悪魔と踊ろう

犯人は警察幹部の親類だった。身内をかばう獣道で、犯人を割り出した警察官は、ミミズのように蒸し込まれた。ここは日本か?  

警察の腐敗・・「悪魔と踊ろう」                ~尋問の儀これあり~

2007年11月23日 15時13分28秒 | 悪魔と踊ろう  vol 1-3~4 
         ●悪魔と踊ろう  vol 1-4            アホの捜索 2





 オートバイの捜索は「女」以上に馬鹿げていた。
来る日も来る日も~町中を走り回り、オートバイが通る可能性のある道は全部調べ回った。

“自転車”が行ける道は全部だ。あちこちから情報が飛び交う、
その都度ポケットベルが鳴る、この当時まだ携帯電話は無かった。

ベルが鳴れば公衆電話のあるところまで走り本署へ、つまり警察署まで連絡を入れる

      「東山の方で、同じ型のオートバイが、川沿いに走った・・・
                          ~と、一般の者から通報があった確認してくれ・・・」・・・


                      「“大文字山”付近を北向きに走った・・・」等々・・・・・・・ 
                                             

(四万十の大文字焼き)
                                                                          
毎日・毎日きりがないほど、色々な話が入って来る。

行けば農協の職員が集金に回っていた・とか、薬のセールスマンだった・とか、
他の銀行員だった。とか~まともな話は、1件も無かった。

それでも、行って確認しないと結論は出ない、
1つ1つ確実に確認する作業が続いたが、まったく前進してない。

毎日が夏の暑さとガセネタとの戦いだった。・・何かないか?わずかな事でも確実な話が?・・何かないか?
祈るような思いで走り回っていたある日、すごい話が入った。
                    
                      ・・・~ガセネタのド真ん中で~ ・・・



  4・5日前、失踪した銀行員と同じ型で、同じ色のオートバイが
軽四トラックの荷台にロープで縛られ、市内の四国電力前から北向きに走り、
100メートル位離れた整形外科病院前の路上に、かなり長く止めていた。~と言う情報だ。

 50CCのオートバイは、いくらでもある~掃いて、すてるほどある。
高校生から老人まで、世の中・全ての職種の人が乗っている。
オートバイだけで識別することは困難だ。

が、ありがたい事に一国銀行が使うオートバイは、
座席後ろの荷台に高さ50センチ位、幅30センチ位ある金属製の箱を取り付けている。

また、どの銀行も・この箱は黒塗りだ。
たぶん、この種の箱を作るメーカーが、全部・黒塗りにしているのだろう、

ただ、これだけ大きい箱を取り付ける職場は、一国銀行と警察ぐらいなものだった。

たしかに農協の職員や、他の銀行が使うオートバイにも、黒塗りの箱が付いているが、
箱の・大きさは、少し小さい。

だから~同じ型で同じ色、同じ大きさの箱が付いたオートバイを積んだ軽四トラックが
長い間、~道路に止められていた。
~と言う情報を聞き込んで来た警察官から報告があったとき、皆が喜んだ。

ただこの情報は、交通課の警察官が取ってきたものだった。

このさい誰でもいい、角度の高い情報は、何がどうでも徹底的に調べる必要がある。
~気負いがあった。
それ以上に期待感が前面に出た、久しぶりの充実感だ。

まず目撃情報どおりに、
市内の四国電力から、100メートル位北方にある整形外科病院まで の間にある
人家や商店を一軒、一軒しらみつぶしに聞き込みすることから始めた。

