「はぁーさっぱりした、んぐんぐ、けふぉっ」
あゆはお風呂から出てくると身体を拭いて部屋着に身を包むと母の差し出した紙コップに注がれたウォーターサーバーの水を一気にゴクゴクと飲み干しちょっと咽る。
「ほらほら、落ち着いて飲みなさい」
「ふぅー……消化剤浴びるなんて思わなかったわ。制服はまだ洗濯中ね」
「今の制服は丸洗い出来るから楽よね」
脱衣所でゴウンゴウンと洗濯乾燥機が回っている。
あゆは長い髪を乾かすために1500Wの強力なドライヤーを手にする。
サヨリが昨夜その強力なパワーに驚いていた事を思い出す。洗濯乾燥機にも驚いていた。
故国の島嶼首相国連邦の本島や大きな島ではともかくサヨリが任務で赴く離れ小島の電力事情では大型ドライヤーも洗濯乾燥機も考えられない贅沢なのだと教えられた。
離れ小島の普通の家ではそのドライヤーひとつでヒューズが飛ぶかブレーカーが落ちるという。
あゆは幼い頃から秋葉原電気街が生活の中心だったのでそんな暮らしは思いも寄らなかった。
「世界は広いよね……」
あゆの手からスイッチの入ったドライヤーをそっと受け取ると母はそっと娘の綺麗な髪を手で漉きながら乾かす。
「そうね、でもあなたはまだ遠くに行ってはだめよ」
「う、うん」(お母さん何かおかしいな?)
「夕食できた」
サヨリがひょっと顔を出す。
「早いね? お父さんとふたりで作ったのよね?」
「調理器具の火力が強くて捗った。火力強い。電気なのに。ちょっと焦げた」
「いいにおい、何?」
「ステーキ」
「おーい、皿並べるの手伝ってくれ」
「はいはいあなた、ちょっとまってね」
あゆの母がドライヤーのスイッチを切ってサヨリに渡しパタパタとダイニングに向かう。
「仲の良い夫婦」
サヨリがドライヤーを握ってポツリと呟く。拳銃の引き金のある辺りにあるスイッチには指を掛けないのは流石だなと思うあゆであった。
「サヨリの両親ってどんな方?」
「ふたりとも公認会計士。仲はたぶんいいと思う」
「たぶん?」
「私は幼い頃、巫女長に見出され親元を離れてあまり会ってない」
「ええ? ごめん」
「謝る事はない。名誉な事」
(ネットも広大だけどリアルも負けていないな……)
あゆはお風呂から出てくると身体を拭いて部屋着に身を包むと母の差し出した紙コップに注がれたウォーターサーバーの水を一気にゴクゴクと飲み干しちょっと咽る。
「ほらほら、落ち着いて飲みなさい」
「ふぅー……消化剤浴びるなんて思わなかったわ。制服はまだ洗濯中ね」
「今の制服は丸洗い出来るから楽よね」
脱衣所でゴウンゴウンと洗濯乾燥機が回っている。
あゆは長い髪を乾かすために1500Wの強力なドライヤーを手にする。
サヨリが昨夜その強力なパワーに驚いていた事を思い出す。洗濯乾燥機にも驚いていた。
故国の島嶼首相国連邦の本島や大きな島ではともかくサヨリが任務で赴く離れ小島の電力事情では大型ドライヤーも洗濯乾燥機も考えられない贅沢なのだと教えられた。
離れ小島の普通の家ではそのドライヤーひとつでヒューズが飛ぶかブレーカーが落ちるという。
あゆは幼い頃から秋葉原電気街が生活の中心だったのでそんな暮らしは思いも寄らなかった。
「世界は広いよね……」
あゆの手からスイッチの入ったドライヤーをそっと受け取ると母はそっと娘の綺麗な髪を手で漉きながら乾かす。
「そうね、でもあなたはまだ遠くに行ってはだめよ」
「う、うん」(お母さん何かおかしいな?)
「夕食できた」
サヨリがひょっと顔を出す。
「早いね? お父さんとふたりで作ったのよね?」
「調理器具の火力が強くて捗った。火力強い。電気なのに。ちょっと焦げた」
「いいにおい、何?」
「ステーキ」
「おーい、皿並べるの手伝ってくれ」
「はいはいあなた、ちょっとまってね」
あゆの母がドライヤーのスイッチを切ってサヨリに渡しパタパタとダイニングに向かう。
「仲の良い夫婦」
サヨリがドライヤーを握ってポツリと呟く。拳銃の引き金のある辺りにあるスイッチには指を掛けないのは流石だなと思うあゆであった。
「サヨリの両親ってどんな方?」
「ふたりとも公認会計士。仲はたぶんいいと思う」
「たぶん?」
「私は幼い頃、巫女長に見出され親元を離れてあまり会ってない」
「ええ? ごめん」
「謝る事はない。名誉な事」
(ネットも広大だけどリアルも負けていないな……)