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アメリカが描く日本切り捨ての代理戦争シナリオ

2023-09-01 23:14:12 | 政治と日本

全文お借りした)

かなり「的を射た」内容の意見だと思ったので保管用に拝借した

 

アメリカ側から東アジア情勢を考えれば結論は見えてますわな

結局のところアメリカは(アメリカが悪いわけじゃ無いです)ロシアや中華との直接武力衝突はしたくない(しない)

自国を攻撃された時は仕方なしにやるだろうが、他国の事でそうなるのは避ける

中華やロシア、特に中華との関係はある時期最悪になったとしても、いずれ修復は出来るし、「お互い大国同士」という関係で貿易関係を取り戻すのは難しい話では無い

 

なので、アメリカは「天秤に懸けて」「自国最優先戦略」を取るのは間違いないって事ですな

欧州との関係はそういう訳にはいかないが、今後の世界情勢は最悪「アメリカあるいは英米の孤立」もあり得るんじゃないかと迄思える

 

欧州・EU各国は場合によっては自国の利益優先政策=中華、ロシア容認に動く可能性は十分あるからな~

 

中東・イスラム、アフリカ、南米諸国は決してアメリカ様様じゃ無いって事ですな

東南アジア、サウスアジアも同様

 

ってことでニッポン消滅危機も?

 

 


有事のシグナルは“米軍基地撤収” アメリカが描く日本切り捨ての代理戦争シナリオ


 2023年、台湾有事の声が高まりアメリカと中国の覇権闘争が激化。「2022年12月に岸田政権が閣議決定した新しい安保関連3文書はアメリカとの綿密な擦り合わせのもとに出てきたことは確実」と政治学者の白井聡氏は言う。核攻撃のリスクも浮上し、日本では限りなく戦時中に近い緊張感が漂っている。同氏と哲学者・内田樹氏の新著『新しい戦前 この国の“いま”を読み解く』(朝日新書)では、台湾有事における今後のアメリカの対応が議論されている。同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。

*  *  *

■敵基地攻撃能力の実像
白井聡(以下、白井):まず、アメリカは台湾有事でどうするのかという議論を深めましょう。アメリカはいろいろな可能性を検討し、必要な時に必要なシナリオを選べるように事前に仕込んでおくということをする国だと思うのです。この観点から見ると、日本が敵基地攻撃能力を持ち、事実上の先制攻撃をできるようにしたのは、非常に大きな意味を持っていると思われます。

 どういうことか。日中でドンパチが始まった時にはアメリカが助けに来るはずである。来ないと「同盟国を見捨てるのか」という話になるから確かに大変なことになります。けれども、アメリカは助けないという選択肢を取れるようにしておきたいのです。どうしたらそれができるか。手を出した日本に正当性はないという状況を作ればいいわけです。

 日本政府は敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えました。そして、「今まさに敵国が我々に向かってミサイルを発射しようとしている。その攻撃を阻止するために我が方が先にミサイルを飛ばすなりして破壊するのはあくまで反撃で、防衛のうちだ」と言っています。つまり、先制攻撃でも専守防衛になると。

 確かに理屈としてはそう言えるかもしれません。けれども、この政府見解には明らかに無理があります。今まさに発射しようとしているのをどうやって知るのかという大問題があるからです。

 結局、その情報はアメリカに全面的に依存することになります。つまりアメリカは、日本に対して本当のことを教えることもできるし、間違ったことを教えることもできるわけです。仮に本当のことを教えたとして、「今まさにミサイルを発射しようとしているぞ」とアメリカから教えられ、日本が敵基地を攻撃したとします。当然、敵国は「不当な先制攻撃だ」と猛反発します。日本は「お前たちがミサイルを発射しようとしていたのだから正当な防衛だ」と主張する。敵国は「そんなことはしていない、証明しろ」と言ってくる。日本は客観的証拠を持っているアメリカに「出してくれ」とお願いする。そのときアメリカは、その証拠を出すこともできるし、出さないこともできます。

 つまり、アメリカは梯子をかけて先に日本を上らせて、後から一緒に上ることもできるけれども、スパッと梯子をはずして知らん顔もできるわけです。「日本が勝手に国際法違反の先制攻撃をしただけで、そんな国を助ける義理はない」と言えるオプションを、アメリカは日本の新しい安保関連3文書、それに基づく岸田大軍拡を通じて仕込んだのではないでしょうか。

内田樹(以下、内田):なるほど、それは面白い仮説ですね。日本が勝手に国際法違反をしたということになると、日米安保条約を発動する責任はまぬかれることができる。そうですね、アメリカの賢い軍略家ならそれくらいのことは考えるかも知れない。

