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【美空ひばり】ザ・プレミアム ドラマ 『世界はひばりを待っている』 感想まとめ【門脇麦】

2015-12-31 00:05:07 | テレビ

『昭和』を語る上で欠かすことのできない人物のひとり・美空ひばり。
戦後70周年企画のひとつとして、2015年12月28日、NHK BSプレミアムにて放送された番組がこちらです。

HIBARIフェス!from 1945 to 2015
~みんなひばりが好きだった~




歌あり、ドラマあり、トークあり、縁の地めぐりありの、まさに『ひばり企画』。


ドラマは美空ひばりソングと共に生きた家族三代の物語。
美空ひばりがいなければ自分は生まれなかった。
昭和63年、音楽ミキサー助手を務める栗原新子が『昭和』を、美空ひばりの音楽と家族の『因縁』を振り返ります。




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1.昭和63年、美空ひばりを待っている


 

昭和63年秋、美空ひばりさんの「川の流れのように」のレコーディングの日。
レコーディングスタジオのミキサーアシスタントを務める主人公・栗原新子。
彼女に父親・勝利の危篤が告げられるところからはじまります。



新子の脳裏をよぎるのは父親との確執、さらに戦後の祖父・祖母の再会に一役買った父のこと。
「美空ひばりがいなかったら自分は生まれることはなかった」と美空ひばりの音楽が繋いだ家族の因縁を思い出す新子。

門脇麦さん、めちゃくちゃいいな。
声が落ち着いてるからか。


「美空ひばりを待っている」

その一言が響く。
『まれ』のときから思ってたけど日本語の発声の仕方が綺麗。




2.昭和25年、美空ひばりが繋いだ家族。


 

時代は遡り昭和25年。
美空ひばりにつながれた家族。

若き日の祖父、シベリアで指を失った復員兵を演じるのは『ごちそうさん』で源ちゃんを演じた和田正人さん。
お調子者の少年(のちにこれが勝利であると判明)に誘われて劇場の中へ。

 
「7年ぶりのシャバだ」
「あいつらなんで笑えるかね!何もなかったように!」


田舎に帰ろうと背を向けたとき、探していた女性がいました。



そこにいたのは7年ぶりに会う妻。
演じるのは徳永えりさん。

 
「戦争は過去のものなんだ、もう笑ってもいいんだ」

それを教えてくれたのは美空ひばりの『東京キッド』のメロディー。



しかし和田正人さんも徳永えりさんも。
この背景や衣装や演出や照明なんかとドンピシャ似合う。
朝ドラでついたイメージもあるんだろうけど、これからどんどん出て欲しい俳優さんたち。

 

『東京キッド』のメロディーいいな。
どこかに馬助さんや室井さん、梅子とかノブとかいるんじゃないかなって思ってしまう。
数々のドラマで描かれた『昭和』の人たち。


「美空ひばりがいなかったら、私たちは家族ではなかった」

未だ現れぬ美空ひばりを待ちながら、祖父たちの再会を思い出す新子。




3.昭和63年、美空ひばりは来ない

再びドラマは昭和63年。

 

そばを食べてもタバコを吸っても、昭和天皇の御容態の報道が延々と続いていても。
美空ひばりは来ません。

 

門脇麦さんの可愛い顔して影のある演技と鼻音の発音がとてもいい。
マジでこの先『ロクヨン』とか『外事警察』みたいな画面全体が暗い作品にバンバン出て欲しい次第。





4.昭和42年、美空ひばりに裂かれた家族


 

 

昭和真っ最中の、昭和42年。
おお、昭和昭和しとる。

一度青梅のレトロ街道に行ったことがあるのですが、あのときのレトロ感をを思い出します。

 

祖父役は秋野太作さん、祖母役は木野花さん。
かいらしい新子の父は滝藤賢一さん。


「何てったっていざなぎ景気だからなあ!天照大神もびっくりだぁ!ミニスカボイン姉ちゃんだってイチコロよ!」

笑いたい台詞なんだけど懐かしさのほうが先行してホロリ。

穏やかな日常が壊れた。
父の浮気相手・桃香(木南晴夏)がやってきた。



滝藤賢一さんに劣らないぞ。
木南晴夏さんの目ヂカラ。

そして修羅場。
かけるレコードが美空ひばりかビートルズかで揉める2人。
暴れ出す2人を止めるべく、傍にあった鋏で父を刺し…
BGMが『小指の思い出』から『真っ赤な太陽』へ。


 

新子の涙は辛いけど、おばあちゃんがフォローするし、滝藤さんは全然軽症だし。
でもなんだか切ない修羅場シーン。

 

『真っ赤な太陽』で思い出すのは、父の白いズボンについた赤いシミ。
美空ひばりが結びつけ祖父と祖母、美空ひばりが引き裂いた父娘の仲。


 

昭和真っ最中の新子が見つめるのはロウソク。
昭和終わりかけの新子が見つめるのは煙草の火か。




5.昭和48年


 

 

