鞄に演劇をつめこんで

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アンケートの考察 書きたくなるアンケートを考えた (連載その5)

2020年03月16日 | 小劇場演劇の考察

前回までの分析したことから、「書きたくなるアンケート」についてヒントを探ったうえで、サンプルを考えてみました。

その1 アンケートの分析から気になったこ

質問項目の少ないアンケートだから書くわけではない

「書きたくなる」とは、質問項目が少ないことと直接イコールではなく、シンプルなアンケートだからといって書く気が起きるわけではなさそうです。

観劇日時について 

観劇日時は記入を求めない団体が17団体あることから、絶対に必要な項目ではない気がします。記入するにしても、なるべくスペースを割かず・負担の少ない方法が良さそうです。右上に設け、選択肢か自由記入させる方法がこれに一番当てはまりそうです。

公演を知った方法か、公演を観ることにした決め手か

細かく分析した「質問その2公演を知った方法」ですが、同じ質問するのであれば、「質問その5 本公演に興味をもった理由・決め手」の方が良さそうです。
選択肢は、質問2での分析を活用し、「出演者・スタッフ」、「ちらし」、「劇団」「評判」「友人・知人」「作品内容」「たまたま」をあげて、レアなものは「その他」に含めて項目数は絞りたいところです。

感想・評価は、自由記述が少ない方がいい

限られた時間内に自由記述式の複数の質問に対応するのは負担になりそうで、なるべくまとめたいところです。また自由記述で面白い・つまらないしか書けないのであれば、評価の選択肢にした方がよさそうです。
舞台や照明の項目ごとの評価は、作品を様々な視点から振り返れるきっかけになりますし、スタッフにとって観劇者の声がきけるいい質問だと思います。

印象に残った役者・シーンについて

自分がSNSでの感想を呟く際に、役者やシーンのことを書くことがあり、印象に残った役(役者)やシーンの質問はあるといいと思います。しかし自由記述の負担をどう減らすかが課題です。

出演者へのメッセージ

これまでアンケートで書こうと思ったことはありませんが、この質問は書き手・読み手ともに有益ですし、こうした質問があるといいなと思いました。独立した質問にすることで書きやすくなりそうな質問です。

過去の作品をみたことがあるか

過去作品を列挙することで、リピーターの傾向を知ることに役立ちますし、観劇者はアンケートの記入を通じて、こんな作品があるのかとか、あったなあと読みたくなるような質問です。

個人情報・DMの希望

個人情報は必要な情報だけを入手し、個人情報の管理に関する文言はなるべく丁寧に書きたいところです。

その2 コンセプトは「観客と作品・団体・役者との距離が縮まる」「記入する負担が少ない」

コンセプト1 観客と団体・役者との距離が縮まるアンケート

アンケートを分析しても、正直、何が「書きたくなる」決め手なのかはわかりませんでした。
しかし、Twitterで感想を呟き、その反応がきっかけで観劇の幅に広がっていくことの経験から、アンケートについても、記入することで観劇者が団体や役者との距離を縮められれば、記入するメリットがありそうです。 
そのためには、匿名の自由を残しつつ、記入者の「顔」がみえるアンケートにすることが必要です。感想をTwitterであげる人は、その情報をアンケートに取り組むことができれば、アンケートの記入に繋げられます。
またアンケートの記入を通じて、展開を思い出したり、何がわかったり・わからなかったりと作品の理解を深める気づきや糸口がみつけられれば、それもメリットになります。

コンセプト2 記入の負担が少ないアンケート

自由記述は文章にまとめる負担がありますし、書くだけでも時間をとられるので、なるべく選択肢にできることは選択肢にして、さらに○よりは、チェック方式にすることが、負担軽減の方法と考えました。

サンプルを作ってみました!

上記のコンセプトを踏まえ、サンプルで作ったのが画像にあるアンケートです。

 

<文字が多いのが課題>

どうでしょう。
自由記述の負担の減らすため、感想をなるべく質問に分解し、選択肢にしたが結果、「文字が多くて読みにくい」印象がどうしてもあります。
そこで質問文や選択肢の文言はできるだけシンプルにしました。
字体やポイントでカバーできるといいのですが、難しいですね。

次に工夫したポイントを残しておきます。

●各質問項目の解説

1 観劇日時
公演回ごとに綴っておけばいいので日付の記入は不要と思います。
ここではサンプルですので、アンケート用紙に右上に、日付と昼夜のそれぞれを選択する方式を採用しました。
やや大きめの字にすると記入漏れが減るかと思います。