 でも、仮に日本が国際法違反の先制攻撃をした場合でも、敵国から反撃してくる場所はどこかという問題があります。どこにミサイルが飛んで来るのか。当然ながら、本気の戦争だということなら、ミサイルが飛んでくるのは非戦闘員がいるところではなく、まずは米軍基地です。戦争なら当然反撃戦力が集中している米軍基地を叩く。でも、当然そこにはアメリカ市民がいる。米軍基地が攻撃されたときに、米軍兵士だけでなく、その家族や関係者を含めてアメリカ市民から多数の死傷者が出るということになると、これは「日本が勝手に始めた戦争だから、オレたちは知らない」と言い抜けるわけにはゆきません。反撃せざるを得ない。米軍基地が攻撃された場合には「梯子をはずす」という手は使えない。

 日本にミサイルが撃ち込まれたのだが、なぜか米軍基地だけは標的から除外された……という複雑怪奇なシナリオもあり得るかも知れません。自衛隊基地や大都市や原発にミサイルを撃ち込んで、日本人だけを殺傷するのだが、米軍基地には手を出さない。でも、そのシナリオが成り立つためには「その国とアメリカで事前に話がついている」ということが前提になります。でも、さすがにそこまで手の込んだことをして日本を破壊するインセンティブはアメリカにはないと思います。

 日本が偶発的にどこかと戦争を始めてもアメリカに累が及ばないためにどうすればいいか。答えは簡単です。「日本列島から米軍基地を撤収すること」です。このシナリオはもうだいぶ前から検討されているはずです。岸田政権に軍事予算を上げさせて、大量の兵器を買い込ませ、南西諸島に防衛線を築かせているのは、あれは実は「アメリカのリトリート(退却)」プランの一部ではないかと僕は思います。日本国内の米軍基地を撤収して、米軍の対中国・北朝鮮の前線をグアム・テニアンのラインにまで下げるというプランはオバマの時代に検討されていました。


 安保法制の時も、今回の安保関連3文書でも、日本の左派・リベラルは「日本がアメリカの戦争に巻き込まれるリスク」だけに注目していますが、アメリカは「どうやって日本をアメリカの戦争に巻き込むか」を考えると同時に「どうやって日本の戦争にアメリカが巻き込まれないか」も考えているはずです。自国益を優先するなら、両方考えて当然です。

 万一台湾有事になり、日本国内の米軍基地が攻撃されたら、アメリカは中国との戦争にコミットせざるを得ない。その最悪の事態を回避するためには、できるだけ中国から遠いところまで米軍基地を下げて戦争に「巻き込まれる」リスクを下げることです。誰が考えてもそうです。

白井:純然たるウクライナ状態ですね。日本だけに代理戦争をさせて敵対的な大国・中国の力を削ごうというのですから。

■米軍基地撤収が有事のシグナル
内田:アメリカの国益を優先したら、日本国内の米軍基地を全面撤収するのが「正解」なんですけれども、それが簡単にはゆかない。それは日本国内の大型固定基地が在日米軍の利権だからです。沖縄の基地のことを米軍はキューバに所有しているグアンタナモ基地と同じような「植民地」だと思っている。自分たちが血を流して戦って手に入れた土地だから自分たちのものだと思っている。グアンタナモ基地は米西戦争の時の「獲得物」です。もう100年以上米軍が占拠したままです。租借料は年額わずか3386ドル。キューバはずっと返還を求めて、租借料の受け取りを拒否していますが、米軍は返す気がない。グアンタナモ基地は国際法もアメリカの国内法も適用されないで、米軍法だけが適用される事実上の治外法権の空間です。だから、捕虜を拷問するような国際法違反をしても処罰されない。米軍にとってはたいせつな利権です。

 沖縄基地も規模や程度は違いますが、本質的には「グアンタナモ基地化」している。沖縄では米兵が罪を犯しても日本の司法権が及ばない、ほとんど米軍の「租界」です。さらに基地の管理運営コストは日本政府が「思いやり予算」で潤沢に提供してくれる。こんな美味しい利権を米軍が手放すはずがありません。

 しかし、その一方で、軍事は急速にAI化しています。これからの戦争はAIテクノロジー、ドローン、ロボット、さらにサイバー空間や宇宙空間にシフトしていきます。もう大型固定基地、巨大空母、有人戦闘機の時代じゃない。ホワイトハウスとしてはこういう古い軍隊を整理して、浮いた予算で軍事のAI化を進めたい。そうしないと中国とのAI軍拡競争に勝てない。

 つまり、日本列島に米軍基地がない方が台湾有事を含めて「戦争に巻き込まれるリスク」は低減できる。AI軍拡という軍略のシフトとも整合する。中国とのネゴシエーションもし易くなる。どう考えても、在日米軍基地は「無用の長物」になりつつある。

 すでに、ホワイトハウスは在韓米軍基地の規模を最盛期の3分の1に縮小し、戦時作戦統制権も韓国軍に返しました。朝鮮半島において「戦争に巻き込まれるリスク」を効果的に切り下げました。フィリピンのクラーク米空軍基地とスービック米海軍基地は、かつてはアメリカの海外最大の基地でしたが、これも1992年に返還されました。中国の東シナ海、南シナ海への進出に対抗して、フィリピン政府の要請でアメリカ海軍が一部駐留していますが、これもあくまでフィリピン政府の要請によってであり、いざという時にはたぶんそっと逃げ出すでしょう。

