秋風

アキバ系評論・創作

月下の舞姫Vol.17

2012-08-31 22:50:11 | Weblog
「今日の予定会議!」
 あゆがマーガリンとママレードをたっぷり塗ったトーストを頬張る前に朝食会議の議題を宣言する。
 秋月家の朝食の席は大抵軽い家族打ち合わせ会議となる。
「午前中はサヨリちゃんと一緒に、世話になった島嶼首相国連邦大使館にご挨拶だな。お土産どうしようか?」
 あゆの父がバターだけ塗ったトーストを齧りながら応える。
 「外国のお年の方なんでしょう? 柔らかい高級クッキーなら買い置きが有りますわ」
 あゆの母が追加のベーコンとスクランブルエッグを食卓中央大皿に盛ってから台所のストッカーを見ながら言う。
「大使は元日本人少尉」
 早飯早支度が身上の軍人らしくサヨリはとても食べるのが早い。
 ハニートースト二枚と紅茶一杯をとっくに胃袋に収め、今頃になって重要な事を言う。
「「「ええ? なんで?」」」
 驚く秋月家一同を不思議そうに見回しながら紅茶のお替りをあゆに注いでもらいながらサヨリは説明を続ける。
「終戦間際、英軍との戦闘で山間部で負傷して復員船に乗れずそうこうしているうちに子供が出来た」
「はしょり過ぎな説明だが要はお世話になった家の娘さんとデキたのかw」
「あなた、子供の前で」
 常識人の妻が幼気がいつまでも残る亭主をたしなめる。
「そう。工兵隊だったのでそのまま国のインフラ作りに協力していて国籍や勲章を戴き名誉市長にまでなった。先代の日本駐在大使が急病で抜けた穴を埋めるため派遣された」
「いくつ?」
 あゆが思わず訊ねる。
「砂糖は入れない」
 サヨリは紅茶のカップに手で蓋をするようなゼスチャをする。
「そっちじゃなくて大使の年齢!」
「90歳くらい」
「大使って定年無いのかい?」
「ない、です」
「マドレーヌにしよう」
 あゆが食べ終わった食器を片付け始めながら提案する。
「いいけどなぜ?」
 あゆの母が食器洗浄乾燥機の蓋を開ける。
「自分が貰ってうれしいから。贈り物の基本じゃない?」
「そうするか、サヨリちゃん、大使は別に糖尿とかじゃないよな?」
 あゆの父が席を立ちながら聞く。
「はい、とてもお元気です」
「よし、弁護士の先生誘って行くか。午後はまた学校だな」
「はー……」
 あゆが珍しく溜息をつく。
「私も学校に同行する」
 サヨリがやや厳しい眼で宣言する。
「ええ?いいけど……」
「相手を肉眼で確認して大使に報告、善後策を練る」
「物騒な事はダメよ」
 あゆの母がまた心配する。今朝も拳銃を分解清掃していた場面に出くわしびっくりしたところだ。
「了解、実力行使は最後の手段」
「だめですよ! あゆと同じ顔で騒ぎを起こさないで!」
「了解」
「ねぇ、サヨリ、私の中学の時の制服を着て行かない? 学校見学に来た親戚って事にすればいいよ」
「ありがとう、どんな制服?」
「このブレザーとは違うセーラー服よ」
「海軍服?」
 笑い出すあゆの父親、複雑な表情の母親。


S&W M36

2012-08-30 23:57:45 | Weblog

大使館の老大使がサヨリに貸与したハンドガンはS&W M36です。
外交官特権の税関ノーチェックな外交官行李に入れて日本に持ち込まれたものです。
お守り的な備品でロクに油も差されていなかったのでサヨリは秋月家のリビングで分解して手入れをしているとあゆの母が心配そうに見たりするんですよね。