~それらしい話が徐々に入ってきた、ますます高揚してきた。

確かに4・5日前オートバイを積んだ軽四トラックが、この付近を北に向かった。
そして病院前の道路に長いこと停まっていた。ここまでは確かな情報らしい。

誰かが運んでいた。~これは間違いない。


それさえ判ればいい、これでカタがつくが、おそらく直ぐには判らないだろうと 思いながら
最後に病院へ入り、聞き込みしたところ、意外にもあっさり割れた。



          「それは新町のバイク屋さんよ、うちの病院に治療に来ていたのよ」


と受付嬢が、あっさり教えてくれた。

       ・・・いとも簡単に、~それもそのはず、
          ・・・・・・~腰に電気治療を受けたぐらいの事を、秘密にする必要もあるまい。

しかし目指す相手が、“腰痛の電気治療”を受けるため、
             病院前に長いこと、銀行員のオートバイを軽四トラックに乗せたまま

                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ~放置するとは思えない。

何かおかしな具合になってきた。最初の意気込みが急にしぼんできた、
とにかく最後まで詰めてみる。新町のバイク屋まで急いだ。

バイク屋の前には、乱雑にいろんなオートバイを置いている、
その中に問題のオートバイも 確かにあった。
充分に確認してから、中に入ろうとした時「まいど」と言うバイク屋の声がした。


~「まいど」・・この一声で、全てが吹き飛んだ。

挨拶した後、やや遠まわしに話をごまかしながら、
失礼にならないよう気配りして、例のオートバイについて聞いてみると
                                 


        「外回りをしている警察官が使っているオートバイが故障したので
     
         修理してくれと言う連絡をもらって~4・5日前に警察署まで
 

          軽四トラックで取りに行って、その帰り道・
         
              ・・・・・・・・・・・・・・ついでに病院で電気治療を受けた」



と言うことだった。 
  
 今日、1日中~オートバイを追いかけ続け、汗を流しながら・やっと突き止めた相手が、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なんと“警察のオートバイ”だった。

          警察が警察のオートバイを追っていたのだ。しかも良く聞けば

                 「オートバイを軽四トラックの荷台に立てた状態で、
                       ~・・ロープで厳重に縛り、

                            ・・絶対倒れない様にして運んだ」~そうである。


オートバイのスタンドを立て、道を行く人に丸見えになる積み方で運んだものを
失踪した銀行員が使用したオートバイかもしれないと報告した訳だ。

              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まるでピエロだ。

~ピエロならまだいい、~こんなバカな話がどこにある。

交通課のバカが駐車違反の感覚で、
路上駐車していた、軽四トラックの情報を聞き込んできたものだ。

銀行員失踪事件と、駐車違反を同じレベルに置いて物事を考えている、
悲しいかな、これが現実の姿だった。
まわりの空気がこんな状態で、時間だけが確実に過ぎていった。

      ~また1日つぶれた。



 
   刑事課に帰ると、皆それぞれ世間話に花を咲かせている。

  
        「失踪した銀行員は、フィリピン人のホステスと逃げたらしい。飲み屋で評判じゃ」

     
          ・・・ ~「どこのホステスぜよ」

             ・・・・・・・・・・・・「そりゃ~どこのホステスじゃろ」


ホステスと逃げたなら、逃げた相手がおるはずだ。~どこにおる、~女の名前は、~店の名前は、

~具体的な話は~カケラも無い。
現実の部分の話になると急に声が細くなるが、噂の部分だけは、なぜか威勢がいい。

巷のウワサをそのまま刑事課に持ち込み、おもしろ・おかしく話している。

~ウワサの出所は課長らしい、
噂では、どっかのスナックのママさんと、できているらしいが、

嘘かホントか別にどうでもいい、気にすることもなかった。
が、フィリピンの話を最初に持ち出してくるあたり~噂は~ほんとかも知れない、

~ホントでもいい、

~ただ。

~ひとつ話があれば、この一点を確かめる作業が無かったら、 それは警察官の話ではない。
~何の価値も無い、ただの井戸端会議だ。


 
   井戸端で係長は、今日もワープロでゲームをしている。麻雀ゲームだ。

朝出勤して机に座ると、
根がはえた様に~机から動こうとせず、 ひたすら世間話とゲームに熱中する。

これで捜査の係長が務まるのだから、警察と言うところは、すごいとこだ。~どうしてこうなる?

