糸へん暮らし

ハンドメイドや読書、週末ドライブなどいろいろ

れんげ荘

2016-05-24 02:20:03 | 日記
群ようこさんは、本当に女性の夢を描くのが上手な方だと思う。
「会社、行きたくない」と誰もが抱く気持ちを、
そのままスーッと延ばしていったような作品。
主人公、キョウコさんは、一流会社に勤めるバリキャリだが、
仕事にやりがいを感じているわけでもなく、
自己中心的な母親との折り合いが悪い。
そこで
転職したり、マンション買って一人暮らしをしたり、という
ありきたりのコースは選ばず、
貯金をいっぱいためて退職し、
おんぼろアパート「れんげ荘」で、月十万円生活を始める。

もちろん、すてきな隣人や、親切な大家さんに恵まれるのだが、
屋根がついているだけの、野宿のような生活の中、
「これでいいのか」
と悶々としたりする。

でも、その悶々すらすてきに思えてしまいます。
いいなあ、家賃三万円のおんぼろアパート…。


文庫版の方は、咲き乱れる蓮華草の表紙ですが、単行本の方は、
作品に登場するアイテムが、可愛く描かれています。

でも、レンゲは出てこなかった気がする…。
そもそもレンゲは、肥料代わりに田んぼに植える花ですから
都市部では見かけないと思います。
都市に咲くレンゲのような、ファンタジックなアパート
ということかな…。