沖縄タイムスの社説【[辺野古訴訟 和解]政治休戦で終わらすな】(http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=157054&f=i)と、
琉球新報の社説【代執行訴訟和解 新基地 根本から問え 「辺野古が唯一」は本当か】(http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-233184.html)と、
東京新聞の金杉貴雄・関口克己記者による記事【国と沖縄 仕切り直し 辺野古工事中断 再協議】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030502000123.html)。
《なぜそのような混迷状況が生じてしまったのか。原因と結果を取り違えてはいけない》。
《だが新基地建設という国の頑迷な姿勢はいささかも揺らいでいない。沖縄の民意を踏みにじり、あくまで新基地を押し付ける姿勢が民主主義、自治の観点から正しいのか。「辺野古唯一」は本当か。根本から問い直すべきだ》。
《首相は新基地建設方針は「何ら変わりない」としている。対立の構図は変わっていない》。
『●まずは、即時、辺野古破壊を止めよ!』
まずは、「中止」「中断」を達成。辺野古破壊に対峙してこられた市民の皆様の「闘争」に頭が下がる。一時的ではあるものの、すばらしい「勝利」だと思う。
『●アベ様らは何が何でも辺野古破壊、「ヒラメ裁判官が、
よりによってこのタイミングで那覇支部長」に就任』
『●「政府は沖縄を分断し、苦渋の判断をさせ続けている」:
「住民分断」「沖縄差別」を恥じぬアベ様ら』
『●自公支持者の皆さんへ、宮崎駿監督
「辺野古の海は残しておいた方が絶対沖縄の人のためになる」』
次は、二度と再開させないための「断念」を勝ち取る必要があります。普天間の番犬様には本国へお引き取り頂きましょう。
アベ様による選挙対策としての「中断」「中止」は「断念」ではありません。引き続きの「闘争」、翁長知事への支持、そして、沖縄だけでなく、日本全国で自公議員・お維議員を落選させ続けること。
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【http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=157054&f=i】
社説[辺野古訴訟 和解]政治休戦で終わらすな
2016年3月5日 05:00
(辺野古訴訟の和解案受け入れ表明を受け、
安倍首相(右)と握手を交わす沖縄県の
翁長雄志知事=4日午後、首相官邸)
国が名護市辺野古への新基地建設をあきらめたわけではないが、それでもなお、沖縄県にとって「地方自治を守り、工事を止める」という2点で、和解の成立は重要な意味を持つ。
和解条項の中には「円満解決に向けた協議を行う」との文言がある。新たな解決策を模索する第一歩にするよう、国に強く求めたい。
翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しをめぐる「代執行訴訟」で、県と国は福岡高裁那覇支部が示した和解勧告案を受け入れ、和解が成立した。
これによって国が県を訴えた「代執行訴訟」、県が国を相手に起こした「係争委不服訴訟」が取り下げられ、県が提訴した「抗告訴訟」も連動して取り下げられる予定だ。
沖縄防衛局は、行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申し立てを取り下げることになっている。法律上は、翁長知事が埋め立て承認を取り消した時点に戻り、工事は止まる。
平たくいえば、工事を中断した上で、県と国が争っている訴訟をいったん取り下げて訴訟を一本化し、その判決には県も国も従う、というのが和解案の内容だ。
行政事件訴訟で裁判所側が和解勧告を出すのは極めて異例である。なぜ、裁判所は和解案を提示したのか。
1月29日に提示され、4日に公表された和解案を読むと、国と県の訴訟合戦に対して裁判所が深く憂慮していたことがわかる。
■ ■
とりわけ注目したいのは、地方自治法改正によって国と地方公共団体が「それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となる」ことが期待されたにもかかわらず、「改正の精神にも反する状況になっている」ことを指摘し、国におきゅうを据えている点だ。
今後も裁判で争うとなると、えんえんと法廷闘争が続き、「知事の広範な裁量が認められて(国が)敗訴するリスクは高い」とも踏み込んで指摘している。裁判所はそのような状態の異常さを強調し、司法の立場から警鐘を鳴らしたのである。
なぜそのような混迷状況が生じてしまったのか。原因と結果を取り違えてはいけない。
