はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

シロマダラ

2015年08月13日 | 爬虫類・両生類のお話

 仕事から帰ってくると、次男が「お父さん。ヘビ捕まえた。何ヘビ?。アオダイショウ?」。

 マムシとヤマカガシは捕まえるな!と言ってあるので、まぁ、アオダイショウの幼蛇かシマヘビの幼蛇、ヒバカリかなと思っていたら、シロマダラでした(やるな~)。

 家の庭で、石をひっくり返していたら、見つけたようです・・・

 

 シロマダラは夜行性のヘビで、日中は石の下や倒木の下などに隠れています。

 ↑ 以前、こんなところに隠れているシロマダラを見つけたこともあります

 

 なので、普通に山を歩いていて、日中で見かけることは、ほとんどないため、見つけると、「珍しいヘビを発見」とか、「幻のヘビを発見」という風な感じで、新聞に取り上げられたりします。

 最近では、日高新報(主に和歌山県の御坊市や日高郡内の新聞)に掲載されていました。

http://www.hidakashimpo.co.jp/news/2015/06/post-3731.html

 なお、北海道では1980年代後半に発見されたそうです。比較的、最近ですね。

 

 シロマダラは、全長30~70cmの小型ヘビで、結構、気性が荒いので、捕まえようとすると咬みつきに来ます。

 咬みつかれても、無視して捕まえようとすると、擬死(死んだふり)することもあります。

 怒った時、首をS字にして持ち上げる姿がカッコいい

 エサは、トカゲや小型のヘビなどを食べます。

 特徴は、黒と灰白色(?)のまだら模様で、成蛇(大人)になると頭の白い模様がなくなります。

 僕も、ほとんど幼蛇(子ども)しか見つけたことがなく、成蛇は排水管(さっきの写真)にいた子くらいしかありません。

 

 マダラヘビ属のヘビは、歯の大きさが生えている場所によって違うそうです。

 大きさを違えることで、効率的に獲物を飲み込むことができるそうです。

 シロマダラの歯も同じ構造なので、自分の体と同じ大きさのトカゲや小型のヘビを食べることができるそうです。

 

 ヘビの中でもシロマダラが一番大好きですね

 気性の荒さと体の大きさのミスマッチ具合

 死んだふりする姿

 怒った時のS字ポーズ

 とぐろを巻いた姿の色具合

 発見した時の喜びは、他のヘビの比ではないですね

 

 次男に「これシロマダラやん。よく見つけたな」と言ってあげると、

 言葉を出さず、何とも言えない喜んだ表情をしていました。 

 

 あまり見かけない・出会えないというだけで、シロマダラ自体が希少というわけではなさそうです。

 日本のレッドデータ検索システム(http://www.jpnrdb.com/)で調べてみると、埼玉県・神奈川県・東京都が絶滅危惧Ⅰ類で、ほかは情報不足がほとんどで、準絶滅危惧や絶滅危惧Ⅱ類が少しといった感じです。和歌山県は、特になしでした。

 

 あくまで、個人的な考えですが、

 ヘビの種類が多い地域・森林は、「生物の多様性・生物の生活環境が比較的高い」と考えています。

 ヘビは、地を這う生き物なので、色々と行動が制限されやすい。

 その上で、エサとなる小型哺乳類やカエル・トカゲなども豊富でないと、捕食もままならない。

 さらに、同じヘビと言えど、種類によって、食べられるもの・食べられないものがあります。

 例えば、シロマダラは、体のサイズはもちろん、消化器官がそれほど強くないため、ネズミなどの小型哺乳類を食べることができません。

 飼育個体でも、ネズミを餌付けをすれば食べるようになりますが、うまく消化できず、結果、衰弱死します。

 あと、タカチホヘビというヘビは、ミミズ食ですし。

 なので、ヘビの種類をたくさん見かけることができる地域・森林は、さまざまなヘビが生活できるほど、エサが豊富で、環境が整っていることから、「生物の多様性・生物の生活環境が比較的高い」。

 と、個人的には思っていますが、皆さまはいかがでしょう?