フライングフィッシュ 斜めから

2012-08-28 14:56:45 | Weblog


本当に単純にFlyNanoのエンジンユニットを後ろに持っていってプロペラガードを付けただけです。
だいたい剥き出しのプロペラがパイロットの目前にあったら恐いと思うのですが?
ちょっと着水に失敗したらパイロットがプロペラに突っ込みますよ。
オリジナルのFlyNanoにはどうもシートベルトが無いみたいなので。
民生品ならもっと安全に気をつけないと売れませんよ。

推進式でプロペラが後ろにあると牽引式で前に有る場合と比べエンジンの冷却効率が悪くなりますが超小型機なので大丈夫でしょう。
むしろその弱いプロペラ後流が垂直水平尾翼に当たらないのでフライングフィッシュはFlyNanoより旋回性が劣るかもしれません。

エンジンユニットが後ろにあると当然重心も後ろに下がるので機首部には錘を入れないとダメかも知れません。
貴重なエンジンパワーのリソースを錘に使うのはもったいないのですね。
機首部に機銃をセットしようかと思いましたが固定武装だと近隣諸国に脅威を与えるので
機首は延長して装甲板を入れたりレーダーを内蔵しています。

航法装置は載せませんw
iPadに背面全体を覆うような大型バッテリーを装着した上で丈夫な防水ケースに入れたもので代用します。
それをマルチディスプレイとして使うのでレーダーの画面やエンジンの様子もそれで見ます。
無線機もSkype通信で済ませます。

バックアップ用に最低限の小型計器くらいは操縦席に付いていますし
ポケットに入るような小型無線機も当然持って行くでしょう。

主翼と後部の水平尾翼が一体化しているのを円環翼といいます。
魔法少女まどか☆マギカの円環の理みたいですね。

小型機においては円環翼は空力学的に効率が良くまたプロペラも剥き出しより短いながらも筒状の中に収めた方がロスが少ないそうです。

フライングフィッシュの翼端にあるフロートは増槽も兼ねています。
無くてもちゃんと浮きますが有った方が着水が楽でしょう。
空戦の時は空中で切り離して空気抵抗を減らします。

機首部の装甲板やレーダーを降ろせばサヨリとあゆなら二人乗り出来るでしょう。
操縦はサヨリであゆは機首部に跨って……ちょっと恐そうですね。

思うに

2012-08-27 00:15:44 | Weblog
なんだかあゆの母が小うるさい事を言う人に思える様な描写でしたが
自分の娘とよく似た娘が国際的な問題の海賊取り締まりに関わっていると知ったら
自然の反応かと。

サヨリは母国や行く先々で憧れをもって
「パイロットになりたいけどどうしたらいいですか?」
と聞かれるとその場でバック転をして見せるのですよ。
それで大抵は沈黙するでしょう。