テレビや映画に出てくる刑事モンのドラマに、こんなシーンは無い。
警察の内部を知らない人達は、刑事ドラマが警察の姿と思っている、

・・・私もそう思って~警察に入った1人だ。

もしテレビで刑事ドラマが放映されておらず、 現実の警察の姿が映し出されていたのなら
・・・絶対に警察官にはなってない。

現実の警察組織で、最も権力を持つのは 1にも2にも“コネ”だ。
机に根をはやし、ゲームをしている捜査の係長は、通称「タンス」の異名を持っている。

高知県の捜査関係者で「タンス」と言えば、まず知らない者はいない。
係長の奥さんは、ある有名な家具屋の娘だ。

娘は、その店の専務をしている、
“専務さん”なら~原価で仕入れた、安い立派なタンスが・いくらでも手に入る。
・・・・・ このタンスを警察幹部にポンポンとばす、

ある幹部の家には、全部の家具が“タダ”で飛んできている。
早い話が賄賂だ。~遅く話してもワイロ。

現金までもらった幹部もいる。賄賂をもらった幹部は複数だ。

 普通なら賄賂をもらった者は、決して他言はしない、こんな話は警察だけでなく~どこでもある。
が、この先が警察独特の色がある。
・・・・・・・・・・・“もらう”、のも、“やる”、のも“コネの力”だ。

    このあたりが警察の組織人でないと理解できない、
          権力関係にあり、シッポを上手に振る犬でないと、賄賂をやり取りする資格が無い、
      
      と、言ったほうが判りやすいかもしれない。

~要は、普段からシッポを上手に振りながら、ご主人に・なついて、いなければ、
いくら賄賂を送ってもだめだ。
したがって、もらう者・やる者、双方に~他には無い優越感があり

・・・・・・・~「やった、もらった」と得意満面で、ごく親しい友人にコッソリ打ち明ける。

・・・・・・・・~その親しい友人は~そのまた~友人にコッソリ話す、

ここまでくれば、後はどこから~話が漏れたか全くわからなくなり、
話だけが、一人歩きするようになる。

内部の・お話を外部に漏らした者は、組織の総力をあげて、徹底的に叩かれる、
・・・どこに飛ばされ、どんな仕打ちを受けるか判らない。

組織ぐるみの恐怖が待っているから、外に抜ける心配はほとんどない。
たとえ抜けたとしても田舎では、積極的に追求する者なんか誰もいない。

過去に例が無いから、いまだ明治時代の感覚を持ち続け、何の罪悪感も無く
・・・・・・・・・・・・~「これがワシの力だ」~・・・・と、いわんばかりに平然としている。

だから賄賂に対する言動も、ある程度オープンになり正確に伝わるわけだ。



 タンス係長は巡査部長、警部補とコネで押し、
今や~現場の要とも言える第一係長として 、君臨している。

~こんなこと、誰も信用しないだろう、

ことさらオーバーに表現しているとしか、思わないかもしれないが、
この手合いは、 警察ではよく見かける。

そのまま出世して、署長になった者も珍しくない。

タンス係長は、何もしなくても・次は御栄転が約束されている、机に根がはえた様に動かず、
ワープロでゲームを楽しみながら世間話に興じていた。

御本人には、すでに確定的な未来が見えていたから、できるワザだ。






     “タンス”を~横目で見ながら、死体なき~持ち逃げした銀行員を追え~・・・・・
          “事件”とは“言うな” ~!^¥^!・・・事件じゃない。“失踪だ”

              ~持ち逃げ銀行員を追え~・・・これで、捕まったら~捕まる人がアホだ。


          ・・・・・・・・・・・・・ ~全ては、“組織”の中で動いていたが、
                                     真相は中には無い~中では、アホが絵を描いていた。
                                               

警察の腐敗・・「悪魔と踊ろう」                ~尋問の儀これあり~

2007年11月18日 05時03分50秒 | 悪魔と踊ろう  vol 1-3~4 
          ●悪魔と踊ろう  vol 1-3           アホの捜索 1







 現金を持った銀行員が失踪した場合、
よほど確かな情報が無い限り、当初の初動捜査としては「事件」として取り扱うべきだ。

その結果が~持ち逃げであれば“ゴクロウサン”で終わればいい。
大きくとらえて、小さくまとめれば、苦労はしても最高の結果であるが、

警察と銀行、2つの組織が持つ形式的な都合で
“金・土・日曜日” 3日間の貴重な時間を潰し
月曜日から~やっと捜査が始まりだした。

この当時、中村警察署の刑事課は、
少年係・ 盗犯・ 暴力・強行・ 知能・ 鑑識・に別れ、少年係は4名いたが、

あとは、それぞれ2名一組の班になっていた。

 私は鑑識係、鑑識主任の松田巡査部長とペアを組んでいた。
とりあえず、失踪した銀行員が住んでいたマンションから調べることになって、
鑑識の2人に少年係2名の応援をもらい、

