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鞄に演劇をつめこんで

観劇者が立ち上げた小劇場演劇を広めたいためのブログです。
まずはカテゴリーの目次をみてね!

座席とステージの配置 ~劇場空間の使い方入門~

2019年09月17日 | 小劇場演劇への誘い

公演作品によって劇場空間の使い方もさまざまで、どんな形でステージを組むかも観劇の楽しみ方の一つです。
今回は類型化し観劇のポイントを紹介します。

 1 教室型
 入場すると座席が並び、その向かいにステージがある、最も
基本的な形です。
 多くの作品がこの形で組みます。

 ステージに向かって右が「上手」、左が「下手」
 座席の真ん中や両脇にある通路を公演中に役者さんがと通ることも。「花道」といったりします。
 本多劇場をはじめ、ザ・スズナリ、シアター711、萬劇場、ザ・ポケットなどのほとんどの劇場自体が、この形を前提にした構造になっています。
 しかし中小規模のアトリエなどは奥行がないため、この形だと十分な席数を確保できません。そのためサンドイッチ式やコの字型などに組み席数の確保に工夫しています。

 <ポイント>
 演者を目近にみられるのは最前列の席です。しかし迫力を味わえる一方で、最前列の席は後ろの列に配慮して、背もたれがない椅子や背の低い小さめの椅子などを用意することがあります。2時間近い作品では慣れないとキツいかもしれません。また目線が低くなり、全体を見渡しにくいことがあります。
 通常、座席は階段状になっています。一段、二段あがった2列目~3列目は見やすいうえ、背もたれがしっかりした椅子が用意されていることがほとんどで快適です。また舞台全体を見渡しやすくなります。

 ※人気の劇場や満席回だと、1列目と同じ高さで2列目を並べることがあり、これは注意。
 
1列目に長身(座高が高い?)方が座ると、相当観にくくなります。なので2列目以降は、段差を確認して席を選択します。
  更に当日受付が予約の最前列の更に前に座る場合があります。同じ高さ(レベル)での観劇になるので、正直気持ちよくはありません。
  それならば、「2列目に当日券の人を座らせたら」とも思うときもあります。

2 サンドイッチ型
 手前側と奥側に客席を設け、挟むように中央にステージを配置します。
 スタジオ公演でテーブルとイスだけがセットの会話劇などでみられる配置です。


 <ポイント>
 テーブルと椅子がセットの会話劇でお目当ての役者がいる場合は、座った場所の反対側にその役者が座れば表情がばっちり楽しめるものの、同じ側に座ると背中越しになりがちという、スリリングな配置です。
 このため役者さんの中には、予約した観客に自分が観えやすい席を事前にお知らせする方もいます。

3 L字型(逆L字型)
 ステージの隣接する二辺に座席を設ける形です。
 劇場の構造自体で有名なのは下北沢の小劇場「楽園」や「B1劇場」で、正方形のステージの隣接する2辺に座席が設けられます。

 <ポイント>
 上手と下手で景色が違います。ほとんどの作品はどちらから観ても楽しめるような演出の工夫をしていますが、どちらかを「正面」としている場合もあるので、入場時に運営スタッフにきいてみることもいいでしょう。
 また「楽園」は二辺の間の頂点に柱があるので、座る場所によっては柱が邪魔して観えないことがあります。

4 コの字型
 ステージの三辺に座席を設ける形です。客数が確保できることもあり、コの字型の作品も少なくはありません。

 <ポイント>
 コの字形の真ん中に当たる席が一般にはステージの正面で、ここに座ると全体が観られます。一方、正面の近くだけで演技をすることは、他の二辺からは背中ばかりみえてしまうので、やや奥まった場所で演技を行うことが多くなります。そのため、他の二辺の先端付近の席では役者の迫力ある演技がみやすくなります。しかし、サンドイッチ型の同様、どちら側の席に座るかによって背中ばかりみえる可能性もあります。
 毎年、いろんな団体が上演する「ナイゲン」はコノ字型の代表的な作品です。応援する役者の役によって座席を選びます。

5 超ワイドな教室型

 基本は教室型やコの字型なのですが、一列の席数が長く、2,3列しかない形です。
 そこで端側に座る観客も楽しめるようにするこのため、メインの展開は中央部分で進行させ、別のシーンでは端側にセットを組む作品があります。
スタジオ空洞や北千住のBUoYなどでこの型の作品が観れることがあります。

