科学はおもしろいぞ!

身の回りのことから、科学のおもしろさを発見してみよう。

超流動という不思議な現象

2009-10-31 16:54:49 | 科学の実験
超流動状態の液体ヘリウム「超流動」という不思議な現象があります。「超伝導」という現象は時々新聞などでも話題になっているので、皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、超流動というのは、私もはじめて聞いた名前だったのですが、超伝導と同じように、極低温の中で起きる特殊な現象です。

この「超流動」という現象は、流動という言葉からも想像されるように「液体の粘性の抵抗が無くなる現象」ですから、本当にサラサラな液体状態になります。

超伝導は電気抵抗がゼロになって、リング状の電線を作って流すと永遠に流れ続ける現象ですが、超流動も理論的には丸い水槽に入れて回せば回りの容器との抵抗が全く無いために永久に回る「ハズ」だそうです。
また、超流動状態では、容器に入れた液体が、その容器のフチを伝たわって昇って下にこぼれ出したり、一部を加熱しても、瞬間に他方にも伝わったり、通常の液体の状態では通れないような狭いすきまを通り抜けたりする現象が見られるそうです。

ここの写真は分かりにくいと思いますが、去年埼玉県の理化学研究所の一般公開でやっていた超流動のデモンストレーション実験の様子です。

超流動状態の液体ヘリウム全体の構造はこの右の図のようになっています。
魔法瓶のような真空のガラス断熱容器の中に液体窒素(-196度C)が入っていて、またその中に同じガラスの断熱容器の中に液体ヘリウムが入っています。
超流動現象は、この液体ヘリウムの中で起きているのです。
写真では、泡がたくさん見えていて、分かりにくいかと思いますが、この泡は外側の液体窒素が沸騰している泡で、その泡の向こう側に見える静かな液面の部分が超流動状態の液体ヘリウムです。
超流動状態になると、沸騰状態にならないで、静かな液面になるそうです。

中ほどに吊り下げられているガラスカップに入っている液体ヘリウムがフチから伝わって、下にしずくが出来ている様子が見えます。
カップからこぼれる液体ヘリウム 豆電球で加熱実験 豆電球で加熱実験
また、小さな電球が点いている写真は、超流動状態の中で、豆電球をつけて加熱しているのです。この熱が別のところに瞬間に伝わる実験などをやっていました。
装置には噴水実験用のノズルなどもついていましたが、その時は見られませんでした。

超流動についての正確で詳細な解説は東京大学のサイトに書かれています。
興味のある方はどうぞ。《東京大学のサイト

強力磁石によるモーゼ効果

2009-10-22 18:27:13 | 科学の実験
モーゼ効果の実験モーゼ効果とは、水のような液体の磁性体が、磁力の影響を受けて引っ張られたり、押し込まれたりする現象です。
この写真では、強力なネオジウム磁石の対の中に青い液体の入った薄い水槽を入れています。
写真を良く見ると、磁界の中の中央の部分の青い液体が盛り上がっています。この青い液体は硫酸銅の水溶液で、磁石に引かれる性質があります。
しかし、硫酸銅の水溶液はそのままでは比重も重く抵抗もあるので、いくら強力なネオジウム磁石のそばに寄せても、目に見えるような形には膨らんだりはしません。
そこでこの硫酸銅の水溶液の上半分の透明の液体部分は、硫酸銅の水溶液とほぼ似た比重の反磁性の液体です。この二つの性質を持った液体が、透明な容器に入っています。
モーゼ効果のs説明つまり、同じ比重同士の液体なので、ちょっとした力を受けても、変化が明瞭に見えるのです。
そのために、ネオジウムの磁界の中に、この容器を入れると、青色の硫酸銅の水溶液は磁石に引き寄せられふくらみ、透明な反磁性体の液体は押し出されてへこんでいるのです。
硫酸銅という物質は、水分を強力に吸収する性質があり、吸収すると青色に変化します。
モーゼ効果とは、旧約聖書に出てくる話で「モーゼが奴隷のように扱われていたユダヤ人を率いてエジプトから脱出する途中で海岸に追い詰められた時に、海が割れて、そこを通って脱出するこが出来た。」という話から、磁力をもって水面を上げたり下げたりする事が出来るということで呼ばれるそうです。
この実験は、08年に埼玉県和光市の理化学研究所の一般公開で行われていた実験です。

電気力線を見る実験

2009-10-10 22:55:46 | 科学の実験
電気力線久しぶりに実験科学ネタですが、電気力線というのは、プラスとマイナスの電極の間にはいたらいている力の線です。
下敷きを擦って静電気をためて、頭に近づけると、髪の毛が逆立ちますが、あの髪の毛の向きが電気力線の向きなのです。
磁石はN極とS極があって、それぞれの間を力の線が働いていて、磁力線といいますが、電気も同じようにプラスとマイナスの電極の間に同じように力が働いているのです。
その力の様子を見ようというのが、今回の実験です。
まずは、ビーカーに電極と、いろいろな材料を入れて通電してみました。
この右上の写真を見ると、ちょっとわかりにくいかもしれませんが、電極の間に沿って、緑色の物体がならんでいるのがみえるでしょ?この並んでいる方向が電気力線の方向なのです。

