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『あさが来た』10週その1.惣兵衛の和歌山プレゼン、五代さんの脳内祝言、NHKの本気お披露目会。

2015-12-05 13:10:01 | 朝ドラの感想
『あさが来た』10週、「お姉ちゃんの旅立ち」の長文ネタバレ感想まとめ、その1。

NHKの隠し持ってた小道具力、演出力の本気披露に、思わず「ワオ」。




【後半】
『あさが来た』10週その2.姉妹の最後の夜、はつの問いかけ、新次郎覚醒!




関連リンク

『あさが来た』9週その2.ペンギンのように胸を張って光を浴びて。

『あさが来た』9週その1.五代さんの憂鬱と菊さんの優しさ。

『あさが来た』第8週、それぞれの気持ち、旅立ち


『まれ』、『あまちゃん』他、朝ドラ関係の記事はこちら。
朝ドラ感想記事のまとめ。



■襲名披露のその前に


正吉が家督を譲ると決めたのは、三男の榮三郎。


「おまえの言う通りや、しっかり頼みまっせ!」

新次郎は後見人として、あさと共に榮三郎を支えていくことになったのだけれど。
やっぱり働きたくない新次郎と、榮三郎のドヤ顔(2人ともどうしてこうなった)

ひとり複雑なお顔をしているのは…

雁助さん。

雁助さんがリスペクトしてるのは大旦那様。
雁助さんの表情も心情も複雑なんだろうけど、でも榮三郎を支えてくれと大旦那様から頼まれることもまた大旦那様に尽くすことなんだよなあ。
うーんいじらしい。


突然の正吉の言葉にあさも困惑を隠せず。



正吉の体調が悪いのかと聞かれて、よのさんのこの表情。
あさには見えない角度で。
これがあさの「女の勘」なのかな。


それはともかくとして、襲名披露のお披露目式は奥のお仕事。
あさちゃんスイッチオン。


 
「えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!うめ、えらい事や!大変なお仕事だす!」
「鯛にしまひょ!かけるとこにはかけなあかんのや!…多分」

あさとうめが二人三脚で頑張ります。
炭坑のビジネスだけかと思いきや、奥の仕事の何が重要かも吸収していたあさ。
スポンジみたいな人だねえ。






■そこからはじめてみよう


惣兵衛の和歌山プレゼンです。
土が硬く耕作には適さない、ほれ見たことかと菊さんは猛反対しますが…

「いやお母ちゃん、話はここからだす」と惣兵衛。

 

土は硬くて平地も少なくて田畑には向いていない。
けれどそこを切り開いて、果樹畑にすることは出来る。
気候も温暖で柑橘類栽培には最適。

これから大冒険が待っているような子供のような惣兵衛の目。
あの辛気臭い能面はもうどこにもないんだなって実感。


「なぁお母ちゃん、そこから始めてみようさかい」

惣兵衛ははつの眉山家を守りたい気持ちも、菊の山王寺屋を守りたい気持ちも、どちらも汲もうとしてるんだろう。
はつさんは惣兵衛のそういう優しさに惚れてるんかな。



■はつにも朝が来た。


それでも頑固な菊さん、怖気づいてしまう惣兵衛。
そのときはつがおこ。

 
「お母様!聞いとくなはれ!」
「旦那様はたとえ弱いところはあってもずるいところはひとつもない、正直なお方だす」
「性根の暖かいお方だす」


嫁ぐ前不安であさと泣いたことが、着物を贈られたときの笑顔につながって。
時代の変わり目に翻弄されたけれど、2人で幸せをつかんで。
一度失いかけたけど、それでも信じて待ち続けて。
そこには『守るべき家族』があって。

色んなことがあったけど今、ここに至る。



「もう昔の旦那様ではございません。今はもうこのおミカンみたいにピカピカや」
「旦那様を信じとくなはれ」


山を切り拓いて、その山の斜面で日光をたっぷり浴びながら育つようにな、そんなミカンみたいな惣兵衛。
惣兵衛が観てきたそのままの景色が、そのまま惣兵衛に投影される。



待ち続けたはつもわかってる。
本当は菊が惣兵衛のことを信じていることをわかってる。
惣兵衛もそれをわかってる。
菊もどうすべきかわかってる。
栄達さんもどう動くべきかわかってる。

