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遊行七恵、道を尋ねて何かに出会う

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昔見たドラマのことなど

2021-02-07 18:43:53 | 記録
むかし、佐藤佑介という美少年俳優がいた。
わたしが見たのは昼ドラの「冬の旅」、単発ドラマ「鉄鎖殺人事件」、時代劇「大岡越前」、CM「カンコー学生服」などだった。
昭和50年代の話で、小学生のわたしは毎日昼ドラの「冬の旅」を見たかったが水、金は五時間目があって見ることが出来なかった。
当時はまだビデオは普及せず、その日は帰宅するやいなや隣家のおばちゃんの所へ行ってその日のドラマの展開を聞くのが楽しみで仕方なかった。
現在のわたしはほぼTVドラマも見ないのでえらい違いだが、その頃のくせでか、ネタバレは完全に平気になった。
物語は以前にもブログで書いたが、立原正秋の小説のドラマ化で、非常に人気が高かった。
わたしはこの作品から少年院なるものを知ったが、後に立原作品「恋人たち」「いそしぎ」でも少年院を聖堂として表現することが多く、観念的な憧れがそこに生じるくらいだった。


この表紙は現行のもの。
わたしの所蔵する本は抽象的なものだった。
この表紙絵は作中のカモメたちへの想いを取り上げたもの

主人公の行助の最期についてはもうここで繰り返さない。
数多の小説の中でもそれは特に感銘を受けたが、ドラマではただただ可哀想だった。
その哀れさを感じるのはやはり佐藤佑介が美少年だったからだと思う。

次に昭和56年に浜尾四郎「鉄鎖殺人事件」をモチーフにした単発ドラマがあった。
これは『昭和7年の血縁殺人鬼・呪われた流氷』という副題のついたもので、藤枝探偵を片岡孝夫が演じていたが、このときがわたしの孝夫初見で、完全な一目惚れをしてしまった。
それ以前は草刈正雄、三國連太郎がわたしの中ではトキメキの対象だったが、そこに片岡孝夫が加わったのだ。
今も仁左衛門となったかれを応援し続けているが、本当にこの頃は関西で歌舞伎が廃れていたため、かれはドラマに良く出ていたのだ。

思い出せる限りこのドラマについて記す。
冒頭、網走監獄から脱獄したと思しき鎖を引きずったままの中年男と、その妻らしき女とが官憲が迫る中、流氷の海へ自分たちの身体を鎖でぐるぐるに巻いてそのまま飛び込む。

昭和七年小樽。小樽は北のウォール街と呼ばれる繁栄を見せる土地。
そこでとある資産家の女(松尾佳代)がパーティで自分の養女が歌うのを満足げに眺める。歌は「慌て床屋」。
彼女は東京の音大に行きたいと思うが養母の溺愛から逃れることが出来ない。

そんなある日、彼女はルバシカを着た美青年(佐藤佑介)が屋外で油彩を描くを見る。仲良くなる二人。
かれは啄木の詩を朗読する。
「こころよく我に働く仕事あれ それを成し遂げ死なんと思ふ」
何かしら強い意思の力がかれにきらめく。

やがて資産家の松尾佳代が誰かと姦通していることが会話からわかる。彼女はその秘密を逆に強みにしている。
ところがそれから数日後彼女は鉄鎖でぐるぐる巻きにされた死体となる。
そこで名探偵藤枝(片岡孝夫)と助手(岡本信人)登場。

養女と青年の恋は捗らない。彼女は養母の死の後始末に追われ、探偵ともいろいろ話し合う。
そして二人めの犠牲者が出るが、こちらも鉄鎖ぐるぐる巻き。
探偵の調査からあの脱獄囚とのかかわりがわかる。脱獄囚は夫婦で心中したが、二人には一人の子があることが判明。
その子供による何らかの復讐ではないかと探偵は考察する。

ついに過去の惨劇が明らかにされる。
資産家の女は今の養女の前に一人の女児を養女にしていた。
ある日その市松人形のような子供が着物姿のまま必死で階段を駆け下りる。
それを鬼のような形相で捕まえる。
「何よこれ!」
その子どもの着物の裾をまくりあげて怒鳴りつける。
子どもの世話をしていた女中の婆さんが小さくなる。
女児に見せかけた男児だったのだ。
婆さんは貧しい夫婦から買ったこの愛らしい子どもをここへ送り込んだのだが、女児しかいらない女主人が遂にそれを知ったのだ。
激昂した女主人は剃刀をそこへふるう。

回想していたルバシカの美青年はよろめく。
子どもの受けた非情な禍を知ったものの両親に為す術はなかった。
そして心中した両親と自身の恨みを晴らすため、関係者たちを鉄鎖で縛って殺していたのだった。
逮捕された青年に養女があなたを待つという。
謎が解けても誰も幸せにはならないが、養女の優しい気持ちだけがそこに残る。

細部はさすがに忘れたが、過去に二度だけこのドラマを見て覚えていることを記した。
わたしはこのドラマで
・佐藤佑介との再会
・片岡孝夫に一目惚れ
・昭和初期の小樽の街並みの素晴らしさをしる
・昭和初期の歌曲の良さをしる
・女装男児の受けた惨劇
などなど、今に至る嗜好の道がついたのだった。


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