田原孝太郎とのインタビューの核心の一つは、粉飾決算といわれるスキームについて、宮内良治氏が主導なのか、それとも堀江氏も十分にわかっていたのか、という部分だ。 宮内が罪を認め、さらに堀江社長の指示で動いたと証言していることについて堀江は、「宮内さんもこれが罪になるとは本当は考えていないと思う。 実は結構大雑把な人だから、中身は十分には知らなかったのでないか。」「否認し続けることもできたはずだが、認めて早く片付けてしまいたかったのだろう」と、「堀江首班説」にくみした宮内を庇ったような発言をした。 宮内と自分は、対等はビジネスパートナーであり、社内ではいつも宮内サン、と呼んでいたというから、自らは集権的な社長ではなかったと言いたいのだろう。
このように宮内をかばうような発言があった一方で、宮内が海外のペーパーカンパニーなどを通じて、一億円以上の利益を着服していた疑いについては「事件後初めて知って驚いた。フェラーリに乗ったりして自分より羽振りがいいのを不思議に思っていた」と驚き、裏切られた風情をみせた。 自分の給料(3000万)と宮内氏のそれ(2000万ちょっと)という具体的な報酬額もさらけ出し、宮内には、家庭があり2つのマンションがあり、愛人もいた、ということさえも口にした。 一連の発言からは、自らの立場の擁護と、かつての同士への懐かしさが交錯した心模様が垣間見られたように思う。
堀江氏は、今回起訴されている「自社株食い」による架空売り上げと粉飾決算という罪状については、「具体的なスキームを全然知らなかったし、それを理解した今でも罪にはあたらないと思う」と無罪を主張している。 今回の事件は、2003-5年にかけて、ライブドアがクラサワコミュニケーションやロイヤル信販など数社を買収した際に活用した、投資組合を介在させた株式交換による買収の是非を問うものだ。 これらライブドアグループが出資した投資組合に自立機関としての「実態」があったのか、もしくはライブドアの実質支配化にあったため連結対象にすべきだったのか、の判断が争われており、これについては、検察は「実態なし」、ホリエモンと弁護側は「実態あり」と相反する形で争っている。 堀江氏によれば、会計士もOKを出しており、さらにこのスキームは余りに複雑で素人の自分にはわからない、だから社長といえども責任はなかったと、としている。
罪の問われている買収の仕組みは、大鹿靖明氏の「ヒルズ黙示録」の最後のほうに詳しいので、該当部分をもう一度読み返してみたが、明らかに自社株の値上がりを見込んだ株式交換による買収があったのは見て取れるし、使われた投資会社(M&Aチャレンジャー1号、JMAMサルベージ1号、などというユーモラスな名前がついている)が、ライブドアやライブドアファイナンスの意図を受けて交換した自社株を買い、値上がり後にそれを売却することで利益を得ていることは間違いないようだ。 ただ、投資組合というのは、素人からみるとかなりグレイな、何でも出来そうな存在だけに、いちいち証券取引法に触れるものかどうか、というのは微妙な所のようだ。
「気をつけないと、皆さん、頭のいい奴に騙されますよ」と、以前TVでも語ったことがあるホリエモンにすれば、株に群がるお金は、どっちにしても欲を掻いたお金。 この程度の錬金術は皆やっているのだから、稼ぐが勝ちなのだ、という気持ちかもしれない。 プロ野球球団の買収にしても、ニッポン放送にしても、エスタブリッシュメントに一泡吹かしてやるのを楽しんできた一匹狼である。
堀江自身は、お金には興味がない。 逮捕される前から、ライブドア事業もそろそろ飽きてきたから、次はソニーでも買収し、世界一のブランドを手に入れてから全く別の事業(宇宙開発など)に打ち込みたい、という気持ちだったという。 それに偽りはなかろうし、自分がおもしろいと思ったことをやり続けるという態度は、依然として世間の憧憬の対象であるだろう。
ライブドアの株を依然として20%弱持っているため、総資産は200億円近くあるという。 しかし、ライブドアが文字通りバブルの泡沫として消えていこうとし、堀江の周辺の人間も離散してしまった今、新たな仲間とともに、一から新しい夢を追いかけ実現することができるだろうか。
