●悪魔と踊ろう vol 3-3 暗闇の中で
駐在所で空手ばかりする生活が3箇月ほど続いた頃、高知県議会選挙が始まった。
私が最も注目していた選挙である。
選挙戦は私が駐在所に来た4月頃から既に始まっており
4年前に県議選で負けた、ある候補の運動員から
「前の選挙では、西田候補の選挙違反・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4~50名の者に酒を飲まし、投票依頼をした件について宿毛警察署
に全部話したが、警察は全然動かなかった。
・・・・・・今度もそうだろうから、
・・・・・・・・・・・・こちらも遠慮なく戦う」
と意気込んでいる陣営があった。
宿毛市のある地域では、
「警察を子飼いにしている西田陣営は、絶対に捕まらない」
と~言うのが定説であり、それ以上に、やらなければ選挙には勝てないと意気込んでいた。
ただでさえ選挙好きな土地柄である。火に油を注ぐ様な話が静かに流れている。
「静か」と思っているのは部外者だけで、
この様な場合に選挙運動員は激烈な戦いをしている。
言い方は悪いが、田舎になる程・すべてにコネがモノを言う。
公共事業・子供の就職・等々~あらゆる面でコネがあって初めて、
・・・・・・・・・・・・・・・競争する土俵の上に立つ 権利を得る事ができる。
コネのない者は、初めから論外であり、土俵に立つ事もできない。
オーバーな言い方だろうが、田舎では常識的な事だ。
当然、投票率は高くなり、一票の重みも大変なものだ。
何か起きる選挙は雰囲気で判るものだ。
最も私の場合は、20数年前からの因果関係があり、各方面から色んな話が入っていた。
ある日、匿名の電話が駐在所にかかってきた。
「中野候補が、○○地域で飲ましている、
店の名前は○○だ。(飲酒・投票依頼)
・・・・・・・・・・・・・・・・報告終わり」
最後の言葉が「報告終わり」軍隊用語で、わずか10秒足らずの一方的な電話だった。
声はかなり年配の男、他にはなにも判らない。
すでに私は警察を見限っており、
この話を突き詰め選挙違反を上げる(捕まえる)つもりはサラサラ無かったが、何か起きる。
~これだけは確実だ。
選挙というものは、何かが起きる時は必ずおきる。
何も起きる要素がない時は、いくら捜査しても何も起きない。
ごくまれに、偶然見付けた場合もあるが、ほとんどは画策され、
どこから話が出たか判らない様に、 警察にタレ込まれたモノがほとんどである。
もっとも警察官は、そうは思ってない。
警察官本人が情報を取ってきた「お手柄」ぐらいに~思っているが、
それでは~「なぜ情報が入ったか?」~そこまでは考えない。
・・・・・・・・・・・・・・~だから「お手柄」である。
私が勤務する小筑紫駐在所に匿名の者から、電話があった数日後から異変が起きた。
保守系の立候補者3名の戦いであった県議会選挙で、それぞれの立候補者が票田を固め、
最後に相手陣営を切り崩せば勝負が決まる。
決戦の場は、私の駐在所の隣の地域で繰り広げられた。
どおりで、私の駐在に匿名の電話があったはずだ。
隣の駐在所に選挙違反の情報が入り、宿毛署に検挙された。
選挙では、よく激戦地区と言う言葉が使われるが、ある意味では「激戦」なんて言葉は
選挙には該当しない。要は演出だ、それを激戦と言えば激戦だろうが?
この県議選でも3人の立候補者、三者三様それぞれが決戦場で違反をしている。が、
もともとAと言う候補者の運動員だった者が、B候補者に乗り換えA候補者の違反情報を
地元の駐在さんに話した結果。A候補者が浮かび上がり警察に捕まった。それだけの話で、
決着がついた。やはり、西田候補は捕まらない~いくら話があっても問題にしなかった。
相手は県議会議員である、噂ぐらいな話で正面から中傷する人は誰もいない。
まして、公共事業でメシを喰っている建設会社の社長さんが、いくら力があったとしても
県議会議員を中傷する事はない。
が、4年に一度・まるでオリンピックのように選挙がある度に、
宿毛警察署の捜査幹部あるいは署長などに、
ある立候補者と親密な関係にある者が、必ず転勤してくる。・・・と言う噂、
あるいは県行政・地方政治と警察人事が密接な関係にあると、田舎人独特の言い回し
あるいは、地方の政治力を前面に押し出し、
大口をたたく輩が町を闊歩しているのは、どうゆうわけだろう?
しかも、このような「お話」を完全に否定する事ができるのだろうか?
現に、今現在の宿毛警察署長は、どうして宿毛に来たの?
署長の息子さんは、地元のダム工事で大金を横領した有名人よ、
そのオヤジがどうして宿毛に来るの?
その息子、横領の事件処理は済んだの?まだなの?・やってない。
まだクビになってないの?
数々の風評・噂・中傷・数え切れない程の悪たれが、
地元住民の素朴な質問として、私の元に届いてきた。
地元から情報を取ろうとすればする程、数々の疑問が投げかけられる。
・・・・・・・・・~何もしていなければ、~何も聞こえないのだ。
・・・・・・・・・・なら、どうでもいいから、上に言われた事だけ、しておればいい。
「上」の思惑どおりの選挙違反者を上げた(捕まえた)駐在さんは警察本部長から
表彰状をもらい得意満面だった、非常に悪い表現ですが。
ただ、ある候補に利用されただけです。
それでも、選挙取り締まりができれば効果はあった。それは、それでいい。
が、私が言いたい事は、警察官たる者、内部のカラクリぐらい、
調査できる能力がいつの場合も必要だ。
いざ、重大事件があった場合、クソにもならん様では地域の安全はない。
地域の皆さんが安全を期待するのであれば、アメリカ並みに自警団を結成する事だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・複雑な内部事情の解明を警察に期待しても無益・無理だ。
内部の調査は自警団が、そして
その内部事情を~出すか~出さないかは、地域の判断である。
これからは、パソコンが常識的に普及し、
新しい情報網が自由自在に活用される時代が到来する。
そうなれば、私が経験した銀行員失踪事件などと言う陰惨な思いは、
しなくて良い時代がくるでしょう。
しかも世の中の流れも変わるでしょう、
公共事業を中心にした、大きな建設工事しか産業のない高知県では、
いまだ地方政治が主力になっている。
政治力とは、お国の銭を地方にパクリ取るのが地方政治であるが、
世界は大きく波打ち~うねっている。
中国では、膨大な土地に電気・ガス・道路網など、
工場誘致に必要なインフラが着々と整理されている。
これらが、50パーセント以上整理されたとき、
低価格の巨大な物流が押し寄せて来るようになり、
日本の地方行政は転換期を迎え、
県会議員程度の取り合いでは金が入らなくなり、影響力は少なくなる。
そうなれば~現在の自民党の仕組みでは、世の中の動きについて行けなくなるから
選挙戦略も大きく変わるだろうが、そうなるまでは、何の変化もないだろうし
変化が有ったとしても、~なぜ~何の為の変化か?