朝10時頃から、マンション2階の銀行員が住んでいた部屋に入った。



 
 部屋に入ると、すぐ右側に小さなトイレと風呂があり、

その前に、簡単な流し台がある板の間、奥に居間がある。
独身用のワンルームマンションである。

居間には、布団が敷いたままになっていた。
それも、いま起きて仕事に出かけた様に~・・・
夏用の薄い布団が、クシャクシャになっている。

どの様な事件現場でも、一番先に入った現場の雰囲気が最も大事だ。
この銀行員が、カネを持ち逃げした~と言うのであれば、この乱雑な布団をどう説明する。

布団さえクシャクシャのまま・勤務先のカネを仕事中に~持ち逃げしたと言うのか?
それなら、かなり生活が荒れた者だ。

が、トイレはキチンと掃除している。酒のビン、ビールの空き缶はない。
台所も汚れてない、床もきれいだ。

 この狭いワンルームマンションに、警察官4人が捜索している。
あっという間に全部調べることができるスペースだ。

基本通り全員が白手袋をはめ、指紋を付けないよう注意して捜索を開始したが、
この部屋で事件が発生したのであれば、白手袋が必要だが、おそらくその可能性は無い。

誰もそんな思いで仕事をしている者はいなかった。白手袋は、基本の為の基本であり、
基本を示す行為にすぎなかった。

それぞれが、思い思いに~失踪した銀行員の“行き先”について、女の家だとか、
スナックの裏とか、外国に高飛びしたとか・・・・・・・・・・・・・・・・・

話のタネは尽きず、それぞれが・“オモしろオカしく”・口と手を動かしていた。


     が、1つだけ・誰も見ていない物があった。

             ・・・・・・・・・ゴミ箱だ。

                       ゴミは人間の鏡、
                             これほど上手に、人を映し出すモノは、他にはない。


布団の左側にテレビがあり、その下にゴミ箱を無造作に置いている。
直径約30センチ~どこにでもある・円筒型のプラスチック製ゴミ箱だ。
・・・・・あまりゴミはためてない。

伝票のような~細長い紙が・10枚ぐらいシワにもならず、そのまんま捨てている、
・・何も考えず~捨てた。
・・・ゴミ箱の中に~置いた~ような~捨て方である。

  見ると~一国銀行の名前が入った伝票様の書類だった。
“型は伝票”~何の書類か解らない。

重要な書類じゃないが、たとえ捨てても“かまわない書類”でも、
銀行員ならシュレッターにかけ、細かく切り刻んでから捨てるだろう。

・・・~それが、自宅のゴミ箱に入っている。

まぁ~この程度の事は、誰でもやるだろう、また~やっても何の問題もないだろう、
それに、この書類を捨てることが、銀行員の勤務規律に違反しているかどうか
銀行に問い合わせしなければ判らないが、

・・・・・・・・・・そんな事は、どうでもいい。

今重要な事は~かりに現金を“持ち逃げ”する銀行員が、その計画を実行しょうとした場合、
自宅のゴミ箱に、本人の仕事先である銀行の書類を、そのまんま~残すだろうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・シワにもせず?・・グシャグシャに丸めもせずに?
そのままの状態で、きれいに~“そろえて”~ゴミ箱の中に~“置いている”
・・・・・・・・・・・・・・・~ゴミ箱だから、捨てたんだろう。

~今から逃げようとする銀行員なら、わずかなミス、ミスでないミスであっても、
絶対その痕跡を残さないはずだ。

しかも1・2枚ならともかく、10枚位まとめて捨てている、

つまり~何の警戒もせず・無造作に~捨てたものだ。
現金を持ち逃げする銀行員が、こんなことをするだろうか?



