●悪魔と踊ろう vol 1-4 アホの捜索 2
オートバイの捜索は「女」以上に馬鹿げていた。
来る日も来る日も~町中を走り回り、オートバイが通る可能性のある道は全部調べ回った。
“自転車”が行ける道は全部だ。あちこちから情報が飛び交う、
その都度ポケットベルが鳴る、この当時まだ携帯電話は無かった。
ベルが鳴れば公衆電話のあるところまで走り本署へ、つまり警察署まで連絡を入れる
「東山の方で、同じ型のオートバイが、川沿いに走った・・・
~と、一般の者から通報があった確認してくれ・・・」・・・
「“大文字山”付近を北向きに走った・・・」等々・・・・・・・
(四万十の大文字焼き)
毎日・毎日きりがないほど、色々な話が入って来る。
行けば農協の職員が集金に回っていた・とか、薬のセールスマンだった・とか、
他の銀行員だった。とか~まともな話は、1件も無かった。
それでも、行って確認しないと結論は出ない、
1つ1つ確実に確認する作業が続いたが、まったく前進してない。
毎日が夏の暑さとガセネタとの戦いだった。・・何かないか?わずかな事でも確実な話が?・・何かないか?
祈るような思いで走り回っていたある日、すごい話が入った。
・・・~ガセネタのド真ん中で~ ・・・
4・5日前、失踪した銀行員と同じ型で、同じ色のオートバイが
軽四トラックの荷台にロープで縛られ、市内の四国電力前から北向きに走り、
100メートル位離れた整形外科病院前の路上に、かなり長く止めていた。~と言う情報だ。
50CCのオートバイは、いくらでもある~掃いて、すてるほどある。
高校生から老人まで、世の中・全ての職種の人が乗っている。
オートバイだけで識別することは困難だ。
が、ありがたい事に一国銀行が使うオートバイは、
座席後ろの荷台に高さ50センチ位、幅30センチ位ある金属製の箱を取り付けている。
また、どの銀行も・この箱は黒塗りだ。
たぶん、この種の箱を作るメーカーが、全部・黒塗りにしているのだろう、
ただ、これだけ大きい箱を取り付ける職場は、一国銀行と警察ぐらいなものだった。
たしかに農協の職員や、他の銀行が使うオートバイにも、黒塗りの箱が付いているが、
箱の・大きさは、少し小さい。
だから~同じ型で同じ色、同じ大きさの箱が付いたオートバイを積んだ軽四トラックが
長い間、~道路に止められていた。
~と言う情報を聞き込んで来た警察官から報告があったとき、皆が喜んだ。
ただこの情報は、交通課の警察官が取ってきたものだった。
このさい誰でもいい、角度の高い情報は、何がどうでも徹底的に調べる必要がある。
~気負いがあった。
それ以上に期待感が前面に出た、久しぶりの充実感だ。
まず目撃情報どおりに、
市内の四国電力から、100メートル位北方にある整形外科病院まで の間にある
人家や商店を一軒、一軒しらみつぶしに聞き込みすることから始めた。
~それらしい話が徐々に入ってきた、ますます高揚してきた。
確かに4・5日前オートバイを積んだ軽四トラックが、この付近を北に向かった。
そして病院前の道路に長いこと停まっていた。ここまでは確かな情報らしい。
誰かが運んでいた。~これは間違いない。
それさえ判ればいい、これでカタがつくが、おそらく直ぐには判らないだろうと 思いながら
最後に病院へ入り、聞き込みしたところ、意外にもあっさり割れた。
「それは新町のバイク屋さんよ、うちの病院に治療に来ていたのよ」
と受付嬢が、あっさり教えてくれた。
・・・いとも簡単に、~それもそのはず、
・・・・・・~腰に電気治療を受けたぐらいの事を、秘密にする必要もあるまい。
しかし目指す相手が、“腰痛の電気治療”を受けるため、
病院前に長いこと、銀行員のオートバイを軽四トラックに乗せたまま
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ~放置するとは思えない。
何かおかしな具合になってきた。最初の意気込みが急にしぼんできた、
