yokkieの気になること

障害者・児童福祉のことが多くなるかな

「認定こども園の未来」を読んで

2014-04-29 23:04:05 | 福祉
「認定こども園の未来 ~幼保を超えて~」 
特定非営利法人 全国認定こども園協会 編著
吉田正幸 監修

認定こども園の事例集といっていい本で、認定こども園について興味がないと面白くない本です。自分はまさに当事者なので興味深く読みましたが、それでも多少単調なつくりなので、一気に読める本ではなかったです。

ただ、認定こども園ならではの共通性や、逆にいろんな取り組みがあるんだなということを知ることができて、認定こども園に携わっていたり、参入を考えていたりする人にとってはとてもよい事例集だと思いました。

著名な方々が最初に認定こども園についての考えを述べたり、各事例のコメントをしたりがあります。コメンテーターにはいかにも幼稚園よりの人と保育園よりの人がいますが、それも含めて手短な事例集から何を読み取るべきかの参考になります。

午後の時間をどうするか、お昼寝はするのか、異年齢にどう取り組むか、シフトと打合せ時間の確保、学校との連携、子育て支援と保育の絡み方などは、どこでも直面する課題であり、面白いところでもあるのでしょう。こども園という新しい枠組みだからこそ、新しいことにチャレンジできるチャンスなんだなと強く思ったので、生かせる方法を考えたいな。

気になったポイントを書き出してみてます。こども園のスタッフにこの本の紹介をしたいな。

『鉞子―世界を魅了した「武士の娘」の生涯』 (著)内田義雄を読んで

2014-04-20 14:32:32 | 本(一般)
先日読んだ『武士の娘』の著者である杉本鉞子さんについて、長岡出身の著者が調べて書いた本です。

日本ではあまり知られていないにも関わらず、欧米ではベストセラーとして大ヒットし、その後も読み続けられているのはなぜなのか、この本が書かれた背景や、鉞子本人や家族について、そして名前の出てこない共著者ともいえるアメリカ人女性について書かれています。

『武士の娘』は自伝ではなく、その時代の武士の娘と背景にある日本の文化について知ってもらおうという普遍性のあるテーマがあることもあり、自分や家族の話を書いているにも関わらず、詳しいプロフィールについては省かれています。

父は幕末の長岡藩家老としてどのような状況におかれ、どう行動したのか。戊辰戦争(特に北越戦争)に関する新たな視点を与えてくれます。特に司馬遼太郎の著作で有名な河井継之助はここでは全く別の捉え方をされています。

表舞台に立とうとしなかった鉞子の協力者がいかに重要な役割を果たしていたかも知ることができます。鉞子がいかに彼女に、そしてアメリカの人たちに愛されていたかがよく伝わってきます。

著者はあとがきで、「西洋も東洋も人情(こころ)に変わりない」、ただし文化の違いを超えて理解することは多くの人には難しく、誤解を生むということ鉞子は言っていると書いています。だからこそ、日本のことを理解してもらうために『武士の娘』書いたのでしょう。

本の終盤は、鉞子にとって最も辛い出来事といえる日米戦争、そして終戦後についてが書かれています。終戦後、疎開していた神戸から帰ってきた鉞子は、古い門と小さな木造家屋だけを残して焼け野原となっていた娘の家の門の前まで来ると、空を見上げて「まあ、なんと美しい空なのでしょう!」と言ったと書かれています。この本で一番好きな部分です。ここまで調べてくれてありがとうございます。

『運命の子 トリソミー』 松永正訓を読んで

2014-04-20 13:47:49 | 福祉
最重度の障害児を授かる家族の話を通して、生命倫理について考えさせられる本です。題材、取材力、文章力、そして保護者達に対する真摯な姿勢が素晴らしく、どんどん読み進んでしまいます。2013年の第20回小学館ノンフィクション大賞を受賞したのもわかります。

トリソミーとは通常2本ずつの染色体が3本に増えている染色体異常で、13トリソミーの場合は様々な奇形を伴い、半数以上の赤ちゃんが生後1か月、9割の赤ちゃんが1歳を待たずして命が果てるそうです。

副題が「短命という定めの男の子を授かった家族の物語」。この副題のとおり。筆者は病院から退院する13トリソミーの赤ちゃんの主治医となって保護者の話を聴き、また他の重度障害児の家族のもとに訪れます。

