「はぁあああー?!」
※※※※
お風呂から上がったレイヒョンの手のひらに乗ってる『ちっちゃい人』は、ちっちゃいハンカチみたいなのを巻いてた。
「なんだい、シン、手の上のもの、」
って、スホヒョンが近づいたら、
「かわいいでしょ、これオマエだよ」
ってレイヒョンが言いながら、スホヒョンの鼻先に半裸の『ちっちゃいスホヒョン』を差し出したもんだから。
今、スホヒョンの金切り声が宿舎中に響いてる。
「ちょっと待て、落ち着け!」
「落ち着くのはオマエの方だよ」
「わかってる、いや、違う、あー、待って、どうしよう?!」
噛み合ってんだか、ないんだか、この二人は見てて飽きない。
「とりあえず、服着せれば?」
セフンが、冷静に横から助け船を出す。
「ああああ、そう!それ!服を!早く!」
「へぇ、色の白いところもスホヒョンに似てるんですね」
って、冷静にギョンスが。
スホヒョンの肩越しに『ちっちゃいスホヒョン』を覗いてる。(ややこしいな)
「バカ!見るな!服!服は?」
「洗濯しちゃった〜」
「なんてことだ!!イーシン、一生恨むぞ!」
耳まで真っ赤にして叫んでる姿は、もはや見てるだけで面白いんだけど、これ以上スホヒョンが壊れても困るから、
「これ、着せる?」
って、前におれが買っておいた着せ替え人形のパジャマを差し出した。
「ベッキョナ!いい子だ!よし!後で好きなもの何でも買ってやる!」
「わぁい!録音したからね、今の!絶対だよー!」
「あ、そんな高いものじゃ…」
「ベッキョニヒョン、皆で韓牛〜」
「ばぁか!車とかにすンだから!」
「は?!くるま?!」
おれとスホヒョンとセフンの会話に割って入るようにレイヒョンが、
「それより聞いて〜!この子、泳ぎ上手いんだよ〜!お風呂の中を自由自在に、」
と嬉しそうに我が子自慢をしてきた。
「はぁ〜?ちょっと待て、一緒に?一緒に入ったの?裸で?」
「そうだよ、お先に。」
「いや、そこじゃなくて!」
「裸で入らなくちゃお風呂入ったって言わないでしょ」
「…っ…」
もはやスホヒョンは、何も言葉が出ず、こめかみの血管が浮き出てる。
「べつに、お風呂くらい一緒に入ったっていいじゃない?男同士だし。そもそも、これ、オマエじゃないし。」
…確かにな。
するとスホヒョンは、ソファに倒れこんでしまった。
「…だって、それ、俺の顔じゃん…」
「ね?かわいいよね!」
…レイヒョンには誰も敵わないと思う。
そうしてる間に、チャニョルとセフンがいそいそとパジャマを着せれば、『ちっちゃいスホ』は満足そうな顔で辺りを見回してる。
「水分補給が必要なんじゃないの?」
と、ウミニヒョンが、小さなミルクピッチャーにミネラルウォーターを入れて持ってきた。
それを鷹揚な態度で(おれにはそう見える)飲み干す姿は、やはりスホヒョンにそっくりで。
それに、なんだかんだ、みんな手慣れてきてる。確実に。
まぁ、3度目だもんな。
お世話も堂に入ってる。
「…でもさ、こんなの拾うの、3度目じゃん。一体なんなんだろうね?」
「それはあれだろ、未確認生物」
「未確認じゃねぇし」
と、おれとチャニョルが言い合ってると、
「4度目、かな」
と、ジョンインがぼそっと呟いた。
「セフンの前に、ちっちゃいオレがいたんだ。」
「え!」
皆で声を揃えて驚くと、ジョンインがボソボソ説明しだした。
スホヒョンが拾ったのをこっそり二人でお世話してたこと、
やはり4、5日で光と共にいなくなっちゃったこと。
