2013年11月29日(金) 午前10時~12時
街路樹の紅葉が美しい季節になりました。今日は気持ちのよい冬晴れ、青空に向かい深呼吸をして初冬の空気を胸一杯吸い込みました。
思い起こせばちょうど1年前、11月の最終金曜日に第1回目の読書会が始まりました。あれからもう1年が経ったんですね…。そして今日は市立図書館での平成25年度・第4回目の読書会です。
今回取り上げた本は、向田邦子の 『父の詫び状』 です。向田邦子というとテレビドラマの「寺内貫太郎一家」や「だいこんの花」などのホームドラマの脚本家して有名ですが、そんな向田邦子が書いた第一エッセイ集がこの 『父の詫び状』 です。
宴会帰りの父の赤い顔、母に威張り散らす父の高声、朝の食卓で父が広げた新聞…だれの胸の中にもある父のいる懐かしい家庭の息遣いをユーモアを交じえて見事に描き出し、“真打ち”と絶賛されたエッセイの最高傑作。≪向田邦子は突然あらわれて ほとんど名人である≫ 山本夏彦は雑誌の連載時評にそう書きました。向田邦子が 『父の詫び状』 で不意に文筆家として登場してきた時、彼女はすでに完璧なスタイルを持っていた。( 文春文庫 解説より)
『父の詫び状』の中には、戦前の昭和というひとつの時代が息づいています。両親や祖父母の生きた時代はこんな暮らしだったんだろうな・・・と、 懐かしいような愛おしいような思いで読みました。火鉢、湯タンポ、ニッキ水、カルメ焼き… ページをめくると、セピア色のむこうに楽しい向田家の暮らしが見えるようです
時計の針が10時を指しました。いよいよ読書会のはじまりです。参加者の皆さん5名、スタッフ3名。計8名での読書会です。
まず始めは順番に本を読み、その後 皆さんから感想を述べていただきました。皆さんそれぞれに印象に残るところもさまざまです。他の方の感想をお聞きするのはなんとも楽しいものです。自分は素通りしていた短い一文に深い感動を感じられる方がいたり、「そうそう!そこいいですよね~!」とまったく自分と同じ箇所に感銘を受ける方がいらっしゃったり…。同じ本を読んでも人それぞれに感じ方が違い、各自の想いと重なる部分がいろいろあるんだなぁ…と改めて思います。
皆さんからの感想を一部ご紹介します。 「日本語の美しさを再確認した」 「父と娘(向田邦子)の関係が素晴らしい」 「こんな短いエッセイの中にいろいろなことが散りばめられている」 「いい本に出合えて良かった。もう一度読み直してみたい」etc・・・
楽しい時間はあっという間に過ぎるものです。 読書会終了の時間がきてしまいました。この2時間は、向田さんが子ども時代を過ごした昭和初期の懐かしい時代にタイムトリップしていたような気がします…。読書会のあと、心の中にあたたかいものが広がりました。参加者の皆さま、ありがとうございました。
次回は、新年1月17日(金) 午前10時~12時 吉野せい著 『洟をたらした神』 です。 (大宅壮一ノンフィクション賞、田村俊子賞を受賞) 吉野せいが70歳を越えてからペンを取った珠玉の作品です。ぜひお読みになってみてください。
12月1日(日)から図書館で申込みを受け付けております。電話でもお受けしておりますので、電話の方は図書館048-984-1888までお願いいたします。 読書会で使用する本は図書館で用意しておりますので、お気軽にスタッフまでお申し込みください。なお図書館では、読書会に関連した展示も開催中です。ぜひお立ち寄りください。