小柄な少女が小型機にのっているので何か誰にでもできそうな気がしてしまいますが
実際は命がけのシビアな戦闘ですからね。

ではまた。

月下の舞姫vol.16

2012-08-26 23:47:37 | Weblog
「これがフライングフィッシュか。パイロットがむき出しで昔の戦闘機みたいね」
お風呂上がりあゆは店舗の備品のウォーターサーバの冷水を飲みながらやはり店舗のパソコンでサヨリの乗機を検索していた。
「あくまでも飛翔可能なパーソナルウォータークラフト(水上バイク)、あるいは表面効果翼艇(WIG)という事になっている」
サヨリも勧められた冷水を飲みながら答える。あゆと話していて普段使っていなかった日本語の勘も戻りいつの間にか普通の話し方になっていた。
「なぜ飛行機扱いではないの?」
「我が国のような海洋国家が戦闘飛行艇を大量に保有していると周辺諸国との軋轢が生じる」
「海賊取り締まりという良いことをしているのに?」
あゆの父が難しい顔で答えを探しているサヨリにお代わりの冷水を差し出す。
「桃太郎みたいな善玉悪玉の簡単な話じゃないんだよ、あゆも高校生だそろそろ視野を広げないとな」
「ふーん……サヨリはもう高校出てるも同じだし働いてるし凄いよね、私も世の中の役に立つ仕事に就けるかな? 日本を出てパイロットもいいなバおバカなクラスメイトもいないし、あー明日は結局学校どうするの? 根本的な解決にはなってないよね?」
「だめよ、危ないわ、特に戦闘機パイロットなんて」
あゆの母が母親らしい事を言う。普段は娘の話に意見はしない方だが新型iPadを差し出しながら続ける。
「サヨリちゃんはさっきの脱衣所のピストルといい訓練された軍人さんなんだからあゆは単純に真似しようとしても怪我するだけよ」
「う、うん」
「どうしたんだ? おまえ?」
あゆの父が割って入る。
「うちの子が、あゆが遠くに行ってしまいそうで」
「嵩谷家の事もあったし今日はそんな気分にもなるさ、学校の件は明日また一緒に行こう。なにも心配せず今日はもう休みなさい」
「はい、お休みなさい、サヨリ一緒に寝よう」
パタパタと先に自室に向かうあゆ。
「おやすみなさい」
サヨリがペコリと頭を下げる。
「「おやすみなさい」」
秋月夫婦が応える。
「おばさま」
サヨリが頭を上げあゆの母を真っ直ぐ見る。
「な、何?」
思わずたじろいでしまう母。
「戦闘パイロットには簡単になれませんよ」
「ああすまんね、パイロットの矜持に触れてしまったか」
あゆの父がまた割って入る。
「これくらいできないと」
不意にサヨリがその場で後方宙返り、いわゆるバック転を決める。
「おー凄いな、さすがだな」
ぱちぱちと拍手する父、絶句する母。
「何やってんの? シーツとタオルケット取り替えたよ、サヨリ早く」
軽く会釈して音もなく無言で走り去るサヨリ。
「すっかり仲良しになったなあのふたりは」
「……あゆはできますよ……」
噛み合わない夫婦の会話。
「何が?」
「危ないからさせませんがさせないようにしていますが新体操の真似事でバック転できますよ、あゆは」
「一時、新体操教室に通っていたよな、何で止めたんだっけ?」
「教室が潰れたんですよ、経営不振で」
「ああ苦悶式学習塾に合気道に弓道と重なってお店を手伝ってくれなかったな」
笑う父、青ざめた母、楽しそうな笑い声をあげるあゆ、表情が乏しいながらも微笑むサヨリ。満月の夜。

毎日

2012-08-25 23:52:32 | Weblog
ほぼ毎日blogを更新していますとちゃんとアクセス数は上がりますね。
画像付きだともっと。励みになります。ありがとうございます。

またGoogleで「月下の舞姫」とググると1ページ目に収まるようになりました。
「秋風」は普通に使う言葉なせいかちょっと無理ですが。

休む事はあってもずっと続けていたいです。

フライングフィッシュ

2012-08-24 13:25:31 | Weblog

飛翔型水上バイク 飛魚壱号
Flying personal water craft
『Flying fish FF-1』(FPWC FF-1)

全長4.5m
全幅5.0m
機体乾燥重量90kg
最大離陸(離水)重量260kg
最大速度180km/h
上昇限界高度3000m

因みにFlyNanoは
全長3.5m
全幅5.0m
機体乾燥重量70kg
最大離陸(離水)重量200kg
最大速度140km/h
上昇限界高度3000m

サヨリの乗るFlying fishはFlyNanoより全長が1m程長く全幅は同じ。エンジンは3割ほど強化されている。


飛翔型水上バイクとは?