~これも選挙屋が利用するだけで終わるだろう
・・・・・・・・・・・・・・・・・~日本を内部から改革するのは不可能。
ただ~、目の前に現実が見えなければ理解できない。
一眼国の仕組みがおぼろげながら、徐々に解明されてきた。
ますます、空手に熱が入り、警察の仕事なんか上の空になってきたが、不景気な世の中、
次から次に陰険な事件が続いた。
この全ては、1つ1つが膨大な話になり、とても語り尽くせないが、
これらの事件を第三者的に傍観した結果。
私の警察に対する思いは、完全に消滅した。
特に大げさに言う訳ではなく、この事件のうち簡単に2つの放火事件を並べてみたい。
1つは、経営不振であえいでいた製材所が火災になった事件だが、発見が早かった。
通行人が発見し消防署に通報したのだ。
現場には、灯油と思われる油類をしみ込ませた
オガクズ(木材をノコギリで切った際に出る木屑)が一握りずつ
木材の上に点々と置かれていた。
明らかに放火であるが、私は1つオカシイと思った事がある。
その日の天候は、小雨・無風だった。
現場は、海の近くである。風の強い、晴れた日はいくらでもある。
海から強烈な風が吹いてくるのだ。
時間は深夜。
わざわざ小雨・無風の気象条件で放火をするか?
火付けの材料のオガクズは、それぞれ大きな木材の上に置いている。
しかも製材所には高価な木材はなく、
杉・松を中心にした価格の低い木材がほとんどである。
これだけの条件があれば犯人として、まず疑うべき人間は製材所の経営者である。
しかも、オカクズに灯油をしみこませ~ゴミを焼却する手口は、
当・製材所が普段から行う作業の1つである。
オガクズを入れる「専用」の木製の箱まで(普段から使っている)無造作に放置され
・・・・・・・・・・・・箱が・・・・・~笑っているようだ。
小雨・無風の天候で、隣の家に燃え移るのを防ぎながら火をつけた?
と考えれば自然な流れになる。それなら速攻である。現場は火災でごった返している。
経営者の心境は揺れに揺れているだろう、~今攻めろ、~そう思った。
が、警察の措置は、経営者の言うがままであった。
「誰かが火をつけた。財産が灰になる」
経営者が言うウソを鵜呑みにした警察は、
言われるまま・・・火付け犯人の財産を守る為に、
私ともう1人の警察官の2人を現場に残し、徹夜で警戒に当たらせた。
・・・・・それも大事だが、
全ては、犯人と思われる製材所経営者の言う通りになっていた。
私は徹夜で警戒しながら現場を見て歩き、翌日に製材所の経営状態から現場の状況まで
詳細に書いた情報を提出し、引き続き現場の実況見分の手伝いをやらされた。
既に私は捜査員ではなく駐在さんだ。
捜査の手伝いをやらされたわけだが、現場の刑事は、最も燃え上がった場所に集中し
5・6人の刑事さんが集まった。
最も燃えた場所は~延焼した場所で、あまり重要な場所ではない。
結果的に、~後から燃え広がった場所だ。
必要な場所は、発火地点である。
常識的に考えても火がついた場所が一番大事だ。
が、現場の刑事さん達は、燃え上がり、最も派手に燃え広がった場所が気になるらしい。
・・・なぜなら・・・良く燃えているから・・・
早い話が、何の基礎もできてない素人集団である。
・・・・・~ヤメタ・・・アホらしいから
・・・・・・・・・・・・・・・・~手伝うのをヤメ、黙って適当に時間をつぶした。
私の情報が、その後どうなったか知らないが翌日、本部捜査一課の刑事さんが調べに来て、
それから~10日ぐらいたってから、問題の経営者をポリグラフ(ウソ発見機)にかけ
取り調べた様だ。
事件から2週間もたてば、経営者の心境は落ち着いている。
~そんな状況で、ポリグラフに反応するわけがない。・・・~アホゥ~
製材所の経営者は即日、無罪放免で幕。・・・~製材所は1年後・倒産。
もし火災になっていたら~火災保険金が入り、まだ倒産してないだろうが、
早く発見した通行人を恨んでいるだろう。
しかし、こんな警察に捕まるヤツは、おそらく誰もいないだろう、
もし捕まれば馬鹿ばかりだ。
2つ目の放火もあった。
もっとも、この火災は私が~そう判断しただけだが。
猟銃を盗んだ男が警察に逮捕され、取り調べを受けた後釈放され自宅に帰った。
「猟銃を撃ってみたかった」それだけの子供じみた思いで、銃を盗んだ後すぐ海に捨てた。
どうでもいいような、たわいない事件処理が済んだ後、
10日位たって~男の家が火事になり、男と母親が焼死した。
現場は、小さな平屋建ての家で、男は玄関左側の居間。
母親は一番奥の炊事場で、それぞれ焼け死んでいた。
“小さな家”で2人の人間が、“対角線上”の一番遠い位置関係にある線上で焼死。
火災の際、お互い声もかけず、助けもしないで、死んだらしい。
男は窓際にうつ向きになり、タオルを口にくわえ、黒こげになって焼死していた。
そのタオルは、ノドの奥までかなり深く、おそらく食道まで達する程に飲み込んでいる。
窓の大きさは、天井から床まである、
・・・・・・・・・・人間の身長より高い・一枚のガラスで、できている。
この窓際にうつ伏せの死体が、
・・・・・・・・・食道にまで達する程タオルを飲み込み、横たわっているのだ。
・・・・・・・・~どう見ても自殺だ。
タオルを飲んでいるのは、火災の熱と煙を必死でこらえた証拠だ。
男がその気になれば、1秒で窓から外に飛び出せる。
その位置で必死に頑張った、男の~物言わぬ怨念が感じ取れた。
玄関出入り口から火をつければ、奥の母親は逃げ場を失う。足の悪い高齢者だった。
が、刑事さんの所見は、酒に酔い寝タバコによる失火。と言う事であった。
2人とも死んでいるから、この場合は失火で仕方ない。
・・それでいいが、ただ、酒に酔い火事になった事が、わからないほど酔っておれば、
~タオルがノドの奥まで入るぐらい、我慢する事は不可能である。
・・・・・・・・・・これを問題にもしないのだ。~これは?・・恐ろしい。
~いつも・・・この程度か?・・・・・
・・・どうでもいい、遺族がそれで納得すれば、どうでもいい。
放火になれば、~保険が下りない。家族のためには、これで終わらせたらいい。
どうでもいいから、早くお家に帰りたい。
~ただ一部の地元住民は「自殺だろう~」・・・・との噂が~後から聞こえてきた。