   ~ゴミ箱の底には、 もっと~おもしろいモノがあった。

伝票様の書類の下に、何かを拭いたチッシュがあり、
その下に~ 使用済みのコンドームが2つあった。

ゴムの中には、精液と思われるネバネバした液が入っている。

2つのうち、1つは液量が多く、残りの1つは少ない、液はまだ乾いてない。
コンドームの外側も、まだ完全に乾いた状態ではない。

室内のクーラーを1日中、つけたままにすれば、もっと乾く。
  
 ・・・銀行員が行方不明になってから 、今日で4日目だ
・・・・・・・・・~クーラーは4日前・・~それ以降は使ってない。

つまり~4・5日前に、この部屋で、女とセックスし、2ラウンド戦った後~

・・・~戦いの痕跡の上に・・~銀行の伝票を無造作に捨て
         ・・・・・・・~布団を敷いたまま、仕事に出かけ、
                 ・・・・・・・・・ ~カネを持ち逃げしたと、言う事になる。

       ・・・・・・・・・・~「伝票は」~出勤の前か? ~“戦い”の後なら、そうなる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかも、部屋の押入には、
                         まだ開けてない、真新しいコンドームが
                                         ・・・・・~“2箱”あった。

・・この真夏のクソ暑い時期、一晩に2ラウンド戦い、
・・・・~さらに、“2箱戦う”~“戦闘準備”が“完備”されている。
                  ・・~やる気ムンムンで~・・・金もって逃げた??

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・~ソレを残したまま?・・後始末のチッシュもそのまま???
                                ・・・ カネを持ち逃げしたと言うのか?



~常識で考えてみろ。

カネの額はどうだ
一国銀行の行員なら、2千万円程度のカネを持ち歩く事は、ザラにあるだろう、
・・それが750万円程度の金額で、自室のゴミ箱に使用済みのコンドームと
銀行伝票を捨てたまま行方不明になった者を

       ~“現金持ち逃げの失踪者”~だと~言い切る人がいたら、

~・・・・・・・・・・そいつは人間じゃない“サル”だ。
                       ・・~それとも事件から“逃げたい”のか???・・~糞役人が!

                   ・・・・・・・・・・・・まかり間違っても警察官じゃぁ~あるまい・・・クソ野郎!


・・・・・・・・まだある


マンションの駐車場には、
・・・失踪者の車が~いつものところに~いつものように~停まっている。

車内は、掃除をしたような形跡は無い、全体的に薄いホコリが積もり~座った跡もない。
                                 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1週間は、動いていない。

  ・・いつもの状態で~いつものところに置き~逃げる?~緊急使用?の様相はない。
 
~持ち逃げするヤツなら~その前段があるはずだ。・・・逃げる前に、誰かと接触するとか?~何かがあるはずだ。     
      

~これはなんだ??・・・疑問ではなく。“断言の疑問符”・・・・~これは何だ。

・・・それなら~仕事中に使っていた~“原動機付き二輪車”
・・・・・・・・・・・・・・・・・~ はやい話が~“50CC”の“小型オートバイ”で、逃げたと言うのか。・・ボケが


・・そんな馬鹿な話がどこにある。・・・

・・・・・・・・・・ここにあった。
                ・・・“馬鹿の看板”が・・・断言する。
                                    ・・・“失踪だ”




 これが映画なら、
コワモテのニヒルな二枚目刑事さんが、さっそうと登場して~鋭い推理が 展開されるが、
現実の警察官で~そんな刑事を見た事は、まったくない。

この部屋に・銀行員自筆の遺書があるか、血の付いた刃物があるか、
せめてロープでもあれば「異常」あり。との、判定になるが

~そう言う「異常」が無ければ。

  ・・・ ~「異常なし」である。・・・馬鹿の看板が確信する。


信じないだろうが、これが現実だ。

 
  殺しの現場付近で聞き込みする警察官が、よく口に出す言葉に

      「なにか異常な人を見ませんでしたか?」

と付近住民に聞いてまわることがあるが、

人を殺した殺人犯人が、血だらけで、眼をランランさせて “ 逃げるバカ ” は、いない。
逃げるなら、普通のかっこうで逃げるはずだ。

“異常な”とは、形が普通でないから異常な訳で、
そんなことを前面に出す事が、異常な考え方だ。
  ・・・・・・・・・「異常な」人はいなかった。が・~犯人は普通に逃げた。^^~それだけだ。



