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Michael Jacksonの死

2009-07-01 | 音楽
もう長いこと、MJという名前だけが一人歩きする虚構の大スターだったといえるかもしれない。 マイケルと同様に80年代半ばに登場し、カリスマ的スターになったマドンナが、結婚や出産を経験し、年をとっても相応に変化していったのとは対象的だ。特別熱狂的なファンでもない者にとっては、昔のMJと90年代以降のMJをどうしても結び付けることができず、長い間ただ不思議な思いだった。

1982年、「Beat it」 「Billy Jean」 そして「Thriller」とマイケル旋風が世界中を席巻した。 黒人特有の野性味のある顔と完璧なプロポーション、超絶的な切れとスピードのステップとダンスは、音と視覚の相乗効果で、世界中に興奮と熱狂の渦を生み出した。 橋下大阪府の知事も「Thrillerのビデオを何百回も擦り切れるくらい見た」とコメントしていたが、それと同じ経験をした人が、日本にも世界にも数え切れないほどいるだろう。 自分の周りでは、高校生だった妹がそうで、それに釣られて何度何度もThrillerを見た記憶がある。

ここ数日、TVが盛んに当時のビデオクリップを放映するものだから、You Tubeで検索してThriller を何十年ぶりかに見た。 懐かしいだけでなく、今だに新鮮でワクワクしたのには少し驚いた。ホラー映画を見終わって映画館から出てきたマイケルが、怖がっているスリムで可愛いガールフレンドの周囲を歌いながら歩む。やがて2人が墓場に差し掛かると、死者達が這い出してくる。 彼女が恐怖に後ずさりしてマイケルを振り返ると、彼もゾンビとなっていた! それからはよく知られたマイケルとゾンビの群舞。 どこかの国の刑務所の囚人達も体操代わりに踊ったくらい、世界中で真似されたステップと振り。 その発想がユニークなだけでなく、おぞましい姿態のゾンビが夢中になってマイケルに倣って手足を振る、その踊りは一種コミカルで躍動的だ。
(ついでに、P. マッカトニーと詐欺芝居屋をコミカルに競演した「say, say, say」や、Flash Dance の「What a feeling」なんかも懐かしくなり見てしまったが、今これらのビデオを見ると、人間の成長や愛といったものへの純粋な信頼がまだ確かな時代の雰囲気を感じる。それは単に「若さ」が刻印されているということかもしれないが。)
 
「狼男」などの名作を撮ったJohn Landis監督と制作した「Thriller」にはmaking 編も収録されていて、一層楽しめたのを思い出す。神がかった歌と踊りを見せていたマイケルが、なぜ後年には全く違う存在に変化してしまったのかは永遠に謎だ。 黒人の歌手として、エルビスやビートルズをも凌駕するほどの世界的人気を博したはずが、白人へのコンプレックスがあったのか。 そのための整形や美白だったとしたら物悲しい。あれほど圧倒的に美しく燦然と輝いていたスターが、どうしても黒人であるということ、その容姿を肯定できなかったのか。80年代のアメリカははまだそうした時代だったのか。しかし、陸上のカールルイスや、やや時代は下るがバスケのマイケル ジョーダンもいたではないか。Jackson5の時代から20代までの彼には、そんなコンプレックスや奇行とは無縁としか思えない天真爛漫さを感じるのだか。 彼は、自分の容姿を破壊した行為を後悔していたのか。タイガー ウッズやバラク オバマが居る21世紀なら、マイケルもそのままでいられたかもしれない。

ともあれ、今は亡きマイケルが一億枚を売ったという「Thriller」のビデオを通して、歴史に永遠にその若々しい姿を刻んだことは間違いない。このビデオは後の世代にも、この時代の雰囲気を伝えるのではないか。期末試験中の娘にも一度見せておこうと思う。
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