尾道市向島町の里海を眺めて

瀬戸内海(尾道・向島)で見られる海の生物等をご紹介

色抜け

2011-04-11 19:00:09 | 日記
先日採集したエダウミウシをプラスチネーション化して標本にしようと挑戦。
ホルマリンでの固定では色落ちしないように条件設定できたものの、
その後のアセトンによる脱水過程で完全に色抜け。
生物によっては色抜けが激しいと予想はしていたものの、がっかり。
(写真の背後に写っているヒメギボシムシはある程度の脱色を抑えられた)

液体窒素で凍らせて凍結乾燥させればうまく脱水できそうな気がするものの、凍結乾燥機がない・・・。
装置の原理は簡単なので簡易型なら自作できるものの、乾燥能力は低そう・・・。
超低予算での色を残した展示標本の作製案は幾つかあるので、仕事の合間に試行錯誤することになりそうです。


海水温13℃

2011-04-08 19:05:30 | 生物
今月初めに測ったときは12℃でした。
海も少しずつ温度が上がってきている様子。
そろそろ磯の生き物たちが動き始める頃合いです。

下の写真は、先日拾ったエダウミウシ(Kaloplocamus ramosus)です。
下の個体は色が薄く、大きさもちょっと小さいのですが、たぶん同種と判断。





この種は光ると言われますが、軽く突いた程度では光らない様子。
光るまでこねくり回すべきか思案中です。

解せぬ・・・

2011-04-07 17:10:12 | 日記
先日ご紹介したナベカ。
今回は縄張り争いに負けたナベカの様子をお見せいたします。


中央にそびえ立つのはケヤリムシ(Sabellastarte japonica Marenzeller)という環形動物。
画面中央下に縄張り争いに敗れたナベカがやってくると・・・


おもむろにケヤリムシの棲管にもぞもぞと侵入。
(棲管とは、ケヤリムシ自身が分泌液と泥を練り合わせて作った管で、その中に体部を隠す)

まるで八つ当たり。
きっとケヤリムシが話せたらこう言うでしょう。
「解せぬ」


向島のお接待とナベカの紹介

2011-04-05 18:41:00 | 生物
4月4日は向島の「お接待」の日でした。

向島では旧暦の3月21日に島内88か所の地蔵さん(札所)で、
お接待としてお参りに来た人々を茶菓子などでもてなす風習があります。
巡礼者は88か所を巡りながら、お地蔵様と土地を守り続けた方々に感謝をこめてお米を奉納します。
特に向島に隣接する岩子島は、広さが向島の1/10程の約2.5平方キロメートルにもかかわらず、
その中だけで88か所あるといい、お接待の気前の良さでも有名だそうです。
この日は朝からそれぞれの地蔵堂周辺が賑わいます。




今日の写真は、ナベカ(Omobranchus elegans)。
瀬戸内海では浅瀬やタイドプール(潮だまり)でよくみられるポピュラーな小魚です。
尾ヒレの黄色が鮮やかで、熱帯魚のような色合いです。
カキ殻やアカフジツボを住処にしています。
縄張り意識の強い魚のようで、自然界でも水槽の中でもしばしば場所争いをしています。



向島デジタル水族館 飼育日誌立ち上げ

2011-04-04 18:30:00 | 日記
このブログでは広島県尾道市向島町周辺で見られる海洋生物の様子や、それらの飼育に関すること等を不定期に更新します。
また公式のページで没になった写真等をアップしていきます。


本ブログは3月中旬に立ち上げを予定していましたが、東北地方太平洋沖地震による津波が起き、
海に関する情報は自粛した方がよいかと考え、控えていました。
しかしながら連日悲しいニュースが多く流れ、このような状態が続くと明日への活力につながりません。
復興を目指すために力が出る、あるいは疲れた心身を癒せるような画像をお送りすることで、復興支援の一つになればと願っています。


初回は、タツノオトシゴ(脊索動物門:Hippocampus coronatus)の子供たちです。
フサイワズタという海藻に仲良く連なっています。奥に見えるのはメリベウミウシです。
昨年の6月に向島で採集した雄から生まれてきました(細かい説明は後日)。

タツノオトシゴは幸福と家族愛の象徴とされ、安産のお守りとしても知られています。
この写真のような日々が皆様に再び訪れることを、心よりお祈りいたします。


男女ペアかと思ったのですが、両方とも女の子でした・・・。


このたびの東北地方太平洋沖地震により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
祈るだけでは力になりませんので、月給約20%分を寄付いたしました。
これまで何度もお世話になったことがある岩手県大槌町にも、後日同額をふるさと納税する予定です。
些少ですが、復興のお役にたてていただければ幸いです。