張や論理を展開している限りは、なかなか一般には受け入れられないのではないかと思われます。
なぜなら、誰もがそんな考えの欠点に気付くからです。そしてこの程度の考えでは、単に自分の主義の押しつけにしか過ぎない、と大勢が判断してしまうからです。少数派が正当性を主張するには、欠点のない論理や思考がなければなりません。
「殺人」の嘆願をした32万人の方へ~あなたは自殺する3万人のことを考えたことはありますか? - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
いやぁ、ひどいねぇ、今日の読売、【「極刑を」32万人署名】って、闇サイト殺人の古い話を持ち出して、一面、社会面に大展開し、さらに2社面では秋葉原事件だ。裁判員になる方へ、死刑判決を下すことに躊躇しないでねって言っているようなもんだ。
抑止力が必要? なら、年間3万人の自殺者のことを考えたことがあるのだろうか?毎年死んでいく約3万人には死刑は抑止力にはならない。この3万人は、自らを殺すという決断を下し、行動を起こしている。それが他人に向けられないのは、死刑があるからではない。
32万人の皆さん、あなたがたは、自殺することを考え、行動に起こすまでの苦しさ、想像したことがありますか?彼ら彼女らが、最後に犯罪でも何でも好き勝手して欲望を満たしてしまおうと考えないのは、「死刑」があるからですか?そんなはずはない。
面白い思考ではあります。
「毎年死んでいく(自殺者)約3万人には死刑は抑止力にはならないい。この3万人は、自らを殺すという決断を下し、行動を起こしている」
自殺が「自ら殺す」という言い方は、誰もが思いつくものです。攻撃が外に向かうのか、それとも内に向かうのかで、他殺と自殺という、まったく違うものになると言いたい。しかし、ここに大きな間違いがある。
自殺は犯罪じゃない。犯罪になるのは、他人の自殺に、関与、教唆、幇助した場合である。しかし、とかく自殺は周囲に迷惑がかかるものであり、その度合いは計り知れないのは事実だ。しかし、自殺そのものは犯罪ではなく、自殺者も犯罪者ではない。
そもそも自殺は犯罪ではなく裁けないのに、「自らを殺す」という定義では、自殺を犯罪だと決めつけているようで、それでは被害者と加害者を考えなければならなくなり、個人の同一性が保てなくなってしまう、という矛盾を見いだしてしまうだけだ。
自らを殺すのが犯罪であれば、被害者も加害者も1人であり、死んでしまえば「誰が被害届を出すのか?」となってしまうだけだ。
従って死刑と自殺に何ら因果関係はなく、死刑は自殺の抑止力という前提がおかしい、ということになってしまう。自殺は犯罪ではないのだから。
『(自殺者が)最後に犯罪でも何でも好き勝手して欲望を満たしてしまおうと考えないのは、「死刑」があるからですか?』これは自殺で亡くなった人たちを「死刑」に結びつけて自分の主義に利用しようという考えで、いただけない。犯罪でも何でも好き勝手して欲望を満たしてしまおうと考えないのは、それは「自殺」だからであって、刑罰とは何ら関係がないのである。
凶悪事件の社会的影響 2008年06月21日 08時12分53秒
年間殺人件数は1200として、2007年は死刑執行は9件だから、殺人件数から見て、死刑は、0.75%しかない。死刑執行を10年間の平均で計算するとき、それが5人以下であるなら、0.5%以下となってしまう。
「死刑は本当に犯罪抑止に有効なのだろうか?」と問うとき、刑事事件全体と解釈すれば、殺人事件の10倍ほどと計算して0.05%以下、100倍ほどと計算すれば0.005%以下となってしまう。
こんな0.何%という数字でどうして影響させられるのであろうか?