 ヘビが苦手な方も、そういう目線で、考えで、ヘビを観察し、少しは苦手意識が改善されると嬉しく思います。

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森の産物 シロップ

2015年08月10日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 森の産物ともいえるメープルシロップ

 カナダの国旗でも有名な「サトウカエデ」の樹液から採取されています。

 日本には、サトウカエデはありませんが、代わりに「イタヤカエデ」という樹からシロップを採取しています。

 あと、シラカンバ(シラカバ)からもシロップが採取されています。

 しかし、全国各地でシロップが採取されているかというと、そうではありません。

 主に、北海道や東北地方、長野県、山梨県など寒い地方で採取されています。

 なぜ、主な採取地が寒い地方なのか?

 それが、今回のお話です(若干、前回と前々回の記事と共通している部分もありますが、ご容赦下さい。)。

 

 寒い地方の冬は、雪が積り、凍り付くような寒さなので、樹体内の水分が凍らないように細胞中の糖度を上げます

 これが、シロップとなる甘さの秘訣(?)です

 そして、冬には、病原菌や害虫などが少ないので、抗菌物質を作る量も少なくしています。

 

 樹液には、病原菌や害虫から身を守るために作られた抗菌物質であるポリフェノール(主な成分はタンニン)が含まれているため、なめると渋いのはそのためです。

 しかし、冬になると、その必要性もなくなり、抗菌物質の生産量が少なくなる一方で、樹液の凍結を防ぐため、糖度を上げた結果、甘い樹液となります。

 こうして、シロップが採取できるというわけです。

 ポイントは、「凍結を防ぐために糖度を上げる」です・・・かね。

 和歌山県のような温暖な地域でシロップの採取が盛んでないのは、人里の近くにシラカンバやイタヤカエデのような樹がないというのが一番の理由だと思います。身近にないと用途に気付かないですからね

 仮に生えていたとして、冬になっても、シロップになる程、糖度を高める必要がないことや、凍結するほど寒いような場所は、標高の高い山などになるため、採取することが困難だから・・・だと思います。きっと。たぶん

 

 ちなみに、和歌山県の工芸品に「紀州漆器(根来漆器、黒江漆器)」があります(京都や奈良にもありますが)。

 ウルシの樹液から採取した「ウルシオール」を主成分とする天然塗料を塗っているわけですが、採取時期がシロップと異なり、6~9月頃に採取されます。

 「ウルシオール」も抗菌物質の1つなので、冬になると抗菌物質の生産量が少なくなるため、この時期に採取しないと意味がないんでしょうね。

 あっ、あとゴム。

 これもゴムノキの樹液から採取されて作られています。

 

 し・か・し、

 シロップを採取する樹液は、木部にある導管を上昇している「導管液」なので、ドリルで穴を空けて採取します。(ただし、早春の一時期しか採取できません)。

 一方、ウルシやゴムノキは、師部と皮層の間にある乳管細胞から出る「乳液」なので、樹皮を傷つけて採取します。

 一言で樹液といっても、同じ器官に蓄えられた樹液ではないので、採取方法も違うというわけです。

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危険な樹液・・・?

2015年08月09日 | 危険な生き物のお話

 1つ前の記事「なぜ、クヌギの樹液にカブトムシたちが群がるの?」で、樹液に関するお話をしましたので、今回も樹液に関するお話です。

 今回は、危険な?樹液についてです

 何が危険かというと、「触るとかぶれる」。

 かぶれる樹と言えば、

 ヤマウルシ

 

 一番、危険なのが、ツタウルシ

 

 近くを歩いただけでかぶれる人もいるという恐ろしいヤツです。

 (僕も近づくだけでアウト。気づかずに近づけばセーフ。気持ちの持ちようなのかな?

