おざわようこの後遺症と伴走する日々のつぶやき-多剤併用大量処方された向精神薬の山から再生しつつあるひとの視座から-

大学時代の難治性うつ病診断から這い上がり、減薬に取り組み、元気になろうとしつつあるひと(硝子の??30代)のつぶやきです

バーネイズとワトソンにみる心理学の応用としての広告

2024-08-08 06:48:54 | 日記
オッペンハイマーは、

「物理学者は罪を知ってしまった。
このことは消し去ることの出来ない知識である」
と、原爆を作った後に、後悔の念を表現した。

オッペンハイマーは「原爆の父」と呼ばれるが、
「PR(広報活動)の父」として知られている、バーネイズは、「PR」ということばを作った後に、心理学が罪を知ってしまう過程を私たちに、みせてくれるようである。

なぜなら、民主主義を残酷に扱い、貶める政治プロパガンダのための有害な武器を作ることに、心理学は手を貸したからである。

意地悪な言い方をすると、広告とは、人々を騙してもともとは欲しくもなく、必要もないものを買わせる技法であり、政治広告とは、国民に悪い考えであっても売り込み、国民のことを大切に思っていない政治家をも、支持するように仕向ける技法である。

広告は、心理学の応用である。

扁桃体が司る無意識の感情を操作するために、大脳皮質による意識的で理性のある思考プロセスを回避することによって、広告は、機能する。

19世紀後半、心理学理論(精神分析、行動主義、社会心理学など)の急増が、そのような理論の、消費財売り込みへの活用(→誤用かもしれない......)に繋がった。

さらに、この数十年、心理学は、政治の嘘を売り込むことに誤用されてきたのである。

実際に、バーネイズが、「PR」ということばを作った理由は、それまで使われており、実体も伴っていた「プロパガンダ」ということばよりも、「PR」ということばの方がずっと洗練された響きが在ったからである。

フロイトの甥であるバーネイズは、精神分析学、行動主義、集団心理学に由来するテクニックを組み合わせ、企業の経営状態を改善して大成功を収めた。

バーネイズの基本的な着眼点は、
「集団心理のメカニズムと動機を理解すれば、大衆に気付かれずに、私たちの意志にしたがって大衆を管理し、統制することが出来るのではないか」
というものである。

これが、独自の専門技術に繋がった。

つまり、「同意の操縦」によって、消費者の行動に働きかけるのである。

バーネイズは、ファッション、食品、石けん、タバコ、書籍など、数多くの消費財の大衆消費者向けのマーケティングのパイオニアであった。

彼の巧みな演出によって、公共の場で女性がタバコを吸う姿は、不品行の気配もなく、かえって、ファッショナブルで道徳的に正しく、適度にセクシーであった。

それは、タバコのパッケージを、毎年の流行色に合わせて作るように提案することと、1929年のニューヨークで行われたイースターパレードで、小さな「自由のたいまつ」と謳われたラッキーストライクを持った美しいモデルを披露するように演出することだけで、実現してしまったのである。

また、バーネイズは、有名人やオピニオンリーダーによる製品の推奨というコンセプトを考案した。

バーネイズは、
「意識的な協力の有無にかかわらず、リーダーたちに影響を与えることが出来れば、リーダーたちが感化する集団にも自ずと影響を及ぼすことができる」
と述べている。

1871年から20年にわたり、アメリカ各地を巡業したサーカス「地上最大のショー」の興行者として有名な、P・T・バーナムとバーネイズは似ているかもしれない、と思う。

2人とも、「簡単に騙されるカモはいくらでもいる」と考えており、また2人とも、そう信じた結果裕福になったのだから。
......。

バーネイズとほぼ同じ頃、ジョン・ワトソンも心理学理論を広告という金貨に変え、思わぬ大成功を収めた。

彼の立身出世物語も、アメリカだからこそ実現した。

貧しいが、大きな希望を持った青年は、優れた教育に恵まれ、アメリカで最も有名な心理学者にまで登りつめたのだが、その後、すべてを投げ打ち、新たに急成長を遂げる広告業界に入り、会長として富を築いたのである。

ワトソンは、パブロフの研究である、犬の条件づけを、人間に拡大して解釈し、自覚した意識を回避して潜在意識に働きかける手法によって、人間の行動に大きな影響を及ぼせることに気付いた。

彼は、この手法を「行動主義」と呼んだ。

それは、行動主義が意識の複雑さや、人間の心、に関心を向けない、あるいはそれらを評価しないからである。

そして、ワトソンは、人間も犬も同じように操ることが可能だと主張するのである。

ワトソンは、行動をコントロールする自分の手法を用いて、人々に商品の購入を促した。

例えば、今や、私たちにお馴染みの「コーヒーブレイク」というものを考案して、Maxwellのハウスコーヒーを売り込んだのも、バーネイズである。

ワトソンは、「行動心理学と現代広告の父」として、大量消費主義に科学的な手法を取り入れたのである。

消費者向けの広告用に開発された手法は、政治プロパガンダという世界でも、極めて大きな効果を発揮した。

ヒトラーの代弁者であったゲッペルスは、心理学での学位は取得したことはなかったものの、その手法を、注意深く研究していたのである。

そのことを、バーネイズは、
「ゲッペルスは、私の著書『Crystallizing Public Opinion(世論の結晶化)』を根拠として活用し、ドイツにいるユダヤ人に対して、破壊的な活動を行った。それを知って私は衝撃を受けた」
と述べている。

心を操る武器が、政治闘争に利用され、ひいては、戦争という悲劇すら、引き起こすという事実を、この時期に見つめ直したい。

ここまで、読んで下さり、ありがとうございます。

今日も、頑張り過ぎず、頑張りたいですね。

では、また、次回。


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