小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。
そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。
しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。
織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。
初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。
その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった…。
「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。
以上、内容紹介はアマゾンよりお借りしました。
前に読んだ「旅にでるカフェ」に較べると、硬質で緊張感ある文体だし
出だしもしかり。
一ページ目、妙が小さい頃育てていた「さなぎ」が朽ちてしまう描写から始まる。
何となく気持ち悪く胸がザワザワモゾモゾする。
虫が苦手なので余計かも。
このザラザラ触感はおさまらず、ストーリーが進むにつれて大きくなっていく。
そして「橋本さなぎ」が妙のマンションに居つくようになってからは
嫌な予感しかしない。
お話としては、早い段階でゴーストライターもの?!と察しがつくものの
(実は単なるゴーストライターものではなかった・・もうひとつ手が込んでました笑)
そこからの二転三転がおもしろくドキドキしながらページを捲る手がとまらない。
しかし、「速水」は一番怖い。
苦手なタイプ。
したたかで人たらし。
誰もが彼女の掌で転がされる。
理性では翻弄されてるとわかってても止められない、人間の隙が
判ってる人。
手玉取りの名人やね。
でも一番自分に正直な人でもある・・というのが厄介です^^
ラスト、結局一番かっこいいのは「祐」。
そして、シンパシイというか同情禁じえないのが「妙」
さいごの一文が象徴的
「いつだって、自分のことがいちばんよくわからないのだ」
激しく同感。
ここで読者はみ~んな「そうなのよ!」と思うのである^^
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