宮内良治は、「堀江はもしかしたら大成するかもしれない。自分はその堀江に賭けてせっせと日銭を貢ぐ水商売の女のようなものです」といったそうだが、そのような人に再び恵まれて事業をなせるのか。 野次馬的にはそれを見てみたい、破天荒なドラマをこれからも見せて欲しい、という期待もあるのだが。
なお、堀江氏とのインタビューは、今週号のAERAでも大鹿記者によるインタビューが掲載されている。
このように宮内をかばうような発言があった一方で、宮内が海外のペーパーカンパニーなどを通じて、一億円以上の利益を着服していた疑いについては「事件後初めて知って驚いた。フェラーリに乗ったりして自分より羽振りがいいのを不思議に思っていた」と驚き、裏切られた風情をみせた。 自分の給料(3000万)と宮内氏のそれ(2000万ちょっと)という具体的な報酬額もさらけ出し、宮内には、家庭があり2つのマンションがあり、愛人もいた、ということさえも口にした。 一連の発言からは、自らの立場の擁護と、かつての同士への懐かしさが交錯した心模様が垣間見られたように思う。
堀江氏は、今回起訴されている「自社株食い」による架空売り上げと粉飾決算という罪状については、「具体的なスキームを全然知らなかったし、それを理解した今でも罪にはあたらないと思う」と無罪を主張している。 今回の事件は、2003-5年にかけて、ライブドアがクラサワコミュニケーションやロイヤル信販など数社を買収した際に活用した、投資組合を介在させた株式交換による買収の是非を問うものだ。 これらライブドアグループが出資した投資組合に自立機関としての「実態」があったのか、もしくはライブドアの実質支配化にあったため連結対象にすべきだったのか、の判断が争われており、これについては、検察は「実態なし」、ホリエモンと弁護側は「実態あり」と相反する形で争っている。 堀江氏によれば、会計士もOKを出しており、さらにこのスキームは余りに複雑で素人の自分にはわからない、だから社長といえども責任はなかったと、としている。
罪の問われている買収の仕組みは、大鹿靖明氏の「ヒルズ黙示録」の最後のほうに詳しいので、該当部分をもう一度読み返してみたが、明らかに自社株の値上がりを見込んだ株式交換による買収があったのは見て取れるし、使われた投資会社(M&Aチャレンジャー1号、JMAMサルベージ1号、などというユーモラスな名前がついている)が、ライブドアやライブドアファイナンスの意図を受けて交換した自社株を買い、値上がり後にそれを売却することで利益を得ていることは間違いないようだ。 ただ、投資組合というのは、素人からみるとかなりグレイな、何でも出来そうな存在だけに、いちいち証券取引法に触れるものかどうか、というのは微妙な所のようだ。
「気をつけないと、皆さん、頭のいい奴に騙されますよ」と、以前TVでも語ったことがあるホリエモンにすれば、株に群がるお金は、どっちにしても欲を掻いたお金。 この程度の錬金術は皆やっているのだから、稼ぐが勝ちなのだ、という気持ちかもしれない。 プロ野球球団の買収にしても、ニッポン放送にしても、エスタブリッシュメントに一泡吹かしてやるのを楽しんできた一匹狼である。
堀江自身は、お金には興味がない。 逮捕される前から、ライブドア事業もそろそろ飽きてきたから、次はソニーでも買収し、世界一のブランドを手に入れてから全く別の事業(宇宙開発など)に打ち込みたい、という気持ちだったという。 それに偽りはなかろうし、自分がおもしろいと思ったことをやり続けるという態度は、依然として世間の憧憬の対象であるだろう。
ライブドアの株を依然として20%弱持っているため、総資産は200億円近くあるという。 しかし、ライブドアが文字通りバブルの泡沫として消えていこうとし、堀江の周辺の人間も離散してしまった今、新たな仲間とともに、一から新しい夢を追いかけ実現することができるだろうか。
宮内良治は、「堀江はもしかしたら大成するかもしれない。自分はその堀江に賭けてせっせと日銭を貢ぐ水商売の女のようなものです」といったそうだが、そのような人に再び恵まれて事業をなせるのか。 野次馬的にはそれを見てみたい、破天荒なドラマをこれからも見せて欲しい、という期待もあるのだが。
なお、堀江氏とのインタビューは、今週号のAERAでも大鹿記者によるインタビューが掲載されている。