テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

シカゴ

2005-05-07 | ミュージカル
(2002/ロブ・マーシャル監督/レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギア、ジョン・C・ライリー、クイーン・ラティファ、ルーシー・リュー)


 意外だったのは、ポッチャリちゃんだと思っていたゼルウィガーが細身で筋肉質だったことと、スマートだと思っていたゼタ・ジョーンズが、巾広の体型で着装時とのイメージが違っていたこと。キャサリンは最初、デミー・ムーアかと思いましたな。

 2002年のアカデミー作品賞を獲った映画。ミュージカルが作品賞を獲ったのって「オリバー(1968)」以来でしょうか。ボブ・フォッシーの舞台劇の映画化。フォッシーが監督賞を獲った「キャバレー(1971)」も面白かったけど、カット割りなんか、すこし雰囲気似てます。

 人生の暗い部分というか、皮肉な部分にフォーカスをあてるフォッシーらしい話でしたが、あまり深刻にならず、音楽と踊りで笑い飛ばしてしまうところがアメリカのミュージカルの面白さ。やっぱりこれは、楽しい楽しいフォッシー・ミュージカルの快作です。

 1920年代、いわゆるジャズエイジと云われる時代のシカゴの話。キャバレーで姉妹ペアで売っている歌手のヴェルマ・ケリー(ゼタ=ジョーンズ)は、妹がマネージャーである自分の夫と不適切な関係をもった所を見つけたため、二人とも射殺してしまう。
 オープニングで、ショーの開幕にバタバタと駆けつけたヴェルマが、血糊がべっとり付いた手を洗い、拳銃を隠す。ここまでは、ゼタ=ジョーンズの顔は見せない。『一人で大丈夫よ』と舞台マネージャーに言って“♪オール・ザット・ジャズ”を唄い始めるときに初めて顔を見せる。そして、歌い終わったところに警察が店にやってくる。テンポよろしく、ぐっと引き込まれる出だしでありました。

 そして、このショーを見に来ていたロキシー・ハート(ゼルウィガー)は、スターを夢見る人妻で、ショービジネスのコネを紹介するという愛人の家具のセールスマンに騙され、かっとなって彼女もセールスマンを射殺する。

 こうして、二人は監獄というショービジネスとは全然関係ないところで出会うわけだが、ここに、女性を弁護して死刑になったことが無いという辣腕弁護士、実は金儲けの腕もピカイチのビリー・フリン(ギア)が登場する。

 殺人者までもスター扱いしてしまうシカゴのマスコミを巻き込み、夢と現実が入り乱れ、ロキシーとヴェルマの華麗な女の戦いが歌と踊りで繰り広げられる。女性看守長ママ・モートン(ラティファ)や他のプリズナー達の人間模様も織り込まれ、こんなところがミュージカルの舞台になるんかいな、とあきれる話ではありました。

 話の展開の行き着く先は途中で読めますが、やはり私はミュージカルが好きなんでしょう。ラストの歌と踊りも楽しかった。

 リチャード・ギアの歌とダンスは、最初はちょっとコチラが照れてしまいましたな。上手くやれるんかな?・・・なんてね。さっき見終わったばかりですが、違和感は・・・ちょい残ってますね。下手とかじゃなくて、ただ彼に対する私の印象だけの話なんですが。

 “♪ミスター・セロファン”のエイモス・ハート(C・ライリー)。こちらの方が意外性という意味では大きいんだが、その分印象深い。どこかで聞いた曲なんですがねえ・・・思い出せない。

 ブロードウェイで振付兼演出家をやっているというロブ・マーシャルの映画初監督とのこと。舞台劇の雰囲気を生かした見事な映像でした。編集の力も大きいなと思っていたら、オスカーを受賞していました(=マーティン・ウォルシュ)。

 ミュージカル・シーンで気に入ったのは、レニーが腹話術の人形になってR・ギアと共演するやつ。あと、レニーがブルーの短いスカートで暗いステージでソロで唄ってるやつ。ありゃ、どっちもレニーだった。顔のアップでは肌の荒れが目立ったけどねぇ。
 そして、裁判シーンで、決定的なところでのR・ギアのタップと裁判のカットバックは上手い編集でしたな。

 キャサリンの意外な体型についてネットで調べると、この時妊娠していたとのこと。それで、アノ踊りとは・・・天晴れ。

オフィシャル・サイト
http://www.miramax.com/chicago/

・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 テアトル十瑠

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12 コメント

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Unknown (turtoone)
2005-05-20 19:02:18
TBありがとうございました。私も腹話術のシーンは好きです。前半の6人の女性監獄囚と、キャサ・ゼタのひとり二役も良いですね。それと、ジョンCライリーの「セロファン」には職人芸を感じます。
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いらっしゃいませ (十瑠)
2005-05-20 20:18:09
絞首刑をエンターテイメントにするなんて、ビックリしましたね。

6人の女性監獄囚のシーンにしても、これはやっぱりR指定にした方がいいかも・・・です。
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Unknown (ケイティ)
2005-08-20 08:18:00
TBさせていただきました

&TBありがとうございます!

レニーの腹話術人形の歌のシーン

すごかったですよね~

みんな本当に人形みたいなんだもん!

あとミスターセロファンの歌の歌詞が

悲しすぎで好きです(笑)
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いらっしゃいませ (十瑠)
2005-08-20 09:00:10
コチラこそTBありがとうございました。

いきなり舞台上でピエロになって歌い踊るミスターセロファン。

舞台裏から撮るというカメラアングルさえ、もの悲しい雰囲気でしたね。
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Unknown (Unknown)
2006-02-24 15:25:09
TBありがとうございました♪

カッコいいミュージカルを久しぶりに見た気がしました!

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Unknown=Dさん、ですよね (十瑠)
2006-02-24 17:39:42
TB返し&コメントありがとうございます。



レンタルに出てからも、数年経ってから観たんですよね。

ウン。かっこいいミュージカルでした!
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TBありがとうございました!! (anupam)
2006-05-20 22:20:27
顔がアップになったとき、肌荒れにチェキが入るなんて・・男の人ってよく見ているんですね~気をつけよ・・



この作品で一番印象に残っているのは「ママ」役の黒人のおばちゃんですかね。強烈です。

でも全体に思っていたより面白かったな~もう一度見たいです



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モンローみたいで・・・ (十瑠)
2006-05-20 23:06:11
可愛かったんですよ、レニーが。だから、肌荒れがねぇ。

減量のせいなんでしょうがね。



「ママ」似のボスって、恐そうでんなあ~
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困ったことに (オカピー)
2006-08-26 01:51:36
コメント、有難うございました。



80年代以降、タモリが嫌っているような<話の途中で唄いだす>不自然な流れのミュージカルがなく、私のようなファンを嘆かせています。

本作は幻想であり、「オペラ座の怪人」は劇中劇であり(ミュージカルというよりオペレッタ)、「コーラスライン」は楽屋裏。そうなると、「ジーザス・クライスト・スーパースター」まで遡るのかな。

私はMGMミュージカルが好きなんですよ。
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確かに (十瑠)
2006-08-26 08:12:37
ミュージカルは少なくなっているんでしょうねぇ。

生活のリズムがスピードアップしていて、音楽もアップテンポのものが多くて、昔風のミュージカル映画は作れないのかも知れませんね。



オカピーさんがあげてらっしゃる3作品、存じておりますがいずれも見ていません。

「スイート・チャリティ」も「素晴らしき戦争」も見逃しております。トホホ。
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