Intense Rock

エレキギター関連の機材の自作

Guitar Synth化

2014年11月18日 | Guitar

ようやく仕事が少し落ち着いてきたので久々の更新です。

Ibanez FGM200のBridgeを改造しました。このギターのBridgeはLR BaggsのX-Bridge Fixedです。もともとPiezoで遊ぼうと思っていたのですが、最近V-Guitar Forumなどで、GK内臓の記事を読んだらGK化を試したくなってしまいました。



まず、Bridgeを取り外し裏を見ると、LR BAGGS社の場合、基盤が取り付けられており、そこに各SaddleのPiezoからの極細のリード線が接続されています。基盤のパターンは1弦から6弦の信号が合流するようになっていますが、これを削って各SaddleのPiezoからの信号を独立して取り出せるようにします。下の写真はすでに各弦の信号を独立して取り出せるように加工後のものです。写真の赤い線の部分にあるパターンを削る必要があります。なお、2弦と3弦の間にホット用の端子が出てます。何かの拍子にここにアース線が接触する可能性もあるので、ここもパターンを分離させておきます。

 


Fixed TypeのBridgeの場合、このままBodyに取り付けるとリード線がBridgeとBodyの間に挟まれる形となります。さすがに6本のリード線をそのままはさむのはBridgeの安定感もなくなりますし、断線のリスクも生じます。Bodyを少し削るという手もあるのですが、ここでは、X-Bridgeの基盤を少し削ります。下の写真の赤い線の部分をPカッターなどで端から1mm程度を切ります。空いた隙間にリード線をはめ込みます。これでBridgeとBodyがしっかりと接触するようになります。



最後にアース線をBridgeに接触するようにして、Bridgeをねじ止め。Cabity内の6本のリード線をひとまとめにして、JackのHotに、アース線をGroundに接続し、アンプから音出しをします。1弦から6弦まで音が出たら改造成功です。
トレモロの場合は簡単で、単に、各Saddleからのリード線を束ねて、Body裏のスプリングキャビティを経由して弦アース線と一緒にコントロールキャビティ内に引き込むだけです。


次は、GR-20などのDeviceとPiezo PickupをつなぐPreampの制作についてです。
現在、Rolandから販売されているDevided Pickup GK-3は、各弦ごとのMagnet Pickupの信号を、Opampを用いた反転増幅回路で受けます。入力抵抗は820ohm、NFBに10kと約10倍のGain設定です。また、NFBには220pFのCAPを付けたり、過入力用及び、保護回路のDiodeもつけられています。より古いGk-2では、反転増幅回路で、入力抵抗は8.2k、NFBに220kと約20倍のGain設定です。

今回、色々と定数を試してみました。まず、反転増幅回路、0.001uFでLPF、入力抵抗48k、NFBは1MBで試してみました。最初にNFB抵抗は1Mにしたところ、GR-20のsensが5で、思い切り弾くと、入力レベルはピークのひとつ前程度です。ただし、この時点でのPiezoの出力音を聞いてみると、4580で20倍増幅で、少し歪んでます。Piezo特有のシャリシャリ感があまりなく、Piezoというより、Magnet Pickupっぽくなってます。もしかすると、VGに出力する場合は、これくらいの方がいいかも、という妙な期待感も生まれます。
この状態だと、ピッキングの強弱もちゃんと認識してくれます。ただ、乱暴なピッキングだとトラッキングミスが連発します。丁寧に弾けば、ミスはなく、また妙な音程ミスもなし。6弦のレイテンシーも何とか気にならないレベル。

次に、NFB抵抗を470k程度に調整しました。GR-20のsensは6がちょうどよい感じです。出力音は全くのPiezoの音でした。
このことから、LR BAGGSのPiezo Bridgeの場合、反転増幅回路、入力抵抗は48kで受け、NFBは470kの10倍増幅が適切かと思われます。


