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障害者・児童福祉のことが多くなるかな

『子どもの発達障害と情緒障害』を読んで

2015-05-31 22:24:16 | 福祉
『子どもの発達障害と情緒障害』健康ライブラリーイラスト版 講談社  杉山登志郎:監修 2009年

 発達障害について、発達障害や虐待の問題では著名な杉山氏が監修した本。健康ライブラリーイラスト版とあるとおり、イラストをふんだんに使いながら、杉山氏もまえがきで書いているとおり、子どもの発達の問題と情緒的な混乱の複雑なからみやいを優しく解説し、解決に向けた道すじを示した本となっている。

 今まで杉山氏の本は、関係者に向けた本や社会への提言、専門誌への寄稿など、比較的難しい部分があったり厳しい論調だったりというものを目にする機会が多かった。それらも内容的には示唆に富み、保護者と子どもが少しでも困難な状況から立ち直り、その子なりの育ちを保障できるようにという熱い気持ちが伝わるものであったし、豊富な臨床経験からデータも使用して説得力のある本だったが、この本では、保護者に向けた優しいまなざしが感じられたのが、なんとなく嬉しく読めた。

 発達障害という言葉は多くの人が知るようになり、情報を得る機会も、療育などを受けられる環境も整いつつある。もちろん、発達障害への理解が深まっても、わが子の障害について前向きに理解するためには大きな壁がある。そして、発達障害であることを理解したとしても、発達障害というとその障害特性ばかりに着目され、いわゆる障害特性に応じた対応をすればという意識を持つ保護者や関係者が多いのではないだろうか。その点を杉山氏は重視し、保護者と子どもの育ちの過程をよく知ることで、正しい診断と支援ができるという点を力説している。

 先に読んだ佐々木氏の自閉症についての本の感想でも少し二次障害について触れたが、発達障害の場合さらに情緒障害との判別自体が難しいこともあり、診断や支援についてはより困難な場合も多いのだろうと思う。障害特性も含めてその子をよく知ることが重要なのだろうが、難しいケースはたいてい保護者も支援が必要な状況というか、保護者の方がより難しい場合もままある。障害特性も含めて保護者と子どもをよく知ることが重要になり、しかも保護者は子どものこと以上に自分のことの受け入れが困難な場合が現場では珍しくない、というか普通にあるのだが、焦らずやっていくしかないのでしょうね。


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