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源義経黄金伝説■第48回★

2014年08月24日 | 源義経黄金伝説
源義経黄金伝説■第48回★
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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■ 1187年文治3年 鎌倉
   
 秀衡死亡の知らせは、早馬で鎌倉にも伝わっている。

「どうやら、秀衡殿、お亡くなりになった様子でございます」
大江広元が頼朝に告げた。
「そうか、秀衡殿が、、とうとう亡くなられたか」
その言葉は、頼朝自身に向けて、ある種の決断を語っている。

大江広元には、頼朝が何やら寂しげに見えた。宿敵を失った寂寥感かも知れ
なかった。大江広元にとっては、千載一遇に思える。
その時期を逃しては、平泉王国を滅ぼすことはできまい。気が抜けたように
なっている頼朝を、勢いづけなければと思った。

「いよいよ、奥州攻めも近うございますな」
「いや、まだ先になさねばならぬことがある」
「それは…」

「わからぬか、大江広元。義経は平泉王国の大将軍となっておる。平泉が義経の元、一致団結をしておれば、我々も恐ろしいわ。あやつの戦ぶり記憶していよう。戦ぶりでは、残念ながら、この日本一の武者よ」

「それに十七万騎の奥州の馬があれば、恐ろしゅうございますなあ」
 よくよく考えれば、まだ平泉王国は、強固なのだ。
「そこで、考えよ。どうすれば、よいかをな」

「内部をもっと分裂させますか」
大江広元のお得意の策諜を使わねばならない。

「そうだ。義経さえ、差し出せば、奥州の地を安堵しようとな。そういう書
状をしたため、使者に持たし奥州の泰衡のもとに出そう。
のう、大江広元、奥州藤原秀衡は平清盛よりも恐ろしかったわ。俺の誘いに全く乗らぬ」

大江広元の目には、頼朝の体がやや震えているように見えた。気のせいだろう
か。それに…、広元は気に掛かることを告げた。
「例の黄金の件は、いかがいたしましょう。まだ、わが鎌倉の手元に…」

「そのこと、うちやっておけ。秀衡さえ亡くなれば、奥州すべての黄金は、我
が鎌倉のものとなる。大事の前の小事だ」
「東大寺が、文句をいいますまいか」
 京都のことなどをもう気にせずばなるまいと、広元は考える。それに関して
は、頼朝の方が一枚上手だった。

「何の届かなかったことにすればよいであろう。そうだ、黄金を、この頼朝
からの贈り物としよう。鎌倉幕府の将軍として、京都へ、また南都奈良に赴か
ねばならぬからのう」

「それは、また京、朝廷への大姫様のお披露目ともなりましょう」
 そのことも大江広元にとっては、忘れてはならなぬことだった。頼朝がどうであれ、京都との連枝は繋いでおかねばならぬ。強固にしておかねばならなかっ
た。この鎌倉幕府を完全に支配し、京都に向かせればならぬ。

「そういうことじゃ。きらびやかに飾り、坂東の田舎者と思われている我々
が、美しく着飾った姿形を、京都の貴族どもや民に見せてやろうではないか」
「さようでございますなあ」

それには、大江広元も同じだ。

うだつのあがらない京都の貧乏貴族の俺が、新しい治世者の一人として、都大路を従者を多数連れ、行列として練り歩けるのだ。

今度は、私が、京都の皆を羨ませる番だ。大江広元は、自らもきづかずに、昔の
傷あとをなでていた。

その額の傷は、往時の義経の凱旋行列を思い起こさせていた。
2012(続く)
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