~さすがに地元だ。
警察が言う~寝タバコと言っても、どこにも~そんな痕跡はなかったのだが、
~たぶん灰皿と一緒に燃え尽きて、しまったのだろうが、・・・~灰皿もない。
~灰皿も燃えた。・・・・・・・どうでもいい。・・・・・・
火事の原因は→火だ。火が悪い・・・川で溺れ死んだら、原因は→水だ、水が悪い・・・
絞め殺されたら→ヒモが悪い。・・・刺されて殺されたら→刃物が悪い。・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・嗚呼・・・・・・・・・・・・・・・・どうでもいい。
だんだん投げやりになってきた。
1年間の駐在所生活最後の事件は、オートバイ盗である。
土佐清水市で盗まれたオートバイが、宿毛市で乗り捨てられていた。
さっそくオートバイから指紋を採取したところ、犯人は神奈川県の凶器準備集合罪の
前科がある暴走族であった。
指紋が合致した以上、いつでも逮捕できる。が、何もしなかった。
なぜ?しない?そんな質問をする気力は、とうに失せていた。
神奈川県が高知県から遠く離れ、時間的に処理時間がかかりすぎる。
かと言って、他県に盗人の手柄をくれてやるのもアホらしい。
どうせオートバイを盗んだガキだ。たいした事ではない。
・・・おそらく、その程度の理由だろう。・・・・・どうでもいい・・・・なんとでもなれ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・空手ばかりする日々が続いた。
翌年の4月には、署内異動で同じ宿毛署の留置管理係になった。留置場の看守だ。
外から遮断された机が、私の仕事場になったが
この年、長女が県内の私立高校「土佐塾」に入学、
ますます金が必要になり、警察を辞めるわけにはいかなくなった。
何がどうでも金を稼いで、家に仕送りしなければ家族が路頭に迷う。
子供が学校に行けない。
留置場の仕事は単調なものだったが、何も言えず、ただ耐えるしか能がなかった。
当時の次長(副署長)は、
毎日午前6時ごろスニーカーにジャージ姿で留置場の巡視にくる。
どうして、スニーカーで留置場に?・・朝のジョギングに行く際、署の裏にある官舎から
30メートルぐらい歩いて留置場を巡視する。
その後、おもむろにノソノソ散歩して官舎に帰り朝飯を食べ、また30メートル歩き出勤。
その間2時間ぐらいは、超過勤務。
早い話が、朝早く留置場の巡視に来た。仕事をした。と言う既成概念を作ったうえで、
これを~超過勤務として計上し金を取る。が、実際は、ジョギングだ。
~かわいいヤツよ。~署員随一の超過勤務手当を取っていたと、
・・~当時の会計監査に来た者が言っていた。
この次長の子分が警務係長。
毎月全署員の勤務計画を作るが、全て自分の都合で作っている。
毎年正月は2~3日休みで、県外へ観光旅行に行っていた。
これでも優秀警察官として評価 されて、ボーナスは他の署員より良いのだから、
署長・次長のご機嫌を取っておればバカでも 金をもらえる。
この2人、なかなかの酒好きで、署の前にあるスナック喫茶に、
毎夜~ただ酒を飲みに~入り浸っていた。~スナックの経営者も似た様な人物で、
詐欺師も同然のような男だったが、自転車を盗んで乗っていたのを署員の職務質問に
あい捕まった。が、普段お世話になっている次長様が、お返しに・お世話して無罪放免
になり、不問に伏された。~常識的な事だ。
しかし、何事も人を見て、よく考えて行うべきだ。スナックの経営者は
「オレは、何をやっても捕まらん」と店の客に豪語していた。
この話は警察官の知らないところで町中に広がっていた。~全てがこのリズムだ。
人はリズムで動くものだ、ある日、飲酒運手をしていたヤツが駐車中の車に
当て逃げし、自宅まで逃走した事件が発生した。
現場の警察官は、いち早く犯人の車を割り出したが、
人手不足で犯人を警察署まで連れてくる 警察官がいない。
仕方ないから警務係長に行ってもらったが、
連れて帰った車を見て、みんな アッと~驚いた。
・・・・~なんと、~犯人が運転して~警務係長が助手席に乗っている。
つまり、飲酒運転の犯人さんに~車を運転させて、
・・・・・・・・・・・・・・警察官は・隣の助手席に乗っているのだ。
~警察署まで~飲酒運転できた?
・・・・・・・・・・・それを指示したのは警察官。・・~この糞バカが係長。
こんな~事件処理をしたら大変な事になる。この事件はボツだ。
恐ろしいバカがいるものだが、
・・・・・・・・・・この係長を署長様・次長様から御覧になれば優秀警察官である。
これまで、警察内部のことをアホらしい・バカらしいと思いながら生きてきたが、
このあたりから逆に~アホを楽しむ様になった。
そうでもしなければ、とてもじゃないが生きていけそうになかった。頼みは家族と空手だ、
これがなかったら私は、間違いなく挫折していた。
が、挫折するにもアホらしい思いがする事がおき、更に奮起したのもこの頃である。
留置場で勤務していた夜、午後11時頃だった。
警察署の外で酔っぱらいが大声で騒ぎ、何かを壊している音や車を叩く様な音が5分間
ぐらい聞こえてきた~これじゃぁ~今日は酔っぱらいの保護で留置場がにぎやかになる。
あれだけの大声を出されたら、寝れないだろうと思っていたが、
いつまで待っても~酔っぱらいは~留置場に入ってこない。
なぜだろう、と・不審に思い、問い合わせてみたところ
何と、泥酔状態で、暴れていたのは当・警察署の刑事さんだった。~名前を聞き納得した。
これまでの転勤先・全てで、酒に酔って暴れている名代の有名人だが、
警察幹部の息子さんであるため、どこで何をやってもその都度お構いなし、
留置場で保護(泥酔者)された事もあったらしいが、
順調に刑事になり出世街道を走っている。
110番の緊急電話で「ゴウトウデスすぐ来て」を「ボウソウ」と聞き間違え、
強盗ではなく暴走族のつもりで、それなりに現場へパトカーを走らせた有名な話があるが。
何のおとがめもなく、本人もさほどこたえてない。
私の目の前に、そんな男がウロウロしている。それに引き替え銀行員失踪事件を追及した
ばかりに~吹き飛ばされた自分の姿があまりに惨めに思えた。~これが警察か?