  この時もそうだった、失踪した銀行員の部屋からは、
血の付いた刃物も・本人の遺書も無かった。

~だから「異常なし」との結論であった。

 ただ唯一の間違いは、私がゴミ箱の中身を~大事に警察署まで持って帰った事だろう。
ソレを見れば、警察幹部が「事件だ」と判断すると思ったからだ。

これが甘かった、この程度の事で、動くような・善良なモンじゃぁ~なかった。

~ここから幕が開いた。

 私が持って帰った大事な「ゴミ箱の中身」は、その後どうなったか全く知らない。~ゴミだから、捨てたんだろう。
あの時、持って帰らず・そのまま残せば、翌日かけつけた銀行員の両親が見つけただろうに。
と、思うと・・
・・・・・・・・・・・・・・後々まで悔いが残った。

                             【12年後に聞いたところ、このマンションから100数十本の毛髪を採取した・・
                                         ・・・・・・・・・・~と、“大ウソ”の書類が、中村警察署にあった】


だがこれで、次にやる仕事が見つかった。

失踪した銀行員に女がいた。~女を捜せ。
次に教科書通りに、その日の足取り。行方不明の銀行員が使用していたオートバイを捜せ。

この3つは、最低限やる必要がある。
署長さんもコレだけは、本部報告しなければ・カッコウがつくまい。
~型を造作する事が、第一義的なことだ。

  当分の間、全署員が休日返上で捜索に当たるよう指示があり、
ようやく捜査らしい捜査が開始された。

銀行員の行方不明当日の足取りについては、
銀行から提出された資料を基に跡を追えばいい、
簡単な捜査だ。 ~4・5人の刑事が担当した。

「女」については、おそらく難攻するだろうと思っていたら、 意外にも簡単に割れた。

失踪した銀行員と同じ職場に勤めている女子行員が、
失踪者の安否を気遣い泣いていた。~との・銀行から通報があったからだ。

泣いていたから失踪した銀行員の彼女だ、~だからこの女に聞けばいい。

~つまりそう言うことだろう、きわめて事務的な~いかにも銀行らしい通報だ。
・・しかし・あまりに早すぎる、おそらく銀行は以前から「女」の存在を知っていた。

~もうひとつ、セックスがからんだ男女交際、しかも職場内のことについて
銀行は“極力秘密”にするはず、それを?・・いとも簡単に警察に通報したのは・・なぜだ?

・・おそらく、その女は「好きモノで、問題を起こす厄介者として、 組織的に注目していた」
組織は厄介払いを期待し~警察に協力した。

・・・・・・そう思う。
~相手は、県下随一の銀行様だ。^.奴ら.^の動きは、警察と同じだ。


 「協力者」・・・警察は、この言葉が好きだ

 「協力者」・・協力者は正しいから警察に協力するのであって、
何もやましい事が無い“清く正しい人”なのだ。

たしかに協力者はありがたいが、何もかも全てウノミにする傾向がある。
テレビや映画に出てくる刑事には、絶対ない場面だが現実には、
あたまから~信じる場合が、ほとんどである。

