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和貴の『 以 和 為 貴 』

所詮は新自由主義者の戯言に過ぎん

24時間営業のコンビニ調査、公取委は「人民裁判」をする気か
IRONNA 2019/06/14 山岸純(弁護士)

 今年の2月頃、あるコンビニオーナーが独自の判断で24時間営業をやめ深夜に閉店したところ、本部から多額の違約金や契約の強制解除を要求されたといったニュースが話題になりました。

 このニュースがきっかけとなったのかもしれませんが、最近、コンビニ業界に対し公正取引委員会が調査を開始するというウワサがまことしやかに流れています。

 もとより公正取引委員会は、毎年さまざまな業界をターゲットに、その所管する法律である独占禁止法に違反する事案について調査を行っているのですが、この「独占禁止法」という法律、なかなか理解が難しい法律であるため、公正取引委員会が果たして何をやろうとしているのかについてもなかなか理解されません。

 そこで、まず「例え」を使って、公正取引委員会が独占禁止法のもとで何をやっているのかを説明します。

 例えば「日本がオリンピックで金メダルを獲得する方法」を考えてみましょう。2020年には日本で2回目となる夏季オリンピックが開催されますが、開催国としてはどうしても金メダルが欲しいところです。

 そこで組織委員会は、
①ある競技のある種目に出る選手を、全員日本人にすること
②選手全員が打ち合わせをして、同時にゴールすること
③日本の経済力を背景に他の国の選手にお金を渡して手加減させたり、脅迫して辞退させること
を考えました。

 上記三つの「金メダルを獲得する方法」はどう考えても卑怯(ひきょう)、不正、不公平な方法であり、オリンピック憲章に反するトンデモ作戦と言わざるを得ません。そのトンデモナイ方法を経済活動において禁止されるべき行動にあてはめると、それぞれ①私的独占、②価格協定(カルテル)、③不公正な取引ということになります。これらを禁止するのが公正取引委員会が運用する独占禁止法というわけです。

 今回、もし、公正取引委員会が24時間営業などについて調査するのであれば、上記③について、すなわち、コンビニオーナーと本部の間に「不公正な取引」関係が存在するのかどうかを中心に行うことになるでしょう。

 特に、コンビニオーナーと本部との間には、コンビニの売り上げ管理や商品管理、ロイヤルティー、ブランド維持、営業時間、キャンペーンなど、ありとあらゆる項目についてガチガチに定められたフランチャイズ契約があり、コンビニオーナーをぎしぎしと縛っているといわれていることから、相当厳しく調査されることでしょう。

 もともと「フランチャイズ」というシステムは、1850年代にシンガー社というミシンメーカーから始まったといわれています。

 その後、日本でも1960年頃からフランチャイズシステムが誕生し、70年代には既に確立した「物販系のビジネスノウハウ」をそのまま丸ごと「貸し出す」ようなフランチャイズシステムが多く誕生しました。マクドナルドやミスタードーナツ、各コンビニチェーンなどです。

 これらのフランチャイズシステムは、既に確立された「取り扱う商品・サービスの種類、販売手法、統一されたロゴマーク・店舗の内外装、キャンペーン」などの「ノウハウ」を借りて新たにビジネスを始めたい当事者と、今まで努力して獲得した「ノウハウ」を「貸し出す」ことでその対価としてのロイヤルティーを得たい当事者の思惑が一致した、独立・対等なビジネスモデルのはずでした。

 しかしながら実際には、コンビニ業界における「コンビニオーナー」と「本部」との間には、比較にならないほどの資本力の格差もありますし、「本部」が定めた「鉄板のルール」に従わないと、そもそも商品を供給してもらえなくなってしまいそうな厳しい関係にあるため、これまでずっと言われてきたように、決して独立・対等なビジネスではないわけです。

 なお、このような「コンビニオーナー」と「本部」の間の不公平感、依存度の高さ、格差、弱者と強者の関係などを改善すべく、これまで数多くの訴訟が起こされ、また、さまざまな行政指導が行われてきました。その際、「コンビニオーナー」側の勝訴率が高いのも事実です。
 ところが、裁判で個々の「コンビニオーナー」が勝訴したところで、その個々の「コンビニオーナー」との関係において幾ばくかの金銭が支払われるだけであり、他の多くの「コンビニオーナー」と「本部」の関係は何も変わりません。