こんなことなら、殺し合いになっても恨みを晴らしてやる。怒りが再燃焼してきた。
留置管理係の部屋は、警察署一階のコピー室の片隅にある。
なんともすざましい場所にあるもので、コピーの機械や印刷機がガタゴト動いている
同じ部屋の隅に何の仕切もなく 、ぽつんと机が1つ座っている。
まるで、私の身の上と同じ様な机に、机と同じ様な私が座り事務処理している。
我が子には見せたくないオヤジの姿である。何の希望もない窓際族、厄介払いの巣窟。
早く辞めろと言われている様だが、おかげで闘争心が沸いてきた。
厄介払いと空手が私のエネルギー
「いつか、ぶち殺してやる」「それができんなら、呪い殺す」
私の部屋には、警察独特のチクリ・マンが出入りしていた。
私の状態を「上」に報告するスパイだが、私は逆に利用した。
銀行員失踪事件に関する全てを話し、真実を上向きに抜かした。
そして演出のための~「ぶち殺す」を必ず付け加えた。
危険なヤツと判断したであろう、私は50歳を過ぎても巡査長のままだった。
が、私が不自然なほど万年巡査を続ければ、逆に銀行員失踪事件が浮かび出す。
署員の中でも話題になるだろう、
この事件を蒸し込み、つぶしたヤツはみんな出世しているから、
私の万年巡査は益々アピールできる。
大口を開けて警察批判を行った。話100倍、ウソ八百。
一眼国の1つ目カラスが、アホ踊りを始めるだろう。
・・・・・・・・・・・・・もっと踊ってもらいましょう・・・・・・・・・
アホの捜査一課から、厄介払いの巣窟へ電話があった。
「突然・すみません、あのう~・・・・・
四万十市の銀行員の件ですが。
田岡 大が使っていた川舟が、木製の舟から
プラスチックに変わっていたのを
・・・・・・・・・・・・・・・・知ったのはいつ頃ですか」
まさに突然、銀行員失踪事件に関する初歩的な質問を、今頃になって特捜から質問された。
なぜ?今頃?・・・・・意味不明であるが、基本的な質問を必要としている事だけは確かだ。
しかし?基本以前の基本である。~とても~真面目にやっているとは思えない。
・・・・・・・・・・・・しかも、同じ“舟”の質問は、何度目か?
あれから6年、・・・捜査一課の連中も転勤で、担当者が入れ替わっているだろう、
別の人間が基本を必要としている。・・と言う事は何らかの変化があったと考えていい。
何かはわからん・・流れが変わってきた。
捜査一課から私に問い合わせの電話があったのは、宿毛署にいた3年間のうち
最後の年の春と秋に2度ほどあった。
その2回~ともに、“舟”の話が~一部含まれていた。・・・・“舟”か?
“舟”は人間を解体した“まな板”・・・・私は、そう思っているが・・・・捜査一課も同じか?
やがて正月が過ぎた頃、中村署から信じがたい話が入ってきた。
刑事課長が公の席で、銀行員失踪事件を話題(会議)にしている。
・・・~との漠然とした情報であった。
一つだけ確かなことは~なぜ再捜査か?~の答えは
数年前に発見された「骨」は~やはり本物か?
・・・それとも捨てたから、重視しているのか?~そうでなければ
北朝鮮日本支部の・一眼国のアホが、自主的に再捜査をするわけがない。
・・・・・~これだけは確かで、・あろう。。。???
もちろん私には、何一つ連絡はないが、何かが変わったと感じられた。
もし、何か動きがある。とすれば、~私には何も聞こえず、何も見えない場所に飛ばされるだろう?
・・・・・・・宿毛署は中村署の隣りだ~
銀行員失踪事件発生の四万十市と隣の宿毛市は、あまりに近すぎるし、
犯人の 田岡と関係のある現在の女は、宿毛市に住んでいる事から、捜査を始めた場合、
私が宿毛警察署にいたら「蒸し込み組」が困る。
おそらく今度は、~遠くへ転勤だ。
そう思い出した2箇月後の平成10年3月、私は窪川警察署に転勤になっていた。
事件発生の中村署から隣の土佐清水市、さらに隣の宿毛市、次にも隣の窪川署。
・・・~四万十市を中心に隣から隣にひとまわり。
こんな転勤、人事異動は聞いた事がない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・厄介払いの単身赴任、8年目の春だった。
さて、窪川署のどこへ行くのか?いつもの様に、何の期待もせず待っていると
「十川(とおかわ) 駐在所」だと言う。
十川 じゃ、・・そりゃどこにある。
私が十川をたずねた、第一声だった。
高知県西部の幡多郡は、昔々~平家と源氏が戦った 平 清盛の時代から、
落ち武者が逃げ延びて来るか、 政権争いに敗れた、時の権力者が“島流し”になる。
“流罪の地”として知られている。
当時の粗暴犯(刑法犯)なら~都から、
比較的近い土地に流され、陸路から行き来できる環境にあったが、
重要な政治犯は、陸から道沿いに行き来ができない場所に、
当時としては大変予算がかかるであろう海路で流した。
都から~流される御公家様は、当時の木造船に揺られながら、
二度と帰れないかもしれない、地の果てへ流されていく
西へ流れるにつれ、太平洋の荒波が大きくうねりだし、
四万十川の前付近で最高潮になったとき
舟の中で
「波多~」(はた)・・・「波多~」(波が多く、高い) と、泣き叫んだと言う~
高知県幡多郡の「幡多」は、本来~「波多」がホントらしい。
その「波多」の中でも、
平家の“落人伝説”が伝わる十和村十川(現在・四万十町)が私の赴任先だった。
・・・・・ここへ行けば、私が銀行員失踪事件に関わることは、絶対にできない。
上から見れば安全地帯だ。
~なるほどココなら~ナニもできない。納得の僻地である。
裏金造りの名人、我らがボス・宿毛警察署長も県本部へ御栄転。
~異動の発表があると同時に、
毎日々・・警察の公用車に運転手を付け、宿毛警察署管内全ての
建設業者・事業所の挨拶回りを始めた。~かつて無いほどの勤勉さ~
・・・・・・・・・・それは、それは、小まめに挨拶回りを成されました。
人格が変わったか?~の様な真面目さ?・・・・・どうしたんだ?と、
不思議に思いながら、宿毛警察署での最後の当直についた夜。
転勤になられた署長様が背広姿で、
さっそうと~警務係長が運転する公用車に乗り込んだ。
背広姿で~「女か?」
・・・僻地・駐在所に飛ばされた、アホ巡査が最後に吐いた暴言だった。
背広姿のボスは、宿毛市内では最も有名な老舗~○○旅館(現在・取り壊し)の前に、
大きな看板を掲げていた
●●警察署長
御栄転祝賀会
普段は交通安全の立て看板に使う、大きなモノに白紙を貼り付け、
見事な大看板を、道路から旅館の塀にもたせ掛けるように立てている。
~成るほど~これが裏金造りの名人の最後の錬金術か~
金になる事業所・建設会社・○○議員・・・ 等々
~選挙などで、普段・色々と御世話した方々に、
かつて無いほどの勤勉さで、ご挨拶回りをしたボス猿は
大きな立て看板1つで~御栄転祝賀会を開き
・・・・・ご列席の方々から一人数万円の御祝儀を取って、
この町から出る腹づもりだ。
・・・・・・・・・・・まことに、金に関しては、そつがない。・・・見事なコジキだ。
僻地駐在所に飛ばされるアホ巡査が、