2 劇団名・タイトル

「劇団○○ 「公演名」 アンケート」

「アンケート」だけでは寂しいし、用紙を保管するうえで団体名と作品名は必要です。
タイトルは架空のものです。

3 SNS(Twitter)アカウント または 氏名(愛称)など

「よければ Twitterのアカウントかお名前(愛称)をお書きください」
「作品の感想をSNSで呟かれますか  □はい □いいえ 」

アンケートの冒頭に質問することで匿名の自由を確保しつつ、「誰が記入したか」を伝えることとしました。この方が、読み手との距離が縮まります。またTwitterで感想を書く人をアンケートにつなげるためには、冒頭に質問を置く必要があります。
役者がアンケートを読む機会があれば、「だれだれのアンケートだ」と知ることができるうえ、その人のTwitterにリプやリツイート、場合によってはフォローするなど、集客に繋げられるきっかけとなるかもしれません。

4 役者の名前の記入も簡略化

アンケートの右側にスペースを確保し、

<役者名は次の番号を記入してください>
○○(役名) 演劇太郎
○○     下北二郎
△△     王子花子
▢▢     池袋愛子

と、役者に番号を設け、いちいち名前を記述する負担を減らしてみました。

5 公演を観ることにした決め手

公演を知った方法よりも、観ることにした決め手を質問にしました。
選択肢としては 
・出演者・スタッフ
・この劇団だから 
・作品概要
・ちらし
・SNSでの評判
・知り合い・友人に誘われたから

のほか
・時間の都合がついた
・たまたま公演していたから (デート・買い物・その他(    ))
を設けてみました。

 6 作品の評価

「 とても面白かった・面白かった・わからなかった・つまらなかった・何も感じない 」

評価を細かくわけても基準がなく区別できないので、観劇直後に話しそうな感想を選択肢にしてみました。
あえて「わからなかった」を入れてみました。観劇後にしばしば主宰さんから「わかりました?」と聞かれるからです。観劇者からも、つまらないわけでないけど、何をいっているのかわからないという感想はよく耳にします。

7 良かったと思うものを選んでください(複数回答可)。

「 脚本・演出・照明・音響・舞台装置・衣装・小道具・当日パンフレット・ちらし・当日運営・空調・その他(      ) 」

これもスタッフさんの励みにも繋がりそうで、質問にしました。

印象に残った役や役者
 応援に繋がる質問ですが、独立した質問項目ではスペースをとるので、作品の評価の中に「出演者」を設けました。

8 印象に残ったシーン

「印象に残る場面があれば、番号で記入してください 複数回答可(       )」

一番悩んだ質問で、回答を選択肢にしたことがポイントです。
選択肢は、シーン順に挙げてみました。オムニバス作品であれば各タイトル順でもいいでしょう。
ネタバレになるので賛否がありますが、注意書きを入れることとし、感想の記述の負担を軽減するとともに終演後に作品を振り返えりやすくすることを優先しました。

9 過去に劇団の作品を観たことがありますか(選択肢型)

「 初めて AAAA、BBBB、CCCC、DDDD、EEEE 、それ以前 」
(※過去の公演台本 DVDを販売しています があってもいいです)
これはリピーター率をあげるために知っておきたい情報では?と思いました。

10 上記を選択した理由、ご感想、ご意見・要望など、を自由に記入してください(裏面も使ってください)

 選択した理由をまとめて書かせることで、何を書いていいかわからない人にとってはヒントになります。感想・意見のほかにも「この団体で観たい役者」など書いてほしい内容はなるべく質問に書いてある方がいいかと思います。

<参考> 欲しい物販はありますか

 上演台本 ・ 上演DVD ・ 声だけCD ・ ブロマイド(チェキ) ・ バッジ ・ チェキ会

サンプルに入れませんでしたが、イベントや物販を企画する団体にはこういう質問項目は有効かもしれません。

11 役者・スタッフへのメッセージ

枠にして3人分ぐらいかける欄を設けました。
11と12は、用紙の下に設けることで当該部分だけを裁断しやすくし、個人情報は団体だけが管理し、メッセージは、当該出演者だけに渡せることを想定しました。

12 DM

DMの案内で、電子メールでの配信だけを想定したので、宛名とメールアドレスを設けました。
チラシを郵送で送る場合は住所欄を設けます。いずれも必要な情報のみを記入させます。年齢や職業は客層にあった作品を書くのでなければ不要としました。

13 個人情報に関するコメント

 「本アンケートでご記入いただいた個人情報は当団体で責任をもって管理し、①劇団の今後の運営改善、②劇団・出演者・スタッフによる感想の拝読及び観劇の御礼、③団体の上演作品のご案内」 と、使用目的を明確したうえで、「第3者への提供など他の目的には一切使用いたしません。」としました。

14 アンケートのお礼

「アンケートのご協力ありがとうございました」でしめくくります。 

次回で連載の最終回、まとめです。

アンケートの考察 まとめ (連載その6)
こちら

 


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