 一般的に、白い液や黄色い液を出す樹木にはかぶれる成分が含まれているので、肌の弱い方は触らないように。

 

 白い液を出す樹木と言えば・・・(上の2種は省きます。)

 ハゼノキ、ヤマハゼ、ヌルデ、イヌビワ、イチジク、テイカカズラなど。

 僕はイヌビワでもかぶれます

 あと、イチジク好きですが、勿論かぶれます

 ちなみに、マンゴーはウルシ科なので、肌の弱い人は、マンゴーも要注意です。

 

 話が逸れてしまいました・・・

 危険な樹液(かぶれる樹液)の話に戻ります

 写真がなくて、申し訳ないのですが、夏になると、時々、泡が吹いたような樹液を出している木を見かけます。

 傷を受けたから樹液が流れていると思うので、何かの菌(酵母菌??)が原因で、樹液が発酵し、泡立っていると思います。・・・

 この泡立つ樹液に触れると、かぶれることがあります。

 おそらく、樹液に含まれる抗菌物質のポリフェノールが、発酵による何かしらの反応を起こしているのかもしれません。

 どの樹種とは特定しにくいのですが、「樹液が泡立つ樹」は要注意です。

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アマガエルで一ネタ

2015年08月05日 | 爬虫類・両生類のお話

アマさん。サギです!やばいっすよ!早くこっちへ

 

やばいアマさん。サギに見つかりました

 

アマさん。いつもお世話になってるんで、今日はおごります

好きなの買いますんで、どれがいいです?

 

A:やっぱ、アマさんかっけぇっすわ

B:ね~。マジ、尊敬するわ~

 

あ、あなたはもしや!

伝説の・・・

 

コンコン。

アマガエルさん。○○新聞ですけど・・・

 

FIN

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ジビエ シカ肉

2015年08月02日 | 資源利用(獣類・昆虫食)のお話

 今、シカ捕獲に関する仕事をしています。

 んで、先日、メスのシカを1頭捕獲したので、解体してお肉にしました

 もも肉。

 

 筋があると堅いので、丁寧に取り除いた後、

 唐揚げ用と、

 ひき肉用に分けました。

 筋を取り除くときに身がバラバラになったものとか、見栄えの悪いものをひき肉に。

 お肉をハチミツに15分くらい漬けておくと、軟らかくなりますが、まぁ、家族が食べるので、その辺は手間は省略・・・

 シカ肉のから揚げ

 シカのひき肉で麻婆豆腐

 

 初めて解体作業に関わったので、血抜きに少し不安があったものの、それほど臭みは無く、一安心。

 焼肉にでも十分に食べられました。

 まだまだたくさんあるので、次は何を作ろうかな~

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ナラ枯れ カシノナガキクイムシ

2015年07月29日 | 樹木の病気・森林被害のお話

 ナラ枯れが目立つ季節になりました・・・。

 感覚的には、例年より1週間ほど早い感じがします。

 今年は、7月上旬から枯れが目立っています。

 昨年は、雨が多かったので、天候が落ち着いた9月頃、一斉に枯れました。

 一昨年は、雨が少なく、干害と同時に枯れていましたが、それでも7月中旬くらいからで、その時も「今年は早い」と感じたわけですが・・・

 今年はそれよりも早い。あくまで、感覚的な話ですが(^_^;)。

 

 和歌山県のナラ枯れは、全国的なナラ枯れと少し異なります。

 簡単に分けると植生の違い虫の違いの2点です。

 ①他府県は、コナラやミズナラといった落葉樹がメインで、和歌山県は、ウバメガシやシイといった常緑樹がメインという植生の違いです。

 もちろん、和歌山県にもミズナラはありますが、護摩壇山、大塔山、高野山といった和歌山県内では比較的標高が高い森林に限られます。

 同じ落葉系のコナラも主要樹種の1つですが、アラカシやシイと混在し、コナラが優占する森というのは、あまり多くありません。

 ②他府県のカシノナガキクイムシ(以下「カシナガ」)は「日本海型」と呼ばれ、和歌山県は「太平洋型」と呼ばれています。

 後者は亜種(もしくは新種。”ミナミカシノナガキクイムシ?”)とされています。

 

 常緑樹のウバメガシ、シイ、アラカシなども被害を受けますが、コナラやミズナラに比べると枯れにくいので、山の一部が枯れていても、山の中に入ると見た目以上に被害を受けていることが多々あります。