パトカーを運転しながら、最後の当直勤務に見た、一眼国の夜だった。
駐在所で空手ばかりする生活が3箇月ほど続いた頃、高知県議会選挙が始まった。
私が最も注目していた選挙である。
選挙戦は私が駐在所に来た4月頃から既に始まっており
4年前に県議選で負けた、ある候補の運動員から
「前の選挙では、西田候補の選挙違反・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4~50名の者に酒を飲まし、投票依頼をした件について宿毛警察署
に全部話したが、警察は全然動かなかった。
・・・・・・今度もそうだろうから、
・・・・・・・・・・・・こちらも遠慮なく戦う」
と意気込んでいる陣営があった。
宿毛市のある地域では、
「警察を子飼いにしている西田陣営は、絶対に捕まらない」
と~言うのが定説であり、それ以上に、やらなければ選挙には勝てないと意気込んでいた。
ただでさえ選挙好きな土地柄である。火に油を注ぐ様な話が静かに流れている。
「静か」と思っているのは部外者だけで、
この様な場合に選挙運動員は激烈な戦いをしている。
言い方は悪いが、田舎になる程・すべてにコネがモノを言う。
公共事業・子供の就職・等々~あらゆる面でコネがあって初めて、
・・・・・・・・・・・・・・・競争する土俵の上に立つ 権利を得る事ができる。
コネのない者は、初めから論外であり、土俵に立つ事もできない。
オーバーな言い方だろうが、田舎では常識的な事だ。
当然、投票率は高くなり、一票の重みも大変なものだ。
何か起きる選挙は雰囲気で判るものだ。
最も私の場合は、20数年前からの因果関係があり、各方面から色んな話が入っていた。
ある日、匿名の電話が駐在所にかかってきた。
「中野候補が、○○地域で飲ましている、
店の名前は○○だ。(飲酒・投票依頼)
・・・・・・・・・・・・・・・・報告終わり」
最後の言葉が「報告終わり」軍隊用語で、わずか10秒足らずの一方的な電話だった。
声はかなり年配の男、他にはなにも判らない。
すでに私は警察を見限っており、
この話を突き詰め選挙違反を上げる(捕まえる)つもりはサラサラ無かったが、何か起きる。
~これだけは確実だ。
選挙というものは、何かが起きる時は必ずおきる。
何も起きる要素がない時は、いくら捜査しても何も起きない。
ごくまれに、偶然見付けた場合もあるが、ほとんどは画策され、
どこから話が出たか判らない様に、 警察にタレ込まれたモノがほとんどである。
もっとも警察官は、そうは思ってない。
警察官本人が情報を取ってきた「お手柄」ぐらいに~思っているが、
それでは~「なぜ情報が入ったか?」~そこまでは考えない。
・・・・・・・・・・・・・・~だから「お手柄」である。
私が勤務する小筑紫駐在所に匿名の者から、電話があった数日後から異変が起きた。
保守系の立候補者3名の戦いであった県議会選挙で、それぞれの立候補者が票田を固め、
最後に相手陣営を切り崩せば勝負が決まる。
決戦の場は、私の駐在所の隣の地域で繰り広げられた。
どおりで、私の駐在に匿名の電話があったはずだ。
隣の駐在所に選挙違反の情報が入り、宿毛署に検挙された。
選挙では、よく激戦地区と言う言葉が使われるが、ある意味では「激戦」なんて言葉は
選挙には該当しない。要は演出だ、それを激戦と言えば激戦だろうが?
この県議選でも3人の立候補者、三者三様それぞれが決戦場で違反をしている。が、
もともとAと言う候補者の運動員だった者が、B候補者に乗り換えA候補者の違反情報を
地元の駐在さんに話した結果。A候補者が浮かび上がり警察に捕まった。それだけの話で、
決着がついた。やはり、西田候補は捕まらない~いくら話があっても問題にしなかった。
相手は県議会議員である、噂ぐらいな話で正面から中傷する人は誰もいない。
まして、公共事業でメシを喰っている建設会社の社長さんが、いくら力があったとしても
県議会議員を中傷する事はない。
が、4年に一度・まるでオリンピックのように選挙がある度に、
宿毛警察署の捜査幹部あるいは署長などに、
ある立候補者と親密な関係にある者が、必ず転勤してくる。・・・と言う噂、
あるいは県行政・地方政治と警察人事が密接な関係にあると、田舎人独特の言い回し
あるいは、地方の政治力を前面に押し出し、
大口をたたく輩が町を闊歩しているのは、どうゆうわけだろう?
しかも、このような「お話」を完全に否定する事ができるのだろうか?
現に、今現在の宿毛警察署長は、どうして宿毛に来たの?
署長の息子さんは、地元のダム工事で大金を横領した有名人よ、
そのオヤジがどうして宿毛に来るの?
その息子、横領の事件処理は済んだの?まだなの?・やってない。
まだクビになってないの?
数々の風評・噂・中傷・数え切れない程の悪たれが、
地元住民の素朴な質問として、私の元に届いてきた。
地元から情報を取ろうとすればする程、数々の疑問が投げかけられる。
・・・・・・・・・~何もしていなければ、~何も聞こえないのだ。
・・・・・・・・・・なら、どうでもいいから、上に言われた事だけ、しておればいい。
「上」の思惑どおりの選挙違反者を上げた(捕まえた)駐在さんは警察本部長から
表彰状をもらい得意満面だった、非常に悪い表現ですが。
ただ、ある候補に利用されただけです。
それでも、選挙取り締まりができれば効果はあった。それは、それでいい。
が、私が言いたい事は、警察官たる者、内部のカラクリぐらい、
調査できる能力がいつの場合も必要だ。
いざ、重大事件があった場合、クソにもならん様では地域の安全はない。
地域の皆さんが安全を期待するのであれば、アメリカ並みに自警団を結成する事だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・複雑な内部事情の解明を警察に期待しても無益・無理だ。
内部の調査は自警団が、そして
その内部事情を~出すか~出さないかは、地域の判断である。
これからは、パソコンが常識的に普及し、
新しい情報網が自由自在に活用される時代が到来する。
そうなれば、私が経験した銀行員失踪事件などと言う陰惨な思いは、
しなくて良い時代がくるでしょう。
しかも世の中の流れも変わるでしょう、
公共事業を中心にした、大きな建設工事しか産業のない高知県では、
いまだ地方政治が主力になっている。
政治力とは、お国の銭を地方にパクリ取るのが地方政治であるが、
世界は大きく波打ち~うねっている。
中国では、膨大な土地に電気・ガス・道路網など、
工場誘致に必要なインフラが着々と整理されている。
これらが、50パーセント以上整理されたとき、
低価格の巨大な物流が押し寄せて来るようになり、
日本の地方行政は転換期を迎え、
県会議員程度の取り合いでは金が入らなくなり、影響力は少なくなる。
そうなれば~現在の自民党の仕組みでは、世の中の動きについて行けなくなるから
選挙戦略も大きく変わるだろうが、そうなるまでは、何の変化もないだろうし
変化が有ったとしても、~なぜ~何の為の変化か?