 <ポイント>
 この形の作品では、客席の中央部に座れば全体が観られますが、作品によっては、端側のシーンでしか役者が出演しないものあり、そういう役者を応援する場合は、どこで観るのがいいか悩むことになります。またあえて端からみると全体を俯瞰できて良かったりもします。
この形も役者さんの中には自分が観やすい席を事前に予約した観客に知らせする方がいます。

6 飲食店利用型

 BAR公演やレストラン公演でみられます。お客は、飲食の営業時間と同様に客席に座り、役者はその周りの空間で演技をします。臨場感が半端ないです。最近は隣接する2つの店を利用して行う公演もあります。

 <ポイント>
 座る場所によって観える役者が違います。また演出によって背中を向けたままもあれば、不自然でも客席側を向く場合もあります。見え方にこだわるよりは、見えた中で楽しむのが一番かと思います。


7 オールスタンディングのライブスタジオ型
劇団「しあわせ学級崩壊」の作品で体験しました。スタジオでオールスタンディング、路上のラップかダンスバトルのように役者を取り囲むように立ち、役者にあわせて、位置を少しずつ移動します。


 
<ポイント>
 ライブスタジオ型では、スピーカーのそばかそうでないかによって聴こえ方に差がでます。しっかり聞きとれる場所がお勧めです。

このほかにもコの字を変形した、V字型などもありますし、劇場だけでなく路上公演もあります。
適宜追加していきます。

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その1 小劇場演劇ってナニ?

2019年08月15日 | 小劇場演劇への誘い

 <ポイント>
〇 小劇場演劇とは、街中の小さな劇場やBAR,スタジオでの演劇に限らず、役者と観客が一緒に時間を共有し身近に感じられる演劇
〇 笑いや感動に溢れる作品が目白押しなうえ、演劇を応援していることを実感できるのも魅力
〇 地域に密着したカルチャーとして地域とともに発信・発展していく可能性に期待

小劇場・小劇場演劇とは
劇場というと、新国立劇場やシアターコクーンなどが有名ですが、下北沢や中野などには商店街や住宅街の一角に小さな劇場があり、ほぼ毎日演劇が上演されています。

こうした収容規模の小さな劇場は「小劇場」と呼ばれ、そこでの演劇は「小劇場演劇」といわれています。
また劇場だけでなく、ライブスタジオやBAR、アトリエなどでも上演しています。

 では、中規模の劇場での演劇は小劇場演劇ではないのかというと、必ずしもそうとはいえないのです。
劇場の規模や場所にかかわらず、観客との「距離が近い」演劇、それを自分は「小劇場演劇」としています。
伝統や史実・リアルを表現する演劇に縛られない自由な発想・世界観に基づく演劇が大きな劇場でも上演される現在、
「距離が近い」こそが特徴といえます。

この距離が近い」って、ふたつのことがあります。

 1 演技との距離が近い
ひとつは、舞台上で繰り広げられる演技と客席との距離が近いことです。
小劇場では目の前で役者の迫力あふれる演技が観られます。BAR公演では座席の隣に役者が座って演技することもあります。

オペラグラス片手にみる必要はありません。最前列の席も小劇場では簡単に座れます。

いつもは大きな劇場に出る役者が小劇場に出演した際にお話しする機会があって、「お客さんとの距離が近い!楽しかった」と興奮ぎみに語ってくれたことを覚えています。

2 役者との距離が近い
もうひとつは、ついさっきまで演技をしていた役者と会うことができること、いわば観客と役者との距離が近いとことです。

終演後、多くの団体が「役者との面会」時間を設けます。
役者はロビーや劇場外に出てきますので、直接会って感想を伝え、差し入れやプレゼントを渡せます。
また面会以外にも役者が物販を行ったりお見送りを行う団体もあり、その際に会話ができたりもします。

出演している役者と会話を交わせる時間は観劇の楽しみの一つです。
顔見知りに限らず観客から直接感想を聞きたいという役者もいて、挨拶をきっかけに応援したい役者ができることもあります。中には身近に会える役者をアイドルのように応援する人もいます。