実験の装置 電気力線
この実験は、上の写真の左のような状態で実験しています。
ビーカーの中に特殊な粉末を入れて、そこにプラスとマイナスの電極を入れて、通電しています。結構いい加減な装置ですが、実験には十分でした。
最初の通電していない、最初の状態が上の右の写真です。特にビーカーの中には変化はありません。
この緑色の物質がヒミツなのですが、意外と簡単な材料でもできるようです。水の中で浮いたり沈んだりでもなく、適当に滞留するような比重のものが良いみたいです。
電気が通るようにした電解液(塩水)に、ヒミツの物質を入れて、ちょっと高い電圧で通電すると、電気の向きに沿って、ヒミツの物質が並びます。

それを、分かりやすく作ったのが次の写真です。容器中央にある二つの目玉のような●が電極です。

実験装置は、厚さが2センチほどのアクリルの容器に、プラスとマイナスの電極を設けて、その中にヒミツの物質と塩水を入れています。
左の写真は、ヒミツの物質が下に溜まってしまうので、空気の泡を送って攪拌します。
そして、次に物質が全体に散ったところで電極に通電します。するときれいな電気力線が見えました。
すばらしい・・
まずは、下からの泡で攪拌します そして電極に通電します

実験は面白いですね~



太陽の黒点-2

2009-10-03 17:25:46 | 科学の実験
ウェーデン王立科学アカデミー 口径1mの太陽望遠鏡で撮影前回は太陽の黒点を擬似的に見せるための実験をご紹介しましたが、実際の太陽の黒点部分を望遠鏡で撮影したものが、この画像です。
(出典:http://www.boston.com/bigpicture/2008/10/the_sun.html ウェーデン王立科学アカデミー 口径1mの太陽望遠鏡で撮影)
写真の中央右のイソギンチャクのように見える部分が太陽の黒点部分で、磁力線が周囲に伸びている様子が見えます。


埋め込んだ磁石と鉄粉を使った実験また、右の写真は、前回と同じときの実験で、太陽の画像の下に埋め込まれた磁石の上に、透明な容器にシリコンオイルと鉄粉を入れたた容器を置いていますが、太陽黒点の写真と同じようなイソギンチャクの形が見えています。

上の太陽黒点の画像のまわりに見える細かいぶつぶつとした模様はベナール対流と言って、太陽の表面で起きている対流の姿です。
小さく見えますが、一つの粒が500kmほどもある大きさです。
お味噌汁の対流 ベナール対流
ご飯の時におわんに入った熱いお味噌汁をよく見ると、おわんの底から上ってきた熱いお味噌が、お汁の表面で空気で冷やされて、また下に潜るという対流の様子が見えます。
このお味噌汁の写真はアニメーションになっていますので、よく見ると対流している様子が動いています。
出典:
・味噌汁画像 http://www.po.gso.uri.edu/demos/gfd_exp/exp_j/index.htm 実験室の中の空と海 より
・ベナール対流写真 岩波 理化学事典第5版より

太陽の黒点-1

2009-10-02 10:26:10 | 科学の実験
太陽黒点(Wikipedia)太陽黒点は、太陽表面に見られる黒い点ですが、大小さまざまで大きいと肉眼でも見えるそうです。(※要太陽観測用メガネ)
黒く見えるのは、黒点の部分が周囲よりも温度の低いために黒く見えるそうです。
太陽黒点のデータは1749年から集められているそうで、約11年周期で減ったり増えたりしているそうですが、去年あたりから黒点が減り始めて、全く見られない月もあったりで、活動極小期に入っているそうです。
この黒点は太陽表面の磁場の影響で発生しているそうですが、太陽望遠鏡で黒点を観察すると、磁力線の向きに模様がはっきりと見られます。
この太陽磁場の様子を模擬的に再現した装置です。
一つは透明な容器にシリコンオイルと鉄粉を入れて、太陽の黒点画像の上に置くと、黒点と同じような模様が見られます。(もちろん太陽画像の黒点の場所には磁石が埋め込まれてます)
太陽黒点 太陽黒点
もう一つは、太陽の表面を描いたプラスティックの半球の太陽黒点の場所の内側にマグネットを貼り付けておいて、小さな針金などを付けると立体的な磁界が見えて、太陽黒点の様子が見られます。(ここでは実験なので、カラー針金を使ったので派手な黒点みたい・・)
太陽黒点 カラー黒点