(直径2ミリくらいの穴があって、下に木屑が積ってる)

 「枯れてなきゃいいじゃない」と思うかもしれませんが、和歌山県の特産品である「紀州備長炭」の原木はウバメガシです(アラカシも)。

 それが被害を受けると、備長炭の原木として扱いにくくなります。

 ちなみに、枯れにくいというだけで、アラカシやウバメガシも枯れています。

 ナラ枯れは、「景観の劣化」として問題にされる傾向にありますが、和歌山県では「産業」に影響があるため、被害が広がると深刻な問題になります。

 

 ところで、なぜ枯れるのか・・・。

 カシナガが、木の幹に侵入すると、持ち込んだナラ菌が幹の中で広がり、木は防御反応で水分の通導器官を自ら塞ぎます。

 水分を運ぶ導管を自ら塞ぐという行為は、カシナガが数匹であれば、大きな影響はありませんが、数十匹、数百匹に侵入されると、あちらこちらで、導管が塞がり、水分を運ぶことが出来なくなり、やがて、枯れてしまいます。

 カシナガは、木を枯らすナラ菌のほか、エサとなる酵母類も持ち込みます。

 ナラ菌が木を枯らすことで、カシナガのエサとなる酵母類が繁殖しやすい環境になると言われています。

 ちなみに、ナラ枯れの正式な病名は「ブナ科樹木萎凋病」。(でも、ブナは枯れないらしい(^_^;))

 

 カシナガが侵入した木を割ってみると、中から幼虫がウヨウヨと出てきます。

 あっ、ついでに言うと、カシナガの幼虫も美味しいです。

 

 蛹もいます。たぶん、今年、飛び立つカシナガでしょうね。

 成虫も出てきます。この子はメスです。

  

 ナラ枯れが拡大したのは、燃料革命以後、薪や炭から化石燃料に変わったことで、薪炭林が利用されず、放置された結果、コナラなどが大径化し、カシナガの繁殖に適した森林環境が増えたからと言われています。

 あと、マツ枯れによって焼失したアカマツ林がコナラ等を主体とする二次林が出現したことも原因の1つと言われています。

 要は、利用されず放置された結果、引き起こされた森林被害が「ナラ枯れ」というわけですね。

 人々が森林を利用することで、守られる・保全される・維持される森林環境があること、一方で、自然のままに任せ、放置することで失われる森林環境もあることを、ナラ枯れを通じて、カシナガが伝えてくれているのかもしれませんね。

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昆虫食「スズメバチ・蜂の子」

2015年07月27日 | 資源利用(獣類・昆虫食)のお話

 先日、スズメバチの巣を駆除しました。

 本当は、とある目的物を得ようと思ったら、巣があったので、とりあえず駆除を

 はじめから、駆除が目的だったわけではありません

 刺されたら…とビビりながら、スズメバチと格闘・・・でも、あの恐怖心が結構楽しかったりする(いつか刺されるタイプやな

 で、ハチの子をGet

 もちろん

 お持ち帰りをして

 いただきます

 

 ちなみに、この日は、川で川エビ(スジエビ?ヌマエビ?)もGET

 うちの子らは、川エビのかき揚げが大好きなので、スズメバチと一緒に天ぷらにしてみました。

 

 ハチの幼虫は、潰さないように、気を配りながら巣から取り出します。

 中には、蛹化したものから、羽化直前のものがいました

 放置していたら、モゾモゾと動き出し、飛び立ちそうなヤツもいました。

 とりあえず、お箸でつまんで、羽をハサミで切って、飛べないようにしました。

 成虫系は衣をつけて、

 一揚げ。

 川エビはかき揚げに

 ハチの子は、そのまま炒る。

 

 昆虫食の王道「ハチの子」

 だけに・・・

 美味い

 成虫の天ぷらもカラッとしてて美味

 

 まぁ、個人的には、幼虫の味はカミキリムシの方が好きですね

 ちなみに、子供たちは、エビだけ食べて、ハチはNGでした

 エビの方が脚の数が多いのに、なぜ、ハチは食べないのだろうか・・・?