とにかく最後まで詰めてみる。新町のバイク屋まで急いだ。
バイク屋の前には、乱雑にいろんなオートバイを置いている、
その中に問題のオートバイも 確かにあった。
充分に確認してから、中に入ろうとした時「まいど」と言うバイク屋の声がした。
~「まいど」・・この一声で、全てが吹き飛んだ。
挨拶した後、やや遠まわしに話をごまかしながら、
失礼にならないよう気配りして、例のオートバイについて聞いてみると
「外回りをしている警察官が使っているオートバイが故障したので
修理してくれと言う連絡をもらって~4・5日前に警察署まで
軽四トラックで取りに行って、その帰り道・
・・・・・・・・・・・・・・ついでに病院で電気治療を受けた」
と言うことだった。
今日、1日中~オートバイを追いかけ続け、汗を流しながら・やっと突き止めた相手が、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なんと“警察のオートバイ”だった。
警察が警察のオートバイを追っていたのだ。しかも良く聞けば
「オートバイを軽四トラックの荷台に立てた状態で、
~・・ロープで厳重に縛り、
・・絶対倒れない様にして運んだ」~そうである。
オートバイのスタンドを立て、道を行く人に丸見えになる積み方で運んだものを
失踪した銀行員が使用したオートバイかもしれないと報告した訳だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まるでピエロだ。
~ピエロならまだいい、~こんなバカな話がどこにある。
交通課のバカが駐車違反の感覚で、
路上駐車していた、軽四トラックの情報を聞き込んできたものだ。
銀行員失踪事件と、駐車違反を同じレベルに置いて物事を考えている、
悲しいかな、これが現実の姿だった。
まわりの空気がこんな状態で、時間だけが確実に過ぎていった。
~また1日つぶれた。
刑事課に帰ると、皆それぞれ世間話に花を咲かせている。
「失踪した銀行員は、フィリピン人のホステスと逃げたらしい。飲み屋で評判じゃ」
・・・ ~「どこのホステスぜよ」
・・・・・・・・・・・・「そりゃ~どこのホステスじゃろ」
ホステスと逃げたなら、逃げた相手がおるはずだ。~どこにおる、~女の名前は、~店の名前は、
~具体的な話は~カケラも無い。
現実の部分の話になると急に声が細くなるが、噂の部分だけは、なぜか威勢がいい。
巷のウワサをそのまま刑事課に持ち込み、おもしろ・おかしく話している。
~ウワサの出所は課長らしい、
噂では、どっかのスナックのママさんと、できているらしいが、
嘘かホントか別にどうでもいい、気にすることもなかった。
が、フィリピンの話を最初に持ち出してくるあたり~噂は~ほんとかも知れない、
~ホントでもいい、
~ただ。
~ひとつ話があれば、この一点を確かめる作業が無かったら、 それは警察官の話ではない。
~何の価値も無い、ただの井戸端会議だ。
井戸端で係長は、今日もワープロでゲームをしている。麻雀ゲームだ。
朝出勤して机に座ると、
根がはえた様に~机から動こうとせず、 ひたすら世間話とゲームに熱中する。
これで捜査の係長が務まるのだから、警察と言うところは、すごいとこだ。~どうしてこうなる?
テレビや映画に出てくる刑事モンのドラマに、こんなシーンは無い。
警察の内部を知らない人達は、刑事ドラマが警察の姿と思っている、
・・・私もそう思って~警察に入った1人だ。
もしテレビで刑事ドラマが放映されておらず、 現実の警察の姿が映し出されていたのなら
・・・絶対に警察官にはなってない。
現実の警察組織で、最も権力を持つのは 1にも2にも“コネ”だ。
机に根をはやし、ゲームをしている捜査の係長は、通称「タンス」の異名を持っている。
高知県の捜査関係者で「タンス」と言えば、まず知らない者はいない。
係長の奥さんは、ある有名な家具屋の娘だ。