別に協力者を疑えと言う訳では無い、人の動きには言語以上の意味があり、
~その意味にこそ、最も重要な真実がある場合が多い。

~それを知ろうとする警察官は、あまりいない。

~必要ないからだ。
上から命令された事だけ・迅速かつ確実にやれば、報告を受けた上司が、
それ以上の疑問や、問題点を感じるほどの“切れる者”はいない。

要するに、仕事とは幹部を納得さす為の行為であり、
それ以上の行動・能力は必要ないのだ。

失踪した銀行員が、職場内にセックスフレンドがいた、 との通報があれば~
・・・行って事情を聞けばいい。

西にウワサがあれば~行ってウワサだけを聞き~東にあれば東に行けばいい。
~それだけの事だ。



 世間でよく言われる「学校の先生」と「警察官」は、
世間知らずの“東西の横綱”だと言う評価 は、たしかに当を得ている。

私の親戚一同は、ほとんど学校の先生だ。
~教師を見ながら育ったから~絶対に教師には、なりたくなかった。

が、高知県には産業がない。就職先がない。

教師とヤクザには、絶対にならん。と息巻いてみたものの、
他にやる事がなく警察官になった。

しかし・・〈教師とヤクザ〉を +“たして”÷“2で割れば”=→・・警察だ。
私がイヤなモノが、フタツ同時にそろった職業が、警察官。




 失踪した銀行員のセックスフレンドから、事情を聞きに行った刑事さんの調査結果も
セックスのことばっかり・乱雑に並べ立てただけ、だった。

おまけに「女」は、英会話教師のイギリス人とも関係があり、

女が言うには
・・「今、失踪した銀行員が居なくなって、一番よろこんでいるのは、その イギリス人だ」

と、・・・尾ヒレを付けた。

失踪した銀行員とイギリス人の2人に肉体関係を持つ、上の口と下の口、
両方に自信満々の美人銀行員に、

          「今、一番よろこんでいるのは、イギリス人」だと言われ、

とたんに活気付いた捜査陣が、イギリス人が住んでいるマンションに踏み込んだ。
・・・・が、マンションは、失踪した銀行員と、同じマンションだった。

つまり美人の銀行員さんは、マンション一階のイギリス人・二階の失踪した銀行員、
2人掛け持ちにエッチしていた訳で、

しかもイギリス人は、銀行員が失踪する2日前に、
韓国ルートで旅費を節約して、イギリスに帰国していた。

失踪した銀行員の部屋を捜索した時、
1つだけ~クシャクシャに丸められた紙屑が床に落ちていた。

ゴミらしいゴミは、この紙屑だけだった。

          注意しながら、この紙屑を開けると

            ~「8月20日から英会話教室は、やりません」~
                              と言う内容の張り紙で、

たどたどしい日本語を、マジックで大きく書いた張り紙の四隅に、セロテープが付いていた。

~つまりこの張り紙は、イギリス人の玄関出入り口ドア外側に貼っていたものを、

失踪した銀行員が、はがしたものだ。

イギリス人に頼まれていたのか、
それとも失踪した銀行員の判断で~イギリス人の帰国後を 待ってはがしたのか、

今となっては判らないが、いずれにしても仲が悪かったら、
わざわざ張り紙をはがして、自分の部屋まで持って帰るようなまねはしないだろう。

2人の男が1人の美人を共有していた。
逆に言えば1人の美人銀行員が、同じ建物の2人の男と遊んでいた。と言うことになる、

・・・どっちでもいい。

失踪した銀行員の押入にあった、2箱のコンドームの意味が判った。

遊び相手だから、これだけの備えがあった、
おそらくイギリス人とも納得のうえで、女を回していた、1つの建物で回っていたのだから、

当然女も割り切って、動いていたとしか思えないが、
後になって、この美人銀行員は失踪した銀行員と結婚の約束をしていた。

と悲恋のウワサが飛び交い、またしても混乱した捜査状況になった。

日本人・て、ヤツは、一発やれば結婚だ・悲恋だ・と言う人が多いが、
同じマンションで1階・2階を往復しながら~回っていた女が~結婚もクソもある訳がない。

ケツの穴に、野球のバットでも突っ込んだらどうだ。
女子銀行員は、いわゆる好きモンだった。

この状態を銀行幹部は知っており、組織の管理者が要注意人物として監察していた。
これが失踪した銀行員の女関係を警察に通報した~銀行幹部の心理状態だろう。

警察協力者の真意は「好きモン」を追い出したかったのだ、
実際この女性は数年後、退職している。

おそらく銀行幹部は、我が身の保身第一に方策を取るだろう、

現に私が、道で出会った同じ銀行の職員に、さほど重要で無い質問をしても
・・・・・・・・・“全て銀行幹部” を “通じて” から でなければ~“回答してはいけない”

~との “御命令” を受けていると言うことで、ろくな返事は無かった。
ここまでくれば “一種の箝口令” 「いらんことは、しゃべるな」と、言うのと同じだ。


いたずらに日が経っている。・・・・・・・ここまでに ~1週間たった。アホの共演だ。