0.005%という濃度の塩水で「しょっぱい」と感じることは不可能。
元々、日本では死刑の数が少なく、何の犯罪の抑止力にもなっていない。自殺と結びつけて訴えることそのものが論外であり非常識なのだ。抑止力にしたかったら、今の桁違いに死刑を執行しなければならないのだ。当然それを望んでいる人たちもいるだろう。
自分の主義に何もかも結びつけてしまおうという考えで雑なのである。犯罪も犯罪でないものも、犯罪者もそうでない者も一緒くたにして議論してしまい、無理矢理、罪のない者たちまで、その心理を歪めて利用しようとしているのは、多くの人たちを忌避させるだけだ。気をつけた方がいい。
このような自分の文章の欠点に気付かない人は多い。
また次のような記事もある。
死刑が「殺人」でない理由なんてあるの?~32万人死刑嘆願について再び - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
昨日の記事【「殺人」の嘆願をした32万人の方へ~あなたは自殺する3万人のことを考えたことはありますか?】に対し、死刑と殺人を同一視するのはいかがなものかというコメントが寄せられたが、死刑が殺人でない理由なんてあるのだろうか?単に、その社会でその時に合法とされるものに過ぎないのは、前回、EU諸国で死刑が禁止されていることをご紹介したことからも明らかでしょう。
これは面白い論理だ。
「死刑が殺人でない理由なんてあるのだろうか?」この論理で考えると、「懲役が監禁でない理由なんてあるのだろうか?」とも考えられ、「懲役=監禁」と決めつけられてしまい、それではどんな刑罰も「悪」となってしまう。
つまりこれは、一般と罪人の区別のない考えであるのだ。
一般の他人を殺したら殺人。特に防衛という正当性(正当防衛)がない場合である。
罪人の極刑が死刑。殺人事件数から見ても、死刑は0.5~0.7%ほどしかない。
「死刑が殺人でない理由なんてあるのだろうか?」
「懲役が監禁でない理由なんてあるのだろうか?」
「正当防衛が殺人でない理由なんてあるのだろうか?」
「正当防衛が暴力でない理由なんてあるのだろうか?」
「捜査がプライバシーの侵害でない理由なんてあるのだろうか?」
「強制捜査が住居侵入でない理由なんてあるのだろうか?」
「逮捕が暴力や拉致でない理由なんてあるのだろうか?」
「留置が監禁でない理由なんてあるのだろうか?」
死刑=殺人。懲役=監禁。正当防衛=殺人。正当防衛=暴力。捜査=プライバシーの侵害。強制捜査=住居侵入。逮捕=暴力・拉致。留置=監禁。
こんなことではどんな法律も効力がなくなってしまうことになる。
つまりこのような論理は、法の優越を根底から否定してしまう考えであることが分かる。稚拙だから単純な考えに囚われてしまうのであろう。
「現行犯逮捕は拉致である」と一般の人たちを脅して、「現行犯逮捕=拉致」となってしまえば、警察は機能停止となり、正義感は吹っ飛び無規制状態となり、社会はただの暴力的サバイバルとなるだろう。全ては観念的すぎるのだ。
「論理の飛躍だ」と反論が聞こえてきそうだが、そもそも「死刑=殺人」が、一般と罪人の区別のない矛盾を抱えている考えなのである。
もちろん、法的にはもっと細かく書かなければならないだろうが、分かりやすくするためにこのように書いた。参考にしてほしい。
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管理者・筆者が、ニース記者であるのか、弁護士であるのかはよく分かりませんが、数年前からある死刑廃止論者によくあるステレオタイプ的な言い回しです。
このような主張や論理を展開している限りは、なかなか一般には受け入れられないのではないかと思われます。
なぜなら、誰もがそんな考えの欠点に気付くからです。そしてこの程度の考えでは、単に自分の主義の押しつけにしか過ぎない、と大勢が判断してしまうからです。少数派が正当性を主張するには、欠点のない論理や思考がなければなりません。
「殺人」の嘆願をした32万人の方へ~あなたは自殺する3万人のことを考えたことはありますか? - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
いやぁ、ひどいねぇ、今日の読売、【「極刑を」32万人署名】って、闇サイト殺人の古い話を持ち出して、一面、社会面に大展開し、さらに2社面では秋葉原事件だ。裁判員になる方へ、死刑判決を下すことに躊躇しないでねって言っているようなもんだ。
抑止力が必要? なら、年間3万人の自殺者のことを考えたことがあるのだろうか?毎年死んでいく約3万人には死刑は抑止力にはならない。この3万人は、自らを殺すという決断を下し、行動を起こしている。それが他人に向けられないのは、死刑があるからではない。
32万人の皆さん、あなたがたは、自殺することを考え、行動に起こすまでの苦しさ、想像したことがありますか?彼ら彼女らが、最後に犯罪でも何でも好き勝手して欲望を満たしてしまおうと考えないのは、「死刑」があるからですか?そんなはずはない。
面白い思考ではあります。
「毎年死んでいく(自殺者)約3万人には死刑は抑止力にはならないい。この3万人は、自らを殺すという決断を下し、行動を起こしている」
自殺が「自ら殺す」という言い方は、誰もが思いつくものです。攻撃が外に向かうのか、それとも内に向かうのかで、他殺と自殺という、まったく違うものになると言いたい。しかし、ここに大きな間違いがある。
自殺は犯罪じゃない。犯罪になるのは、他人の自殺に、関与、教唆、幇助した場合である。しかし、とかく自殺は周囲に迷惑がかかるものであり、その度合いは計り知れないのは事実だ。しかし、自殺そのものは犯罪ではなく、自殺者も犯罪者ではない。
そもそも自殺は犯罪ではなく裁けないのに、「自らを殺す」という定義では、自殺を犯罪だと決めつけているようで、それでは被害者と加害者を考えなければならなくなり、個人の同一性が保てなくなってしまう、という矛盾を見いだしてしまうだけだ。
自らを殺すのが犯罪であれば、被害者も加害者も1人であり、死んでしまえば「誰が被害届を出すのか?」となってしまうだけだ。
従って死刑と自殺に何ら因果関係はなく、死刑は自殺の抑止力という前提がおかしい、ということになってしまう。自殺は犯罪ではないのだから。
『(自殺者が)最後に犯罪でも何でも好き勝手して欲望を満たしてしまおうと考えないのは、「死刑」があるからですか?』これは自殺で亡くなった人たちを「死刑」に結びつけて自分の主義に利用しようという考えで、いただけない。犯罪でも何でも好き勝手して欲望を満たしてしまおうと考えないのは、それは「自殺」だからであって、刑罰とは何ら関係がないのである。
凶悪事件の社会的影響 2008年06月21日 08時12分53秒
年間殺人件数は1200として、2007年は死刑執行は9件だから、殺人件数から見て、死刑は、0.75%しかない。死刑執行を10年間の平均で計算するとき、それが5人以下であるなら、0.5%以下となってしまう。
「死刑は本当に犯罪抑止に有効なのだろうか?」と問うとき、刑事事件全体と解釈すれば、殺人事件の10倍ほどと計算して0.05%以下、100倍ほどと計算すれば0.005%以下となってしまう。
こんな0.何%という数字でどうして影響させられるのであろうか?