 そして、行政指導といっても「コンビニオーナー」と「本部」の関係を総合的・根本的・全体的に変えるようなものではなく、例えば、「本部は、コンビニオーナーが消費期限の近い食品を割引販売することを禁止してはならない」などというように、個別具体的な指導をするだけです。

 結局のところ、「コンビニオーナー」と「本部」の関係は、医薬品業界と医者、下請けと元請け、嫁としゅうとめ、檀家(だんか)と寺といったように、良いか悪いか、それが時代に合っているか合っていないか、当か不当かなどは別として「そういう関係にあるもの」として実在するものであり、「外野」が騒いだところで変わることは難しいでしょう。

 なぜ、私がこういう「投石」されそうな意見をあえて述べるかについては、以下の通りです。

 今回の注目は、24時間営業が半ば強制されるような制度について問題視されたことが端緒となっているようです。

 しかし、コンビニというシステムは、その一店舗だけで完結しているのではなく、例えば、商品(特に生鮮食品)の製造のタイミングや配送のタイミングなどの関係において、全国の数多くの店舗・工場・配送車との連携が必須となります。

 ある地域における製造・配送計画(これらは、商品の売れ行き、お客さんの購買ピークなどによって緻密に構成されています)が綿密に立てられているのに、例えば、ある一店舗だけが「午前1時から6時の間は営業しません」と宣言し一店舗だけ閉じていたら、この綿密な製造・配送計画も狂ってしまうことでしょう。

 また、コンビニはその売れ行きなどを詳細なマスデータとして活用し商品開発などを行っているわけですから、店舗ごとの都合をいちいち聞いていたら支障をきたしてしまうでしょう。

 コンビニオーナーは、そのビジネスの端緒において、既に確立された「ノウハウ」に乗っかって新たなビジネスを始めるべくコンビニという「歯車」の中に身を置いたわけですから、このような「コンビニというシステム」を成立させるバランスに物申すのはいかがなものかと思います。

 もし、公正取引委員会がこの点を、卑怯だ、不正だ、不公平だと言うのであれば、なんだかよくわからない圧力で行われるつるし上げのような「人民裁判」の様相を呈してしまうでしょう。



【 所 感 】

所詮は新自由主義者の戯言。

法律ありき、契約書ありきの弁しかできない者に、公平・公正・中立の真意など理解できるはずもなく、本部とオーナー両者が、円満に問題を解決できるために、なんとか公正取引委員会の方々には頑張っていただきものであります。

さらに言えば、如何に契約云々、法律云々を謂おうとも、直に生じた問題〔例えば地域性の違いや同店舗の乱立など〕で対立するというのは、本当の意味においても消費者のためにならず、速やかに契約内容を変更することや、法律の改正の手続きをするなどの処置があって然るべきではないでしょうか。

さらに本部とオーナー両者が共に利益を得られてこその相互関係であり、消費者を無視し、片方だけが潤えばそれで良いとする考え方は、人道的に外れた行為であり、またそんな外道企業の在り方が正しいんだ、と受け止められられかねない当弁護士の記事内容に憤りを覚えてしまいました。

例として、五輪を持ち出し公正取引委員会〔独占禁止法〕に対する問題提起をしておりますが、そもそもとして、金メダルを絶対に取らなければならないとする目的で、五輪が開催されるわけではありません。金メダルを取れるか取れないかは、選手個人の努力によって、というのが基本的な考え方であり、そこに行政や司法などの第三者が関与する話ではありません。
このようなことは日本人としては常識的なことであり、さも公正取引委員会がこうした常識から外れた決定を行うかもしれないという氏の思考回路に、「おいおい、こんなんが弁護士で大丈夫なんか?」と突っ込みたくなります。

まったくもって消費者のことは無視。そして自分さえ儲かればそれで良し。契約や法律を盾としながら公平・公正さを考慮しない。

われわれ消費者側(特に日本国民)にとって、公正取引委員会〔独占禁止法〕というのはとても重要な存在でもあります。そんな重要なものの存在が危うくならないためにも、委員会の方々に対し、絶大なるエールを送りたいものであります。

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