~これも選挙屋が利用するだけで終わるだろう
・・・・・・・・・・・・・・・・・~日本を内部から改革するのは不可能。
ただ~、目の前に現実が見えなければ理解できない。
一眼国の仕組みがおぼろげながら、徐々に解明されてきた。
ますます、空手に熱が入り、警察の仕事なんか上の空になってきたが、不景気な世の中、
次から次に陰険な事件が続いた。
この全ては、1つ1つが膨大な話になり、とても語り尽くせないが、
これらの事件を第三者的に傍観した結果。
私の警察に対する思いは、完全に消滅した。
特に大げさに言う訳ではなく、この事件のうち簡単に2つの放火事件を並べてみたい。
1つは、経営不振であえいでいた製材所が火災になった事件だが、発見が早かった。
通行人が発見し消防署に通報したのだ。
現場には、灯油と思われる油類をしみ込ませた
オガクズ(木材をノコギリで切った際に出る木屑)が一握りずつ
木材の上に点々と置かれていた。
明らかに放火であるが、私は1つオカシイと思った事がある。
その日の天候は、小雨・無風だった。
現場は、海の近くである。風の強い、晴れた日はいくらでもある。
海から強烈な風が吹いてくるのだ。
時間は深夜。
わざわざ小雨・無風の気象条件で放火をするか?
火付けの材料のオガクズは、それぞれ大きな木材の上に置いている。
しかも製材所には高価な木材はなく、
杉・松を中心にした価格の低い木材がほとんどである。
これだけの条件があれば犯人として、まず疑うべき人間は製材所の経営者である。
しかも、オカクズに灯油をしみこませ~ゴミを焼却する手口は、
当・製材所が普段から行う作業の1つである。
オガクズを入れる「専用」の木製の箱まで(普段から使っている)無造作に放置され
・・・・・・・・・・・・箱が・・・・・~笑っているようだ。
小雨・無風の天候で、隣の家に燃え移るのを防ぎながら火をつけた?
と考えれば自然な流れになる。それなら速攻である。現場は火災でごった返している。
経営者の心境は揺れに揺れているだろう、~今攻めろ、~そう思った。
が、警察の措置は、経営者の言うがままであった。
「誰かが火をつけた。財産が灰になる」
経営者が言うウソを鵜呑みにした警察は、
言われるまま・・・火付け犯人の財産を守る為に、
私ともう1人の警察官の2人を現場に残し、徹夜で警戒に当たらせた。
・・・・・それも大事だが、
全ては、犯人と思われる製材所経営者の言う通りになっていた。
私は徹夜で警戒しながら現場を見て歩き、翌日に製材所の経営状態から現場の状況まで
詳細に書いた情報を提出し、引き続き現場の実況見分の手伝いをやらされた。
既に私は捜査員ではなく駐在さんだ。
捜査の手伝いをやらされたわけだが、現場の刑事は、最も燃え上がった場所に集中し
5・6人の刑事さんが集まった。
最も燃えた場所は~延焼した場所で、あまり重要な場所ではない。
結果的に、~後から燃え広がった場所だ。
必要な場所は、発火地点である。
常識的に考えても火がついた場所が一番大事だ。
が、現場の刑事さん達は、燃え上がり、最も派手に燃え広がった場所が気になるらしい。
・・・なぜなら・・・良く燃えているから・・・
早い話が、何の基礎もできてない素人集団である。
・・・・・~ヤメタ・・・アホらしいから
・・・・・・・・・・・・・・・・~手伝うのをヤメ、黙って適当に時間をつぶした。
私の情報が、その後どうなったか知らないが翌日、本部捜査一課の刑事さんが調べに来て、
それから~10日ぐらいたってから、問題の経営者をポリグラフ(ウソ発見機)にかけ
取り調べた様だ。
事件から2週間もたてば、経営者の心境は落ち着いている。
~そんな状況で、ポリグラフに反応するわけがない。・・・~アホゥ~
製材所の経営者は即日、無罪放免で幕。・・・~製材所は1年後・倒産。
もし火災になっていたら~火災保険金が入り、まだ倒産してないだろうが、
早く発見した通行人を恨んでいるだろう。
しかし、こんな警察に捕まるヤツは、おそらく誰もいないだろう、
もし捕まれば馬鹿ばかりだ。
2つ目の放火もあった。
もっとも、この火災は私が~そう判断しただけだが。
猟銃を盗んだ男が警察に逮捕され、取り調べを受けた後釈放され自宅に帰った。
「猟銃を撃ってみたかった」それだけの子供じみた思いで、銃を盗んだ後すぐ海に捨てた。
どうでもいいような、たわいない事件処理が済んだ後、
10日位たって~男の家が火事になり、男と母親が焼死した。
現場は、小さな平屋建ての家で、男は玄関左側の居間。
母親は一番奥の炊事場で、それぞれ焼け死んでいた。
“小さな家”で2人の人間が、“対角線上”の一番遠い位置関係にある線上で焼死。
火災の際、お互い声もかけず、助けもしないで、死んだらしい。
男は窓際にうつ向きになり、タオルを口にくわえ、黒こげになって焼死していた。
そのタオルは、ノドの奥までかなり深く、おそらく食道まで達する程に飲み込んでいる。
窓の大きさは、天井から床まである、
・・・・・・・・・・人間の身長より高い・一枚のガラスで、できている。
この窓際にうつ伏せの死体が、
・・・・・・・・・食道にまで達する程タオルを飲み込み、横たわっているのだ。
・・・・・・・・~どう見ても自殺だ。
タオルを飲んでいるのは、火災の熱と煙を必死でこらえた証拠だ。
男がその気になれば、1秒で窓から外に飛び出せる。
その位置で必死に頑張った、男の~物言わぬ怨念が感じ取れた。
玄関出入り口から火をつければ、奥の母親は逃げ場を失う。足の悪い高齢者だった。
が、刑事さんの所見は、酒に酔い寝タバコによる失火。と言う事であった。
2人とも死んでいるから、この場合は失火で仕方ない。
・・それでいいが、ただ、酒に酔い火事になった事が、わからないほど酔っておれば、
~タオルがノドの奥まで入るぐらい、我慢する事は不可能である。
・・・・・・・・・・これを問題にもしないのだ。~これは?・・恐ろしい。
~いつも・・・この程度か?・・・・・
・・・どうでもいい、遺族がそれで納得すれば、どうでもいい。
放火になれば、~保険が下りない。家族のためには、これで終わらせたらいい。
どうでもいいから、早くお家に帰りたい。
~ただ一部の地元住民は「自殺だろう~」・・・・との噂が~後から聞こえてきた。