他にも、入力抵抗を1Mで試しましたが、こちらはノイズがひどく使いものにならず。470kもやはりノイズが気になりました。入力抵抗は47k程度でよいようです。また、Piezoから直接、非反転回路も試したのですが、うまくいきませんでした。理論上はPiezoのインピーダンスを考えると非反転の方がいいかと思ったのですが。

なお、GK-3などにあるProgramm up/down機能は省略。Synth VolumeはRolandのGK-2、GK-3では、+7VをOpampを用いたBufferでコントロールしてGRデバイスに返してますが、私の場合は、Non Bufferedで25kBPotに直接接続で処理。

さらに、GK SignalからPiezo Sound用のSignalを取り出します。各弦のGK Signalを10k経由で合流。それを非反転回路でBuffered、その後イコライザーを経由して、非反転回路で受け、Gk 7Pinにつなぎました。これで、GR-20などのGuitar OutからPiezo Soundが出力されることとなります。
イコライザー部分は、往年のGibson Chet Atkinsモデルの回路を参考にしました。実際の出音ですが、あまり低域のない、パラララという感じです。アコギというよりは、まさに軽いナイロンという感じ。昔インギーがライブで弾いていたサウンドですね。もう少し低音がほしいので、いずれ修正するかも。

というわけで、今のところですが、FIX版の回路図を以下に示します。参考にどうぞ。



13pin JackはSideではなくBack Panelに取り付けました。IbanezのS typeはこういったJackの追加は物理的にほぼ不可能なためこうするしかないですね。プラスチックのBack Panelに13pinの抜き差しということで、おそらく使っていくうちにBack Panelが変形していくのだろうなという予想はしてますが、まぁその時はその時で。

 

一番大変だったのは、実は基盤の面積をいかに小さくするかということです。Ibanez FGM200はコントロールキャビティがおそろしく小さく、改造にあたっては、まずMagnet Pickupの配線を見直すことから始めました。その上で、GKドライブとPiezoプリアンプ+イコライザーの回路を入れこむですが、かなりぎちぎちです。基盤は2.54ピッチで10×31ホールに収まりましたが、これ以上は厳しい感じです。Graphtech社のHexpander+AccosticPreはチップ抵抗などで省スペース化を図っているので、コントロールキャビティがさらに狭く入りきらない場合は、こちらを選択するしかありません。

今回初めてGR-20を触ってみました。思ったよりもトラッキングミスは感じられません。ただし、弦高が低いIbanez FGM200は6弦の場合、ほんの少しのビビりを感知して、ピッキングが行われたものと処理してしまうようです。Ibanezのように弦高が低い場合、少し弱めに弾くなど工夫をしてビビりを軽減させる必要があります。
レイテンシーはかなり気になりました。音色にもよるのですが、弦楽器系で特に6弦ナット付近だと、正直使い物にはならない感じ。皆さんVGの方へ行かれるというのはよく分かります。このレイテンシーでは実戦向きとは言えないかも。GR-55ではこの辺が改善されているのでしょうか。試してみたい・・・

さて、GuitarのSynth化というとかなり大変そうに見えますが、実はそれほど苦労しませんでした。この辺はRolandのGRシリーズのMIDI変換技術の優秀さの賜物でしょうか。素人のPiezo出力回路でもちゃんと変換してくれる、というのは実にすばらしい技術です。

なお、いつもはこんなこと書かないのですが、今回のような改造は自己責任でお願いします。最初のLR BAGGSの改造からデジタル機器への接続用プリアンプなど、今回の改造は失敗するとリカバリーが困難なものとなっています。特に今回、GK-3で見られる2つのDiodeによる保護回路を省略してますが、これは本当はあった方がいいかもしれません。これはおそらく13pinケーブルの内部でショートがあった場合のためのものと思われます。内部では、+-7Vが通ってますが、これらが、信号ラインに入った場合、最悪の場合(というかほぼ確実に)GR側の回路が破損されることとなるためです。他にもちょっとしたショートであっというまにGR本体がおしゃか、という可能性はあります。今回の記事を参考にされる方は、十分にこの点を注意してください。

今度、動画もアップしたいと思います。とりあえずこんな感じで。



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