娘は、その店の専務をしている、
“専務さん”なら~原価で仕入れた、安い立派なタンスが・いくらでも手に入る。
・・・・・ このタンスを警察幹部にポンポンとばす、
ある幹部の家には、全部の家具が“タダ”で飛んできている。
早い話が賄賂だ。~遅く話してもワイロ。
現金までもらった幹部もいる。賄賂をもらった幹部は複数だ。
普通なら賄賂をもらった者は、決して他言はしない、こんな話は警察だけでなく~どこでもある。
が、この先が警察独特の色がある。
・・・・・・・・・・・“もらう”、のも、“やる”、のも“コネの力”だ。
このあたりが警察の組織人でないと理解できない、
権力関係にあり、シッポを上手に振る犬でないと、賄賂をやり取りする資格が無い、
と、言ったほうが判りやすいかもしれない。
~要は、普段からシッポを上手に振りながら、ご主人に・なついて、いなければ、
いくら賄賂を送ってもだめだ。
したがって、もらう者・やる者、双方に~他には無い優越感があり
・・・・・・・~「やった、もらった」と得意満面で、ごく親しい友人にコッソリ打ち明ける。
・・・・・・・・~その親しい友人は~そのまた~友人にコッソリ話す、
ここまでくれば、後はどこから~話が漏れたか全くわからなくなり、
話だけが、一人歩きするようになる。
内部の・お話を外部に漏らした者は、組織の総力をあげて、徹底的に叩かれる、
・・・どこに飛ばされ、どんな仕打ちを受けるか判らない。
組織ぐるみの恐怖が待っているから、外に抜ける心配はほとんどない。
たとえ抜けたとしても田舎では、積極的に追求する者なんか誰もいない。
過去に例が無いから、いまだ明治時代の感覚を持ち続け、何の罪悪感も無く
・・・・・・・・・・・・~「これがワシの力だ」~・・・・と、いわんばかりに平然としている。
だから賄賂に対する言動も、ある程度オープンになり正確に伝わるわけだ。
タンス係長は巡査部長、警部補とコネで押し、
今や~現場の要とも言える第一係長として 、君臨している。
~こんなこと、誰も信用しないだろう、
ことさらオーバーに表現しているとしか、思わないかもしれないが、
この手合いは、 警察ではよく見かける。
そのまま出世して、署長になった者も珍しくない。
タンス係長は、何もしなくても・次は御栄転が約束されている、机に根がはえた様に動かず、
ワープロでゲームを楽しみながら世間話に興じていた。
御本人には、すでに確定的な未来が見えていたから、できるワザだ。
“タンス”を~横目で見ながら、死体なき~持ち逃げした銀行員を追え~・・・・・
“事件”とは“言うな” ~!^¥^!・・・事件じゃない。“失踪だ”
~持ち逃げ銀行員を追え~・・・これで、捕まったら~捕まる人がアホだ。
・・・・・・・・・・・・・ ~全ては、“組織”の中で動いていたが、
真相は中には無い~中では、アホが絵を描いていた。
オートバイの捜索は「女」以上に馬鹿げていた。
来る日も来る日も~町中を走り回り、オートバイが通る可能性のある道は全部調べ回った。
“自転車”が行ける道は全部だ。あちこちから情報が飛び交う、
その都度ポケットベルが鳴る、この当時まだ携帯電話は無かった。
ベルが鳴れば公衆電話のあるところまで走り本署へ、つまり警察署まで連絡を入れる
「東山の方で、同じ型のオートバイが、川沿いに走った・・・
~と、一般の者から通報があった確認してくれ・・・」・・・
「“大文字山”付近を北向きに走った・・・」等々・・・・・・・
(四万十の大文字焼き)
毎日・毎日きりがないほど、色々な話が入って来る。
行けば農協の職員が集金に回っていた・とか、薬のセールスマンだった・とか、
他の銀行員だった。とか~まともな話は、1件も無かった。
それでも、行って確認しないと結論は出ない、
1つ1つ確実に確認する作業が続いたが、まったく前進してない。
毎日が夏の暑さとガセネタとの戦いだった。・・何かないか?わずかな事でも確実な話が?・・何かないか?