~さすがに地元だ。
警察が言う~寝タバコと言っても、どこにも~そんな痕跡はなかったのだが、
~たぶん灰皿と一緒に燃え尽きて、しまったのだろうが、・・・~灰皿もない。
~灰皿も燃えた。・・・・・・・どうでもいい。・・・・・・
火事の原因は→火だ。火が悪い・・・川で溺れ死んだら、原因は→水だ、水が悪い・・・
絞め殺されたら→ヒモが悪い。・・・刺されて殺されたら→刃物が悪い。・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・嗚呼・・・・・・・・・・・・・・・・どうでもいい。
だんだん投げやりになってきた。
1年間の駐在所生活最後の事件は、オートバイ盗である。
土佐清水市で盗まれたオートバイが、宿毛市で乗り捨てられていた。
さっそくオートバイから指紋を採取したところ、犯人は神奈川県の凶器準備集合罪の
前科がある暴走族であった。
指紋が合致した以上、いつでも逮捕できる。が、何もしなかった。
なぜ?しない?そんな質問をする気力は、とうに失せていた。
神奈川県が高知県から遠く離れ、時間的に処理時間がかかりすぎる。
かと言って、他県に盗人の手柄をくれてやるのもアホらしい。
どうせオートバイを盗んだガキだ。たいした事ではない。
・・・おそらく、その程度の理由だろう。・・・・・どうでもいい・・・・なんとでもなれ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・空手ばかりする日々が続いた。
翌年の4月には、署内異動で同じ宿毛署の留置管理係になった。留置場の看守だ。
外から遮断された机が、私の仕事場になったが
この年、長女が県内の私立高校「土佐塾」に入学、
ますます金が必要になり、警察を辞めるわけにはいかなくなった。
何がどうでも金を稼いで、家に仕送りしなければ家族が路頭に迷う。
子供が学校に行けない。
留置場の仕事は単調なものだったが、何も言えず、ただ耐えるしか能がなかった。
当時の次長(副署長)は、
毎日午前6時ごろスニーカーにジャージ姿で留置場の巡視にくる。
どうして、スニーカーで留置場に?・・朝のジョギングに行く際、署の裏にある官舎から
30メートルぐらい歩いて留置場を巡視する。
その後、おもむろにノソノソ散歩して官舎に帰り朝飯を食べ、また30メートル歩き出勤。
その間2時間ぐらいは、超過勤務。
早い話が、朝早く留置場の巡視に来た。仕事をした。と言う既成概念を作ったうえで、
これを~超過勤務として計上し金を取る。が、実際は、ジョギングだ。
~かわいいヤツよ。~署員随一の超過勤務手当を取っていたと、
・・~当時の会計監査に来た者が言っていた。
この次長の子分が警務係長。
毎月全署員の勤務計画を作るが、全て自分の都合で作っている。
毎年正月は2~3日休みで、県外へ観光旅行に行っていた。
これでも優秀警察官として評価 されて、ボーナスは他の署員より良いのだから、
署長・次長のご機嫌を取っておればバカでも 金をもらえる。
この2人、なかなかの酒好きで、署の前にあるスナック喫茶に、
毎夜~ただ酒を飲みに~入り浸っていた。~スナックの経営者も似た様な人物で、
詐欺師も同然のような男だったが、自転車を盗んで乗っていたのを署員の職務質問に
あい捕まった。が、普段お世話になっている次長様が、お返しに・お世話して無罪放免
になり、不問に伏された。~常識的な事だ。
しかし、何事も人を見て、よく考えて行うべきだ。スナックの経営者は
「オレは、何をやっても捕まらん」と店の客に豪語していた。
この話は警察官の知らないところで町中に広がっていた。~全てがこのリズムだ。
人はリズムで動くものだ、ある日、飲酒運手をしていたヤツが駐車中の車に
当て逃げし、自宅まで逃走した事件が発生した。
現場の警察官は、いち早く犯人の車を割り出したが、
人手不足で犯人を警察署まで連れてくる 警察官がいない。
仕方ないから警務係長に行ってもらったが、
連れて帰った車を見て、みんな アッと~驚いた。
・・・・~なんと、~犯人が運転して~警務係長が助手席に乗っている。
つまり、飲酒運転の犯人さんに~車を運転させて、
・・・・・・・・・・・・・・警察官は・隣の助手席に乗っているのだ。
~警察署まで~飲酒運転できた?
・・・・・・・・・・・それを指示したのは警察官。・・~この糞バカが係長。
こんな~事件処理をしたら大変な事になる。この事件はボツだ。
恐ろしいバカがいるものだが、
・・・・・・・・・・この係長を署長様・次長様から御覧になれば優秀警察官である。
これまで、警察内部のことをアホらしい・バカらしいと思いながら生きてきたが、
このあたりから逆に~アホを楽しむ様になった。
そうでもしなければ、とてもじゃないが生きていけそうになかった。頼みは家族と空手だ、
これがなかったら私は、間違いなく挫折していた。
が、挫折するにもアホらしい思いがする事がおき、更に奮起したのもこの頃である。
留置場で勤務していた夜、午後11時頃だった。
警察署の外で酔っぱらいが大声で騒ぎ、何かを壊している音や車を叩く様な音が5分間
ぐらい聞こえてきた~これじゃぁ~今日は酔っぱらいの保護で留置場がにぎやかになる。
あれだけの大声を出されたら、寝れないだろうと思っていたが、
いつまで待っても~酔っぱらいは~留置場に入ってこない。
なぜだろう、と・不審に思い、問い合わせてみたところ
何と、泥酔状態で、暴れていたのは当・警察署の刑事さんだった。~名前を聞き納得した。
これまでの転勤先・全てで、酒に酔って暴れている名代の有名人だが、
警察幹部の息子さんであるため、どこで何をやってもその都度お構いなし、
留置場で保護(泥酔者)された事もあったらしいが、
順調に刑事になり出世街道を走っている。
110番の緊急電話で「ゴウトウデスすぐ来て」を「ボウソウ」と聞き間違え、
強盗ではなく暴走族のつもりで、それなりに現場へパトカーを走らせた有名な話があるが。
何のおとがめもなく、本人もさほどこたえてない。
私の目の前に、そんな男がウロウロしている。それに引き替え銀行員失踪事件を追及した
ばかりに~吹き飛ばされた自分の姿があまりに惨めに思えた。~これが警察か?