0.005%という濃度の塩水で「しょっぱい」と感じることは不可能。
元々、日本では死刑の数が少なく、何の犯罪の抑止力にもなっていない。自殺と結びつけて訴えることそのものが論外であり非常識なのだ。抑止力にしたかったら、今の桁違いに死刑を執行しなければならないのだ。当然それを望んでいる人たちもいるだろう。
自分の主義に何もかも結びつけてしまおうという考えで雑なのである。犯罪も犯罪でないものも、犯罪者もそうでない者も一緒くたにして議論してしまい、無理矢理、罪のない者たちまで、その心理を歪めて利用しようとしているのは、多くの人たちを忌避させるだけだ。気をつけた方がいい。
このような自分の文章の欠点に気付かない人は多い。
また次のような記事もある。
死刑が「殺人」でない理由なんてあるの?~32万人死刑嘆願について再び - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
昨日の記事【「殺人」の嘆願をした32万人の方へ~あなたは自殺する3万人のことを考えたことはありますか?】に対し、死刑と殺人を同一視するのはいかがなものかというコメントが寄せられたが、死刑が殺人でない理由なんてあるのだろうか?単に、その社会でその時に合法とされるものに過ぎないのは、前回、EU諸国で死刑が禁止されていることをご紹介したことからも明らかでしょう。
これは面白い論理だ。
「死刑が殺人でない理由なんてあるのだろうか?」この論理で考えると、「懲役が監禁でない理由なんてあるのだろうか?」とも考えられ、「懲役=監禁」と決めつけられてしまい、それではどんな刑罰も「悪」となってしまう。
つまりこれは、一般と罪人の区別のない考えであるのだ。
一般の他人を殺したら殺人。特に防衛という正当性(正当防衛)がない場合である。
罪人の極刑が死刑。殺人事件数から見ても、死刑は0.5~0.7%ほどしかない。
「死刑が殺人でない理由なんてあるのだろうか?」
「懲役が監禁でない理由なんてあるのだろうか?」
「正当防衛が殺人でない理由なんてあるのだろうか?」
「正当防衛が暴力でない理由なんてあるのだろうか?」
「捜査がプライバシーの侵害でない理由なんてあるのだろうか?」
「強制捜査が住居侵入でない理由なんてあるのだろうか?」
「逮捕が暴力や拉致でない理由なんてあるのだろうか?」
「留置が監禁でない理由なんてあるのだろうか?」
死刑=殺人。懲役=監禁。正当防衛=殺人。正当防衛=暴力。捜査=プライバシーの侵害。強制捜査=住居侵入。逮捕=暴力・拉致。留置=監禁。
こんなことではどんな法律も効力がなくなってしまうことになる。
つまりこのような論理は、法の優越を根底から否定してしまう考えであることが分かる。稚拙だから単純な考えに囚われてしまうのであろう。
「現行犯逮捕は拉致である」と一般の人たちを脅して、「現行犯逮捕=拉致」となってしまえば、警察は機能停止となり、正義感は吹っ飛び無規制状態となり、社会はただの暴力的サバイバルとなるだろう。全ては観念的すぎるのだ。
「論理の飛躍だ」と反論が聞こえてきそうだが、そもそも「死刑=殺人」が、一般と罪人の区別のない矛盾を抱えている考えなのである。
もちろん、法的にはもっと細かく書かなければならないだろうが、分かりやすくするためにこのように書いた。参考にしてほしい。
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