というのも、かつて19年間、大学病院で多くの子どもの執刀を行っていた筆者は、同じように致死的なな染色体異常である18トリソミーとして、積極的な医療行為を行えずに命を落とすのをみるしかなかった経験があるからです。当時は13トリソミーや18トリソミーといった致死的な遺伝子異常の子に対しては、過剰な医療行為という考え方が主流でした。

長年の大学病院での仕事を終えた時も、筆者は「障害新生児の生命倫理」に対して自分なりの回答を見付けられなかったと書いています。短命の運命を持った障害児を授かるとはどういうことなのか、筆者は家族の言葉に耳を傾け、丁寧に書いていくことで何らかの答えが得られるのではないか、赤ちゃんの生命を鼓舞し、家族への勇気になるのではと思い至り、この作品に取り組んでいます。

この本の書評はたくさんありますが、読み始めてまず思ったのは、短期間の交流で、こんなに突っ込んで質問ができるのかということでした。もちろん筆者なりに配慮しながら言葉を選んでいるのでしょうが、こんなに貪欲に尋ねるのかという思いを持ちながら読み進めていきました。

そして、親たちはそれに応えて実にいろいろな話をしてくれます。真剣に聴きたい人がいれば、話をしたいのだということを実感しました。そして、医療職という立場で聴き取りができること、自分の経験から考えられることがさらに深みを加えているのでしょう。書くことのできる専門職の価値がここにある本という気もします。

新人研修

2014-04-13 07:15:42 | 仕事
今の職場の新人研修は、保育士が多数を占めるので、理事長をはじめ、外部講師や市の部課長や園長先生などに頼んで、専門的な知識も、制度や地域の情報も、うちの園で働くにあたっての心構えも得られるなかなか充実した研修になっていると思ってます。特に外部講師は素晴らしいから自分も話を聞いてしまいます。

ただ最初の頃困ったのは、研修担当が私の時間もとってくれていたことです。初めてやった時は、力を入れて母子家庭の貧困について等について話したのですが、午後イチなこともあって、みんな眠そうで眠そうで、しばらく落ち込みました。

そこで初めて、研修は相手の状況やニーズをつかんで話さないと意味がないことを実感しました。当たり前のことなんですけど、体験しないと気づかなかったんです。

今は春の新人研修では、密度の高い研修を受けてるみなさんが、息抜きしながら地域への親しみを深めてくれたらうれしいなと、昔の写真をたくさん使ってちょっと市のプチ歴史を知ろうというコマにしています。

地域で働くには地域を知ることがとても大切で、楽しく働くコツの一つだと思っているので。

秋も新人研修第2部をしますが、秋は半年仕事をした後なので、より自転車実践的な内容で外部講師中心です。

でも私のコマもあるので、秋は半年間で嬉しかったこと又は頑張ったことをテーマに1人2分で話をしてもらってます。

私の話と違い、同期の話だからみんな真剣に聴いてますよ。新人研修の大きな狙いが同期の仲間で繋がることなので、少しは貢献できてるかな。自分は拍手してるだけで準備もいらないし(^_^)


とんぼさんのもたもた保育専門店を読んで

2014-04-08 00:11:33 | 福祉
軽く読めるボリュームの本です。著者の湯浅とんぼさんは保育の世界では有名な方らしいです。

1940年生まれで、豊島区の千早子どもの家保育園に勤務、副園長を長年務め、あそびうた、あやとりなどの達人で、非常勤講師、子どもコンサート、親子のふれあい遊びや保育士研修講師など多彩に活躍されているそうです。あ、大学の先輩なんだ。

2001年の本なので、まだ副園長だった頃の著書になります。連載をまとめたもので、様々な視点から保育のヒントや楽しさ、感じてきたことを書かれています。

10年以上経つ現在からみると、ちょっと危なくて受け入れてもらうのは難しいなと思う事例もありますが、具体的な事例で書かれていて、保育は素人の私でも、なるほどなと思わせる内容です。

一番頭に残ったのは「「いじめる」ということばを使わない工夫を」というコーナーで、子どもがいじめるという言葉を使うとき、具体的な内容を確かめないと状況判断は困難なんだなと気づかされます。話を聞いてその場で考えさせること、子どもと共に考えることが大切なんだなと上手く納得させる事例が書かれています。

後は危機回避能力を身につけさせたいのは本当に多くの保育士が思っていることなんですが、いやー、とんぼさんのようにやることは今の状況ではなかなか難しいぞ、どうしたものやらと思ってしまいました。

でも危機回避能力の低下は、10年以上前から気になってることではあります。だって膝小僧とか身体がみんな綺麗だもん。