祈るような思いで走り回っていたある日、すごい話が入った。
・・・~ガセネタのド真ん中で~ ・・・
4・5日前、失踪した銀行員と同じ型で、同じ色のオートバイが
軽四トラックの荷台にロープで縛られ、市内の四国電力前から北向きに走り、
100メートル位離れた整形外科病院前の路上に、かなり長く止めていた。~と言う情報だ。
50CCのオートバイは、いくらでもある~掃いて、すてるほどある。
高校生から老人まで、世の中・全ての職種の人が乗っている。
オートバイだけで識別することは困難だ。
が、ありがたい事に一国銀行が使うオートバイは、
座席後ろの荷台に高さ50センチ位、幅30センチ位ある金属製の箱を取り付けている。
また、どの銀行も・この箱は黒塗りだ。
たぶん、この種の箱を作るメーカーが、全部・黒塗りにしているのだろう、
ただ、これだけ大きい箱を取り付ける職場は、一国銀行と警察ぐらいなものだった。
たしかに農協の職員や、他の銀行が使うオートバイにも、黒塗りの箱が付いているが、
箱の・大きさは、少し小さい。
だから~同じ型で同じ色、同じ大きさの箱が付いたオートバイを積んだ軽四トラックが
長い間、~道路に止められていた。
~と言う情報を聞き込んで来た警察官から報告があったとき、皆が喜んだ。
ただこの情報は、交通課の警察官が取ってきたものだった。
このさい誰でもいい、角度の高い情報は、何がどうでも徹底的に調べる必要がある。
~気負いがあった。
それ以上に期待感が前面に出た、久しぶりの充実感だ。
まず目撃情報どおりに、
市内の四国電力から、100メートル位北方にある整形外科病院まで の間にある
人家や商店を一軒、一軒しらみつぶしに聞き込みすることから始めた。
~それらしい話が徐々に入ってきた、ますます高揚してきた。
確かに4・5日前オートバイを積んだ軽四トラックが、この付近を北に向かった。
そして病院前の道路に長いこと停まっていた。ここまでは確かな情報らしい。
誰かが運んでいた。~これは間違いない。
それさえ判ればいい、これでカタがつくが、おそらく直ぐには判らないだろうと 思いながら
最後に病院へ入り、聞き込みしたところ、意外にもあっさり割れた。
「それは新町のバイク屋さんよ、うちの病院に治療に来ていたのよ」
と受付嬢が、あっさり教えてくれた。
・・・いとも簡単に、~それもそのはず、
・・・・・・~腰に電気治療を受けたぐらいの事を、秘密にする必要もあるまい。
しかし目指す相手が、“腰痛の電気治療”を受けるため、
病院前に長いこと、銀行員のオートバイを軽四トラックに乗せたまま
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ~放置するとは思えない。
何かおかしな具合になってきた。最初の意気込みが急にしぼんできた、
とにかく最後まで詰めてみる。新町のバイク屋まで急いだ。
バイク屋の前には、乱雑にいろんなオートバイを置いている、
その中に問題のオートバイも 確かにあった。
充分に確認してから、中に入ろうとした時「まいど」と言うバイク屋の声がした。
~「まいど」・・この一声で、全てが吹き飛んだ。
挨拶した後、やや遠まわしに話をごまかしながら、
失礼にならないよう気配りして、例のオートバイについて聞いてみると
「外回りをしている警察官が使っているオートバイが故障したので
修理してくれと言う連絡をもらって~4・5日前に警察署まで
軽四トラックで取りに行って、その帰り道・
・・・・・・・・・・・・・・ついでに病院で電気治療を受けた」
と言うことだった。
今日、1日中~オートバイを追いかけ続け、汗を流しながら・やっと突き止めた相手が、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ なんと“警察のオートバイ”だった。
警察が警察のオートバイを追っていたのだ。しかも良く聞けば
「オートバイを軽四トラックの荷台に立てた状態で、
~・・ロープで厳重に縛り、
・・絶対倒れない様にして運んだ」~そうである。
オートバイのスタンドを立て、道を行く人に丸見えになる積み方で運んだものを
失踪した銀行員が使用したオートバイかもしれないと報告した訳だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まるでピエロだ。
~ピエロならまだいい、~こんなバカな話がどこにある。
交通課のバカが駐車違反の感覚で、
路上駐車していた、軽四トラックの情報を聞き込んできたものだ。
銀行員失踪事件と、駐車違反を同じレベルに置いて物事を考えている、
悲しいかな、これが現実の姿だった。
まわりの空気がこんな状態で、時間だけが確実に過ぎていった。
~また1日つぶれた。
刑事課に帰ると、皆それぞれ世間話に花を咲かせている。
「失踪した銀行員は、フィリピン人のホステスと逃げたらしい。飲み屋で評判じゃ」
・・・ ~「どこのホステスぜよ」
・・・・・・・・・・・・「そりゃ~どこのホステスじゃろ」
ホステスと逃げたなら、逃げた相手がおるはずだ。~どこにおる、~女の名前は、~店の名前は、
~具体的な話は~カケラも無い。
現実の部分の話になると急に声が細くなるが、噂の部分だけは、なぜか威勢がいい。
巷のウワサをそのまま刑事課に持ち込み、おもしろ・おかしく話している。
~ウワサの出所は課長らしい、
噂では、どっかのスナックのママさんと、できているらしいが、
嘘かホントか別にどうでもいい、気にすることもなかった。
が、フィリピンの話を最初に持ち出してくるあたり~噂は~ほんとかも知れない、
~ホントでもいい、
~ただ。
~ひとつ話があれば、この一点を確かめる作業が無かったら、 それは警察官の話ではない。
~何の価値も無い、ただの井戸端会議だ。
井戸端で係長は、今日もワープロでゲームをしている。麻雀ゲームだ。
朝出勤して机に座ると、
根がはえた様に~机から動こうとせず、 ひたすら世間話とゲームに熱中する。
これで捜査の係長が務まるのだから、警察と言うところは、すごいとこだ。~どうしてこうなる?
