<女子教育「コサイン教えて何になる」鹿児島知事、撤回>朝日新聞デジタル 8月28日(金)12時0分配信より一部引用
鹿児島県の伊藤祐一郎知事が、27日に開かれた県の総合教育会議で、女性の高校教育のあり方について、「高校でサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」「それよりもう少し社会の事象とか植物の花や草の名前を教えた方がいいのかなあ」と述べていたことが分かった。知事は28日の定例記者会見で「口が滑った。女性を蔑視しようということではない」と発言を撤回する考えを示した。
この女性蔑視発言の主が鹿児島県知事なので、また「二つの祖国」(山崎豊子)を思い出した。
主人公の天羽賢治の父乙七は鹿児島は加治木の郷士の家に生まれたが、七男二女の七男にゆえに望みのない冷飯生活で終わるくらいならと、19歳の時に単身アメリカ行きの移民に応じてカリフォルニアへと渡り、窒息しそうな暑熱だと怖れられた日本帝國平原(インペリアル・バレー)で10年働いた蓄えを元手にロサンゼルスでクリーニング店を開く。
誠実な仕事ぶりが認められ白人の得意先もできた乙七夫婦の唯一の生き甲斐は、子供には日本で大学教育を受けさせることだったが、賢治に続き忠を日本で学ばせている最中に起ったのが太平洋戦争だった。
開戦により一世も二世も一律に敵性外国人として強制収容所に入れられたが、やがて忠誠テストにより生きる道が異なってくる(注、「桜島に忠誠を捧げる」)
絶対的忠誠を示すため志願して戦地へ向かう者や、NO27・28にyesと答え収容所を出ることを許される者がいる一方で、yesと答えられず戦時交換戦で日本に帰る者もおれば、NOと答えて不忠組を集める収容所に隔離される者もいた。
忠誠テストに際し、乙七のクリーニング屋としての腕を見込んでいる移民仲間は、故郷でアメリカ仕込みのクリーニング屋をするようにと帰国を勧めるのだが、乙七が「無理だ」と答えるその理由が冒頭の鹿児島知事の女性蔑視の風土に重なる。
『いや、鹿児島の加治木は、家族の洗濯もんも、男と女は別々の盥を使う土地柄じゃ、そこでアメリカ式の洗濯屋をやるっちゅうことは、オイに死ねというのと同じこっちゃ』
男と女の洗濯を同じ盥で洗う行為(男女を同じに扱うこと)は死に等しい、鹿児島では今もこの風土が根強いので、知事も口が滑ったのだろうか。
知事は「口が滑った」と言っているのであって、言い間違いだとも聞き手の誤解だとも言ってはいない。
口の中にある本音が、つい滑り出ただけ。
これが本音でありながら、今日は建前会議を大々的に開いている。
<外相「女性に対する人権侵害を撲滅」シンポで表明> 2015/8/29 11:46日経新聞より一部引用
岸田文雄外相は29日午前、都内で開催中の「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」で講演し、国際的な女性の社会参画に関して「21世紀を女性に対する人権侵害の無い社会とするため尽力する」と述べた。開発や防災分野での女性の活躍を重視する日本政府の姿勢を示し「女性がもつ優れた潜在能力を発揮できるようにすることは喫緊の課題だ」と強調した。
続いて演説した有村治子女性活躍相は、28日に成立した女性活躍推進法に言及し「企業において女性参画を推進することで(その企業の)競争力が高まる」と語った。
女性活躍推進法とは、「20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」との政府の成長戦略の中枢を担うもので素晴らしい政策だが、この法案が成立した日に、「''女にコサイン教えて何になる''と口が滑って(本音を言って)しまった」と釈明する知事がいるのは、喜劇である。
21世紀には女性に対する人権侵害が無い社会を、女性の優れた潜在能力を発揮できる社会を、20年までには指導的地位に女性が占める割合を30%にとお題目を唱えながら、日本の象徴に連なる女性を女性であるがゆえに蔑視し続けている日本。
洗濯ものの向こうに透けて見える偏見で雅子妃殿下を病に追い込み、敬宮様の存在をなきものとしている日本。
