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『旅する駅前 それも東京で!?』を読んで

2015-07-05 17:53:21 | 本(一般)
『旅する駅前 それも東京で!?』  著:カベルナリア吉田  彩流社 2010年

沖縄や離島を旅する本を主に書く著者が、初めて東京を旅して書いた本。東京でも、地味な沿線、駅前ばかりを選んで歩き、食べ、地元の人と話している。自分の住んでいる沿線も載っていたので思わず借りたのだが、意外な掘り出し物だった。

まずもって扱われないであろう目立たない駅前を歩く。ある意味マニアックな対象を選びながら、歩き回り方はある意味普通で、ひたすら歩き、食べ(たまには買ったり、散髪したり)、お店の人たちとの会話を楽しむ。文章も冗長さのないシンプルな文章で書かれているので、一駅ごとはちょっと物足りないくらい短く収まる。でも、何気ない交流にちょっと心が動かされるのはなぜだろう。何かを狙っているのではなく、素直に訪れた先での出来事や交流を楽しむ著者の姿勢があるから、そこに普通なようでお店の人にとっては普段はない来客との交流が生まれていると感じた。

そうなんだよ、そんな地味な地域に外からの来客は少なくて、しかも用件を済ますだけじゃなくてその場所に関心を持ってくる人なんて実際はそんなにいないんじゃないかな。そこで生まれる交流は、だからちょっと惹かれてしまう。人見知りの自分にはなかなかできないけれど、物好きな行動なんだけど、ちょっと憧れを感じてしまう。その地域への小さな関心や愛着を起こさせるものがある。

東京でも、こんな旅ができるんだな、東京も捨てたもんじゃないな。著者のそうした思いがそのまま自分の感想になる本だった。