県外移設を公約に掲げて再選された仲井真弘多前知事は、6月23日の「平和宣言」の中でも、県軍用地転用促進・基地問題協議会会長としての政府要請でも、繰り返し「県外移設」を求めてきた。
にもかかわらず、国との「密室協議」を経て、県議会にも県民にも何の事前説明もないまま、唯我独尊の手法で埋め立てを承認した。
これが混迷の始まりだ。
安倍政権は仲井真前知事の埋め立て承認を唯一の根拠に、名護市長選、県知事選、衆院選で示された「辺野古反対」の民意を無視して工事を強行した。
そのことが訴訟合戦を招き、混迷を深めたのである。
安倍晋三首相は和解が成立したその日に、記者団に対して「辺野古が唯一の選択肢であるという国の考え方に変わりはない」と語った。あ然として二の句が継げない。
■ ■
6月の「県議選」、夏の「参院選」に配慮し、ソフト路線を演出するだけの、魂の抜けた、権謀術数の和解受け入れであってはならない。
今後、事態は、翁長知事の埋め立て承認取り消し処分に対する「地方自治法に基づく国による是正指示」→「県による国地方係争処理委員会への審査申し出」→「是正の指示の取り消し訴訟」へと進む可能性が高い。
仮に新たな訴訟で県が敗訴した場合、埋め立て承認取り消し処分が取り消され、工事が再開される。裁判の結果に従うことは県も明らかにしているが、知事の姿勢が「辺野古容認」に変わるわけではない。どっちみち裁判が避けられないものだとすれば、和解勧告の受け入れがベターな選択だといえる。
政府が「対話による解決」を望むのであれば、県の考えを取り入れ、計画を見直すことである。それが辺野古問題を着地させる「唯一の選択肢」である。
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【http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-233184.html】
<社説>代執行訴訟和解 新基地 根本から問え 「辺野古が唯一」は本当か
2016年3月5日 06:01
辺野古新基地の埋め立てをめぐる代執行訴訟で、安倍晋三首相は工事中断を含む暫定的和解案を受け入れた。もともと前向きだった県も応じ、和解が成立した。
一見、国が柔軟な姿勢に転じたかに見える。だがそれは見せ掛けにすぎない。真実は、敗訴間近に追い詰められた国が、やむなく代執行訴訟から退却したのである。
県と国の対立は仕切り直しとなった。だが新基地建設という国の頑迷な姿勢はいささかも揺らいでいない。沖縄の民意を踏みにじり、あくまで新基地を押し付ける姿勢が民主主義、自治の観点から正しいのか。「辺野古唯一」は本当か。根本から問い直すべきだ。
沖縄側の勝利
「暫定案」は国が工事を停止して代執行訴訟を取り下げた上で、代執行より強制力の低い手続きを踏んで再度、県に是正を求めるという内容だ。
福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長がこの和解案を示した時点で、結論は必然だったとも言える。国と県の対立に決着を図る上で最も強権的な手法が代執行だ。他の手段を経ず、いきなり最終手段たる代執行を求めた国に対し、裁判長は代執行以外の手段を勧めたわけである。「このまま行けば国敗訴だ」と警告したのに近い。
一方で裁判長は、県側が申請していた環境や軍事専門家の証人申請を却下していた。前知事の埋め立て承認に瑕疵があったことを立証するのに不可欠な証人たちだ。却下は、翁長雄志知事の承認取り消しの適法性に対する関心の低さの表れとも見える。不適法との心証を抱いていたのかもしれない。
さらに裁判長は、違法確認訴訟で県が敗訴すれば県は確定判決に従うかと問い、県は「従う」と答え
た。このやりとりを国側にあえて見せたのではないか。代執行訴訟では国が敗訴しそうだが、仕切り直して是正の指示の取り消し訴訟になれば、いずれは国有利での解決もあり得る、とのメッセージを送ったようにも見える。
だから国は代執行訴訟取り下げという「退却」を選択したのだろう。
今後、県と国は再び協議の席に着く。溝が埋まらなければ、「是正の指示」、係争処理委員会、是正の指示の取り消し訴訟などの、より強権度の低い手続きへと進むことになる。その間、工事は止まる。いずれにせよ、あれだけ強硬だった政府の工事を暫定的ながら止めたのだから、沖縄側の勝利であり、成果には違いない。
真の仕切り直し
安倍首相は早速、「辺野古移設が唯一の選択肢という考え方に変わりはない」と述べた。この頑迷ぶりが今日の混迷を招いたという自覚はうかがえない。ましてや民主主義や地方自治の無視を恥じる姿勢は見当たらなかった。
首相の姿勢が正当化されるなら、どんな危険を強制されても、環境を破壊されても、選挙でどんな意思表示をしても、国がひとたび決めてしまえば地方は奴隷のごとく従うしかないことになる。これで民主国家だと言えるのか。それこそが本質的な問題なのだ。