「…聞いてませんけど?」
セフンが低い声で言ってスホヒョンを睨んでる。
「あぁ、ちょうどお前、中国に映画撮りに行ってたかな?」
「全然、時期違うし」
「とにかく!」
って、チャニョルが拗ねるセフンの頭を無駄にこね繰り回しながら、
「ようこそ。チビスホヒョン!」
って叫んで、
「…耳…壊れる」
とギョンスに睨まれるまでがお約束。
そこにチェンの「あっははは〜」って笑い声が加わり、なんとかその場は納まった。
…まぁ、次の瞬間、一緒に寝るのは俺だ選手権が、スホヒョンとレイヒョンの間で始まったんだけどね。
「スホはぁ、もう、カイをぉ、育てたでしょう〜!」
レイヒョンは、ケンカ腰になると、本名より短い名前で呼ぶ。
そうなったらもう誰もレイヒョンには勝てない。
だって、この人、一歩も引かないから。
そこへ、
「そうだ、そうだ!」
と、まさかのセフンの加勢が入って、あっさりスホヒョンの負け。
「うぅ…」
って、口尖らせて悔しそうにしてるスホヒョンを放って、レイヒョンはさっさと手のひらにちっちゃいのを乗せて部屋に行ってしまった。
「…っあ、あ〜、おい、丁寧に!優しく、だぞ!なんか余計なことすんなよ!」
レイヒョンの背中に向かって叫んでるスホヒョンを振り返って、
「余計なことって、なに?」
と、方頬だけ上げて笑って、わざとチビスホにキスするレイヒョン。
「ウアアアー…やめろぉ〜…」
バカだなぁ、この人。
レイヒョンの扱い方、全然わかってない…いや、わかってんのかな、お約束なのかな、これ。
とりあえず、明日も早いから、寝るとするか、おれたちも。
あ、その前にシャワーの順番決めようぜ、そこに倒れてるスホヒョンは放っておいてさ。
(つづく)
※※※※
お風呂から上がったレイヒョンの手のひらに乗ってる『ちっちゃい人』は、ちっちゃいハンカチみたいなのを巻いてた。
「なんだい、シン、手の上のもの、」
って、スホヒョンが近づいたら、
「かわいいでしょ、これオマエだよ」
ってレイヒョンが言いながら、スホヒョンの鼻先に半裸の『ちっちゃいスホヒョン』を差し出したもんだから。
今、スホヒョンの金切り声が宿舎中に響いてる。
「ちょっと待て、落ち着け!」
「落ち着くのはオマエの方だよ」
「わかってる、いや、違う、あー、待って、どうしよう?!」
噛み合ってんだか、ないんだか、この二人は見てて飽きない。
「とりあえず、服着せれば?」
セフンが、冷静に横から助け船を出す。
「ああああ、そう!それ!服を!早く!」
「へぇ、色の白いところもスホヒョンに似てるんですね」
って、冷静にギョンスが。
スホヒョンの肩越しに『ちっちゃいスホヒョン』を覗いてる。(ややこしいな)
「バカ!見るな!服!服は?」
「洗濯しちゃった〜」
「なんてことだ!!イーシン、一生恨むぞ!」
耳まで真っ赤にして叫んでる姿は、もはや見てるだけで面白いんだけど、これ以上スホヒョンが壊れても困るから、
「これ、着せる?」
って、前におれが買っておいた着せ替え人形のパジャマを差し出した。
「ベッキョナ!いい子だ!よし!後で好きなもの何でも買ってやる!」
「わぁい!録音したからね、今の!絶対だよー!」
「あ、そんな高いものじゃ…」
「ベッキョニヒョン、皆で韓牛〜」
「ばぁか!車とかにすンだから!」
「は?!くるま?!」
おれとスホヒョンとセフンの会話に割って入るようにレイヒョンが、