こんなことなら、殺し合いになっても恨みを晴らしてやる。怒りが再燃焼してきた。
留置管理係の部屋は、警察署一階のコピー室の片隅にある。
なんともすざましい場所にあるもので、コピーの機械や印刷機がガタゴト動いている
同じ部屋の隅に何の仕切もなく 、ぽつんと机が1つ座っている。
まるで、私の身の上と同じ様な机に、机と同じ様な私が座り事務処理している。
我が子には見せたくないオヤジの姿である。何の希望もない窓際族、厄介払いの巣窟。
早く辞めろと言われている様だが、おかげで闘争心が沸いてきた。
厄介払いと空手が私のエネルギー
「いつか、ぶち殺してやる」「それができんなら、呪い殺す」
私の部屋には、警察独特のチクリ・マンが出入りしていた。
私の状態を「上」に報告するスパイだが、私は逆に利用した。
銀行員失踪事件に関する全てを話し、真実を上向きに抜かした。
そして演出のための~「ぶち殺す」を必ず付け加えた。
危険なヤツと判断したであろう、私は50歳を過ぎても巡査長のままだった。
が、私が不自然なほど万年巡査を続ければ、逆に銀行員失踪事件が浮かび出す。
署員の中でも話題になるだろう、
この事件を蒸し込み、つぶしたヤツはみんな出世しているから、
私の万年巡査は益々アピールできる。
大口を開けて警察批判を行った。話100倍、ウソ八百。
一眼国の1つ目カラスが、アホ踊りを始めるだろう。
・・・・・・・・・・・・・もっと踊ってもらいましょう・・・・・・・・・
アホの捜査一課から、厄介払いの巣窟へ電話があった。
「突然・すみません、あのう~・・・・・
四万十市の銀行員の件ですが。
田岡 大が使っていた川舟が、木製の舟から
プラスチックに変わっていたのを
・・・・・・・・・・・・・・・・知ったのはいつ頃ですか」
まさに突然、銀行員失踪事件に関する初歩的な質問を、今頃になって特捜から質問された。
なぜ?今頃?・・・・・意味不明であるが、基本的な質問を必要としている事だけは確かだ。
しかし?基本以前の基本である。~とても~真面目にやっているとは思えない。
・・・・・・・・・・・・しかも、同じ“舟”の質問は、何度目か?
あれから6年、・・・捜査一課の連中も転勤で、担当者が入れ替わっているだろう、
別の人間が基本を必要としている。・・と言う事は何らかの変化があったと考えていい。
何かはわからん・・流れが変わってきた。
捜査一課から私に問い合わせの電話があったのは、宿毛署にいた3年間のうち
最後の年の春と秋に2度ほどあった。
その2回~ともに、“舟”の話が~一部含まれていた。・・・・“舟”か?
“舟”は人間を解体した“まな板”・・・・私は、そう思っているが・・・・捜査一課も同じか?
やがて正月が過ぎた頃、中村署から信じがたい話が入ってきた。
刑事課長が公の席で、銀行員失踪事件を話題(会議)にしている。
・・・~との漠然とした情報であった。
一つだけ確かなことは~なぜ再捜査か?~の答えは
数年前に発見された「骨」は~やはり本物か?
・・・それとも捨てたから、重視しているのか?~そうでなければ
北朝鮮日本支部の・一眼国のアホが、自主的に再捜査をするわけがない。
・・・・・~これだけは確かで、・あろう。。。???
もちろん私には、何一つ連絡はないが、何かが変わったと感じられた。
もし、何か動きがある。とすれば、~私には何も聞こえず、何も見えない場所に飛ばされるだろう?
・・・・・・・宿毛署は中村署の隣りだ~
銀行員失踪事件発生の四万十市と隣の宿毛市は、あまりに近すぎるし、
犯人の 田岡と関係のある現在の女は、宿毛市に住んでいる事から、捜査を始めた場合、
私が宿毛警察署にいたら「蒸し込み組」が困る。
おそらく今度は、~遠くへ転勤だ。
そう思い出した2箇月後の平成10年3月、私は窪川警察署に転勤になっていた。
事件発生の中村署から隣の土佐清水市、さらに隣の宿毛市、次にも隣の窪川署。
・・・~四万十市を中心に隣から隣にひとまわり。
こんな転勤、人事異動は聞いた事がない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・厄介払いの単身赴任、8年目の春だった。
さて、窪川署のどこへ行くのか?いつもの様に、何の期待もせず待っていると
「十川(とおかわ) 駐在所」だと言う。
十川 じゃ、・・そりゃどこにある。
私が十川をたずねた、第一声だった。
高知県西部の幡多郡は、昔々~平家と源氏が戦った 平 清盛の時代から、
落ち武者が逃げ延びて来るか、 政権争いに敗れた、時の権力者が“島流し”になる。
“流罪の地”として知られている。
当時の粗暴犯(刑法犯)なら~都から、
比較的近い土地に流され、陸路から行き来できる環境にあったが、
重要な政治犯は、陸から道沿いに行き来ができない場所に、
当時としては大変予算がかかるであろう海路で流した。
都から~流される御公家様は、当時の木造船に揺られながら、
二度と帰れないかもしれない、地の果てへ流されていく
西へ流れるにつれ、太平洋の荒波が大きくうねりだし、
四万十川の前付近で最高潮になったとき
舟の中で
「波多~」(はた)・・・「波多~」(波が多く、高い) と、泣き叫んだと言う~
高知県幡多郡の「幡多」は、本来~「波多」がホントらしい。
その「波多」の中でも、
平家の“落人伝説”が伝わる十和村十川(現在・四万十町)が私の赴任先だった。
・・・・・ここへ行けば、私が銀行員失踪事件に関わることは、絶対にできない。
上から見れば安全地帯だ。
~なるほどココなら~ナニもできない。納得の僻地である。
裏金造りの名人、我らがボス・宿毛警察署長も県本部へ御栄転。
~異動の発表があると同時に、
毎日々・・警察の公用車に運転手を付け、宿毛警察署管内全ての
建設業者・事業所の挨拶回りを始めた。~かつて無いほどの勤勉さ~
・・・・・・・・・・それは、それは、小まめに挨拶回りを成されました。
人格が変わったか?~の様な真面目さ?・・・・・どうしたんだ?と、
不思議に思いながら、宿毛警察署での最後の当直についた夜。
転勤になられた署長様が背広姿で、
さっそうと~警務係長が運転する公用車に乗り込んだ。
背広姿で~「女か?」
・・・僻地・駐在所に飛ばされた、アホ巡査が最後に吐いた暴言だった。
背広姿のボスは、宿毛市内では最も有名な老舗~○○旅館(現在・取り壊し)の前に、
大きな看板を掲げていた
●●警察署長
御栄転祝賀会
普段は交通安全の立て看板に使う、大きなモノに白紙を貼り付け、
見事な大看板を、道路から旅館の塀にもたせ掛けるように立てている。
~成るほど~これが裏金造りの名人の最後の錬金術か~
金になる事業所・建設会社・○○議員・・・ 等々
~選挙などで、普段・色々と御世話した方々に、
かつて無いほどの勤勉さで、ご挨拶回りをしたボス猿は
大きな立て看板1つで~御栄転祝賀会を開き
・・・・・ご列席の方々から一人数万円の御祝儀を取って、
この町から出る腹づもりだ。
・・・・・・・・・・・まことに、金に関しては、そつがない。・・・見事なコジキだ。
僻地駐在所に飛ばされるアホ巡査が、
パトカーを運転しながら、最後の当直勤務に見た、一眼国の夜だった。