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夜の向こうの蛹たち

2020-09-14 | 読む

 

小説家の織部妙は順調にキャリアを積む一方、どこか退屈さも感じていた。

そんなある日、“美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。

しかし、文学賞のパーティで対面した橋本の完璧すぎる受け答えに、なぜか幻滅してしまう。

織部の興味を惹いたのは、橋本の秘書である初芝祐という女性だった。

初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。

その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった…。

「第13回エキナカ書店大賞」受賞作家の最新作。

 

以上、内容紹介はアマゾンよりお借りしました。

 

 

前に読んだ「旅にでるカフェ」に較べると、硬質で緊張感ある文体だし

出だしもしかり。

一ページ目、妙が小さい頃育てていた「さなぎ」が朽ちてしまう描写から始まる。

 

何となく気持ち悪く胸がザワザワモゾモゾする。

虫が苦手なので余計かも。

 

このザラザラ触感はおさまらず、ストーリーが進むにつれて大きくなっていく。

 

そして「橋本さなぎ」が妙のマンションに居つくようになってからは

嫌な予感しかしない。

 

お話としては、早い段階でゴーストライターもの?!と察しがつくものの

(実は単なるゴーストライターものではなかった・・もうひとつ手が込んでました笑)

そこからの二転三転がおもしろくドキドキしながらページを捲る手がとまらない。

 

しかし、「速水」は一番怖い。

苦手なタイプ。

 

したたかで人たらし。

誰もが彼女の掌で転がされる。

理性では翻弄されてるとわかってても止められない、人間の隙が

判ってる人。

手玉取りの名人やね。

でも一番自分に正直な人でもある・・というのが厄介です^^

 

ラスト、結局一番かっこいいのは「祐」。

 

そして、シンパシイというか同情禁じえないのが「妙」

 

さいごの一文が象徴的

「いつだって、自分のことがいちばんよくわからないのだ」

激しく同感。

 

ここで読者はみ~んな「そうなのよ!」と思うのである^^

 

 

 



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