科学はおもしろいぞ!

身の回りのことから、科学のおもしろさを発見してみよう。

ハモンドオルガンという楽器

2011-03-03 17:03:37 | 科学もろもろ
ハモンドオルガン先日、ハモンドオルガンという楽器の演奏者の鈴木清勝さんという方とお会いしました。ハモンドオルガンの演奏者として、とても著名な方でした。
私は音楽については、楽譜は全く読めませんし楽器演奏なども全く出来ません。ただ、装置としての楽器にはとても興味あります。このハモンドオルガンという楽器について、鈴木さんからお話を聞いて、とても面白い楽器という事を知りました。
そこで、このハモンドオルガンという楽器について、少し調べてみました。

オルガンのリードまず、オルガンというと、昔幼稚園や小学校などにあったペダルをスコスコと踏んで音が出るオルガンを思い出します・・・かなり古いですが・・。
このオルガンは、ペダルを踏んでふいごを動かして空気を押し出して、リードと呼ばれる薄い板を振動させて音を出しているので、「リードオルガン」と呼ばれています。
原理としてはハーモニカと同じで、音階に会わせて大きさや長さの違うリードが組み込まれていて、鍵盤を押すとそれぞれのリードに空気が流れて音を出します。

パイプオルガンのしくみつぎにパイプオルガンという物があります。
パイプオルガンについては、知り合いに須藤さんという製作している人がいて、以前工房を訪ねたこともああっていろいろと説明を聞かせていただいたので、ある程度は知っているつもりです。
大きな送風機の風をパイプに送り込んで、そのパイプに設けられている「歌口」というリコーダーの笛の部分のような狭い部分を通る時の空気の振動を、パイプで共鳴させて音を出すのです。
音の高い低いは、パイプの長さや太さだけではなく、歌口のスリットの広さなどが重要で、いろいろな音階に合わせて調律されています。
パイプには木製の物と金属で作られたものがあり、音質はそれぞれ違いますが、基本的な構造は一緒です。

ハモンドオルガンのしくみさて、このハモンドオルガンですが、これはいわゆるオルガンのように空気で鳴らすのではなくて、電気を使って音を出しています。
電気とは言っても、エレクトーンのように電子的に音を出すのではなくて、モーターの力で歯車のような鉄の板を回して、その近くに置いた電磁石に流れる電流の変化を読み取って音に変換しています。
エレキギターのしくみ実はこの仕組みはエレキギターと同じなのです。エレキギターでは電磁石の近くに張ってある金属の弦が振動すると、電磁石に流れる電流が変化するので、それをアンプで増幅して音にしているのです。
回転歯車と電磁石の組み合わせ音を出す歯車は、それぞれの鍵盤の音に合わせて作られていて、モーターと繋がった一つの回転軸に取り付けられているので全て一緒に回転しています。
この歯車は、低音は歯数が少なく、高音では細かいたくさんの歯数が刻まれています。この歯車の形も通常の歯車のような角々とした歯形ではなくて、きれいなサインカーブになるように作られているそうです。
ハモンドオルガンの裏側 回転歯車と電磁石部アップ 回転歯車部構造説明用のモデル
歯車を使ったオルガンというと、国立科学博物館の新館2階「たんけん館」に「歯車オルガン」という展示物がありました。(いまもあるかは不明です)
科博 歯車オルガンたくさんの歯数の違う歯車が並んでいて、それを回転させながら歯車にプラスチックの板をあてて、音を出すという物です。歯車の歯数は、ドレミの音階の周波数の数に合わせてあるので、一応、音階になっているので音楽を演奏することも出来ましたが、歯形が歯車そのものの角々なので、プラスティックの板が角にあたる音が大きくてあまりきれいな音ではありませんでした。

朝日新聞の3Dメガネで、光の波長の違いを見る

2010-12-30 17:58:00 | 科学もろもろ
前回、朝日新聞が3Dの記事と広告をするという投稿をしましたが、その続きです。
さて、この3Dメガネですが、もう一つ面白い使い方があります。それは光の色による波長の違いが直視して見えるのです。
下の写真が、赤、橙、緑、青のLEDの点をこのメガネのフィルムを通して見た写真です。それぞれのLEDの光源を中心として、左右に沢山の光の点が並んでいるのが見えますが、これは回折格子によって作られる回折光の点です。
回折格子とは、プリズムのように光を分光する物で、ガラスや透明なフィルムに細かなスジが1ミリに数百本から数千本という細かさで刻まれた物です。格子とはいいますが、縦横にスジが刻まれているわけではなくて、通常は一方向だけで、細かくスジが刻まれているほど、巾の広いスペクトルを出すことが出来ます。CDなどが虹色に見えるのは、CDに刻まれているスジが回折格子の役割をするので虹色に見えているのです。

ご存知のように赤い色は波長が長く、橙、緑、青となるほど波長が短くなります。
この写真を見ると、確かに赤いLEDが作る回折光の点は間隔が広くて、青色に近づくほどに、光の点の間隔が狭くなっているのを見ることが出来ます。
このように、光の波長の違いが直接目で見る事が出来るというのは、なかなか面白いですね。ちなみに、このフィルムに刻まれているスジは、1ミリに30本程度と思われます。
回折格子でも光学の実験用や、中学などで太陽の光を分光するのに使うレプリカシート(グレーチングシート)は、1ミリに500本~1000本のスジが刻まれていますが、このようなグレーチングシートでは、点の間隔が広くなりすぎて、このような光の点としては見えません。そういう意味で、この3Dメガネのフィルムは貴重ですよ。
回折格子で見る光の点

朝日新聞が3Dの広告を始めるそうな!!