 

 以前、ハチの子をピザにして食べましたが・・・・

 チーズの味と香りの方が強くて、ハチ自体を味わうことができず・・・・。

 でも、昆虫食初心者には、ピザとかにした方が食べやすいかも

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ニホンジカ どんどん近づいてくる・・・

2015年07月21日 | 狩猟・獣害のお話

 林道を車で走っていると、シカと遭遇・・・。

 こんなのは、別に珍しくもないのですが・・・・(ほぼ日常茶飯事・・・

 車を止めて、エンジンを切って、しばらく観察していると・・・

 なぜか、近づいてきた

 こちらの様子をうかがいながら、道の草を食べながら、段々と近づいてくる・・・

 

 そのうち、車の横に回り込んで、茂みのササなどをむしゃむしゃと食べ始め、

 ドアを叩くなどして、音を鳴らすものの、1~2回繰り返すと、襲われないと確信するのか、襲われても逃げ切れる自信があるのか、無視

 最後にドアから降りて、近づこうとするとダッシュで逃げました。

 

 いや~、野生のくせに、人に慣れすぎ

 人に接近するシカって、奈良公園か大台ケ原くらいにしかいないと思っていましたが、最近のシカは、平気で人に近づく個体も増えているんですかね・・・。

 そういえば、国道とか県道を普通に走っていても、突然、飛び出してくるシカっていますからね・・・。

 車の音、聞こえてるよね?

 なんで飛び出すの?

 野生なんだから、危機感、持とうよ。

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クガビル ミミズを丸呑み!

2015年07月18日 | 昆虫類+αのお話

 台風が来る前にちょっと・・・と思い、山の中を歩いていると・・・

 ミミズを丸呑みするクガビルを発見。

 もだえるミミズ。

 丸呑みするクガビル。

 

 拾い上げても離さないクガビルくん。

 がっちりと喰いついています。

 最後に、ミミズが糞?内臓?が出て、完食。

 お腹いっぱいになって満足したご様子のクガビルでした

 ヨツワヤクガビル?、かどうかはわかりませんが、ミミズ丸呑みで有名なクガビル。

 雨上がりとか、雨が降っている湿気のある場所でしか出会うことができない。たぶん・・・

 山で出逢える面白い生きもの「クガビル」

 出会うと、ミミズを食べさせたくなること間違いなし!です

 

 

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架線集材 エンドレスタイラー ②

2015年07月15日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 この記事では、架線集材の仕組みについて、簡単に説明していますが、新たに書き直しましたので、こちらをご覧ください→ 架線集材 エンドレスタイラー 仕組み

 もちろん、このままお読みいただいても、結構です。

 よろしくお願いいたします。

 

 

【①のつづき】

  架線集材という技術は、林業の中でも上位クラスの技術だと思います。

 近年は、プロセッサ、タワーヤーダ、スイングヤーダなど高性能林業機械を使って、木材を搬出する方法が主流となっています。

 これら機械を導入したことによって、木材の生産性は向上しましたが、機械が走れる道が山にないといけません。

 和歌山県のように山が険しいところだと、高性能林業機械を使える場所が限られてしまいます。

 そこで、架線集材の技術が必要になってくる・・。というわけです。

 

 もっとも一般的な架線集材は、「エンドレスタイラー」というやり方。

 簡単に言うと、集材機で張り巡らせたワーヤーロープを循環的に回しながら、木材を集める方法です。

 Kasensyuzai05(←集材機)

 

 図にするとこんな感じ。

 Kasen_zu01


 

 でわ、それぞれの役割を。

 Kasen_zu02

 まず、木材を搬出するための搬器を乗せる「主索」。

 主索は、両端とも木に固定しているので、集材機と直接は繋がっていません。

 

 次に、搬器を動かす「エンドレスライン」。

 Kasen_zu03

 エンドレスラインは、集材機にあるエンドレスライン用のドラム(糸巻きみたいな物)を操作して、搬出したい木材の場所まで、搬器を送ります。

 搬器は主索に乗っているだけですので、エンドレスラインの操作1つで、搬器を奥に送ったり、手前に引き戻したりすることができます。

 エンドレスラインを単純に考えると・・・

 Kasen_zu06(←ちいさい円は集材機のドラム。)

