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新人類戦記第1章第6回●竜は、何とかジウを倒し、殺戮の嵐をとめる。ベトナム・クチニン村の少女、ジウこそが、生き残ったアメリカの究極兵器パラサイコ戦士であった。がその竜の後ろに影が。

2021年01月17日 | 新人類戦記第1章(1980年作品)
新人類戦記 第一章 ベトナム戦争時に開発された究極兵器の話です。その兵器が新人類を生み出す。
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新人類戦記第1章第6回●竜は、何とかジウを倒し、殺戮の嵐をとめる。ベトナム・クチニン村の少女、ジウこそが、生き残ったアメリカの究極兵器パラサイコ戦士であった。がその竜の後ろに影が。
 

新人類戦記第一章(1980年作品)第6回

作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)

 

新人類戦記第一章(1980年作品)第6回

 しかし、竜は見た。

 

ただ一人、ジウだけが、、紅蓮と殺戮の世界ですっくと立っていた。

 

 彼女の地獄の業火に燃えているようであった。

いや、この異界の炎そのものなのだ。

 

彼女の髪の毛はさかだって周りは燃え上がっているようだ

。この世界は彼女中心に動いているのだ。

 

 この深紅の世界を動かしているエネルギー

は彼女の心から発しているのだった。

 

この世の地獄を現出させているのは、彼女のそのもの

の存在なのだ。

 

 竜は彼に襲いかかってくる人間をなぎはら

いながら、彼女に近ずこうとした。

 

竜は彼に襲いかかってくる人間をなぎはら

いながら、彼女に近ずこうとした。

 

 より熾烈なエネルギーが、ジウから放たれ竜をむそう。

 

普通の人間なら、そのエネルギー流に押し流れて

しまったろう。しかし竜は一種の殺人機械で

あった。日本とアメリカが合作し、誕させた

冷徹なマシーンであった。

 

 竜は彼女にたどりつき、あらがう彼女の首

すじに手刀を加えた。

 

 彼女がくずれおち、意識が失々われると同

時に吹きすさんでいた殺戮の狂気の嵐はないだ。

 

 ■竜は村長の家へ向かった。幸い、村長の家

は村の家並から少し離れていたため、類焼をまぬがれ

ていた。

 

 ジウの意識が正常にもどるのを待った。ジ

ウが眼を開いた。竜は冷徹に言った。

 

「ジウ、君がこの一連の虐殺をおこした犯人だったんだな」

 

 竜は一瞬、彼の任務を忘れているようであった。

 

「そうだ。「クチニンの虐殺」は君がひきおこしたん

だよ」

 

 ジウは悲しそうに叫んだ。悲鳴のようでもあった。

 

「私ではないのよ。やめて、やめて、私にはわからないの。何

にもわからないのよ。私の心にいる誰かが何かを命令している、、、」

 

「いや、ジウ、考えろ。そして憶いだすんだ

君が何者か、そして何を今まで何を行なってきた

かを」

 

 竜はジウを観察するようにながめながら続ける。

 

「ジウ、君はアメリカ軍によって培養された特殊兵器

だ。君の心は一種のアンプとチューナーの役割をはたす。

 

ある一人の殺意を感じとり、それを数百倍に増幅して、まわりにいる人々

に投げあたえるのだ。

 

それゆえ人々は知らないうちに、自分の意志でも々く、人を殺そう

とし、殺してしまうのだ。

 

君の神隠しの期間は、アメリカ軍施設で訓練を受けていた期間だ。

 

恐らく米軍は君らの存在を。パラサイコマンド(超心理戦戦士)

の存在を隠すために、殺そうとしたはずだ。

しかし君は生き残っている」

 

 背後の人の気配に竜はふりむいたが、すこしおそかった。

 

「ジウが、そうだったのか。アメリカの探していた究極兵器だったのか」

 村長の家戸口にハイ・ニンが立っていた。

 

ハイ・ニンは頭には奇妙方形のヘルメットをつけている。手にはト

カレフ拳銃がにぎられていた。

 

「ハイ・ニン、あんたは!」

 

「悪いな。竜、今、俺はKGB(ソ連国家保安委員会)のエージェントなんだよ」

「なぜだ。もと南ベトナム解放戦線の勇士のあんたが」

 

 

新人類戦記第一章(1980年作品)第6回

作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/

(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)

 



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