「それより聞いて〜!この子、泳ぎ上手いんだよ〜!お風呂の中を自由自在に、」
と嬉しそうに我が子自慢をしてきた。
「はぁ〜?ちょっと待て、一緒に?一緒に入ったの?裸で?」
「そうだよ、お先に。」
「いや、そこじゃなくて!」
「裸で入らなくちゃお風呂入ったって言わないでしょ」
「…っ…」
もはやスホヒョンは、何も言葉が出ず、こめかみの血管が浮き出てる。
「べつに、お風呂くらい一緒に入ったっていいじゃない?男同士だし。そもそも、これ、オマエじゃないし。」
…確かにな。
するとスホヒョンは、ソファに倒れこんでしまった。
「…だって、それ、俺の顔じゃん…」
「ね?かわいいよね!」
…レイヒョンには誰も敵わないと思う。
そうしてる間に、チャニョルとセフンがいそいそとパジャマを着せれば、『ちっちゃいスホ』は満足そうな顔で辺りを見回してる。
「水分補給が必要なんじゃないの?」
と、ウミニヒョンが、小さなミルクピッチャーにミネラルウォーターを入れて持ってきた。
それを鷹揚な態度で(おれにはそう見える)飲み干す姿は、やはりスホヒョンにそっくりで。
それに、なんだかんだ、みんな手慣れてきてる。確実に。
まぁ、3度目だもんな。
お世話も堂に入ってる。
「…でもさ、こんなの拾うの、3度目じゃん。一体なんなんだろうね?」
「それはあれだろ、未確認生物」
「未確認じゃねぇし」
と、おれとチャニョルが言い合ってると、
「4度目、かな」
と、ジョンインがぼそっと呟いた。
「セフンの前に、ちっちゃいオレがいたんだ。」
「え!」
皆で声を揃えて驚くと、ジョンインがボソボソ説明しだした。
スホヒョンが拾ったのをこっそり二人でお世話してたこと、
やはり4、5日で光と共にいなくなっちゃったこと。
「…聞いてませんけど?」
セフンが低い声で言ってスホヒョンを睨んでる。
「あぁ、ちょうどお前、中国に映画撮りに行ってたかな?」
「全然、時期違うし」
「とにかく!」
って、チャニョルが拗ねるセフンの頭を無駄にこね繰り回しながら、
「ようこそ。チビスホヒョン!」
って叫んで、
「…耳…壊れる」
とギョンスに睨まれるまでがお約束。
そこにチェンの「あっははは〜」って笑い声が加わり、なんとかその場は納まった。
…まぁ、次の瞬間、一緒に寝るのは俺だ選手権が、スホヒョンとレイヒョンの間で始まったんだけどね。
「スホはぁ、もう、カイをぉ、育てたでしょう〜!」
レイヒョンは、ケンカ腰になると、本名より短い名前で呼ぶ。
そうなったらもう誰もレイヒョンには勝てない。
だって、この人、一歩も引かないから。
そこへ、
「そうだ、そうだ!」
と、まさかのセフンの加勢が入って、あっさりスホヒョンの負け。
「うぅ…」
って、口尖らせて悔しそうにしてるスホヒョンを放って、レイヒョンはさっさと手のひらにちっちゃいのを乗せて部屋に行ってしまった。
「…っあ、あ〜、おい、丁寧に!優しく、だぞ!なんか余計なことすんなよ!」
レイヒョンの背中に向かって叫んでるスホヒョンを振り返って、
「余計なことって、なに?」
と、方頬だけ上げて笑って、わざとチビスホにキスするレイヒョン。
「ウアアアー…やめろぉ〜…」
バカだなぁ、この人。
レイヒョンの扱い方、全然わかってない…いや、わかってんのかな、お約束なのかな、これ。
とりあえず、明日も早いから、寝るとするか、おれたちも。
あ、その前にシャワーの順番決めようぜ、そこに倒れてるスホヒョンは放っておいてさ。
(つづく)