まとめると、
役者と観客が一緒に時間を共有し演劇を身近に感じられる空間
が小劇場演劇でしょうか


で、次回に続きます

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その2 小劇場演劇の魅力のこと

2019年06月25日 | 小劇場演劇への誘い

今回は小劇場の魅力を綴ってみました。

1 笑いや感動が溢れる作品が目白押し! それが小劇場演劇
距離感の近さが小劇場の「魅力」としてよく語られますが、小劇場の魅力はやはり「作品の面白さ」にあります。

〇 作品が面白い!
「それなら大きな劇場でも同じだろう!」

しかし、描きたいものを自由に表現できるといっても、小劇場には小劇場ならではの作品が溢れてます。

演劇では人間が抱える弱さや醜さ、強さや美しさなど、それらを話の幹として掘り下げて描かれることがよくあります。
しかし小劇場での掘り下げ方は半端なく、「多くの人が理解できて受け入れられる作品」が求められる大きな劇場では味わえないものがたくさんあります。
同じように、不条理さや独特な世界観を追求した作品も、小劇場だから上演できるものが多くあります。

コメディや人情喜劇も小劇場ではたくさん上演され、笑いに笑わせてからホッコリさせてくれます。
観客と役者の一体感や盛り上がりは半端なく、大きな劇場にはない笑いの空気に包まれることもしばしば。

そして、これらが廉価で味わえます!

〇 描き方が面白い!
演劇では、同じ空間(板の上)や同じセットで演技をしているのに、今の場面と前の場面ではそれぞれ別の場所の出来事だったり、別の時間のことだったりして、それらが終盤でつながってくることが多くあります。

また演劇では前半で伏線をはって、後半で回収することがたくさんあります。

この全体が見えてきたあたりから加速する「衝撃」や「感動」、気づいたときの「嬉しさ」や「してやられた感」も演劇の楽しみの一つで、描き方の面白さに会えるのも小劇場の魅力です。
大きな劇場ではどうしても「わかりやすい設定・展開」が追求されます。感動しやすいのですが、もの足りなさもあります。

私も大きな劇場でテレビに出る俳優さんが上演する舞台もみます。
演技も上手いし、ストーリーも普通に楽しいです。「有名人みた!」もあります。

でも、頭を殴られた感覚を覚えるほど響いたり、心がえぐられたり、めちゃくちゃ笑ったりする作品に出会えるのは小劇場演劇なのです。

2 演劇を応援できる! それが小劇場

役者が頑張っている姿が伝わりやすいことも小劇場演劇の楽しみです。
小劇場に出演する役者の多くは、演劇だけで生活できないなか演劇が好きで続けています。

そんな役者にとって、劇場に脚を運んで、実際に彼ら彼女らの熱演・好演を観劇することが一番の「応援」になります。
それは、役者扱いの予約をして、観劇して、面会で感想を伝えて、時にはSNSで拡散して、そうしたサイクルの中で実感できます。

また役者だけでなく団体や作演家さんも苦労を重ねています。観劇の回数を重ねていくうちに、お気に入りの団体や作演家さんができて顔見知りになったりするのも楽しみです。なので、小劇場演劇は観るだけでも楽しいし、本来はそれでいいのですが、演劇を応援していることが実感できることも、距離感が近い小劇場の魅力です。

応援している役者さん同士が共演したり、お気に入りの団体さんの公演に出演したりするときは応援してて良かった、その楽しみは相当なものです。

もちろん、楽しい時間を役者や団体と共有するには最低限のマナーがあります。また顔見知りでない役者に声をかけるには勇気がいるかもしれません。一方で「面会」を実施しない団体もごくまれにありますので、ご承知ください。

3 地域とともに発信する! それが小劇場

最後に、小劇場は地域とともにあって、地域とともに発信し広がっていく可能性があります。
街のシンボルの一つとして、劇場の名前が広がり、あるいは、劇団の名前、その団体に参加する役者が広がる。

そんな地域密着型のカルチャーとして、地域とともに発信・発展できる可能性を秘めているのが、小劇場演劇だと思います。

好きな劇場や団体が、地域の顔となって、地域のイベントなどに団体や役者が関わり、その参加者が演劇を観にくる!
そんな、小劇場演劇の姿も、楽しくないですか!

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