それぞれが絶妙な表情を浮かべながら、外に出た菊さんの説得をする栄達さん。



「惣兵衛のことは私が一番ようわかってます」
「せやせや」


栄達さんの短い言葉だけど、菊さんがやっと吐き出せた言葉を受け止めるのがじんわりくる。
栄達さんはそうやって菊さんのそばに居てきたんだろうな。

珍しく大声をあげたはつと、何も言い返さなかった菊さん。
昔だったらその立場は逆だったかもしれない。

けど2人はお互いがお互いを思いやる母と娘として、本気でぶつかったんだなと。
変わったのは惣兵衛だけじゃない。



惣兵衛は自分を信じてくれたはつに感謝の気持ちを話していた時、栄達さんが戻ってきた。

  
「…でお二人さん、出立はいつにしますのや?」

栄達さんが伝える新しい未来のはじまり。
加野屋と同じ時期に、山王寺屋(眉山家)も代替わり。
菊・栄達からはつ・惣兵衛へのバトンタッチ。




菊さんが持ってったみかん。
ひとつはご先祖様に、もうひとつは自分が味わう。
菊さんのご先祖様を守る気概と、惣兵衛夫妻を信じていく親心。
それをみかんふたつで同時に一瞬で描くんだからすげえよ。



そうして決まった和歌山行き。
はつにも新しい朝が来た。



惣兵衛不在のとき水落ちした新次郎に話した『もし許婚チェンジがなかったら』を思い出し、「何であないな事…」と。
許婚チェンジがなかったらはつは惣兵衛の温かさを知ることはなかったんだろう。
あさだけでなくはつにも朝が来た。

あさもはつも、新次郎も惣兵衛も、加野屋も山王寺屋も、広がる前途に希望を持って生きていく。
双方は対比のようにみえて等号だったのかもしれない。



■奥の仕事を準備中


一方加野屋ではお披露目会の準備中。

 
「恋文?!いつの間に…」
「へ?亀助さんがお嫁さん?!」


あさと亀助さんのやりとり。
すっかり女友達、大親友状態で微笑ましい。


「おあさ様はお商売の事に関してはよく気付きはりますけど」
「そないな事あらしまへん!」


うめと雁助に言われ、少しムキになり怒るあさにも、「うちも亀助さんの近くにいましたもん!」と少女らしさが見えて可愛い。
炭坑パートではあまり見ないあさだから余計にかな。

で、その亀助の恋煩いのお相手はもちろんふゆちゃん。


「昨日はかいらしい匂い袋頂きましておおきに。ありがとうございました」

無邪気なふゆの笑顔に、亀助じゃないけどキュンってくるわこれ。
しかし亀助さんが女子力発揮したあの針仕事、実は熱烈アプローチだったとはなあ。
さらっと蒔いた伏線をさらっと回収していくこの流れ、気持ちいいな。


もうひとつ、恋煩いといえばこのふたりも。

 
「当たり前だす。大事な大事な襲名披露の案内状を汚い字ぃで書くわけにはいかしまへん。」

うめと雁助さんもフラグ立ってるんだぞい。
うめさんってば雁助さんの手先に魅入っちゃって。

  

昨日うめさんが「参考に」って持ってきた「七代目久左衛門お披露目式」の招待状とは明らかに違う字体。
わざわざ持ってきたから何かありそうだけど、なんだろうな。

当時の大番頭さん…というと、かつて暖簾分けしたサトシの父が書いたものなのかも。




■正吉さんと火鉢




新次郎がやってきたら火鉢の火を強くする正吉さんの優しさよ……

つか二度見三度見しなきゃわからないようなこと。
それを演じる近藤さんや演出するスタッフたち、素晴らしい。


 
「おまえのそういう人好きのええとこと、榮三郎のまめなとこが上手に合わさったら」
「そうだすなぁ、それにあさのふんばりだすやろか」


逆を言えば正吉さんは三者の長所を全部合わさもってたってこと。


「あっ、そやなあ。そら確かや」

『あさのふんばり』を加える新次郎の優しい目と声に気付いて、
正吉さん、真剣な目。

このとき『襲名披露にあささんも』と決めたか。

(それにしても近藤さんは既に撮影終了済み…その日はいつなのか)



■よのさんとかのさん。




嫁入りのときの着物をあさに着せるよのさん。
あさやよのさんの後ろに映り込むかのさん。
台詞はなくとも、よのさんが加野屋に嫁入りしてから今までのことを思い出しているような表情でじんわりくる。




