「今日の予定会議!」
あゆがマーガリンとママレードをたっぷり塗ったトーストを頬張る前に朝食会議の議題を宣言する。
秋月家の朝食の席は大抵軽い家族打ち合わせ会議となる。
「午前中はサヨリちゃんと一緒に、世話になった島嶼首相国連邦大使館にご挨拶だな。お土産どうしようか?」
あゆの父がバターだけ塗ったトーストを齧りながら応える。
「外国のお年の方なんでしょう? 柔らかい高級クッキーなら買い置きが有りますわ」
あゆの母が追加のベーコンとスクランブルエッグを食卓中央大皿に盛ってから台所のストッカーを見ながら言う。
「大使は元日本人少尉」
早飯早支度が身上の軍人らしくサヨリはとても食べるのが早い。
ハニートースト二枚と紅茶一杯をとっくに胃袋に収め、今頃になって重要な事を言う。
「「「ええ? なんで?」」」
驚く秋月家一同を不思議そうに見回しながら紅茶のお替りをあゆに注いでもらいながらサヨリは説明を続ける。
「終戦間際、英軍との戦闘で山間部で負傷して復員船に乗れずそうこうしているうちに子供が出来た」
「はしょり過ぎな説明だが要はお世話になった家の娘さんとデキたのかw」
「あなた、子供の前で」
常識人の妻が幼気がいつまでも残る亭主をたしなめる。
「そう。工兵隊だったのでそのまま国のインフラ作りに協力していて国籍や勲章を戴き名誉市長にまでなった。先代の日本駐在大使が急病で抜けた穴を埋めるため派遣された」
「いくつ?」
あゆが思わず訊ねる。
「砂糖は入れない」
サヨリは紅茶のカップに手で蓋をするようなゼスチャをする。
「そっちじゃなくて大使の年齢!」
「90歳くらい」
「大使って定年無いのかい?」
「ない、です」
「マドレーヌにしよう」
あゆが食べ終わった食器を片付け始めながら提案する。
「いいけどなぜ?」
あゆの母が食器洗浄乾燥機の蓋を開ける。
「自分が貰ってうれしいから。贈り物の基本じゃない?」
「そうするか、サヨリちゃん、大使は別に糖尿とかじゃないよな?」
あゆの父が席を立ちながら聞く。
「はい、とてもお元気です」
「よし、弁護士の先生誘って行くか。午後はまた学校だな」
「はー……」
あゆが珍しく溜息をつく。
「私も学校に同行する」
サヨリがやや厳しい眼で宣言する。
「ええ?いいけど……」
「相手を肉眼で確認して大使に報告、善後策を練る」
「物騒な事はダメよ」
あゆの母がまた心配する。今朝も拳銃を分解清掃していた場面に出くわしびっくりしたところだ。
「了解、実力行使は最後の手段」
「だめですよ! あゆと同じ顔で騒ぎを起こさないで!」
「了解」
「ねぇ、サヨリ、私の中学の時の制服を着て行かない? 学校見学に来た親戚って事にすればいいよ」
「ありがとう、どんな制服?」
「このブレザーとは違うセーラー服よ」
「海軍服?」
笑い出すあゆの父親、複雑な表情の母親。
あゆがマーガリンとママレードをたっぷり塗ったトーストを頬張る前に朝食会議の議題を宣言する。
秋月家の朝食の席は大抵軽い家族打ち合わせ会議となる。
「午前中はサヨリちゃんと一緒に、世話になった島嶼首相国連邦大使館にご挨拶だな。お土産どうしようか?」
あゆの父がバターだけ塗ったトーストを齧りながら応える。
「外国のお年の方なんでしょう? 柔らかい高級クッキーなら買い置きが有りますわ」
あゆの母が追加のベーコンとスクランブルエッグを食卓中央大皿に盛ってから台所のストッカーを見ながら言う。
「大使は元日本人少尉」
早飯早支度が身上の軍人らしくサヨリはとても食べるのが早い。
ハニートースト二枚と紅茶一杯をとっくに胃袋に収め、今頃になって重要な事を言う。
「「「ええ? なんで?」」」
驚く秋月家一同を不思議そうに見回しながら紅茶のお替りをあゆに注いでもらいながらサヨリは説明を続ける。
「終戦間際、英軍との戦闘で山間部で負傷して復員船に乗れずそうこうしているうちに子供が出来た」
「はしょり過ぎな説明だが要はお世話になった家の娘さんとデキたのかw」
「あなた、子供の前で」
常識人の妻が幼気がいつまでも残る亭主をたしなめる。
「そう。工兵隊だったのでそのまま国のインフラ作りに協力していて国籍や勲章を戴き名誉市長にまでなった。先代の日本駐在大使が急病で抜けた穴を埋めるため派遣された」
「いくつ?」
あゆが思わず訊ねる。
「砂糖は入れない」
サヨリは紅茶のカップに手で蓋をするようなゼスチャをする。
「そっちじゃなくて大使の年齢!」
「90歳くらい」
「大使って定年無いのかい?」
「ない、です」
「マドレーヌにしよう」
あゆが食べ終わった食器を片付け始めながら提案する。
「いいけどなぜ?」
あゆの母が食器洗浄乾燥機の蓋を開ける。
「自分が貰ってうれしいから。贈り物の基本じゃない?」
「そうするか、サヨリちゃん、大使は別に糖尿とかじゃないよな?」
あゆの父が席を立ちながら聞く。
「はい、とてもお元気です」
「よし、弁護士の先生誘って行くか。午後はまた学校だな」
「はー……」
あゆが珍しく溜息をつく。
「私も学校に同行する」
サヨリがやや厳しい眼で宣言する。
「ええ?いいけど……」
「相手を肉眼で確認して大使に報告、善後策を練る」
「物騒な事はダメよ」
あゆの母がまた心配する。今朝も拳銃を分解清掃していた場面に出くわしびっくりしたところだ。
「了解、実力行使は最後の手段」
「だめですよ! あゆと同じ顔で騒ぎを起こさないで!」
「了解」
「ねぇ、サヨリ、私の中学の時の制服を着て行かない? 学校見学に来た親戚って事にすればいいよ」
「ありがとう、どんな制服?」
「このブレザーとは違うセーラー服よ」
「海軍服?」
笑い出すあゆの父親、複雑な表情の母親。