 全体の文脈としては、西太平洋の米軍は「撤収」の方向にある。その中にあって、在日米軍基地だけが動こうとしない。この点について、ホワイトハウスと在日米軍の間には、かなりシリアスな葛藤があるのではないかと僕は思っています。

 ご存じの通り、アイゼンハワー大統領が1961年の退任時に批判したように、アメリカには「軍産複合体」という巨大な利権団体があって、政府の国防政策に深く関与しています。しばしばホワイトハウスのめざす方向と軍産複合体のめざす方向の間には「ずれ」があります。軍産複合体としては、世界のどこかに軍事的な緊張があって、中強度の戦争が絶えず行なわれていることが、自分たちの存在理由を確かなものとするためにも、兵器産業の売り上げを確保するためにも望ましい。

 軍産複合体はつねに軍事的緊張を望みます。世界が平和になってしまったら、軍隊には存在理由がなくなるし、兵器産業はマーケットがなくなってしまう。そうは言っても、アメリカが直接戦争の当事国になる事態は避けたい。よその国で、よその国民が殺し合う戦争が軍産複合体としては最も望ましい。

 しかし、西太平洋で、今この軍産複合体の伝統的な考え方に従ってふるまうことは、リスクが高すぎます。中国との直接戦争が始まるリスクが高まりますから。だから、軍産複合体にとりすがっても、「それだけはやめてくれ」というのがホワイトハウスの本音でしょう。

 とりあえず、米軍が偶発的な戦争に巻き込まれないためには、韓国と日本には「もう米軍基地がない」という状態が望ましい。これを実現するためには、現地軍の高度化が必要となる。米軍がいなくなっても、日韓は米軍がいるのと同じくらいの防衛力がある国になって欲しい。アメリカがさかんに日本に「兵器を買え」「基地を作れ」と言ってきているのは、そのためだと思います。

 在日米軍は何があっても日本にある米軍基地利権を保持し続けたい。兵器産業は日本政府が兵器を山ほど買ってくれるなら別に在日米軍基地なんかなくても構わないと思っている。ホワイトハウスはグアム・テニアンの線まで米軍を下げたがっている。つまり、日本国内に大型固定基地を維持したいと願っているのは在日米軍だけということです。

 でも、その在日米軍が日米合同委員会を通じて「米軍の意思」をあたかも「アメリカの国家意思」であるかのように日本政府に吹き込んでいる。だから、日本政府はアメリカがいったい自分たちに何をさせようとしているのかがよくわからないでいる。アメリカの国家意思と在日米軍のローカルな利権が日本においては混同されている。

 でも、本当に台湾有事であれ半島有事であれ、危機が切迫してきたらアメリカは厚木や三沢基地からそっと航空機を撤収し、横須賀基地からそっと戦艦を撤収し、在日米市民をそっと帰国させる……ということをすると思います。在留市民の保護という名目で大艦隊を組んで市民を運搬し、その護衛に戦闘機を飛ばして、そのままグアムかハワイまで下がってしまう。そして、日本政府はそのときになってもまだ何が起きているのかわからない……。

白井:確かに米国内のアクター間にも相当な利害の相違、矛盾がありますよね。一説によれば、アメリカやイギリスは、ロシアがウクライナに侵攻する以前に、ウクライナに軍事顧問団を送ってウクライナ軍のグレードアップを図っていたそうです。けれども、ロシア軍が攻め込んで来るや否や、彼らは逃げ出したそうです。つまり、事実上NATO加盟国としてウクライナを扱っておきながら、正規の加盟国ではないから、いざ事が起こったら見捨てて逃げ出した。実は、日本とアメリカの関係はこれに近い。安保条約はあるけれど、NATOのような集団的自衛権に基づく厳格な共同防衛義務をアメリカは負っていません。ですから、米軍基地を日本からなくせば、日本をウクライナと実に似た状況に置くことになりますね。だからこそ、日本の外交防衛関係者は、何が何でも米軍の駐留を続けて欲しいと願っているようにも見えます。

●内田 樹(うちだ・たつる)

1950年東京都生まれ。神戸女学院大学名誉教授、昭和大学理事。東京大学文学部仏文科卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論など。神戸で哲学と武道研究のための私塾凱風館を主宰。合気道七段。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』(新潮新書)で第3回新書大賞、執筆活動全般について第3回伊丹十三賞を受賞。

●白井 聡(しらい・さとし)

1977年東京都生まれ。思想史家、政治学者。京都精華大学准教授。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。著書に『永続敗戦論─戦後日本の核心』(講談社+α文庫、2014年に第35回石橋湛山賞受賞、第12回角川財団学芸賞を受賞)をはじめ、『未完のレーニン─〈力〉の思想を読む』(講談社学術文庫)など多数。


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