筑紫文化財研究所

筑紫における歴史的文化の探求と漫遊

破損した三好系人形の修復4

2011-05-25 21:12:33 | 人形
何よりの問題はクラックの破面の土が
砕けてしまっている個所の接合です。
バインダーという樹脂を染み込ませて
土自体を固化させる方法も考えましたが、
彩色の色に影響が及ぶため別の方法を模索し、

不織布を接合剤として用いることにしました。
不織布がない場合は、包帯やガーゼを重ねる方法もあります。
布を幅1cmほどのテープ状にして切り、
使用する部位に合わせて両端をカットします。



きめの細かな歯科用石膏をラバーボウルに
やや弛めに溶かして撹拌し不織布を浸します。


そうして接合すべき個所に乗せて
その周辺にゆるい石膏をパテや筆で盛りつけます。
石膏は見る間に固化しますので手早さと注意が必要です。
たくさん作り置きせず、作業単位に合わせて少量を溶きます。


この時に接合する角度に注意します。
支持するベースを作っておき
その上に接合すべき破片を乗せて作業することもあります。

(つづく)

破損した三好系人形の修復3

2011-05-25 06:23:44 | 人形



まず最初に、破損して持ちこまれた破片を
ジグソーパズルのようにもとの位置関係を
裏表の各部位ごとに復元します。
そしてセメダインを使って接合します。

裏面を見てわかったのは、この人形は
一部分が以前にも破損しており
その際に紙粘土を水で溶いたものを使い
接合が試みられていたようです。
この三次系人形は焼いていない生の
土に紙などの繊維を混ぜた素材のため
染み込む接着剤は不適です。


接合はセメダインがある程度固化するまで
洗濯バサミなどの添え具で固定します。

(つづく)