男女の区別なく真っ白な洗濯物が、青空のもと、はためく日は果たして来るのだろうか。
鹿児島県の伊藤祐一郎知事が、27日に開かれた県の総合教育会議で、女性の高校教育のあり方について、「高校でサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのか」「それよりもう少し社会の事象とか植物の花や草の名前を教えた方がいいのかなあ」と述べていたことが分かった。知事は28日の定例記者会見で「口が滑った。女性を蔑視しようということではない」と発言を撤回する考えを示した。
この女性蔑視発言の主が鹿児島県知事なので、また「二つの祖国」(山崎豊子)を思い出した。
主人公の天羽賢治の父乙七は鹿児島は加治木の郷士の家に生まれたが、七男二女の七男にゆえに望みのない冷飯生活で終わるくらいならと、19歳の時に単身アメリカ行きの移民に応じてカリフォルニアへと渡り、窒息しそうな暑熱だと怖れられた日本帝國平原(インペリアル・バレー)で10年働いた蓄えを元手にロサンゼルスでクリーニング店を開く。
誠実な仕事ぶりが認められ白人の得意先もできた乙七夫婦の唯一の生き甲斐は、子供には日本で大学教育を受けさせることだったが、賢治に続き忠を日本で学ばせている最中に起ったのが太平洋戦争だった。
開戦により一世も二世も一律に敵性外国人として強制収容所に入れられたが、やがて忠誠テストにより生きる道が異なってくる(注、「桜島に忠誠を捧げる」)
絶対的忠誠を示すため志願して戦地へ向かう者や、NO27・28にyesと答え収容所を出ることを許される者がいる一方で、yesと答えられず戦時交換戦で日本に帰る者もおれば、NOと答えて不忠組を集める収容所に隔離される者もいた。
忠誠テストに際し、乙七のクリーニング屋としての腕を見込んでいる移民仲間は、故郷でアメリカ仕込みのクリーニング屋をするようにと帰国を勧めるのだが、乙七が「無理だ」と答えるその理由が冒頭の鹿児島知事の女性蔑視の風土に重なる。
『いや、鹿児島の加治木は、家族の洗濯もんも、男と女は別々の盥を使う土地柄じゃ、そこでアメリカ式の洗濯屋をやるっちゅうことは、オイに死ねというのと同じこっちゃ』
男と女の洗濯を同じ盥で洗う行為(男女を同じに扱うこと)は死に等しい、鹿児島では今もこの風土が根強いので、知事も口が滑ったのだろうか。
知事は「口が滑った」と言っているのであって、言い間違いだとも聞き手の誤解だとも言ってはいない。
口の中にある本音が、つい滑り出ただけ。
これが本音でありながら、今日は建前会議を大々的に開いている。
<外相「女性に対する人権侵害を撲滅」シンポで表明> 2015/8/29 11:46日経新聞より一部引用
岸田文雄外相は29日午前、都内で開催中の「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」で講演し、国際的な女性の社会参画に関して「21世紀を女性に対する人権侵害の無い社会とするため尽力する」と述べた。開発や防災分野での女性の活躍を重視する日本政府の姿勢を示し「女性がもつ優れた潜在能力を発揮できるようにすることは喫緊の課題だ」と強調した。
続いて演説した有村治子女性活躍相は、28日に成立した女性活躍推進法に言及し「企業において女性参画を推進することで(その企業の)競争力が高まる」と語った。
女性活躍推進法とは、「20年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にする」との政府の成長戦略の中枢を担うもので素晴らしい政策だが、この法案が成立した日に、「''女にコサイン教えて何になる''と口が滑って(本音を言って)しまった」と釈明する知事がいるのは、喜劇である。
21世紀には女性に対する人権侵害が無い社会を、女性の優れた潜在能力を発揮できる社会を、20年までには指導的地位に女性が占める割合を30%にとお題目を唱えながら、日本の象徴に連なる女性を女性であるがゆえに蔑視し続けている日本。
洗濯ものの向こうに透けて見える偏見で雅子妃殿下を病に追い込み、敬宮様の存在をなきものとしている日本。
男女の区別なく真っ白な洗濯物が、青空のもと、はためく日は果たして来るのだろうか。