『悲しみよこんにちは』／フランソワーズ サガン

　昨日の夜は、フランソワーズ・サガンの小説『悲しみよこんにちは』を読み返していました。


　十七歳のセシルは鰥夫で女誑しの父親と父親の愛人・エルザと一緒に、地中海に面した海辺にある別荘を借りて夏のバカンスを楽しんでいた。
　その別荘に死んだ母親の古い友人で聡明で魅力的な女性・アンヌが訪れることになった……。
　父親はアンヌと結婚すると言い出して……。


　瑞々しい文章。なんだけどシニカルで端正な文章。
　少女の残酷さと傲慢さと好奇心と独占欲と優しさと繊細さと冷酷さと悔恨と浅はかさ等々を揺らぎを持った文章で描いています。

　幼稚で未熟で聡明であるからこその策略。少女は策略が成功することで大事なものを失ってしまう。

　面白かったですよ。

　主人公の少女・セシルの一人称で書かれていてセシルの主観で物語が進んでいます。
　故に周囲の大人達の心情はセシルの想像や推測。
　周囲の大人達の心情を想像してみるのも面白いかもしんない。