<モンスターU子の嘘> 越智月子 著
ゲーム賭博容疑で服役中の詩子、
高級クラブの人気ホステスだった彼女は、政治家からヤクザの親分、
政財界のドンや宗教家など、ねらいを定めた人間を意のままにあやつり
回りからも一目置かれ恐れられている女性である。
刑務所内でも新入りイジメの対象にはならず、自由気ままにふるまうが
看守たちも黙認状態。
彼女を知る人たちの話で生い立ちや性格や悪行が次々と顕わになるが
そのモンスターぶりが想定内で、期待はずれだった。
詩子の抗いがたい悪女の魅力もいまひとつ伝わってこない。
ほんとに恐いモンスターは天使の仮面をかぶってるんですってば~
どこかの書評を読んで期待した分、がっかりだったので
<築地ファントムホテル> 翔田 寛 著
外国客用に明治始めに建てられた和洋折衷の築地ホテル、
当時の贅を尽くしたクラシックホテルで火災がありイギリス人男性の
刺殺体が発見される。
記者兼写真家のイギリス人ベアトと彼に英語を習っている東次郎の二人が
この殺人事件の真相を追うという形の、オーソドックスなミステリイである。
事件当夜、ホテルに宿泊していた外国人たちに話を聞いたり調べたりするうちに
意外な真相が明らかになるが、
時代背景が明治初期の文明開花真っ只中、ひとつの時代が終わり新しい時代が始まる
混乱のなか、どざくさにまぎれて私腹を肥やそうとする輩が出てくるのは歴史の常、いや
人間の業か。
犯人はその犠牲者と言えなくもないが、犯人探しとして読むと、ちらほら怪しい素振りが
見え隠れして、動機はよくわからないが多分この人が犯人、又は、その一味 (笑)
ではないかな~と予想がつく。
あまり詳しく言えないけれど目撃者が外国人だからこそ使えるトリックで
この場合ファントムは幽霊よりも幻想、まぼろし、見間違い(笑)と訳すのが
ふさわしいかも。
久しぶりに歴史のオベンキョーになりました
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます