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yokkieの気になること

障害者・児童福祉のことが多くなるかな

保育園と子育て支援施設 大きな場所と小さな場所

2014-05-25 17:04:28 | 福祉
今の職場だと、保育園や子育て支援施設によく行くが、事務職の自分にとって、
居心地には大きな違いがある。

簡単にいうと、保育園は居やすく、子育て支援施設は居心地が悪い。

これは致し方のないことで、保育園にいるのは職員と子どもだけ。
しかも、子どもの方が圧倒的に多い。保育園の子どもは大人になれており、
先生はどうしても忙しく、構ってほしいと思う子がいる場合も多い。
たまにしか来ない男性のおじさんは興味を引く対象だ。
保育士もちょっと見ててもらって助かるくらいの時もあるかもしれない。

これに対し、子育て支援施設は親子が一緒におり、子どもを連れていない
ネクタイを締めた人は、何か仕事できた事務の人だなとしか思われない。
基本的にはお呼びでないので、用件だけを済ませて戻ることも多い。

本当は、様子をみていることでいろいろなことがわかってくるのだが、
子育て支援施設で実行するには、ハードルを越える気持ちが必要になる。

ここで子育て支援施設の規模が結構影響してくる。
小さな施設ではハードルが低く、大きな施設ではハードルがはるかに高い。
そうだよな。大勢の人が過ごしている場所では、自分は石ころのような存在に
なりがちで、小さなところでは石ころでも誰もが存在に気付くのだ。

これは利用する人の一部にとっても同じなのかもしれない。
すでに知り合いがいたり、目的意識をもって利用する多くの人にとって
どちらも楽しく過ごせる場だろう。でも、その場に居ていいのかなと
ついつい考えてしまう人にとって、大きな場所に居場所をみつけるのは
難しい場合もあるだろう。

小さな場所にもそれなりの良さがあるんだけど、大きな場所も
もっと居場所をみつけやすい場所にできる工夫はなんだろう。

「マイソーシャルストーリーブック」を読んで

2014-05-25 16:31:55 | 福祉
「マイソーシャルストーリーブック」 キャロル・グレイ&アビー・リー・ホワイト:編著 安達潤:監訳

先日読んだ、「お母さんと先生が書くソーシャルストーリーTM 新しい判断基準とガイドライン」
(以下、「ソーシャルストーリー」と表記)の著者であるキャロル・グレイの著作。

「マイソーシャルストーリーブック」(以下、「ストーリーブック」)の方が先に書かれており、
日本でも先に出版されている。

「ソーシャルストーリー」が書き方の定義とガイドブックで、実際のストーリーは文例として
ほんの少しだけ掲載されていただけなのに対し、「ストーリーブック」はストーリーの意義に
ついて簡単な説明はあるが、多くのストーリーの書下ろしがほとんどを占めている。

自閉症特性に配慮し、構造化とエンパワメントに心を砕いたストーリーは、
ベストかどうかはわからないが、ただ普通に話すよりも、少なくともベターなコミュニケーション
手段になるだろう。

今現在、身近な世の中のことについてうまく説明することができずに困り果てている親にとって、
この本はすぐに役に立てることができる。日常生活や外出などの多くの場面についてのストーリーが
掲載されているので、今一番伝えたいストーリーを対象の子ども向けにアレンジするだけで
十分に役に立つだろう。効果を実感しつつ、さらにストーリーを展開、活用しようとしたとき、
「ソーシャルストーリー」のようなガイドブックが必要になったのだと理解できる。

しかし、私のように現在直接支援するわけではない、自閉症児とその支援について理解を
深めたい人間にとっては、「ソーシャルストーリー」を読んでから「ストーリーブック」を
読んだのは大変理解の助けになった。

「ストーリーブック」の内容はストーリーの具体例としてわかりやすい。
それだけなく、実際の支援を数多く経験してきた著者の書いたストーリーをまとめて読むことによって、
どのようなシチュエーションが自閉症児にとっての課題となる場面なのかも知ることができた。

さらに、私にとっては、吟味された文章を読み重ねることで。著者が子どもに向ける愛情のある
眼差しが伝わってきて、笑顔になれる本であった。

このストーリーは日本でどの程度用いられているのだろうか。いや、私の身近な支援の場で
どの程度こうした試みがされているのかが気になった。今度聞いてみようか。


「高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て」を読んで

2014-05-21 23:33:21 | 福祉
「高機能自閉症・アスペルガー症候群「その子らしさ」を生かす子育て」 吉田友子 著

著者は精神科医で、現在は「よこはま発達クリニック」勤務。本書は高機能自閉症スペクトラムの幼児を育てる保護者向けに書かれているが、幼稚園・保育園・小学校・療育機関などの職員が活用することも意識して書かれている。

最初に、高機能自閉症スペクトラムに対する正確な知識が、育児に役立つことに触れ、症状、合併しやすい障害などを例も挙げて具体的に説明している。

第2章「発達の特性から育児を考える」では、コミュニケーション障害、社会的イマジネーション障害、社会性の障害という、いわゆる三つ組の障害に合わせたアドバイスとQ&Aからなっている。例えば、コミュニケーションを育てる項目の一つとして「受信を伸ばす」を挙げ、配慮の仕方を具体的に挙げている。と同時に、発達の段階、個々の特性に応じて目標も対応も異なるよということを繰り返し伝えている。

障害特性に合わせた配慮という際、この障害はこうするといった紋切り型のやり方の危険性について、個々の状況に応じた対応の重要性について、個別の説明の中で丁寧に何度も伝えることは、何かにすがりたい感情になる(障害児の保護者に限らず)親にとってとても大切なことだと思う。さらに、子どものことを一番知っている保護者だからこそできることがあるというメッセージを添えている。

最終章は、相談すべき相手の見つけ方、きょうだい児への配慮、「最後にあなたに伝えたいこと」の3点で構成されている。きょうだい児への視点は、最近ようやく扱われることも多くなってきた課題だ。この本でも親のできる範囲でという部分に配慮した伝え方をしている。そのとおり、障害児を持つ親にとって、きょうだい児への配慮は困難な課題であり、支援の仕組みを作る取り組みはうちの自治体でもまだまだ弱いんだよなと考えさせられた。

「最後にあなたに伝えたいこと」のメッセージは、多くの保護者に接してきた著者の保護者への応援メッセージだ。
親だって一人一人違うよね。
障害受容って言葉ってなんなんだろうね。

お母さんと先生が書くソーシャルストーリーを読んで

2014-05-11 21:58:33 | 福祉
「お母さんと先生が書くソーシャルストーリーTM 新しい判断基準とガイドライン」キャロル・グレイ著 服巻智子訳・解説

ソーシャルストーリーは、キャロル・グレイが開発した、自閉症スペクトラムの子どもに社会や人のことを伝える技術で、確実に書けるようにスタイルが定義されている。

この本で、キャロルはストーリーを10の定義にガイドライン化していて、これを順番に確認していけば、ストーリーを書けるように(確認できるようにかな)作られている。

数多くの経験に裏打ちされているため、説明の中でなるほど、そういう誤解を生んだり、嫌な思いをさせてしまったりすれるんだなと納得しながら読むことができた。

また、わかりやすいと同時にほめることの重要性が強調されており、いかに子どもたちが注意され命令され自信を失っているかということに思いを巡らした。

しかし、この本がテキストとしてだけでなく、読み物としても素晴らしいのは後半の解説と本人や保護者の手記があるからだ。

服巻は、学会でのキャロルの発言や、訳者自身がイギリスで学んでいた時のこと、実践の展開を伝えている。そこからは、自閉症スペクトラムの人も定型発達の人も社会的に対等だという強い思いがポジティブに伝わってきた。

そして子どもたちと家族の手記からは、わかりやすいこと、認められることの大切さを実感した。

読了後に笑みが残る感覚になるのは、自閉症スペクトラムの子どもたちへの愛が満ちた内容だからなのだろう。

ソーシャルストーリーの効果は読んだだけではわからないが、その取り組みをこの地域でも取り入れて行きたいなと思わせる本だ。いや、市の療育施設でも取り入れていて、知らないだけかもしれないが。





「これでいいのか保育園」を読んで

2014-05-05 16:41:32 | 福祉
「これでいいのか保育園 お父さん奮戦記」池田 泰 著

古書店を営む著者が娘の保育園入園をきっかけに、父母会活動、親子親睦、さらには保育園のあり方を考える委員会に関わっていくなかでの出来事、感じ考えたことを書いている。

社会福祉の基礎知識プラス勉強した上で書かれており、何と言っても率直な意見が興味深い。さらに私の働く自治体の話だったのでなるほどなあと学ぶところもあり、一気に読了した。

率直な意見と言っても、現実的な意見が多く、極端な偏りがないので、多少考えが異なる部分もそういう意見もあるよなと素直に考えることができる。

特にアンケート調査の見せ方の恣意性への考察や、委員会の意味の捉え方は、こういうことができてる人って以外に少ないんだよなあと感じているところなので、「そうそう」とうなづいてしまった。

著者にはこれからも地域で活躍いただきたいなという思いと、地域の保育園の意味を職員が考えるようにしていけるように微力ながら頑張ろうと改めて思った一冊でした。