テレビや映画に出てくる刑事モンのドラマに、こんなシーンは無い。
警察の内部を知らない人達は、刑事ドラマが警察の姿と思っている、
・・・私もそう思って~警察に入った1人だ。
もしテレビで刑事ドラマが放映されておらず、 現実の警察の姿が映し出されていたのなら
・・・絶対に警察官にはなってない。
現実の警察組織で、最も権力を持つのは 1にも2にも“コネ”だ。
机に根をはやし、ゲームをしている捜査の係長は、通称「タンス」の異名を持っている。
高知県の捜査関係者で「タンス」と言えば、まず知らない者はいない。
係長の奥さんは、ある有名な家具屋の娘だ。
娘は、その店の専務をしている、
“専務さん”なら~原価で仕入れた、安い立派なタンスが・いくらでも手に入る。
・・・・・ このタンスを警察幹部にポンポンとばす、
ある幹部の家には、全部の家具が“タダ”で飛んできている。
早い話が賄賂だ。~遅く話してもワイロ。
現金までもらった幹部もいる。賄賂をもらった幹部は複数だ。
普通なら賄賂をもらった者は、決して他言はしない、こんな話は警察だけでなく~どこでもある。
が、この先が警察独特の色がある。
・・・・・・・・・・・“もらう”、のも、“やる”、のも“コネの力”だ。
このあたりが警察の組織人でないと理解できない、
権力関係にあり、シッポを上手に振る犬でないと、賄賂をやり取りする資格が無い、
と、言ったほうが判りやすいかもしれない。
~要は、普段からシッポを上手に振りながら、ご主人に・なついて、いなければ、
いくら賄賂を送ってもだめだ。
したがって、もらう者・やる者、双方に~他には無い優越感があり
・・・・・・・~「やった、もらった」と得意満面で、ごく親しい友人にコッソリ打ち明ける。
・・・・・・・・~その親しい友人は~そのまた~友人にコッソリ話す、
ここまでくれば、後はどこから~話が漏れたか全くわからなくなり、
話だけが、一人歩きするようになる。
内部の・お話を外部に漏らした者は、組織の総力をあげて、徹底的に叩かれる、
・・・どこに飛ばされ、どんな仕打ちを受けるか判らない。
組織ぐるみの恐怖が待っているから、外に抜ける心配はほとんどない。
たとえ抜けたとしても田舎では、積極的に追求する者なんか誰もいない。
過去に例が無いから、いまだ明治時代の感覚を持ち続け、何の罪悪感も無く
・・・・・・・・・・・・~「これがワシの力だ」~・・・・と、いわんばかりに平然としている。
だから賄賂に対する言動も、ある程度オープンになり正確に伝わるわけだ。
タンス係長は巡査部長、警部補とコネで押し、
今や~現場の要とも言える第一係長として 、君臨している。
~こんなこと、誰も信用しないだろう、
ことさらオーバーに表現しているとしか、思わないかもしれないが、
この手合いは、 警察ではよく見かける。
そのまま出世して、署長になった者も珍しくない。
タンス係長は、何もしなくても・次は御栄転が約束されている、机に根がはえた様に動かず、
ワープロでゲームを楽しみながら世間話に興じていた。
御本人には、すでに確定的な未来が見えていたから、できるワザだ。
“タンス”を~横目で見ながら、死体なき~持ち逃げした銀行員を追え~・・・・・
“事件”とは“言うな” ~!^¥^!・・・事件じゃない。“失踪だ”
~持ち逃げ銀行員を追え~・・・これで、捕まったら~捕まる人がアホだ。
・・・・・・・・・・・・・ ~全ては、“組織”の中で動いていたが、
真相は中には無い~中では、アホが絵を描いていた。