単発単座の超小型飛行艇。
政治的理由により飛行機扱いされず、あくまでも飛翔する事も可能な水上バイクというポジションを強いられている。
民間の超小型飛行艇Flynanoをベースに新開発され海賊対策に投入されている。

見た目の最大の違いはFlynanoがエンジンやプロペラを機体前部、パイロットの斜め上の位置に在るのに対しFlying fish FF-1は機体後部に在る。
これによりパイロットの圧迫感や視界が大幅に向上するメリットを得たが反面、エンジン冷却効率の低下や尾翼などにプロペラ後流の当たりが小さくなり操縦応答性が低下した。
しかしながらFlying fish FF-1の本来の任務は海賊や海上テロリストの発見・牽制や機銃による軽攻撃または海上・島嶼地域へのパトロールなので視界向上の方がメリットが多い。

しかし近年、海賊側もFlynanoをはじめ超小型航空機を活用し始めたので制空戦闘能力が要求されスティンガーなど携帯対空ミサイルの搭載などが研究されつつある。
Flynanoは一機、日本円で約300万、Flying fish FF-1は三割ほど強化されたエンジンを搭載し防弾燃料タンクなど改造が施され約450万円。それでも航空機としては破格の安さである。

武装は最初期はパイロットが操縦しながらハンドガンを撃つという黎明期の戦闘機と同じだったがそれではあまりにも酷いと言うので
現在はM4カービンにM203グレネードランチャーを付けたものを防水ケースに入れ操縦席右側面に装着して攻撃する。
あくまでも固定兵装ではないという事になっていて簡単に着脱できる。


操縦桿の発射ボタンを押すと昔のカメラのレリーズと同じ要領で銃の引き金が引かれ発射される。

弾倉交換も主安全装置切り替えも飛行中カバーを開けて操作する。
銃は上下逆さまに収められている







月下の舞姫/ZEROの時のあゆとサヨリ

2012-08-24 12:09:08 | Weblog


向かって右、サイドテールでブラウス姿がサヨリで
向かって左、中学時代のセーラー服姿があゆです。
これはコミPo!というソフトで作りました。


色々ダウンロードパーツを買い足さないとバリエーションが乏しいですね。
あゆはやさしそうなやや垂れ目でサヨリはややツリ目のつもりです。
サヨリにはちゃんとした軍服を着せたいのですが……困りましたね。そのうち何とかします。

あと超小型水上機フライングフィッシュの画像もあるのですがうまくアップロードできないのですよね。
とりあえずそのモデルになったFlyNano(フライナノ)

何か開発が難航しているようですね。ちょっとエンジンが非力なのでは?
あまり強力にすると各国の航空法に規制され『大半の国で免許無しで飛行を楽しめる』というコンセプトから外れてしまうのでしょうか?
でも先ずは飛ばさないと。

月下の舞姫ではFlyNanoが一般化されていて類似品も含め海賊にも悪用されているという世界観です。
サヨリはフリゲートに搭載際されているフライングフィッシュのパイロットです。

フライングフィッシュはFlyNanoのエンジンとプロペラをパイロットの頭上ではなく
エンジンは機体後部にプロペラも最後尾に付けています。
推進型、エンテ式とか言いますね。



夏バテ

2012-08-24 00:21:16 | Weblog
ちょっとぐったり。

月下の舞姫vol.14でサヨリの乗機がジェットスキーに羽が生えたような感じの超小型水上機、フライングフィッシュとありますがこれは勿論架空のオリジナルメカですがモデルはあります。
Flynanoで検索するとすぐ出てきますがこちらの方は何か難航しているようですね。

フライングフィッシュの設定はまた後でアップします。

連日残暑が厳しいですがみなさんもご自愛下さい。

冬のコミケ

2012-08-22 00:34:29 | Weblog
早いもので冬のコミケのネットワーク申し込み締め切りが迫って居ます。
データは金曜日いっぱいなんですよね。
ちなみに決済は月曜日いっぱいでした。

自分は今まで通り創作文芸で申し込みますがノベルゲーム化も視野にいれて居ます。
でもその前にシナリオというかテキストの充実化が先ですね。
文章だけでは寂しいのでコミPo! という漫画作成ソフトを用いたり
GoogleSketchUpでメカを描いたりに挑戦したいです。
前者はともかく後者は難しいのですが。