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マツ枯れ マツノマダラカミキリ

2020年10月12日 | 樹木の病気・森林被害のお話

 海と松林。

 まさに白砂青松。

 そんな素晴らしい景色を阻害するマツ枯れが目立つ・・・

 

 マツ枯れとは、その名の通り、松林が枯れる森林被害をいいます。

 マツ枯れは「マツ材線虫病」ともいい、これに「ニレ立枯病」、「クリ胴枯病」、「五葉マツ類発疹さび病」という世界三大樹木病害を加えた、”世界四大樹木病害”の1つです。

 

 被害を受けたマツは、8月下旬から9月頃にかけて枯れ始めます。

 枯れる原因は、「マツノザイセンチュウ」という体長1mmにも満たない小さな線虫が、マツの樹体内で増殖し、マツを枯らします。

 そして、その病原体となる「マツノザイセンチュウ」を運び、被害を拡大させているのが「マツノマダラカミキリ」です。

 

 これがマツマダラカミキリ。

 オスは、体に対して触覚が長く、触覚の色も茶色一色。

 

 メス。体に対して触覚が短く、触覚が縞々模様。

 マツノマダラカミキリは、5月から7月にかけて、枯れたマツの幹から脱出して、動き出します。

 

 脱出したカミキリは、生きたマツの新葉を食べます。

 実は、マツの幹から出たばかりのマツノマダラカミキリは、体が未熟で、すぐに交尾・産卵することができません。

 マツの新葉を食べて、はじめて体が成熟し、交尾・産卵が出来るようになります。

 これを「後食(こうしょく)」といいます。

 この新葉を食べたときに出来た傷口から、センチュウが侵入し、マツの中で増殖し、マツを枯らします。

 そして、枯れたマツの幹にカミキリが産卵し、孵化→蛹化→羽化します。

 センチュウは、カミキリが羽化して飛び立つまでに、体内に侵入します。

 センチュウに侵入されても、カミキリは死にません。

 

 マツ枯れの流れをイラストにまとめましたので、ご参考ください。

 

 ちなみに、健康なマツであれば、カミキリに産卵されても、樹液を出して、対抗することができます。

 

 しかし、写真のようにマツの樹皮の下でたくさんの木屑に出ていたら、順調にカミキリが成長していると考えられます。

 

 マツノザイセンチュウによって枯れたマツからは、樹液が出てきません。

 なので、枯れたマツや衰弱したマツから樹液が出てきたら、それは別の原因で枯れたと考えられます。

 ただ、最近は、カミキリに後食されているにも関わらず、部分枯れしているマツに出会うことも。

 マツも、「いつまでも、やられっぱなしではない!」と、少しずつ抵抗しているのかな?

 

 

※2015年5月の記事を再編


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