 このように集材機の中を通って、グルグルと循環しています。

 つまり、集材機のドラムを左回転すると奥に、右回転にすると手前に搬器が動く・・という感じです(左回転が奥に動く・・・という表現は例えです。その通り動くという意味ではないです。)。

 

 ただし、搬器を木の真下に動かしてきても、搬器そのものは、空高くぶら下がっています。

 そこで、木を吊り上げる・吊り下げるための「リフティングライン」を設けます。

 リフティングラインは、片方は集材機と繋がっており、もう片方は木に固定されています。

 Kasen_zu04 Kasensyuzai06

 そして、集材機のドラムを回して、リフティングラインが張ったり、緩めたりすることで、木を吊り上げたり、下ろしたりすることができます。

 簡単に言うと、固定したロープを引っ張るとピンっと張り、緩めるとロープは垂れ下がる、それと同じ理屈です。

 リフティングラインを緩めると、ワイヤーロープが木の下まで降りる。

 リフティングラインを張ると、ワイヤーロープが木を吊り上げる。

 みたいな

  

 これに、もう1つ重要なものが「ロージングブロック」です。

 Kasensyuzai07

 このロージングブロックにリフティングラインを通します。

 加えて、このロージングブロックを狙ったところに下ろすための重りをつけます。

 上の写真は、専用に作った鉄製の物ですが、木の丸太を利用する人もいます。

 Kasensyuzai09(←ロージングブロックに木をつけている。)

 

 しかし、搬器やロージングブロックは、あくまで主索の線上でしか、木材を搬出することができません。

 

 

 主索の真下から離れたところの木を搬出するために、「ホールバックライン」というものを設けます。(アウトラインとかアウト線とも言います。)

 ホールバックラインは、ロージングブロックの重りに固定し、集材機のドラムと繋がっています。

 集材機のドラムを回して、ホールバックラインを引いたり、緩めたりすることで、ロージングブロックを動かすことができます。

 Kasen_zu05


 

 

 まとめです。

 ①搬器を乗せる主索。

 ②搬器を動かすエンドレスライン。

 ③ロージングブロックを下ろしたり、上げたりするリフティングライン。

 ④ロージングブロックを主索の真下から離れたところに移動させるホールバックライン。

 

 で、こうなります。

Kasen_zu01_2

 集材機が関係するのは、②~④の操作ですね。

 

 その集材機を正面から見てみましょう。

 Kasensyuzai08

 3つのドラムがあります。

 それぞれのドラムを操作することで、搬器等を動かすことができます。

 要は、ワイヤーロープを緩める・張るという動きが、吊り下げる・吊り上げるという働きになると考えてください。

 

 Kasensyuzai04
 実は、この架線集材ができる職人・技術者が減少しています。

 

 後継者がいないんです。

 

 特に、距離が1,000mを超える架線の設置ができる技術者は限られています。

 

 主に高知県で行われている「H型架線」という架線集材が注目を浴び、再び、架線集材が重要視されるようになりました。

 これを機会に、架線集材技術の後継者を育てつつ、集材機の改良も求められています。

 もしここで、架線集材の技術が途絶えたら、再び、その技術を取り戻すことは、本当に大変です。

 特に、今ある技術は先人たちの知恵や経験、そして、犠牲の上に積み上がってきたものです。

 先人たちの犠牲があったからこそ、何が危険なのか、今を働く人たちに伝わっているんです。

 この技術が途絶えたら、先人たちの犠牲が無駄になってしまいます。

 これは、大変無礼なことだと、個人的には思っています。

 誰かが犠牲になったからこそ、二の舞にならないよう、みんなが気をつけるようになったわけです。

 「こういう事故が多いから、気を付けよう。」

 「これは絶対にしてはいけない。」

 「ここには絶対に入ってはいけない。」

 誰かの犠牲が、今、技術として生きているわけです。

 

※本記事は、以前に掲載したものを修正し、改めて掲載したものです。

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