最後のドラマパートは1973年。
この年代は昭和というより平成に近い感じがする。

あれから何年経っても、父との確執がぬぐえない新子。
気まずさだけが流れる2人の間。




6.昭和58年、美空ひばりを待ちながら


  
「それなら勝利に勝てばいい」
「許すの。許せるのは強い方だから」
「綺麗事だよそんなの」


1983年。
昭和を生き抜いた祖母の言葉と、父と確執を抱えたまま育った孫。
しんみりくる。


「綺麗ごとだって、綺麗に生きられたら、綺麗なほうがいいんじゃない」

木野花さんの優しい声が、優しい光が心に響く。




7.昭和63年、美空ひばりが来た


そんな祖母の言葉を思い出しながらあの『真っ赤な太陽』を口ずさむ新子。
「美空ひばりは来なかった」

 

あの歌が引き裂いた父が旅立とうとしてるとき、スタジオに戻ると美空ひばりの姿があって。
驚きと喜びの表情にグッときた。



美空ひばり役は誰なんだろう、と思っていると。

「人の人生って本当に川みたいなもの。でもいずれは大きな海にそそぐ」
と、美空ひばりの言葉。


そうだ、川が海で繋がるように。
真っ赤な太陽もやがては大きな海に沈んでくんだって。


ヘッドホンを使わない美空ひばりのレコーディング。
これが最後のレコーディングになった。

 

見つめる新子の後ろには、父・勝利が立っていて。




8.川の流れのように


『川の流れのように』のレコーディングを終えた新子は、父・勝利や家族の待つ病院へ。

 

門脇さん、表情いいな。
戸惑いと不安と、それでもどこか喜びと。
髪で横顔が隠れるせいか、目元や口元がより印象に残る。



ずっと拒んでた父に向き合って。
「ひばりさんの新譜だよ」と聞かせる新子。

できたばかりの「川の流れのように」が流れる病室。
祖父も、祖母も、父も聴いている。

 

 

みんなの川が、真っ赤な太陽が沈んだ大きな海に流れてく夜。
心電図もまた川の流れのように、穏やかに、平坦に。


 

曲の途中、サビのところで心臓の鼓動が止まった父。
死ぬときには楽しい音楽を流してくれと言っていた父。
見送る家族。

 


病院スタッフを呼ぼうとする弟を止めて
「だめ!お父さんが、聴いてる」と涙を流す新子。



美空ひばりによって作られた家族。
美空ひばりによって引き裂かれた親子。
そして美空ひばりによってまたつながった。


父を見送った新子の必ずしも満足ではない看取り。
「美空ひばりを待ち続けた」悔しさのある涙がもう。






9.平成27年、美空ひばりに会いに行く


 

2015年。
祖父母や両親と同じように家族を築いた新子が訪ねたのは東京のある場所。
祖父と祖母が再開した劇場跡地。

(スカパラが東京めぐりながら『真っ赤な太陽』を楽しく歌っていたのは、ここに繋げるためだったのか。)

戦後まもないあのとき。
父を劇場の中に連れてって美空ひばりを聞かせたお調子者の少年に連れられて。
劇場の中へ入っていく新子。



その少年は父・勝利の幼い頃の姿。
父にひかれるままに、昭和25年の美空ひばりに出会う新子。


美空ひばり役が誰か、とかは多分どうでといい。
「世界はひばりを待っていた」、みんなが美空ひばりを待って、家族で笑える時代を待っていた。

そんな昭和の中に、それぞれが美空ひばりを持っている。


そして今。
家族の絆が問われる平成。

世界はひばりを待っている。






以上がドラマパートです。
音楽、役者さん、演出、非常に素晴らしくて見入ってしまいました。

ところで、こちらの番組。
生放送の音楽番組なんですね。

上記のとおり、ドラマとあわせながら大物歌手の方々がカバーする美空ひばりのあの名曲。

 

『東京キッド』を天童よしみさん。
『悲しき口笛』を水樹奈々さん。
『私は街の子』を平原綾香さん。
『リンゴ追分』を中村中さん。
『港町十三番地』を氷川きよしさん。


 

『終わりなき旅』を平原綾香さん。
『一本の鉛筆』を華原朋美さん。
『ひばりの佐渡情話』を中村中さん。
『あの丘越えて』を水樹奈々さん。(記念館より生中継)




『人生一路』を氷川きよしさん。
『歌は我が命』を郷ひろみさん。
『みだれ髪』を天童よしみさん。


「なんだ楽しそうだなあ!」と。

こたつで、家族と、笑う。
当たり前の光景を美空ひばりの音楽が作っているのでしょう。


その中でも特にグッときたのがこの3方でした。

  

さかいゆうさん『お祭りマンボ』(アレンジバージョン)

全体的にかっこよく、思わず「おお」と。





『真っ赤な太陽』を東京スカパラダイスオーケストラが、東京を走りながら演奏。
ドラマパートとの相乗効果で、切なくそれでも楽しく聞こえました。



様々な楽曲がカバーされましたが一番きたのがこれ。
 

 

『愛燦燦』の作詞作曲、小椋佳が同曲をカバー。


ここまでのライブ部分を一気に飲み込む感がありました。
時々上を向く小椋さん、天国のひばりさんに何か語り掛けているようで。

優しいメロディの中の切なさは、まさに美空ひばりさんそのものでした。





お昼の番宣で偶然知り、「面白そう」と思って視聴した番組でしたが、非常によかったです。
ドラマパートだけでも地上波再放送を切望。




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