■本気の制作力


そして迎えた襲名披露、お披露目式。

まず何よりお披露目されたのは、爽やかなBGMにのったNHKの持つ本気の制作力。

 

 

『襲名披露』と書いて、つーか『BKの小道具力、演出力の本気披露』と読むんだと思い始めた。
こういう回にたーっぷり実力発揮されるのは、観ている側としても気持ちがいい。


ハレの装束、ハレのお料理、貝殻の紅、
「美しいなあ、すてきだなあ」
と素直に思いました。

こういうところきっちり見せてくれるのって嬉しいですね。

上記の正吉さんの火鉢
八角形の火鉢は高級品。
このへんも凝ってるなあと。

それによのさんがあさに着せた勝負着物も。
「何回か着たんだな」と判るしわがついてるのがわかります。

とても細かいところだけど、こういうところに凝ってくれるのは視聴者感情として嬉しい限り。

 

 

「これはきっとご褒美だ。前作と2015大河を頑張って見通したご褒美だ」
そんな野暮なこと思ってしまうくらい「わお!」な和装メンズたちよ。



■五代さんの祝言ではありません。



「いいや、私が好きで行ったんやさかい」

なんでどす?
五代さんが出てくると「わっ、出た」って笑ってしまうのはなんでどす?



で、お披露目会がはじまり…
おめかししたあさも前に並び…


「ワオ」

五代さん、最前列中央席キープ。
まるで一人で、あさちゃんと脳内祝言を挙げているような喜びよう。


いや最賓客だからってのはわかってるんだけど、なんだろう、おっかけのファンがコンサートで一番いい席とったみたいな。
『あまちゃん』のヒビキのポジションみたいな。



 
「クワイエット!プリーズ!」

五代はん!
英語でいきなりいってもわからんよ!!


それにこの状況と絵だと「あささんは私の嫁です。本来横に並ぶのは私なのです」って付け足しちゃうよ!!

「グッドモーニング」のときも思ったが、ディーンさんの英語が綺麗。

 
「よっ待ってました!色男!」
「にゃあにゃあ」


新次郎人気にあさが神妙な顔つき。
それを見つめる五代はん。

だから五代はん、五代はんの祝言じゃないってば。

 

今日ひとりだけあぐらかいてる五代さん。
「五代友厚は元薩摩藩士」って史実をきちんと生かしてたからだろうな。

そういう『行間にまで行き届いた五代友厚の伏線や演出』がいいなと思う。
それをディーンさんが演じることでなおのこと真正性が増す。


……で結果として「妖精さん」「あさオタク」など視聴者から愛されてるのかと。



■8代目加野屋久左衛門


 
「どうぞこれからもあんじょうによろしゅうにお頼み申しますんで」
「この加野屋も三代将軍家光公の時代から米の商い、それに両替商なんかを
 ずっとやらしてもろてきましたんや。もう250年になります」


前々からだけど、正吉さんの柔らかいイントネーション?がとても素敵。
聞いてて落ち着く。早口で怒ってるような感じの大阪弁のイメージが覆っていく。

改めて江戸という時間の長さ、8代目久左衛門に至るまでの長さを実感。

あっこれ朝ドラだ。



「この度嫁のあさの力も借りましてな、石炭商の看板も出させてもらいました。
 ひとつまあこっちもよろしゅうにお願い致しします」


五代はん、「あささんのことは任しとけ!」ってドヤ顔してるけど。
一般的なよろしくだからな?ん?


 

 

パチパチと響く拍手ににっこり笑顔のあさ。

当時「拍手」はまだポピュラーじゃなかったけれど、「五代さんがやるなら」と少し遅れて拍手する商人たちも粋だね。



■襲名披露のその後で



「あささんを加野屋の代表として前に並ばしはったんは英断やと思います」

並ばせたのは正吉さんだけど、あさを着飾ったのはよのさん。
それを見届ける五代さんや大阪の商人。
襲名披露ってのは先代を見る場所でもあるんだなあと。



「お前様と旅やなんて何年ぶりだっしゃろな?」
「いやいやもう…」


五代さんの熱視線も大概だし、新次郎とあさ、惣兵衛とはつもラブラブだけど。
正吉さんとよのさんのラブラブっぷりが最強なのかも。



■サトシ問題と新次郎さん


炭坑からお手紙届いた。

 

