旅行好きなのにハワイにはまったく興味がなかった。
だが、ハワイ好きのなんと多いことか。
そのよさを延々と説かれ、そんなにいいのかどうか、試しに行ってみようということになって、2年ほど前に行った。
大阪での高校時代からの友人5人で。
今はそれぞれ、東京3人、奈良、京都住まいながら、
ま、大阪のおばちゃんばっかみたいなもんである。
友人たちとは卒業、結婚、子どもができてとライフスタイルは変わっても、付き合いは途絶えることなく、以前は子連れで海に行ったり、今も各家にお泊りしたりだが、5人一緒での海外旅行は初めて。
しかも全員ハワイは未経験。
思うに、私の世代では、若い頃は1ドルが360円。
海外旅行は夢、中でハワイは‘憧れの’がついた時代だった。
一方で当時ハワイといえば、キャバレーの名前だったり、ウクレレ弾いてのムード歌謡、プレスリーの「ブルーハワイ」、そしてあの常磐ハワイアンセンターという健康ランドっぽいイメージがあったりで、ハワイについて何も知らないのに、日本でのイメージだけで興味を無くしていたのだ。
しかし、いつのまにか時代が変わって、1ドル120円前後、身近なハワイ。
旅番組などで見る現地人の民族舞踊としてのフラダンスは、力強く敬虔な雰囲気があった。
これは‘日本のなよなよとしたフラ関連’とはずいぶん違うではないか。と思った。
ちょっと前に映画『フラガール』を見て、常磐ハワイアンセンター誕生には、炭鉱の町興しの命運がかかっていたと知って驚いた。
テーマパークなってかけらもなかった時代に、しかも北の炭鉱の町にハワイアンセンター設立という発想はすごい!と今なら思う。
ま、そんなこんなで、もしかしたら、みんなが言うように、いいところなのかもしれないと期待しつつ行った。
滞在フリーのパックツアーは満杯だった。
若い女の子のグループが多く、意外やおばちゃんが少ない。
海外旅行しているおばちゃんたちはとっくにハワイは体験済みで、
韓流ブームの今、「おばちゃんはみな韓国へ行ってんねんで」、という見解に達した。
日程もないので、オアフ島ホノルル周辺だけの観光。
着いて翌日、おのぼりさんコースの半日リムジン観光することになったが、
朝から激しい雨で、どこへ連れて行かれても窓から雨を見ているだけ。
雨足が和らいで、唯一垣間見えた観光名所が、故 石原裕次郎邸とは‥‥。
ワイキキビーチはちょっと見ただけ。「ビーチボーイがいてへんがな」と友人。
ハナウマベイに泳ぎに行くが、皆かってよく泳いだ若狭湾ほどは乗り切らず。
最終日は自転車をレンタル。
料金1日設定のところ半日レンタルだからと、大阪のおばちゃんやから当然値切りまんがな。
日本語を操る怪しげな白人の経営者に、「次はママチャリ用意しといてな」と友人。
ワイキキ通りは日本人で溢れ、どこでも日本語が通じるので、海外に来たという緊張感がまるでなかった。
多かった女の子たちの目的は、ブランド物のショッピングだったらしい。
ブランドだからという理由で、皆と同じものをどうしてほしがるのかな、彼女たちはと、ファッションは個性の1つの表れと思っている私には、分からない。
そう、有名になった大阪のおばちゃんのど派手なファッションも、個性の表れではある、――とおもう。
ハワイのよさはオアフ以外の島にいかなきゃ、という通の言葉を体験する時間とお金がなくて、さわりだけのハワイ旅行。
そのよさはやはり分からなかったが、時間をかけて他の島を回ってみたいとは思う。
しかし「友人と一緒の旅行は友情の墓場」といわれる言葉は、無敵のおばちゃん5人には通用せず、久しぶりにメンツが揃って、1年分ぐらい笑いだめした感があった。
ハワイの印象が薄れるのも無理ないか。