是正の指示の取り消し訴訟は国有利だとささやかれる。沖縄側敗訴もあり得るだろう。だが仮に敗訴しても、次は埋め立て承認の「撤回」をすればよい。設計変更は必ずあるからそのたびに知事が承認を下さなければ、工事はできない。いずれにせよ沖縄側が折れない限り、新基地完成は不可能である。
今回、工事は1年以上、止まるだろう。米側もさすがに、日本政府の「移設に問題はない」との説明に疑念を募らせているはずだ。
真の意味での仕切り直しの好機である。海兵隊は、普天間代替基地は必要か。百歩譲って必要としても、「辺野古が唯一」とする軍事的理由はない。復帰前は海兵隊の航空団と歩兵砲兵は岩国と沖縄に分かれていた。両者が近距離にないといけないというのは虚構なのだ。「沖縄の海兵隊」という思考停止の見直しが必要だ。そこからしか真の解決は見つかるまい。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030502000123.html】
国と沖縄 仕切り直し 辺野古工事中断 再協議
2016年3月5日 朝刊
(安倍首相(右)と会談する沖縄県の翁長雄志知事
=4日午後4時50分、首相官邸で(小平哲章撮影))
米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設をめぐる代執行訴訟で、安倍晋三首相は四日、福岡高裁那覇支部が示した和解案の受け入れを表明した。この後、首相は翁長雄志(おながたけし)知事と官邸で会談し、和解が成立した。国による工事は中断する。国と県の協議は仕切り直しとなるが、首相は新基地建設方針は「何ら変わりない」としている。対立の構図は変わっていない。 (金杉貴雄)
和解条項に基づき、辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しの撤回を国が求めた代執行訴訟など、国と県は互いに提訴した三訴訟をすべて取り下げる。首相は埋め立て工事の「中止」を指示した。
今後、国は翁長氏に対して埋め立て承認取り消しの是正を指示することから手続きをやり直す。県は国地方係争処理委員会に審査を申し出て、その後に訴訟を提訴できるが、訴訟が確定するまで双方は「円満解決に向けて協議」することが和解に盛り込まれた。
首相は翁長氏との会談で「訴訟合戦を続けていけば膠着(こうちゃく)状態となり、現状が固定化されてしまう恐れがあり決断に至った」と説明。翁長氏は「和解成立は大変意義がある」と評価し、「(昨年夏の国と県による)集中協議は形式的だった。皆さんの思いもしっかり聞きたい」と述べた。
国と県による今後の協議で双方の主張が変わらなければ、再び法廷で争われることになる。和解条項はこれを想定し、双方が「確定した判決には従う」とした。
ただ「仮に最高裁まで争えば一年程度」(与党幹部)とも指摘される再訴訟の間、工事は行われないことになった。
日米両政府は二〇二二年度にも移設を完了することで合意していた。政府は和解内容を米側にも説明。菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で、移設計画が遅れる可能性を認めて「(スケジュールに影響が)出ないと言えばうそになる」と述べた。
◆近づく参院選 民意に迫られ
<解説> 米軍普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県による異例の「訴訟合戦」は、安倍政権が民意に押され、政権内で想定されていなかった譲歩を迫られる結果に至った。
防衛省幹部は和解について「一日も早い工事完成と言ってきたが、少なくともその方向ではない。全く予想していなかった」と不満を漏らした。和解案の受け入れは、官邸による政治判断といえる。
新基地建設については、二〇一四年十一月の沖縄県知事選で、辺野古埋め立てを承認した前知事を破り、翁長雄志知事が当選。同十二月の衆院選では沖縄の全四小選挙区で、新基地建設の反対を訴えた候補が与党を破った。沖縄の民意が新基地建設に反対していることが鮮明になった。
普天間飛行場を抱える宜野湾市で今年一月に行われた市長選では、新基地反対を訴えた候補が敗れたことで、政権内には沖縄の民意が変わりつつあるとの見方もある。だが、当選した現職は新基地建設問題を争点化しておらず、その見方は必ずしも妥当ではない。
和解案に対しては、沖縄側が受け入れを早々に表明した一方、政府は工事中止が盛り込まれていることを理由に受け入れに消極的だった。それでも最終的に和解に応じたのは、沖縄の民意に変化の兆しがないまま夏の参院選に臨めば悪影響が及ぶと懸念。対立を一時棚上げするのが得策との判断もあったとみられる。
首相はこの日「県との協議」を再び強調した。だが「辺野古が唯一の選択肢」という政権の基本方針まで変えたわけではない。 (関口克己)
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