手紙でも遊ぶ梶原さん、はともかくとして。

サトシの問題はまだ片付いてない
(この手紙の内容で片付いたとは思っていない)


多分新次郎の秘密など根底に関わりそうな大きなストーリーライン。

 
「そら人気者でよろしおましたなあ」
「旦那様ほどではございまへんよって」


新次郎、炭坑の宮部さんからの手紙を受け取るあさに嫌味。
あさ、襲名披露の場で色男と持て囃されてた新次郎に嫌味。

なんだこのラブラブ夫婦、朝から眩しいぞ。

 
「わては金輪際、髷は切らしまへんで」
「近頃は旦那の衆までざん切りが増えて洋装のものまでいてますのやけどな。あらあかん」


五代はんのことだ……
五代はんのことだ……
これ五代はんのことだ……

洋装男やざん切り頭を頑なに嫌がる新次郎さんもいいんだけど、あさイチで流れるざん切り新次郎を早く本編で観たい気もする。



と、ふと箏を目にしたあさと新次郎。



さっきまで五代はんに嫉妬をメラメラさせていた(と推測される)新次郎。
あさがはつとの思い出をぽつりと話すとこの優しそうな目ぇな。
ほんとにこの色男このやろう。

ていうか五代さんから始まって正吉さん、新次郎まで。
なんなの?俺の嫁祭りやってるの?




■ファーストピングインたち


襲名披露のあと、はつの和歌山行きを知ったあさ。
正吉とよの夫妻がフルムーン旅行に出かけることもあって、はつを「加野屋に泊まりに来ないか」と誘ってました。
でもお披露目会のあさがあまりに見事過ぎて気落ちするはつ。

そんなはつに今度は惣兵衛が「俺の嫁祭り」。

 
「アホ!お前は今の身なりこそ劣ることはあっても、ほかにあの妹に負けてるとこなんて何ひとつあれへんわ!」
「ずっと自慢の姉ちゃんだったんやろ。胸張って行ってこんかい」


山王寺屋のファーストピングイン・惣兵衛が胸を張り、
眉山家のファーストピングイン・はつに「胸を張れ」と励ます。

みんなファーストピングインだ。




■ええ男、ええ男、どっちもとってもええ男


あさにどやされながらも新次郎が出かけたのは、惣兵衛との飲み会でした。
この二人も旧友同士の義兄弟。

 
「まあえらい道は違てしまいましたけどな」
「どっちの道がええかやなんて誰にもわからへん」


新次郎と惣兵衛の言葉。
あさとはつ、加野屋と山王寺屋の道の違いでもある。

紆余曲折あったけど、双方を幸せに描いてくれてよかった。


「少のうても若旦那やったころの惣兵衛はんより、今のあんたの方がええ男やけどなぁ」

新次郎は惣兵衛不在のときもはつと藍之助をみてきたし、帰ってからの2人の喜びようも知ってる。
言葉にしっかり気持ちが乗ってる気がする。


「あの時あの暗闇から引っ張りあげてもろたんは、ほんまはわしのほうやったかもわからへん」

井戸を思い出し感慨に耽る惣兵衛。
井戸の底にさす光は惣兵衛にとってお天道様の光で、寺町から救い出したはつの背中にさす光なのかなと。




と、思い出話にひたりながらニヤニヤする惣兵衛に、うどん屋の店主から紅白かまぼこのプレゼント。

 
「お二人のな、めでたい道のはじまりやっちゅうのが聞こえましたよってな」

文珍師匠と、思いっきり笑顔の惣兵衛。

まさかな、1週や2週の頃は惣兵衛がこんなふうに街中の居酒屋で笑ってるなんて想像もしてなかったわ。
まさかな、さっきからちょいちょい映り込んでた店主が師匠だとは思ってもいなかったわ。

一発ゲストの使い方が秀逸だなって思う。
あさや新次郎、惣兵衛たちの人生に、一瞬タッチして振り向かせる。
観ている側としても「大物ゲスト来た!」と思うと同時に、とても印象に残る。



ところで。

惣兵衛と新次郎か子供の頃から仲良しなんだから、惣兵衛もサトシのこと知ってるはず。
ふたりの絡みを見たかった。

……いや、わざと見せないのか……?




■おまけ、聞いとくなはれ。








【後半】
『あさが来た』10週その2.姉妹の最後の夜、はつの問いかけ、新次郎覚醒!

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