「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

新型コロナとの合併症により、アルトの巨匠ジャズマン「リー・コニッツ」が逝った

2020-04-18 11:13:17 | 編集長「MASH」のレコードラック(音楽紹介)
ニューヨーク …
新型コロナにより
ジャズ界の巨匠「リー・コニッツ」が逝った。
92歳だという…。
 
マイルスの「クール云々…」という話は
色々なところで腐るほど語られているから、
この新型コロナとの合併症で逝ってしまった今
ここは真っ先に彼の異色盤にスポットを当て、
アルトの重鎮を偲びたい。
 
本作「ハイ・ジンゴ」は
フュージョン全盛期の82年に
我が国「日本製作」により作り上げた作品で
この「フュージョン時期」とは思えないほど
「実にレイドバックしたジャズ」
を聴かせる「隠れ名盤」に他ならない!
 
実はコレ、同じ白人アルトの問題児
「アート・ペッパー」
との全編初競演集!
「もうコレだけで熱い!」
と思う人が当時どれほどいただろうか?
 
想像するに
「そう多くはいない」
んだろうな。
今は全く語られていないから…。
 
そもそも当時ユピテルが経営していた
この「アトラスレコード」
では独自の企画で「新規のジャズ録音」を進め
「面白い盤」を世に送り出す役割を担っていた。
もちろん本作もその一つなのだ!
 
この「フュージョン時代」
往年のジャズマンは
「フュージョン寄りの音」を嫌う一方で
続々と録音の機会を失われていた…
そこに目を付け、録音に漕ぎ着けたのだ。
 
本作のエピソードも面白い。
プロデュースを担う「石原氏」が渡米時
「ペッパー夫人」
から
「うちの旦那コニッツとの共演、まだ無いのよ〜」
と聞かされ
「思い付き実現した」
というではないか!なんとイージーなコトか!
 
もちろんこの「石原氏」による
「愛に満ちた本作でのプロデューサーっぷり」
も素晴らしい!のだが、
とにかく「元気な音」を
「コニッツ」と「ペッパー」が
「アルト合戦」で聴かすのがタマラナイ!
 
オープニングの
「スワンダフル」の「リラックス感」から
ラストの
「チェロキー」での「ぶつかり合い」まで
「2人の会話集」の様な作品に仕上がっている!
 
時に「穏やかに話し合い」
時に「激しく口論し」
そして最終的には
「笑い合う!」
そんな感じよ!
 
もちろん、そこを補う様に
ピアノ、ベース、ドラムのサポートが
「初競演を祝う」かの様に絶妙!
盤全体が
「極上のアルト空間」
を創り出しているぞ!
 
近年、様々な訃報を聞く…
影響を受けた
「音楽家」や「スポーツ選手」
「文化・文芸人」などなど…
その数はあまりにも多い。
 
そして、その都度
「死を意識して生きる」
コトを学ぶ。
 
時は新型コロナで
「外出禁止令」
大雨の自宅でジャズを聴く。
そんな「裕福な時間」を
「ジャズる心」で味わう。
 
盤を回せば、いつでも俺の中で
「コニッツは生き続ける」
それでいいのだ!
ご冥福をお祈りしたい。
 
《編集長「Mash」筆》