私のちぃ散歩

大学時代はよく散歩をしていました。

登録派遣のバイトで、首都圏各地に飛ばされてたこともありまして。

蒲田や鶴見、センター北や川口、吹上、日吉、天王洲アイル……

ちぃちぃみたいな気分で路地裏の猫を追いかけてみたり。
ブランコのってみたり。

あれから数年、散歩した街に実際住んだりもしました。


あの速度感が私にピッタリだったんです。
ちぃ散歩のテーマソングを聞くと、もう何年も前のことを思い出します。

鬱が辛くなった時期、テレビを見れるギリギリまで見ていた番組の１つでした。
散歩、したいなぁ……って思いながら夜勤明けの眠気に負ける。


退職してから実家に帰ったあと、症状がどれだけひどくても散歩だけはしていました。
そのときだけは地井さんみたく笑顔になれていた気がします。

再燃した今は状態は前より悪化しましたが、やっぱり散歩だけは続けてます。

歩いてると自然に笑顔になるんです。
生き甲斐に近かった。
いつか治るんじゃないか。
病気のこと忘れて生きていけるんじゃないか。

「散歩に出かけましょう！」
あの一言にどれだけ救われていたか。
今できることは散歩くらいだけど、それでもいいじゃないかって。

そう思うと、地井さんはただの散歩マスターでも材木店の頼りになるおじさんでもなくて、人生の師に近かったんです。



病気治ったら、もっともっと散歩しよう。
地井さんが歩いた道を私も歩いてみよう。
それでいつか、地井さんに追い付こう。

一視聴者ながらそんなことを思うんです。


今はまだショックなんだけど、たくさん泣いて、そしたらまた歩こう。