2010-12-30 13:54:22 | 科学もろもろ
朝日新聞3D広告今朝、自宅に配達された朝日新聞を開いて驚いたのですが、なんと新聞で3Dの記事や広告を新年から始めるという広告でした。私は埼玉に住んでいますが、全国対応なのかはわかりません。《朝日新聞広報
広告によると、来年の3月までの毎週日曜に3Dの特別紙面がスタートするとのことでした。
そして、その3D特集を見るための紙製の組立式メガネが折込みチラシにはさまれていて、3D画像のサンプルとしての写真も印刷されています。
左の画像が、その紙製の組立式のメガネです。このメガネを通して、その写真を見てみると、確かに「多少」奥行きを感じて見えます。赤青メガネなどのように明瞭な立体画像が見えるというわけではありません。
このメガネにはレンズではなくて、透明なフィルムが入っています。このメガネを通して景色を見ると、以下の写真のように、輪郭部が多少虹色になって見えるので、細かい筋の入った回折格子の一種であることは分かります。
風景の見え方 メガネで見ると
〈▲通常に見える景色〉 〈▲このメガネを通した景色〉
この立体視は「分光視差方式」という方式で、透明に見えるメガネフィルムにはたくさんの極々細いスジのようなプリズムが刻まれています。この極微のプリズムと光の色による屈折率の違いで、画像の色ごとに見える位置がズレるため、青色の像が遠く、赤色の像が近くに見える様に作られています。
立体的に見えるしくみは《こちらのサイト》でご覧ください。





音の屈折現象を利用した「音の屈折レンズ」

2010-01-20 11:32:01 | 科学もろもろ
八王子市科学館の音のレンズ前回、「音のフレネルレンズ」というものをご紹介しましたが、これはフレネルレンズとは言っても、音の屈折現象を利用したものではなくて、回折現象を利用したものとご説明しました。今回、ご紹介するのは、音の屈折現象を利用して、焦点に音が集まって聞こえるようになる「音の屈折レンズ」です。
この写真は、東京の八王子市にある科学館にある「音の屈折レンズ」です。(現在展示されているかは不明)大きな風船(ラジオゾンデ用の風船)の中に炭酸ガスが詰められていて、風船を挟んで声を出してしゃべると、反対側に音が集まっているのが体験できます。これは、炭酸ガスの風船で、音が屈折しているからです。
国立科学博物館の音のレンズ同じような展示としては、右の写真のように国立科学博物館の2階でも展示されていましたが、現在はありません。
音の屈折のしくみ音は空気中を 約 340m/秒(1気圧/気温15℃の場合)の速さで進みますが、空気よりも比重の重い炭酸ガスなどの中を進むときは、速さが遅くなります。そのために、炭酸ガスと空気の境界部分で音の進む角度が変化します。これが屈折という現象です。
光も、空気中から密度の違うガラスの中に入るときに、進むスピードが変わるので、屈折するのです。
音の屈折のしくみ音の屈折について、このサイトでFlash Movieで紹介されています。

テクノロジーアートの鈴木康広さんの作品「まばたきの葉」

2009-12-03 16:56:16 | 科学もろもろ
まばたきの葉先日、東京の羽田空港のロビーなどのパブリックスペースを使って「空気の港」という「テクノロジーアート」の作家19人の作品を集めた展覧会が開催されていました。
たまたま、このときに友人を見送りに羽田に行ったので、見ることができたのできて、ラッキーでしたが、いろいろな作家さんが参加されていました。
その中の一つ、鈴木康広さんという作家さんの「まばたきの葉」という作品です。羽田空港ターミナルの大きな吹き抜けの空間に設置されていて、多くの人に注目されていまし。
この鈴木康広さんはいろいろな面白い作品を発表されています。。
この作品はテクノロジーアートとは言っても、コンピュータなどが使われているのではなく、とてもシンプルな作品で、葉っぱの形をした紙に、片面に開いた目が、反対側には閉じた目がプリントされています。
「まばたきの葉」全景 「まばたきの葉」根元部分 「まばたきの葉」先端部分
この葉っぱの紙を中央の白い煙突のようなパイプの根元のスリットに差し込むと、筒の根元部分に内蔵されているブロアーの空気で吹き上げられて、上からふって降りてくるのです。
その時に、このような紙片が空気の中を落ちる時に「カルマン渦」の現象で表裏がクルクルと変わりながら落ちてくるので、葉っぱの紙片に描いてある目がまばたきしているように見えるのです。
こういう、物理の現象を何気なく利用してアートにしてしまう鈴木康広さんという人は凄いですね。
とてもシンプルで、面白い作品なので、子供たちも喜んで、たくさんの葉っぱを集めては、根元のスリットに流し込んで、降ってくる葉っぱを楽しんでいました。もちろん、子供たちだけではなく、私や、多くの大人も楽しんで葉っぱを降らせていました。

※追記:
この記事について、当初、私の調査不足と勘違いで「岩井俊雄」さんの作品と紹介してしまったのですが、このサイトをご覧になった方から「鈴木康広」さんの作品とのご指摘を頂きまして、直ちに訂正させて頂きました。
《鈴木康広さんのホームページはこちら》
鈴木康広さんはじめ関係者の皆様に、ご迷惑をお掛けして申し訳けありませんでした。